直審(源)3
昭和41年1月19日

国税局長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、○○協会会長外2名から別紙1のような陳情があり、これに対して別紙2のとおり回答したから通知する。


別紙1

昭和40年5月25日

国税庁長官 殿

○○協会
会長 ○○○○

 ○○協会、○○振興協会、○○協会所属の事業主の雇用する港湾労働者には、常用と日雇(別紙理由書参照)があり、常用労働者の賃金の支給期が毎旬、毎半月又は毎月と定められ、甲欄の税額表を適用し、日雇労働者の賃金は毎日支払われ甲表丙欄を適用し税額を徴収し、納付しております。
 従いまして税法改正の6月1日以降も日雇労働者に支払う給与の源泉徴収は日雇労働者がたまたま2月以上継続して同一の雇用主に雇用せられるに至ったものであっても従来通り日額表甲表丙欄の対象者として取扱われるよう御指示御了解を承りたい。

理由書

 昭和40年度の税制改正により、日額表の甲表の丙欄によって源泉徴収をする給与の範囲は「労働した日又は時間によって算定され、かつ労働した日ごとに支払を受ける給与で、日々雇い入れられる者が支払を受けるもの(1の給与等の支払者から継続して2月をこえて支払を受ける場合におけるその2月をこえて支払を受けるものを除く)とする」と改められましたが、下記理由により日雇労働者がたまたま2月以上継続して同一の雇用主に雇用せられるに至ったものであっても、従来通り日額表甲表丙欄の対象者として取扱われるよう御指示御了解を承りたい。

1 港湾労働法の常用、日雇労働者の区分
 御承知の通り昭和40年5月12日港湾労働法が衆参両院を通過し、近く公布の運びとなりますが、同法の中におきまして港湾労働者の雇用の恒常化が規制され、同法第1章第2条第1項第4号〜第6号で港湾労働者を次のように規定しております。

港湾労働者  港湾運送の業務に従事する労働者をいう。ただし、船員職業安定法第6条第1項に規定する船員を除く。

日雇港湾労働者  日日又は二月以内の期間を定めて雇用される港湾労働者をいう。ただし同一の事業主に2月をこえて引き続き雇用されるに至った者を除く。

常用港湾労働者  日雇港湾労働者以外の港湾労働者をいう。

2 港湾運送事業法の免許基準による常用労働者
 港湾運送事業法施行規則第4条第1項第2号(事業の免許の申請)において「事業に使用される労働者(日日雇い入れられる者、二箇月以内の期間を定めて使用される者及び試に使用される者を除く)の次に掲げる種類ごとの数」を最低保有すべき常用労働者の数と規定している。

 
普通船内荷役事業
普通沿岸荷役事業
現場監督
基斡労働者
一般労働者
現場監督
一般労働者
東京港
4名以上
16名以上
40名以上
2名以上
20名以上
横浜港
6名以上
24名以上
60名以上
3名以上
30名以上

3 日雇労働者の雇用理由
 港湾運送事業は他産業に比し、荷役作業への需要の波動性や他律性のゆくえに、需要の予測が困難で経営の計画性が乏しく、事業経営の基礎も比較的脆弱であり、また労働力を主体とする作業であることから、繁忙時の荷役需要に対しては、必然的に日雇労働者をもって対処してゆかざるを得ないものであります。

4 日雇労働者の就労の実状
 労働基準監督署長が公証する港湾労働者手帳の交付を受けたものは、常用労働者として雇用し、常用労働者以外の者は日日公共職業安定所の紹介により雇用して居りますが、日雇労働者数の紹介が必要数に満たない場合は直接募集し、爾後に於て公共職業安定所に届け出て居ります。従いまして、日雇労働者の就労については、同一人が同一雇用主に2月を超えて雇用されることは極めてまれなことと考えられますが、雇用主が誰が2月を超えて雇用されたか調査することは極めて困難であります。

5 常用労働者の増加
 港湾運送事業者は日雇労働者に依存する度合が、現在総就労延労働者数の2分の1の高い比率でありますが、昭和39年3月3日港湾労働等対策審議会が内閣総理大臣への答申の中で「港湾運送事業者が当面必要数の4分の1以内を日雇労働者に依存することはやむを得ない。」と述べており将来は必然的に日雇労働者は必要数の4分の1以内となり常用労働者が増加する傾向にあります。

以上により税額表甲表丙欄を適用していただく日雇労働者は、港湾労働法並びに港湾運送事業法の免許基準等の制約を受ける事でもあり、我々業者自体としても今回の税法改正の趣旨を逸脱する様な事のないよう充分注意して取扱う所存であります。


別紙2

直審(源)2
昭和41年1月19日

○○協会会長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、港湾労働法が施行されるまでの間、とりあえずお見込みのとおり取り扱ってさしつかえありません。