(別紙)

平成28年6月30日

 国税庁 課税部
 審理室長 山寺 尚雄 殿

経済産業省産業技術環境局
地球環境連携室長 永澤 剛
環境省地球環境局
地球温暖化対策課市場メカニズム室長 小笠原 靖

1 照会の趣旨

我が国は、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国の削減目標の達成に活用するため、二国間クレジット制度(JCM)を構築・実施しています。現在、我が国との間でJCMの運用を開始した国(以下、「パートナー国」といいます。)は16か国あり、今後、パートナー国で実施した温室効果ガス排出削減プロジェクトからJCMクレジットの発行が見込まれます。そのため、平成27年11月、JCMクレジットの発行・振替等に係る国内ルールを規定するJCM実施要綱を公表し、JCMクレジットを管理するJCM登録簿システムの運用を開始しました。

我が国は、JCM登録簿システム上でJCM登録簿における国又は法人の保有口座から国の無効化口座に移転(以下「無効化」といいます。)されたJCMクレジットを、日本国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用します。内国法人は、JCMの下で発行されるJCMクレジットを、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整(注1)やカーボン・オフセット(注2)などの用途に活用することが可能です(JCM及びJCMクレジットの概要は、「2 照会に係る取引等の概要」のとおり)。

このようなJCMクレジットに係る取引として、内国法人が、自ら温室効果ガス排出削減等のプロジェクトを実施する事業者(以下「プロジェクト参加者」といいます。)となりJCMクレジットの発行を受けること又は他の内国法人からJCMクレジットを取得(購入)することにより、JCMクレジットを保有し、当該JCMクレジットについて無効化を目的としてJCM登録簿における無効化口座へ移転する場合や他の内国法人に売却(有償譲渡)する場合があります。このような取引があった場合において、次に掲げる法人税及び消費税の取扱いにつき、それぞれ次のとおり解して差し支えないか、ご照会申し上げます。

(注1) 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、平成18年4月から施行された、温室効果ガスを一定量以上排出する者に温室効果ガスの排出量の算定及び国への報告を義務付け、国が報告されたデータを集計・公表する制度。

(注2) 自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジットの活用により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいいます。

[照会事項]

(1) 法人税

《内国法人がJCM登録簿に保有口座を有する場合》(別添1仕組み図(PDF/203KB)参照。)

1 内国法人が、保有するJCMクレジットを無効化する場合には、当該JCMクレジットが無効化口座に記録された日(当該JCMクレジットの無効化口座への移転が完了した日)を含む事業年度において、原則として、当該JCMクレジットの価額に相当する金額を国等に対する寄附金の額として損金の額に算入する。

この場合における当該JCMクレジットの価額とは時価をいうこととなり、当該JCMクレジットが無効化口座に記録された日に近い売買実例等を参考として適正に算定することとなる。ただし、売買実例の把握が容易でないこと等により時価の算定が困難である場合には、当該内国法人の帳簿価額を当該JCMクレジットの価額として取り扱う。

《内国法人がJCM登録簿に保有口座を有しない場合》(別添2仕組み図(PDF/208KB)参照。)

2 内国法人が、JCM登録簿に保有口座を有しJCMクレジットを保有する他の内国法人(以下「業務委託先事業者」といいます。)との間で、JCMクレジットの取得及び無効化口座への移転についての業務委託契約(注3)を締結した場合、委託者である内国法人は、その契約の成立時点において当該JCMクレジットの処分権限を有することになるため、実質的に当該JCMクレジットの所有者となる。

(注3) この場合における業務委託契約とは、その締結時に業務委託先事業者が保有するJCMクレジットを委託者である内国法人が取得すること及び業務委託先事業者が委託者である内国法人の指示に基づき当該JCMクレジットの償却を目的として無効化口座に移転することを委託するものである。

したがって、委託者である内国法人は、実質的に所有するJCMクレジットが当該業務委託契約に従って業務委託先事業者の保有口座から無効化口座へ移転された日に当該JCMクレジットを国に対して寄附したこととなり、その移転された日を含む事業年度において、原則として、当該JCMクレジットの価額に相当する金額を国等に対する寄附金の額として損金の額に算入する。

この場合における当該JCMクレジットの価額についての考え方は上記1と同様である。

(2) 消費税

《内国法人同士の取引の場合》

3 内国法人が他の内国法人にJCMクレジットを有償で譲渡した場合には、当該取引は消費税の課税の対象となる。一方、内国法人が他の内国法人からJCMクレジットを有償で取得した場合については課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象となる。

