ここから本文です。

ホーム活動報告・発表・統計報道発表資料(プレスリリース)目次>平成23年度 査察の概要

平成24年7月
国税庁

平成23年度 査察の概要

 適正公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的として、各国税局に配置されている国税査察官は、厳正な査察調査に基づき、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を行っています。
 今般、平成23年度の査察調査の結果がまとまりましたので、その概要を報告します。

1 着手・処理・告発件数、告発率の状況

  • ○ 平成23年度において査察に着手した件数は、195件でした。
  • ○ 平成23年度以前に着手した査察事案について、平成23年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)した件数は189件、そのうち検察庁に告発した件数は117件であり、告発率は61.9%となりました。
年度
項目
平成
19
20 21 22 23
着手件数
220 211 213 196 195
処理件数(A) 218 208 210 216 189
告発件数(B) 158 153 149 156 117
告発率(B/A)
72.5 73.6 71.0 72.2 61.9
着手・処理・告発件数、告発率の状況のグラフ

2 脱税額の状況

  • ○ 平成23年度に処理した査察事案に係る脱税額は、総額で192億円、そのうち告発分は157億円となりました。
  • ○ 告発した事案1件当たりの脱税額は、平均で1億3,400万円でした。
  • ○ 告発した事案のうち、脱税額が3億円以上のものは10件、5億円以上のものは3件でした。
年度
項目
平成
19
20 21 22 23
脱税額 総額 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
35,340 35,070 29,026 24,819 19,221
同上1件当たり 162 169 138 115 102
告発分 30,888 24,942 25,475 21,315 15,686
同上1件当たり 195 163 171 137 134

(注) 脱税額には、加算税額を含む。

脱税額、1件当たりの脱税額のグラフ

(参考)大口事案の推移

年度
項目
平成
19
20 21 22 23
告発件数
158

153

149

156

117
  うち脱税額が3億円以上 20 14 17 15 10
うち脱税額が5億円以上 7 7 6 6 3

(注) 脱税額には、加算税額を含む。

3 税目別告発事案の推移

  • ○ 平成23年度においても、従来どおり、所得税、法人税事案に取り組むとともに、相続税、消費税、源泉所得税事案についても積極的に取り組みました。

(1) 税目別の告発件数

年度
区分
平成19 20 21 22 23
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税
57 36 40 26 36 24 36 23 35 30
法人税 62 39 97 63 84 57 90 57 64 55
相続税 4 3 4 3 6 4 9 6 6 5
消費税 内21   内7   内10   内8   内6  
30 19 12 8 18 12 19 12 8 7
源泉所得税 5 3 - - 5 3 1 1 4 3
贈与税 - - - - - - 1 1 - -
合計 158 100 153 100 149 100 156 100 117 100

(注) 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の告発件数である。

(2) 税目別の脱税額

年度
区分
平成19 20 21 22 23
脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
9,353 30 3,983 16 5,375 21 3,637 17 4,111 26
法人税 8,054 26 18,628 75 15,205 60 10,113 47 7,923 51
相続税 8,217 27 1,054 4 1,915 7 5,483 26 2,581 16
消費税 内3,224   内458   内1,270   内723   内513  
4,369 14 1,277 5 1,953 8 1,553 7 727 5
源泉所得税 895 3 - - 1,027 4 144 1 344 2
贈与税 - - - - - - 385 2 - -
合計 30,888 100 24,942 100 25,475 100 21,315 100 15,686 100
  1. (注1) 脱税額には、加算税額を含む。
  2. (注2) 消費税の内書は、消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)の脱税額である。

4 告発事件の概要

  • ○ 平成23年度に告発した査察事案で多かった業種・取引は、「建設業」、「商品・株式取引」、「人材派遣業」などでした。経済社会情勢を反映し、この数年間多かった不動産業が減少する一方、「食料卸」や「情報提供サービス」での告発が目立ちました。
  • ○ 脱税の手段・方法としては、これまでに引き続き、売上除外や架空の原価・経費の計上がありました。また、国際取引を利用した事例として、自己の国内取引を海外(英領ヴァージン諸島)法人の取引に仮装していたものがありました。
  • ○ 脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、不動産の購入に充てたり、自己の遊興費に費消するなどの例も多く見られました。
  • ○ 脱税によって得た不正資金の隠匿事例としては、土蔵床下で保管していたプラスチック製ケース内に現金・金地金を隠していたものなどがありました。

(1) 告発の多かった業種(5者以上)

