マルチペイメントネットワーク(以下「MPN」といいます。)とは、収納企業と金融機関との間をネットワークで結ぶことにより、現金自動預入支払機(以下「ATM」といいます。)、インターネット等の支払いチャンネルを活用して電気、ガス、電話等の公共料金、保険料、通信販売等の代金等や税金等を収納し、利用者の利便性向上を図るとともに、収納機関及び金融機関の事務効率化を図る電子収納システムです。
 日本マルチペイメントネットワーク運営機構は平成13年3月23日に設立され、マルチペイメントネットワークの運営主体としての金融機関を中心に、MPNの構築、その運営とともに、その普及を図ることを目的とした活動を行っております。
 つきましては、MPNを利用してATMで顧客が現金により支払う場合に発行される文書に係る印紙税の取扱いについて、下記のとおりとして差し支えないかご照会申し上げます。
 なお、同様の帳票は、ATMを利用して口座振替により料金等を支払う場合にも出力されますが、今回は現金払込みの際に出力されるものの印紙税の取扱いについて照会するものです。

【用語】

1 収納金融機関:MPNを運用して収納代行を行う金融機関

2 収納機関:収納金融機関に収納代行を委託する国・地方公共団体、一般事業会社(電気、ガス、電話等の公共料金、保険料、通信販売等の代金等を収納する企業をいいます。)、クレジット会社・ファクタリング会社・信販会社等の金融機関又は共同利用センター

3 共同利用センター:複数の収納企業との間で、当該収納企業に対して料金支払債務を負担する顧客からの弁済金を当該収納企業に代わって受領すること、受領した収納金をとりまとめて当該収納企業に引き渡すこと、当該収納企業のMPNの利用に関するデータの中継若しくは受渡しの委託を旨とする契約(以下「間接収納企業契約」といいます。)を締結した企業

4 収納企業:共同利用センターと間接収納企業契約を締結した一般事業会社又はクレジット会社・ファクタリング会社・信販会社等の金融機関

5 記載金額:印紙税法別表第一の課税物件表の適用に関する通則4に規定する記載金額

【文書の内容】

 この文書は、税金、公共料金、生命保険料、損害保険料、通信販売の対価、旅行費用の対価、クレジットカードを使用した場合の決済対価等(以下「料金等」といいます。)を、別紙1(PDFファイル/125KB)の手順によりATMを利用して現金で払い込む際にATMから出力される「ご利用明細票」等と称する帳票です(別紙2(PDFファイル/21KB))。
 この「ご利用明細票」には、「お取引内容」、「お取扱日」、「お取扱金額」(MPNを利用した場合、「お取扱金額」には、延滞金、収納金融機関の手数料等を含めた金額が表示される。)等の事項のほか、MPNを利用した払込みの場合、帳票下部のフリーエリアに、1顧客の氏名、2お客様番号、3収納機関への払込金額、4払込金額が当該収納機関(当該収納機関が共同利用センターである場合には当該共同利用センターと間接収納企業契約を締結した収納企業)が行った資産の譲渡等の対価である場合の当該払込金額に含まれる消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の額、5料金等の払込内容、6MPNを使用した払込みであることの表示(「PE」等と表示)、の印字がされます。
 なお、5の「払込内容」として記載される払込先の名称は、収納機関の判断により、収納機関又は収納企業のどちらか又は両方の名称を印字することとしています。
 また、料金等の払込みの際に収納金融機関が手数料を収受する場合には、16の事項のほか「お取扱金額」に含まれる当該手数料の金額を別途印字する場合があります。このとき、金融機関によっては手数料に含まれる消費税額を別記することがあります。

印紙税の取扱い】

 資産の譲渡等を行った事業者がその料金等を収納する際に、取引の相手方に交付する領収書(印紙税法別表第一「課税物件表」の第17号文書に該当するもの)に取引金額とその取引に課される消費税等の額とが区分して記載されている場合には、この消費税等の金額は第17号文書(金銭の受取書)の記載金額には含めないこととされています(平成元年3月10日付間消3-2(例規)「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」記の1)。

 一般に、金融機関等が顧客からの振込依頼に基づき受け取る振込金は、取引当事者間における資産の譲渡等の対価そのものではないことから、その振込みの対象となる取引について課せられる消費税等の金額が区分記載された振込金の受取書を発行した場合であっても、その区分記載された消費税等の金額は記載金額に含めないことはできません。
 しかし、電力代金等の収納事務を委託された金融機関等が、その代金を収納する場合には、電力会社等に代わって、金融機関等が代金を受け取っているにすぎないものですから、次のいずれにも該当するものについては、その受取書に消費税等の金額が区分記載されている場合は、この消費税等の金額は記載金額に含めないものとして取り扱われています。