4 上記(1)2の場合において、内国法人が業務委託先事業者から有償で取得したJCMクレジットは、業務委託契約の成立した日の属する課税期間における課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象となる。

2 照会に係る取引等の概要

(1) JCMの概要

(イ) JCMの位置づけについて

我が国は、総理指示を踏まえたカンクン合意(注4)の下での我が国の新たな2020年度(平成32年度)の温室効果ガス削減目標を2005年度(平成17年度)比で3.8%減するものとしており、2015年(平成25年)11月29日、当該目標を国連気候変動枠組条約事務局に登録し、JCMの活用を含めた最大限の努力によってこの目標の実現を目指すとしています。また、2015年(平成27年)7月17日に地球温暖化対策推進本部で決定され、同日国連気候変動枠組条約事務局に登録された「日本の約束草案」(注5)(注6)では、我が国の2030年度(平成42年度)の温室効果ガス削減目標を2013年度(平成25年度)比で26.0%減(2005年度(平成17年度)比25.4%減)の水準にすることとしており、JCMについては、この削減目標積み上げの基礎としていないが、日本として獲得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントすることとしています。

他方、法人は、自らプロジェクト参加者となりJCMクレジットの発行を受けること又は他の者と取引を行うことによりJCMクレジットを獲得し、当該JCMクレジットを国の無効化口座に無償移転することにより、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整やカーボン・オフセット等に用いることができます。無効化口座に移転されたクレジットについては、日本国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用されることから、これらの取組は、我が国の削減目標達成のために実質的に貢献していることとなります。

(注4)2020年(平成32年)における排出削減目標を策定、国連気候変動枠組条約事務局に登録し、隔年報告書を提出して当該目標の進捗状況等を報告し、国際的なレビューを受けることとされており、我が国は2005年度(平成17年度)の排出量(13億5,100万t-CO2)を基準として、3.8%削減することとしている。

(注5)2020年(平成32年)以降の温室効果ガス削減に向けた「日本の約束草案」は、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標として、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度(平成42年度)に2013年度(平成25年度)比−26.0%(2005年度(平成17年度)比−25.4%)の水準(約10億4,2000万t-CO2)にすることとしている。

(注6)なお、平成27年に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて採択されたCOP21決定では、別に提出がない限り、「日本の約束草案」が、パリ協定によって提出が義務づけられた、我が国による「自国が決定する貢献(削減目標)」とみなされる。

(ロ) JCMクレジットの管理

JCMクレジットは、温室効果ガス排出削減・吸収量をクレジットとして発行し、当該JCMクレジットの取引を安心して行えるよう、信頼性の高い制度として設計され、次のような特徴を有しています。

1 京都議定書の下でのクリーン開発メカニズムに基づく規則又は国際標準化機構(ISO)の温室効果ガスに係る規格に則った信頼性の高い検証機関による審査が行われ、その審査結果を踏まえて、日本とパートナー国の代表者で構成される合同委員会が、JCMプロジェクトの実施によって実現した温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクトに起因する排出削減・吸収量のクレジットとしての発行を認めることにより、各国政府が当該排出削減・吸収量に応じたJCMクレジットを発行します。

2 JCMクレジットは、国が管理するJCM登録簿により電子的に管理されており、その全てについて1トン単位の識別番号が割り振られ、その発行、保有、無効化等の各種取引が記録・管理されています。

3 JCM登録簿では、国の承認を受けてJCMクレジットを保有・取引する法人用の保有口座とJCMクレジットを無効化するための無効化口座が設置されています。

4 プロジェクト参加者がJCMクレジットの発行を受けると、当該プロジェクト参加者の保有口座にJCMクレジットの識別番号が記載されます。

5 JCMクレジットの取引により、他の法人がプロジェクト参加者から当該JCMクレジットを取得した場合には、プロジェクト参加者の保有口座から当該JCMクレジットの識別番号が削除され、同じ番号が当該JCMクレジットを取得した法人の保有口座に記録されることになります。

6 JCMクレジットを取得した法人がJCMクレジットを用いて温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整又はカーボン・オフセット等を行ったと認められるためには、JCMクレジットを無効化口座に移転することが必要となります(保有口座にJCMクレジットを保有しているだけでは温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整やカーボン・オフセット等に用いることはできません。)。

(2) JCMクレジットの無効化手続について

JCM登録簿内における口座保有者間でJCMクレジットを移転する場合は、移転元となる法人がJCM登録簿における操作を行うことにより、当該移転が記録されることとなります。

