【3照会の趣旨】

 添付資料1「自動車損害賠償責任保険のインターネット通信販売の取扱いに関する覚書」(PDFファイル/84KB)(以下、「本覚書」という。)は、本覚書を結ぶ当事者間で既に締結済みの課税文書である「自動車損害賠償責任保険代理店委託契約書(以下、「原契約書」という。)」に対して、印紙税の取扱いにおける「重要な事項」の変更にあたる内容を含むものと考えられる。従って、本覚書は原契約書に係る重要事項の変更契約書に相当する課税文書であり、また、原契約書が印紙税法別表第一の第7号文書として扱われていることから、本覚書についても原契約書と同様に第7号文書として、1通4,000円の印紙を貼付することが適当である。

 【4照会に係る取引等の事実関係】

 本覚書は、損害保険代理店(以下、「代理店」という。)が自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という。)を自らのインターネットのホームページを利用して電子的に契約の締結(以下、「自賠責保険のインターネット通信販売」という。)を行う場合に、損害保険会社と当該代理店との間で事務手続き等に関連する事項の確認のために取り交わす文書である。

 なお、損害保険会社が自賠責保険に係る代理店業務を委託するに際しては、原契約書が損害保険会社と代理店の間で別途締結されており、自賠責保険のインターネット通信販売を行う代理店については、原契約書に重ねて本覚書が取り交わされることになる。また、印紙税の取扱いにおいて、原契約書は印紙税法別表第一の第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するため、1通4,000円の印紙が貼付されている。

 【54の事実関係に対して照会者の求める見解となることの理由】

 印紙税法別表第一の「課税物件表の適用に関する通則」の5において、「『契約書』とは、<中略>契約の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書」と規定されているが、損害保険会社と代理店の自賠責保険に係る代理店業務の委託契約は、本覚書の取り交わしにかかわらず、原契約書の締結を以って成立している。このため、本覚書が上記通則5の『契約書』となるのは、原契約書に対する変更・補充契約書に該当する場合である。
 さらに、変更・補充契約書であっても、課税文書とされるのは、印紙税法基本通達第17条第2項第4号および同第18条第2項第4号により「重要な事項」の変更・補充を行う場合に限定されている。また、原契約書が「保険募集の業務を継続して委託するために作成される契約書」であることから、その「重要な事項」は、印紙税法施行令第26条第2号および印紙税法基本通達別表第2の5により、「委託される業務又は事務の範囲、対価の支払方法、契約期間」とされている。
 従って、本覚書が課税文書となるのは、原契約書に対する変更・補充契約書に該当し、かつ、変更・補充の内容が「委託される業務又は事務の範囲、対価の支払方法、契約期間」のいずれかに該当する場合であり、本覚書が課税文書に該当するか否かは、「委託される業務又は事務の範囲、対価の支払方法、契約期間」の変更・補充を行っているか否かの判定に委ねられるものと考えられる。

 本覚書と原契約書との関係の詳細は添付資料2「自賠責保険インターネット通信販売の取扱いに関する覚書について」(PDFファイル/173KB)でお示しする通りであるが、「委託される業務又は事務の範囲、対価の支払方法、契約期間」の変更・補充を行っているか否かの観点では、次のように整理できる。

1. 委託される業務又は事務の範囲
 原契約書における委託業務の範囲に「契約者からの保険料の領収」「領収した保険料の会社への送金」があるが、インターネット通信販売では保険料がクレジットカード会社から損害保険会社に支払われることから、本覚書第3条第1項、同第2項および第4条第3項により、これらの業務の執行が代理店に求められないことになっている。
 これは、原契約書の委託業務の範囲を変更したものであるが、「契約者からの保険料の領収」、「領収した保険料の会社への送金」等の保険料の収納事務は、保険募集の業務の本質にかかわるものではなく、保険募集に付随する事務と考えられることから、保険募集の業務に係る委託される業務又は事務の範囲の変更には該当しない。

2. 対価の支払方法
 損害保険会社が代理店に支払う代理店手数料は、原契約書では、代理店が契約者から受領した保険料を保険会社に払い込む際に控除する形で受け取ることとされているが、インターネット通信販売では、本覚書第5条第1項により、損害保険会社がクレジットカード会社から保険料相当額を受領した後に、別途、損害保険会社から代理店に対して支払うこととされている。
 すなわち、代理店手数料支払いの経路が変わるものであり、対価の支払方法の変更に該当すると整理できる。

3. 契約期間
 本覚書には、契約期間に関する記述はない。従って、契約期間に関する変更・補充はない。

以上から、本覚書は原契約書の重要な事項である「対価の支払方法」を変更する変更契約書と整理できるため、課税文書に該当するものと考える。
 また、印紙税法基本通達第17条第2項第1号により、原契約書が一の号のみに該当する場合の変更契約書は原契約書と同一の号の所属に決定することとされていることから、本覚書は第7号文書に該当する。

添付資料1・・・ 「自動車損害賠償責任保険のインターネット通信販売の取扱いに関する覚書」(PDFファイル/84KB)

添付資料2・・・ 「自賠責保険インターネット通信販売の取扱いに関する覚書について」(PDFファイル/173KB)

添付資料3・・・ 「自動車損害賠償責任保険代理店委託契約書」(PDFファイル/132KB)

添付資料4・・・ 「自動車損害賠償責任保険代理店委託契約に関する特約書」(PDFファイル/89KB)

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