(別紙)

平成21・01・23経局第1号
平成21年1月27日

国税庁課税部長
     荒井 英夫 殿

経済産業省 大臣官房審議官
(産業資金担当)
森川 正之

1 照会の趣旨

 組織再編成においては、複数の法人を被合併法人とする吸収合併が同日に行われることがあります。
 このような吸収合併(以下「三社合併」といいます。)については、会社法上複数の合併が行われたものとされているため税制上の適格判定(その合併が法人税法第2条第12号の8に規定する適格合併に該当するかどうかの判定をいいます。以下同じです。)についても、次のとおりになるものと考えられますが、念のためご照会申し上げます。

  • (1) 三社合併が行われた場合には、個々の合併ごとに適格判定を行うこととなる。
     したがって、合併法人をA社とし、被合併法人をB社及びC社とする三社合併が行われた場合には、A社とB社との間の合併(以下「第1合併」といいます。)及びA社とC社との間の合併(以下「第2合併」といいます。)という2つの合併が行われているので、三社合併が行われる前のA社とB社、三社合併が行われる前のA社とC社のそれぞれの合併ごとに適格判定を行うこととなる。
  • (2) 三社合併が行われた場合において、当該三社合併に係る個々の合併に順序が付されているときには、その順序に従って個々の合併に対する適格判定を行う。
     したがって、第1合併が行われた後に第2合併が行われるよう三社合併に係る個々の合併に順序が付されているときには、第1合併は三社合併が行われる前のA社とB社との合併とし、第2合併は第1合併が行われた後のA社とC社との合併として、それぞれに適格判定を行うこととなる。

(注) 個々の合併に順序が付されている場合としては、第1合併の効力発生を第2合併の実施に係る停止条件とすることにより、第1合併の効力発生がないと第2合併の効力が発生しないような契約内容とすることなどが考えられます。

2 照会者としての見解

  • (1) 1(1)の照会について
    • イ 会社法において、吸収合併とは「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるもの」をいうこととされています(会社法2二十七)。このような規定振りであることから、吸収合併の当事者は合併後存続する会社(以下「存続会社」といいます。)と合併により消滅する会社(以下「消滅会社」といいます。)の2者に限られ、三社合併は複数の合併が同日に行われたものと解されているところです。

      (注)

      • 1 上記のとおり、三社合併は複数の合併が同日に行われたものと解されていますが、その契約書を1つにまとめることができるものとされています。
      • 2 上記の吸収合併とは異なり、新設合併とは「二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるもの」をいうこととされており(会社法2二十八)、「二以上の会社がする合併」と規定されていることからも明らかなとおり、新設合併の当事者は2者に限られません。
    • ロ 税制上も、上記イからすれば、三社合併が行われた場合の適格判定については、その三社合併に係る個々の合併ごとに行うこととなると考えられます。
  • (2) 1(2)の照会について
     三社合併に係る個々の合併に順序が付された場合、私法上は、原則としてその順序に応じ個々の合併の効力が生ずることとなりますので、税制上もその順序どおり合併が行われたものとして適格判定を行うことになると考えられます。

3 参考事項

 今回は、三社合併に対する適格判定における原則的な考え方として、三社合併は複数の合併が行われたものであることなどをご照会申し上げたところです。
 また、今後、組織再編税制に関し、この他の点について、企業、業界団体等より寄せられる意見等があり、必要に応じてさらにご照会申し上げることも検討致したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。