○ 国管理空港の実施方針例(抜粋)

第●.●.● 更新投資等の取扱い

A) 運営権設定対象施設に係る更新投資等の取扱い

  • 運営権者は、運営権設定対象施設について、要求水準を充足する限り、原則として自らの判断で維持管理(更新投資)を行うことができる。ただし、運営権者が航空法第43条に規定する重要な変更等実施契約に定める一定の維持管理(更新投資)を行おうとするときは、国の事前の承認を得なければならない。また、運営権者は、運営権設定対象施設について、建設(新規投資)及び改修を行うことはできない。
  • 国は、公益上の理由を吟味した上で必要であると判断したときは、運営権設定対象施設について、維持管理(更新投資)を行うことがある。
  • 国又は運営権者が維持管理(更新投資)を行った運営権設定対象施設は、国の所有に属し、運営権者が運営等を行うものとする。

別紙●.PFI法における用語との整理

国管理空港の実施方針例のイメージ

PFI法並びに公共施設等運営権及び公共施設等運営事業等に関するガイドライン(以下「運営権GL」という。)に基づく用語の定義

  • 運営等:運営及び維持管理をいう。(PFI法第2条第6項)
  • 維持管理:新設又は施設等を全面除却し再整備するものを除く資本的支出又は修繕(いわゆる増築大規模修繕含む)をいう。(運営権GL)
  • 建設:新たな施設を作り出すこと(新設工事)をいう。(運営権GL)
  • 改修:施設等を全面除却し再整備することをいう 。(運営権GL)
  • 投資:更新投資は「維持管理」を、新規投資は「建設」をいう。(運営権GL)

○ 国管理空港の実施契約例(抜粋)

(更新投資(運営権施設))

  1. 第●条 運営権者は、更新投資(運営権施設)を行った場合、別紙●の定めるところに従い、投資完了から1ヶ月以内(当該更新投資が3月中に完了した場合には同年4月第1週まで)に、当該投資に関する情報を国に対して通知する。
  • 2 前項の投資の結果、更新投資(運営権施設)の対象部分は、投資対象の施設完成後、当然に国の所有対象となり、運営権設定対象施設に含まれるものとして運営権の効果が及ぶものとする。
  • 3 国は、必要と認める場合は、運営権者に対して、第1項の通知に加え国有財産台帳等に記載するために必要な情報を追加的に開示するよう求めることができ、運営権者はこれに従わなければならない。
  • 4 運営権者は、国と別途合意した場合を除き、運営権者子会社等をして、更新投資(運営権施設)を行わせてはならない。

(新規投資(運営権施設)及び改修(運営権施設))

第●条 運営権者及び運営権者子会社等は、新規投資(運営権施設)及び改修(運営権施設)を行ってはならない。

別紙● 定義集

  1. ● 「改修(運営権施設)」とは、運営権設定対象施設の改修(PFI法上の「改修」と同義であり、本事業においては、本空港のすべての滑走路の全面除却及び再整備又はそれに伴う着陸帯、誘導路、エプロン、飛行場灯火、制御装置若しくは電源設備の全面除却及び再整備をいう。)をいう。
  2. ● 「更新投資(運営権施設)」とは、運営権設定対象施設の維持管理(PFI法上の「維持管理」と同義であり、本事業においては、本空港の滑走路、誘導路、エプロン等の局部的破損等の原状回復、航空灯火の部分的補修等、及び滑走路の延長、誘導路の延長、エプロンの増設等を含む。)に係る投資(施設の一部廃止を含む。)をいう。
  3. ● 「新規投資(運営権施設)」とは、運営権設定対象施設の建設(PFI法上の「建設」と同義であり、本事業においては、本空港の滑走路の新設並びにそれに伴う着陸帯、誘導路、エプロン、飛行場灯火、制御装置及び電源設備の新設をいう。)をいう。

○ 法人税法(抜粋)

第2条第24号

繰延資産 法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。

第37条第1項

内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

○ 法人税法施行令(抜粋)

