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平成25年6月
国税庁

平成24年度 査察の概要

 適正公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的として、各国税局に配置されている国税査察官は、厳正な査察調査に基づき、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を行っています。
 今般、平成24年度の査察調査の結果がまとまりましたので、その概要を報告します。

1 着手・処理・告発件数、告発率の状況

  •  平成24年度において査察に着手した件数は、190件でした。
  •  平成24年度以前に着手した査察事案について、平成24年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)した件数は191件、そのうち検察庁に告発した件数は129件であり、告発率は67.5%となりました。
年度 平成 21 22 23 24
項目 20
着手件数
211 213 196 195 190
処理件数(A) 208 210 216 189 191
  告発件数(B) 153 149 156 117 129
告発率(B/A)
73.6 71.0 72.2 61.9 67.5
着手・処理・告発件数、告発率の状況のグラフ

2 脱税額の状況

  •  平成24年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で205億円、そのうち告発分は175億円となりました。
  •  告発した事案1件当たりの脱税額は平均で1億3,500万円でした。
  •  告発した事案のうち、脱税額が3億円以上のものは11件、うち5億円以上のものは3件でした。
年度 平成 21 22 23 24
項目 20
脱税額 総額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
35,070 29,026 24,819 19,221 20,479
同上1件当たり 169 138 115 102 107
告発分 24,942 25,475 21,315 15,686 17,466
同上1件当たり 163 171 137 134 135

(注) 脱税額には加算税額を含む。

脱税額
脱税額のグラフ

1件当たりの脱税額
1件当たりの脱税額のグラフ

(参考)大口事案の推移

年度 平成 21 22 23 24
項目 20
告発件数
153 149 156 117 129
  うち脱税額が3億円以上 14 17 15 10 11
うち脱税額が5億円以上 7 6 6 3 3

(注) 脱税額には加算税額を含む。

3 税目別告発事案の推移

  •  平成24年度においても、従来どおり、所得税、法人税事案に取り組むとともに、相続税、消費税、源泉所得税事案についても積極的に取り組みました。

(1) 税目別の告発件数

年度 平成20 21 22 23 24
区分 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税
40 26 36 24 36 23 35 30 22 17
法人税 97 63 84 57 90 57 64 55 79 61
相続税 4 3 6 4 9 6 6 5 10 8
消費税 内 7   内 10   内 8   内 6   内 5  
12 8 18 12 19 12 8 7 12 9
源泉所得税 - - 5 3 1 1 4 3 6 5
贈与税 - - - - 1 1 - - - -
合計 153 100 149 100 156 100 117 100 129 100

(注) 消費税の内書は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の告発件数である。

(2) 税目別の脱税額

年度 平成20 21 22 23 24
区分 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
3,983 16 5,375 21 3,637 17 4,111 26 2,889 17
法人税 18,628 75 15,205 60 10,113 47 7,923 51 10,074 58
相続税 1,054 4 1,915 7 5,483 26 2,581 16 2,249 13
消費税 内 458   内 1,270   内 723   内 513   内 740  
1,277 5 1,953 8 1,553 7 727 5 1,479 8
源泉所得税 - - 1,027 4 144 1 344 2 775 4
贈与税 - - - - 385 2 - - - -
合計 24,942 100 25,475 100 21,315 100 15,686 100 17,466 100

(注1) 脱税額には加算税額を含む。
(注2) 消費税の内書は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の脱税額である。

4 告発事件の概要

  •  平成24年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、「情報提供サービス」、「クラブ・バー」、「建設業」でした。
  •  脱税の手段・方法としては、これまでに引き続き、売上除外や架空の原価・経費の計上がありました。また、複数の納税者に脱税を持ち掛け成功報酬を得ていた、いわゆる脱税請負人関与事案がありました。
  •  脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、国外における投資、不動産購入、遊興費に充てられていたなどの例も見られました。
  •  脱税によって得た不正資金の隠匿事例としては、自宅のリビングのクッションの中に現金を隠していたものなどがありました。

(1) 告発の多かった業種

平成22 23 24
業種 者数 業種 者数 業種 者数
不動産業 13 建設業 9 情報提供サービス 11
建設業 11 商品・株式取引 7 クラブ・バー 11
運送業 11 人材派遣業 7 建設業 7
商品・株式取引 10 食料卸 6 不動産業 4
人材派遣業 5 情報提供サービス 6 医療業 4
不動産譲渡 4 運送業 5 - -
- - クラブ・バー 5 - -