1 金融機関の窓口等に電力会社が刷製した領収書等(表題が「領収書」等とされ、当該電力会社等の窓口で支払う場合に使用するものと同一様式のもので、消費税等の金額が明らかに区分記載されているものに限る。)を持参して支払うこととされているもので、収納等を行った場合に金融機関は単に当該領収書等に領収済印等を押して支払者に返すこととしているもの

2 請求書又は1の領収書等に支払場所として記載されている金融機関等で収納するもの
(大蔵財務協会刊「平成8年改訂新版 印紙税取扱先例集」第1部第5記載金額問42「消費税額が区分記載された振込金の受取書の記載金額」)

 顧客が、収納機関から送付された「払込取扱票」等に記載されている料金等を、MPNを利用してATMから現金支払いする場合、別紙1(PDFファイル/125KB)のとおり、顧客は「払込取扱票」等に記載されている「収納機関番号」、「お客様番号」、「確認番号」をATMに入力することにより、料金等の請求金額を収納機関のサーバから呼び出して、入金を行います(ATMから出力される「ご利用明細票」にはMPNを利用した取引を示す表示として、「PE」(MPNが提供する収納サービスの愛称”Pay-easy”の略)の文字が印字されます。)。
 このとき、顧客は窓口で入金を行うものでないことから、支払いを受けたATMを設置している金融機関等は「払込取扱票」等の「領収書」等部分に領収済印を押して、顧客に返却することはできませんが、MPNを利用した料金等の入金方法を勘案すると、入金事実を証明するものとしてATMから出力される「ご利用明細票」は、収納機関が刷製した領収書等に領収済印を押したものと同様のものと考えられ、この「ご利用明細票」に記載された受取金額に消費税等の金額が区分記載されているときは、この消費税等の金額は記載金額に含めないことができるものと考えます。
 また、収納機関が共同利用センターである場合には、金融機関に収納事務の委託を行っているのは、資産の譲渡等を行った収納企業そのものではありません。しかし、共同利用センターは、顧客からの弁済金を収納企業に代わって受領し、受領した弁済金をとりまとめて収納企業に引き渡すという間接収納企業契約に基づいて収納代行を行っているものであり、資産の譲渡等を行った一般事業会社に対して立替払いを行うクレジット会社や一般事業会社から債権譲渡を受けたファクタリング会社とは異なるものです。このことから、払込先である収納機関が共同利用センターである場合にも、「ご利用明細票」に記載された受取金額に消費税等の金額が区分記載されているときは、この消費税等の金額は記載金額に含めないことができるものと考えます。

 以上をまとめると、MPNを利用してATMで顧客が現金により支払う場合に発行される文書に係る印紙税の取扱いは次のとおりになると考えます。

1 収納機関が一般事業会社である場合

(1) 収納金融機関が手数料を収受していない場合
 一般事業会社が行った資産の譲渡等の対価に係る売上代金の収納事務の委託を受けた金融機関が作成する振込金の受取書であり、収納金融機関が行う役務の提供の対価となる手数料が含まれていないことから、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当する。
 この場合、一般事業会社に代わって、その売上代金を収納金融機関が受け取っているに過ぎないものであることから、一般事業会社が行った資産の譲渡等に係る消費税額である「払込金額に含まれる消費税額」は、「ご利用明細票」上にMPNを使用した払込みであることの表示があるものについては、記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額(払込金額)」−「払込金額に含まれる消費税額」が、3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものは一律印紙税額200円である。

(2) 収納金融機関が手数料を収受している場合
 「お取扱金額」の中に収納金融機関が行う役務の提供の対価である手数料が含まれていることから、当該文書は第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当する。
 この場合、一般事業会社に代わって、その売上代金を収納金融機関が受け取っているに過ぎないものであることから、一般事業会社が行った資産の譲渡等に係る消費税額である「払込金額に含まれる消費税額」は、「ご利用明細票」上にMPNを使用した払込みであることの表示があるものについては、記載金額に含めない。
 また、収納金融機関の手数料に含まれる消費税額が別記されているときには、この金額についても、記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額」−「払込金額に含まれる消費税額」−「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものについては収納金融機関の手数料(「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が明示されているときには、当該金額控除後の金額)が100万円以下のものは印紙税額200円である。

2 収納機関が、一般事業会社等に対して立替払いを行ったクレジット会社等又は一般事業会社から債権譲渡を受けたファクタリング会社等の金融機関である場合

(1) 収納金融機関が手数料を収受していない場合
 クレジット会社等から債権の収納事務の委託を受けた金融機関が作成する振込金の受取書であり、収納金融機関が行う役務の提供の対価となる手数料が含まれていないことから、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当する。
 当該文書に「払込金額に含まれる消費税額」が明示されていたとしても、この金額はクレジット会社等が行った資産の譲渡等に係る消費税額でないことから、記載金額に含めないことはできない。
 したがって、「お取扱金額(払込金額)」が、3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものは一律印紙税額200円となる。