第13条第8号ル

法第二条第二十三号(減価償却資産の意義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。

  • 八 次に掲げる無形固定資産
  • ル 公共施設等運営権

第14条第1項第6号イ

法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。

六 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの

  • イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用

第64条第1項第2号

法第三十二条第一項(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる繰延資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

二 第十四条第一項第六号に掲げる繰延資産 その繰延資産の額(当該繰延資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この号及び第三項において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この号及び第三項において「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けたものである場合にあつては、当該被合併法人等における繰延資産の額)をその繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間の月数で除して計算した金額に当該事業年度の月数(当該事業年度がその繰延資産となる費用の支出をする日の属する事業年度である場合にあつては同日から当該事業年度終了の日までの期間の月数とし、適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた日の属する事業年度である場合にあつては当該適格組織再編成の日から当該事業年度終了の日までの期間の月数とする。)を乗じて計算した金額

○ 法人税基本通達(抜粋)

8-2-1

令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》に規定する「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」は、この節に別段の定めのあるもののほか、固定資産を利用するために支出した繰延資産については当該固定資産の耐用年数、一定の契約をするに当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積った期間による。

8-2-3

令第14条第1項第6号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産のうち、次の表に掲げるものの償却期間は、次による。

該当条項種類細目償却期間
令第十四条第一項第六号イ《公共的施設等の負担金》に掲げる費用公共的施設の設置又は改良のために支出する費用(8-1-3)(1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数
(2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数

○ 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(抜粋)

第2条第6項

この法律において「公共施設等運営事業」とは、特定事業であって、第十六条の規定による設定を受けて、公共施設等の管理者等が所有権(公共施設等を構成する建築物その他の工作物の敷地の所有権を除く。第二十九条第四項において同じ。)を有する公共施設等(利用料金(公共施設等の利用に係る料金をいう。以下同じ。)を徴収するものに限る。)について、運営等(運営及び維持管理並びにこれらに関する企画をいい、国民に対するサービスの提供を含む。以下同じ。)を行い、利用料金を自らの収入として収受するものをいう。

第2条第7項

この法律において「公共施設等運営権」とは、公共施設等運営事業を実施する権利をいう。

第17条

公共施設等の管理者等は、公共施設等運営権が設定されることとなる民間事業者を選定しようとする場合には、実施方針に、第五条第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。

三 公共施設等運営権の存続期間

第24条

公共施設等運営権は、物権とみなし、この法律に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定を準用する。

○ 公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン(抜粋)

7 運営権対価

(1)運営権対価の性質、算出用法等
2.留意事項
2-1.運営権対価とは

(2)運営権は、他のみなし物権と同様、管理者等により設定されるものである。

2-2.運営権対価の算出方法

(1)運営権対価の算出方法は、運営権者が将来得られるであろうと見込む事業収入から事業の実施に要する支出を控除したものを現在価値に割り戻したもの(利益)を基本とし、各事業のリスクや優位性等を勘案し、運営権対価の割引、上乗せ等による調整や運営事業に付随して管理者等から売払いを受ける施設や物品等の購入金額を控除した金額等の合理的な手法が考えられる。

11 更新投資・新規投資

(1)運営事業における更新投資・新規投資
2.留意事項
2-1.運営権に含まれる業務の範囲(「建設」、「改修」、「維持管理」のPFI法上の定義等)について

(1)運営事業は管理者等が所有権を有する公共施設等について「運営等」(「運営」及び「維持管理」等)を行うものであり、「建設」及び「改修」は含まれていない。
 これは、運営事業を実施する権利である運営権が、公共施設等の所有権から公共施設等を運営し、収益する権利を切り出したみなし物権であり、運営権を設定する時点で存在する「物」について設定するものであるためと考えられる。
 運営事業に含まれない「建設」及び「改修」とは、新たな施設を作り出すこと、いわゆる新設工事及び施設等を全面除却し再整備するものを指すと考えられる。
 一方、「維持管理」はいわゆる新設又は施設等を全面除却し再整備するものを除く資本的支出又は修繕(いわゆる増築や大規模修繕も含む。)を指すと考えられる。運営事業に「改修」が含まれていないのは、所有権がそもそも消滅する施設等の全面除却を伴う再整備を除外する趣旨である。