(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は1者としてカウントしている。

(2) 脱税の手段・方法

 告発の多かった業種における脱税の手段・方法としては、情報提供サービスや建設業では架空原価・経費の計上、クラブ・バーでは売上除外が多く見られました。
 そのほか、

  • 相続税事案では、相続開始前に被相続人名義の預金から出金した現金を自宅に隠して相続財産から除外していたもの、金地金を自宅床下に隠して相続財産から除外していたもの、税理士と共謀の上架空の債務を計上して相続財産を圧縮していたもの
  • 消費税事案では、課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目を仮装していたもの、税理士と共謀の上複数の車両を購入したように仮装し課税仕入を架空計上したもの
  • 源泉所得税事案では、従業員等から所得税を徴収していたにも関わらず、一切納付することなく、事業資金や生活費に充てていたもの
  • 国際事案では、売上を英領ヴァージン諸島に設立した法人の取引に仮装し、同法人名義の海外の預金口座に振り込ませて除外していたもの、中国の取引先に対し水増しした経費を送金し水増し分をバックさせて国外預金で留保していたもの
  • 複数の納税者に脱税を持ち掛け成功報酬を得ていた、いわゆる脱税請負人関与事案では、架空の事業損失を計上して所得を少なくする方法を給与所得者等に指南して還付申告を行わせていたもの

がありました。

(3) 不正資金の留保状況及び隠匿場所

 脱税によって得た不正資金については、

  • 現金
  • マレーシア、シンガポールの預金口座
  • アメリカの投資証券、韓国の投資信託
  • ハワイの不動産

などで留保されていた事例や、

  • 高級外車を購入
  • 貴金属やブランド品を購入
  • 海外のカジノで遊興し費消

していた事例がありました。
 また、脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、

  • 自宅リビングのクッション内のビニール袋
  • 知人宅居室のダンボール内の木箱
  • 物置の蚊取り線香の缶

に現金を隠していた事例がありました。

5 査察調査の状況

  •  平成24年度に着手した査察事案では1事件当たり、着手日に延170名を動員し、50箇所を調査しました。
  •  平成24年度に告発した査察事案では1事件当たり、着手から告発まで8か月の調査期間を要しました。
  •  検察庁との連携強化を図り、悪質な脱税者に対し厳正に対応しました。
  •  国際取引を利用した事案に的確に対応するため、査察部の専門部署による調査支援及び租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換制度を積極的に活用しました。
  •  経済取引等のICT化に的確に対応するため、査察部の専門部署による調査支援及びデジタルフォレンジック(電磁的記録の証拠保全・解析技術)用機材を活用し、電子機器等の電磁的記録の証拠保全及び解析を行いました。

(1) 動員人数及び調査期間

 平成24年度に着手した査察事案では1事件当たり、着手日に延170名を動員し、50箇所を調査しました。
 平成24年度に告発した査察事案では1事件当たり、着手から告発まで8か月の調査期間を要しました。調査期間が1年を超えた事件は32件あり、このうち最も長いものは約3年でした。

(2) 検察庁との連携

 検察庁との間で、早期かつ綿密な連携を図り、悪質な脱税者に対して厳正に対応しました。また、検察官が強制捜査を行った上で、合同で捜査・調査を実施し真相の解明に至った事案もありました。

(3) 国際化への対応

 国際取引を利用した事案に的確に対応するため、査察部の専門部署による調査支援及び租税条約等の規定に基づく情報交換制度を積極的に活用しました。
 平成24年度に処理した事案では、7事件で外国税務当局に情報提供を要請し、このうち、査察官を外国税務当局に直接派遣して事案の概要を説明した上で要請を行った結果、海外の貸金庫に保管されていた相続財産が判明したものなどがありました。

(4) ICT化への対応

 経済取引等のICT化に的確に対応するため、査察部の専門部署による調査支援及びデジタルフォレンジック用機材を活用し、電子機器等の電磁的記録の証拠保全及び解析を行いました。
 平成24年度に処理した事案では、削除されていたメールデータを復元し脱税スキームを解明したものや、WEBシステムを使用した業務管理データを証拠化し不正計算プログラムを解析したものなどがありました。
 また、米国内国歳入庁(IRS)のデジタルフォレンジック担当部署への現地視察を行いました。

6 査察事件の一審判決の状況

  •  平成24年度中に一審判決が言い渡された件数は120件であり、うち119件について有罪判決が出され、実刑判決が3人に出されました。
     出された実刑判決のうち最も重いものは、懲役2年8月でした。
項目 1 2 有罪率(2/1) 実刑判決人数 3 4 5
年度 判決件数 有罪件数 1件当たり犯則税額 1人当たり懲役月数 1人(社)当たり罰金額
平成 百万円 百万円
22 152 152 100.0 6 80 13.8 20
23 150 150 100.0 9 120 15.3 23
24 120 119 99.2 3 76 13.0 16

(注) 実刑判決人数及び35は他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。