平成21 22 23
業種 者数 業種 者数 業種 者数
不動産業 15 不動産業 13 建設業 9
鉱物・金属材料卸 11 建設業 11 商品・株式取引 7
建設業 9 運送業 11 人材派遣業 7
商品・株式取引 8 商品・株式取引 10 食料卸 6
クラブ・バー 7 人材派遣業 5 情報提供サービス 6
人材派遣業 7 - - 運送業 5
不動産譲渡 5 - - クラブ・バー 5

(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は、1者としてカウントしている。

(2) 脱税の手段・方法

 脱税の手段・方法としては、売上除外や架空の原価・経費の計上のほか、

  • ○ 消費税事案では、課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目仮装していたもの
  • ○ 源泉所得税事案では、従業員等から所得税を徴収していたにも関わらず、一切納付していなかったもの

などがありました。

 また、国際取引を利用した事案として、

  • ○ 国内で行っていたFX取引を英領ヴァージン諸島の法人の取引に仮装した上、得た資金をシンガポールに送金し、留保していたもの
  • ○ フランスの取引先に対する貸付金を支払手数料に仮装して計上していたもの
  • ○ ベトナムへ中古農機具を輸出していた業者が、消費税の申告において、架空の輸出免税売上とそれに見合う架空仕入を計上する方法により、不正に消費税の還付を受けていたもの

などがありました。

(3) 不正資金の留保状況及び隠匿場所

 脱税によって得た不正資金については、

  • ○ 銀行の貸金庫内の現金
  • ○ 香港で開設した預金口座
  • ○ 金地金
  • ○ 無記名割引債券

などで留保されていた事例や、

  • ○ 都心の高級マンションを購入
  • ○ 高級外車を購入
  • ○ 貴金属や皮革製品を購入
  • ○ 海外のカジノで遊興し費消

していた事例がありました。
 また、脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、

  • ○ 土蔵床下で保管していたプラスチック製ケース内(現金・金地金)
  • ○ 衣装ケースの衣服に包まれていた紙袋内(現金)

に隠していた事例がありました。

5 査察調査の状況

  • ○ 平成23年度に着手した査察事案では、1事件当たり、着手日に延154名を動員し、43箇所を調査しました。
  • ○ 平成23年度に告発した査察事案では、1事件当たり、着手から告発まで8か月の調査期間を要しました。
  • ○ 国際取引が関係した事案にも的確に対応するため、租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換に取り組みました。
  • ○ 経済取引等のICT化にも的確に対応するため、デジタルフォレンジック(電磁的記録の証拠保全・解析技術)用機材の整備・活用に取り組みました。

(1) 動員人数及び調査期間

 平成23年度に着手した査察事案では、1事件当たり、着手日に延154名を動員し、43箇所を調査しました。
 平成23年度に告発した査察事案では、1事件当たり、着手から告発まで8か月の調査期間を要しました。調査期間が1年を超えた事件は28件あり、このうち最も長いものは約2年でした。

(2) 国際化への対応

 国際取引が関係した事案にも的確に対応するため、平成23年度に処理した事案のうち、13の事件で租税条約等の規定に基づく情報交換を外国税務当局に要請しました。
 このうち、海外法人への支払手数料を計上していた事案において、当該海外法人の代表者に対する質問調査を当該外国税務当局に要請し、支払手数料が架空であることが判明したものがありました。
 また、外国税務当局からの要請により、犯則調査を実施し情報を提供したものもありました。

(3) ICT化への対応

 経済取引等のICT化にも的確に対応するため、平成23年度からデジタルフォレンジック(電磁的記録の証拠保全・解析技術)用機材を整備し、事件への活用に取り組みました。
 平成23年度に処理した事案では、取引の収支を管理していたパソコン内のデータを削除していた事案について、データの復元を実施し、売上金額を解明したものがありました。

6 査察事件の一審判決の状況

  • ○ 平成23年度中に一審判決が言い渡された件数は150件であり、全てについて有罪判決が出され、実刑判決が9人に出されました。
     出された実刑判決のうち最も重いものは、懲役2年6月でした。
項目
年度
1 2 有罪率(21) 実刑判決人数 3 4 5
判決件数 有罪件数 1件当たり犯則税額 1人当たり懲役月数 1人(社)当たり罰金額
平成 百万円 百万円
21 141 141 100.0 7 86 14.6 17
22 152 152 100.0 6 80 13.8 20
23 150 150 100.0 9 120 15.3 23

(注) 実刑判決人数及び35は、他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。