別紙1

政適委第48号
平成22年2月17日

国税庁 課税部
 審理室長 山川 博樹 殿

総務省 政治資金適正化委員会
 事務局長 金谷 裕弘

(別紙1の1)

1 照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び照会者の求める見解の内容)

 印紙税法では、第17号文書として「金銭又は有価証券の受取書」を課税の対象としていますが、このうち、営業に関しない受取書は非課税とされているところ(印紙税法別表第一第17号文書非課税物件2)、弁護士、弁理士、公認会計士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として非課税と取り扱われています(印紙税法基本通達別表第一第17号文書26)。
 登録政治資金監査人が国会議員関係政治団体から政治資金監査報酬を受領したとき作成する受取書(添付資料「政治資金監査報酬に係る受取書の見本」(PDF/90KB))は、営業に関しない受取書に該当し、非課税文書に該当すると解して差し支えないか照会いたします。

(別紙1の2)

2 照会に係る取引等の事実関係

 政治資金規正法(以下「規正法」という。)の一部が改正され(平成19年法律第135号)、国会議員関係政治団体の会計責任者は、政治団体の会計責任者として、規正法第12条第1項又は第17条第1項の報告書(以下「収支報告書」という。)を都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出するときには、あらかじめ、当該報告書並びに当該報告書に係る会計帳簿等について、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を修了した登録政治資金監査人による政治資金監査を受けることが義務付けられました(規正法第19条の13、平成21年分収支報告書から適用)。
 当該改正は、事務所費や光熱水費等の政治団体の支出について様々な報道・批判が行われ、政治資金の使途に対する国民の政治不信が高まったことを受け、第168回国会(臨時国会)では、与野党間での精力的な協議の結果、国会議員が関係する政治団体を明確にした上で、これに該当する政治団体に対して登録政治資金監査人による政治資金監査を義務付けるとしたことによるものです。

(1) 登録政治資金監査人
 登録政治資金監査人とは、弁護士、公認会計士又は税理士(以下「弁護士等」という。)のいずれかの資格を有する者で政治資金適正化委員会において登録を受けた者(個人)をいい(規正法第19条の18)、当該登録政治資金監査人が弁護士等でなくなった場合等は、登録が抹消される(規正法第19条の23)。
 また、登録政治資金監査人は、政治資金の適正化に資する質の高い政治資金監査を行うことが期待されることから、法律、監査及び会計並びに税務に関する専門家(国家資格)として高い能力と識見を有し、また、公共的使命を担う弁護士等がその資格の要件とされた。
 なお、登録政治資金監査人は個人としての資格であり、法人(弁護士法人、監査法人又は税理士法人)の登録は認められていない。

(2) 登録政治資金監査人の業務
 登録政治資金監査人は、規正法及び政治資金適正化委員会が定める政治資金監査に関する具体的指針に基づき、政治資金監査を行うこととされている(規正法第19条の132)。

(別紙1の3)

3 照会者の求める見解となることの理由

(1) 印紙税法の取扱い
 印紙税法では、印紙税法別表第一第17号文書に金銭又は有価証券の受取書を掲げ、課税の対象としていますが、同号非課税物件2において、営業に関しない受取書を非課税としており、印紙税法基本通達別表第一第17号文書26では、弁護士、弁理士、公認会計士等がその業務上作成する受取書は営業に関しない受取書と取り扱うこととされています。
 これは、例えば、弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とするなど、社会公共の利益のための行為を行うものであることから、商法上も、また一般通念上も営利行為としては確立していないことによるものと考えられます。

(2) 照会事項に対する見解
 登録政治資金監査人は、弁護士等である者が、登録政治資金監査人名簿に氏名、生年月日、住所その他総務省令で定める事項の登録を受けて、登録政治資金監査人となることができ(規正法第19の181)、また、弁護士等でなくなった場合には登録が抹消されることから(規正法第19の231)弁護士等の資格がその要件とされています。
 すなわち、登録政治資金監査人は、特定の弁護士等が登録を受けたものであるから、弁護士等であることに他ならず、本件政治資金監査は弁護士等がその資格に基づき行う業務であると解することができます。
 そして、本件政治資金監査は、弁護士等がその知識と経験を生かして公正かつ誠実に行い、政治団体の支出に係る収支報告の適正の確保及び透明性の向上のために行われるものであり、現在、弁護士等が行っている業務と同様に、営利行為であるとはいえないものと解されます。
 したがって、本件受取書は、営業に関しないとされる受取書に該当し、非課税となるものと考えています(印紙税法別表第一第17号文書非課税物件2及び印紙税法基本通達別表第一第17号文書26)。