国都制第57号
平成18年7月5日

国税庁課税部審理室長
伊藤 誠 殿

国土交通省都市・地域整備局
市街地整備課長
竹内 直文

 土地区画整理組合(以下「組合」といいます。)が施行する土地区画整理事業においては、組合は、土地区画整理法第40条の規定により、その事業経費に充てるため賦課金として組合員に対して金銭を賦課徴収することができることとされています。また、この賦課金を賦課徴収する場合には、土地区画整理理法第31条の規定により、総組合員で組織する総会の議決を経なければならないこととされています。
 組合が施行する土地区画整理事業の事業経費は、一般に、組合が取得する保留地の処分代金等により賄われますが、事業経費に不足が生じた際には、賦課金徴収によりその不足額を補う事例が近年増加しています。
 そこで、組合員が事業経費に不足が生じた際に賦課金を支出した場合において、当該賦課金を税務上どのように処理すべきかについては、下記のとおり取り扱われるものと解して差し支えないか、ご照会します。

1 賦課金の税務上の処理

 各組合員が支払った賦課金の金額のうち、当該組合員が取得する換地の工事費に係る部分は当該換地の取得価額として、道路等公共施設の工事費に係る部分は繰延資産として、その他の事務費や借入金利子に係る部分は支払ったときの必要経費又は損金として処理することになる。
 なお、個人である組合員が当該換地を譲渡した場合、繰延資産として処理した金額のうちの未償却残額は、譲渡所得の計算上、譲渡費用に算入することができる。

2 賦課金の各事業経費への配分について

(1) 総事業経費の不足額に充てるために徴収されるものである場合
 組合員から徴収する賦課金が、総事業経費の不足額に充てるために徴収されるものであるときには、組合の総事業経費における換地の工事費、道路等公共施設の工事費及びその他の事務費等の各事業経費がそれらの合計額に占める割合により、各組合員が支払った賦課金を按分して、それぞれ、換地の取得価額、繰延資産及び必要経費又は損金として処理することになる。

(2) 換地の工事費の不足額に充てるために徴収されるものである場合
 賦課金の徴収に当たり、各組合員が取得する換地に係る工事費の不足分として徴収するものであることが組合員に説明され、そのことが当該徴収に係る総会又は総代会の議決により明らかにされている場合で、かつ、換地に係る工事費の総額が賦課金の総額を上回っているなどその議決内容が実態に相応していると認められるときには、その賦課金は、換地の取得価額として取り扱われる。
 なお、この場合、上記の事実の説明書類として、各組合員は、総会又は総代会の議決に係る議事録及び賦課金内訳書(別添参照)(PDFファイル/49KB)の写し等を賦課金の領収書と併せて組合より入手し、保管しておく必要がある。

(理由)

 組合の事業経費が不足する場合に徴収される賦課金は、一般には事業全体の経費に充てられるもので、税務上も、事業経費の内容に応じて、換地の取得価額、繰延資産及び必要経費又は損金に算入すべき金額に合理的に配分することになると考えられる。
 しかしながら、賦課金を特定の事業経費に充てるために徴収することは、土地区画整理法の解釈上も可能と解され、また、一般に、道路等公共施設の整備には国や地方公共団体からの公共施設整備のための補助金が優先的に充当されることなどからすれば、各組合員が取得する換地の工事費の不足分に充てるために各組合員から賦課金を徴収するということも、実態に相応した徴収方法であるということができる。
 そこで、賦課金の徴収に当たって、各組合員が取得する換地に係る整地費等の工事費の不足分として賦課金を徴収する旨が明らかにされており、かつ、それが実態に相応していると認められるときには、その全額を当該組合員が取得する換地の取得費として取り扱うのが相当と考えられる。

以上

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