また、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整やカーボン・オフセット等に用いるためにJCMクレジットを無効化する場合には、移転元となる法人の保有口座から移転対象となるJCMクレジットの識別番号が削除されるとともに、同じ番号が移転先となる無効化口座に記録されることにより、無効化されたJCMクレジットは他の取引には使用できなくなります。したがって、無効化口座に移転されたことをもって、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整やカーボン・オフセット等に使用されることが確定することとなります。

(3) JCMクレジットの資産性

平成21年2月24日国税庁文書回答「京都メカニズムを活用したクレジットの取引に係る税務上の取扱いについて」(以下「京都メカニズム文書回答」といいます。)、平成22年3月26日国税庁文書回答「国内クレジットの取引に係る法人税の取扱いについて」(以下「国内クレジット文書回答」といいます。)、平成24年10月19日国税庁文書回答「オフセット・クレジット(J-VER)の取引に係る税務上の取扱いについて」(以下「オフセット・クレジット文書回答」といいます。)では、それぞれの制度におけるクレジットについて、資産性があるものと整理されています。

JCMクレジットについて、これらのクレジットにおける資産性の判断と同様の検討をすると、次のことから、その性格は我が国の目標達成に活用できるよう制度設計され、我が国及びパートナー国の代表者から構成される合同委員会による承認を経て発行された後、京都クレジットなどと同様に事業者間を一定の価格により流通することも想定されていることから、資産性を有するものと解されます。

1 JCMは、企業等が自らプロジェクト参加者となることによりJCMクレジットの発行を受け又は他の者との間でJCMクレジットを取引し、当該クレジットを無効化口座に移転することで、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の下での調整後温室効果ガス排出量の調整やカーボン・オフセット等を推進する制度として設計されていること。また、JCMは、発行されたクレジットの我が国の温室効果ガス削減目標の達成への活用を可能とするべく国が設けた制度であること。更に、手続面においても、法人がJCM登録簿上に保有口座を開設する場合やJCMクレジットを自らの保有口座から他の口座(政府及び民間)に移転する場合の手続等を定め、JCMクレジットの取引の安定性を担保していること。〔法的安定性、流通性の確保〕

2 京都議定書の下でのクリーン開発メカニズムに基づく規則や国際標準化機構(ISO)の温室効果ガスに係る規格に則った信頼性の高い検証機関による審査が行われ、その審査結果を踏まえて、両国の代表者から構成される合同委員会において承認を行うことにより、JCMクレジット発行に係る厳格性・透明性が確保されていること。〔恣意性の排除(客観性の確保)〕

3 JCMクレジットの取引を行う場合に、取引主体間での金銭等を介した取引の対象となり、財産的価値を有するものとして移転することが可能であること。〔取引可能性〕

(4) JCMクレジットの会計上の取扱いについて

企業会計基準委員会による「実務対応報告第15号 排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」(最終改正平成21年6月23日)においては、「京都メカニズム以外のクレジットについても、会計上、その性格が類似していることから、本実務対応報告の考え方を斟酌し、会計処理を行うものとする。」とされています。

これに基づけば、JCMクレジットを無効化目的で購入する場合は、「無形固定資産」又は「投資その他の資産」として、転売を目的として購入する場合は、「棚卸資産」として計上し、無効化時にはこれを費用として処理(原則として「販売費及び一般管理費」で計上)することになります。

3 照会者の求める見解となることの理由

[法人税]

(1) 照会事項1について

JCMは、我が国の削減目標の達成のために構築された制度であることからも、JCMの下で、内国法人が無効化を目的としてJCMクレジットを取得し、当該JCMクレジットをJCM登録簿における当該内国法人の保有口座から無効化口座に移転する場合には、基本的には次の1から5までのことが認められますので、当該JCMクレジットの無効化口座への無償移転は、原則として、法人税法第37条第7項に規定する「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」に該当します。また、その相手先である無効化口座が国に帰属するものであることから、当該JCMクレジットの価額に相当する金額を法人税法第37条第3項第1号に規定する国等に対する寄附金として、その支出があったと認められる日、具体的には当該JCMクレジットが無効化口座に記録された日(当該JCMクレジットの無効化口座への移転が完了した日)を含む事業年度において損金算入することが相当であると考えられます。

1 JCMクレジットは資産性を有するものであること

2 JCMクレジットは我が国の温室効果ガスの削減目標達成に活用するため政府にとって実質的価値を有するものであること

3 内国法人から政府へのJCMクレジットの無償移転(具体的にはJCM登録簿における当該内国法人の保有口座から無効化口座への移転)が条約や法律等に基づき課せられた義務ではなくあくまで当該内国法人の任意に行われる我が国の取組への貢献であること