(2) 収納金融機関が手数料を収受している場合
 「お取扱金額」の中に収納金融機関が行う役務の提供の対価である手数料が含まれていることから、当該文書は第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当する。
 当該文書に「払込金額に含まれる消費税額」が明示されていたとしても、この金額はクレジット会社等が行った資産の譲渡等に係る消費税額でないことから、記載金額に含めないことはできないが、収納金融機関の手数料に含まれる消費税額が別記されているときには、この金額は記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額」−「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものについては収納金融機関の手数料(「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が明示されているときには、当該金額控除後の金額)が100万円以下のものは印紙税額200円である。

3 収納機関が、一般事業会社と間接収納企業契約を締結した共同利用センターである場合

(1) 収納金融機関が手数料を収受していない場合
 一般事業会社が行った資産の譲渡等の対価に係る売上代金の収納事務の委託を受けた共同利用センターから収納事務の再委託を受けた金融機関が作成する振込金の受取書であり、収納金融機関が行う役務の提供の対価となる手数料が含まれていないことから、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当する。
 この場合、一般事業会社に代わって、その売上代金を収納金融機関が受け取っているに過ぎないものであることから、一般事業会社が行った資産の譲渡等に係る消費税額である「払込金額に含まれる消費税額」は、「ご利用明細票」上にMPNを使用した払込みであることの表示があるものについては、記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額(払込金額)」−「払込金額に含まれる消費税額」が、3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものは一律印紙税額200円である。

(2) 収納金融機関が手数料を収受している場合
 「お取扱金額」の中に収納金融機関が行う役務の提供の対価である手数料が含まれていることから、当該文書は第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当する。
 この場合、一般事業会社に代わって、その売上代金を収納金融機関が受け取っているに過ぎないものであることから、一般事業会社が行った資産の譲渡等に係る消費税額である「払込金額に含まれる消費税額」は、「ご利用明細票」上にMPNを使用した払込みであることの表示があるものについては、記載金額に含めない。
 また、収納金融機関の手数料に含まれる消費税額が別記されているときには、この金額についても、記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額」−「払込金額に含まれる消費税額」−「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものについては収納金融機関の手数料(「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が明示されているときには、当該金額控除後の金額)が100万円以下のものは印紙税額200円である。

4 収納機関が、一般事業会社等に対して立替払いを行ったクレジット会社等又は一般事業会社から債権譲渡を受けたファクタリング会社等の金融機関と間接収納企業契約を締結した共同利用センターである場合

(1) 収納金融機関が手数料を収受していない場合
 クレジット会社等から債権の収納事務の委託を受けた共同利用センターから収納事務の再委託を受けた金融機関が作成する振込金の受取書であり、収納金融機関が行う役務の提供の対価となる手数料が含まれていないことから、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当する。
 当該文書に「払込金額に含まれる消費税額」が明示されていたとしても、この金額はクレジット会社等が行った資産の譲渡等に係る消費税額でないことから、記載金額に含めないことはできない。
 したがって、「お取扱金額(払込金額)」が、3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものは一律印紙税額200円となる。

(2) 収納金融機関が手数料を収受している場合
 「お取扱金額」の中に収納金融機関が行う役務の提供の対価である手数料が含まれていることから、当該文書は第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当する。
 当該文書に「払込金額に含まれる消費税額」が明示されていたとしても、この金額はクレジット会社等が行った資産の譲渡等に係る消費税額でないことから、記載金額に含めないことはできないが、収納金融機関の手数料に含まれる消費税額が別記されているときには、この金額は記載金額に含めない。
 したがって、「お取扱金額」−「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が3万円未満のものは非課税文書であり、3万円以上のものについては収納金融機関の手数料(「収納金融機関の手数料に含まれる消費税額」が明示されているときには、当該金額控除後の金額)が100万円以下のものは印紙税額200円である。

5 収納機関が国又は地方公共団体である場合

(1) 収納金融機関が、日本銀行の代理店又は払込先である地方公共団体の指定金融機関、指定代理金融機関、収納代理金融機関等である場合
 印紙税法別表第三に掲げる国庫金又は地方公共団体の公金の取扱いに関する文書に該当し、非課税文書となる。

(2) 収納金融機関が、日本銀行の代理店又は払込先である地方公共団体の指定金融機関、指定代理金融機関、収納代理金融機関等以外である場合
 前記「1 収納機関が一般事業会社である場合」と同様の取扱いとなる。

(注)

1 収納金融機関が、印紙税法別表第二「非課税法人の表」に掲げる法人である場合には、当該法人が設置するATMから出力される「ご利用明細票」は、すべて非課税文書となる。

2 収納金融機関が、会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができるものである場合には、その出資者以外の者から現金を受け入れたときに発行する「ご利用明細票」は、営業に関しない受取書には該当しないため、課税文書となる。

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