4 内国法人の事業と直接の関係がなく、かつ、経済的に裨益するものではないこと

5 無償譲渡であり対価性がなく内国法人から我が国への資産の贈与と認められること

ところで、この場合のJCMクレジットの価額は、売買実例等を参考として適正に時価を算定する必要がありますが、JCMクレジットの無効化口座に対する無償移転を行う内国法人においては、現状において我が国にJCMクレジットの取引市場が形成されておらず、第三者間で行われる売買実例等の指標を把握することが容易ではないことも考えられます。このような場合であっても、JCMクレジットの無効化口座に対する無償移転が国等に対する寄附金として損金算入されることを考えると、内国法人がこの無償移転を行うに当たって、売買実例の把握が容易でないこと等により時価の算定が困難である場合には、JCMクレジットの帳簿価額をJCMクレジットの価額とみて処理することとしても課税上の弊害は特段生じないものと考えられます。

なお、内国法人が、仮に転売を目的としてJCMクレジットを購入し、これを他の内国法人に売却(有償譲渡)した場合には、原則として、会計処理と同様に棚卸資産の譲渡として扱い、その売却により生じた損益の額を、その確定した日を含む事業年度の損金又は益金の額に算入することが相当であると考えられます。

(2) 照会事項2について

平成23年3月24日国税庁文書回答「カーボン・オフセットを目的とした京都メカニズムを活用したクレジットの取引に係る税務上の取扱いについて」(以下「カーボン・オフセット文書回答」といいます。)及びオフセット・クレジット文書回答と同様に、JCMクレジットの活用においては、業務委託先事業者が業務委託契約に基づく内国法人からの指示に従い、契約の対象となったJCMクレジットを無効化口座に移転することが可能であり、当該業務委託契約成立以降、当該JCMクレジットに対する処分権限は当該内国法人が有することとなるため、当該内国法人が当該JCMクレジットの所有者といえます。

したがって、その業務委託契約に従って当該業務委託先事業者の保有口座から無効化口座へ移転された日に、内国法人が当該JCMクレジットを国に対して寄附したこととなり、その移転された日を含む事業年度において、原則として、当該JCMクレジットの価額に相当する金額を国等に対する寄附金の額として損金に算入することになると考えられます。

[消費税]

(3) 照会事項3について

消費税法第2条第1項第8号及び第12号に規定する「資産」とは、取引の対象となる一切の資産をいい、棚卸資産又は固定資産のような有形資産のほか、権利その他の無形資産が含まれることとされており(消基通5-1-3)、上記2(3)のとおり、クレジットは資産性を有するものとして取引されるものですので、これに該当すると解されます。

また、クレジットの譲渡が国内で行われたかどうかの判定は、その譲渡を行う者の当該譲渡に係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下「事務所等」といいます。)の所在地で判定することとなります(消令61十)ので、内国法人が他の内国法人にクレジットを譲渡した場合、当該取引は、消費税法第4条第1項に規定する「国内において事業者が行った資産の譲渡等」に該当して消費税の課税の対象になり、一方、内国法人が他の内国法人からクレジットを有償で取得した場合には、国内における課税仕入れとして、仕入税額控除の対象になると解されます(消法301)。

なお、当該JCMクレジットが国に無償で譲渡するために取得するものである場合には、当該取引は資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れに該当するものですから、消費税法第30条第2項第1号に規定する個別対応方式により仕入控除税額の計算を行う場合には、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分されると考えられます。

(4) 照会事項4について

消費税法における「課税仕入れ」とは、事業者が事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることとされており、免税及び非課税となるもの、給与を対価とする役務の提供は除くこととされています(消法21十二)。

上記3(2)のとおり、JCMクレジットの活用においては、業務委託契約の成立により内国法人は業務委託先事業者からJCMクレジットを実質的に取得するものであり、これが有償で行われた場合には、事業として他の者から資産を譲り受けるものですから、課税仕入れに該当します。そして、課税仕入れを行った日はJCMクレジットを取得した日、すなわち業務委託契約の成立した日となりますから、この日の属する課税期間における仕入税額控除の対象になると考えられます。

なお、当該JCMクレジットが国に無償で譲渡するために取得するものである場合には、当該取引は資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れに該当するものですから、消費税法第30条第2項第1号に規定する個別対応方式により仕入控除税額の計算を行う場合には、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分されると考えられます。