ここから本文です。

ホーム活動報告・発表・統計報道発表資料(プレスリリース)目次>平成21年度 査察の概要

平成21年度 査察の概要

平成22年6月
国税庁

 脱税はいわば社会公共の敵というべきものであり、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を目的として、各国税局に配置されている国税査察官は、厳正な査察調査を実施しています。
今般、平成21年度の査察調査の結果がまとまりましたので、その概要を報告します。

1 着手・処理・告発件数、告発率の状況

主要ポイント

  • ○ 平成21年度に査察に着手した件数は213件です。
  • ○ 平成21年度以前に着手した査察事案について、平成21年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)した件数は210件、そのうち検察庁に告発した件数は149件であり、その結果、告発率は71.0%となっています。
年度
項目
平成
17
18 19 20 21
着手件数
217

231

220

211

213
処理件数(A) 214 221 218 208 210
告発件数(B) 150 166 158 153 149
告発率(B/A)
70.1

75.1

72.5

73.6

71.0
着手・処理・告発件数、告発率の状況のグラフ

2 脱税額の状況

主要ポイント

  • ○ 平成21年度に処理した事案に係る脱税額は、総額で290億円、そのうち告発分は255億円です。
  • ○ 告発した事案1件当たりの脱税額は、平均で1億7,100万円となっています。
年度
項目
平成
17
18 19 20 21
脱税額 総額 百万円
27,416
百万円
30,398
百万円
35,340
百万円
35,070
百万円
29,026
同上1件当たり 128 138 162 169 138
告発分 22,960 27,755 30,888 24,942 25,475
同上1件当たり 153 167 195 163 171

(注)脱税額には、加算税額を含む。

脱税額、1件当たりの脱税額のグラフ

(参考1)大口事案の推移

年度
項目
平成
17
18 19 20 21
告発件数
150

166

158

153

149
  うち脱税額が3億円以上 16 17 20 14 17
うち脱税額が5億円以上 5 8 7 7 6

(注)脱税額には、加算税額を含む。

3 税目別告発事案の推移

主要ポイント

  • ○ 平成21年度においては、従来どおり、所得税、法人税事案に取り組むとともに、相続税、消費税、源泉所得税事案についても積極的に取り組みました。
     過去5年間で比較しますと、相続税事案は告発件数が最も多く、源泉所得税事案は脱税額が最も多い結果となりました。

(参考2)税目別の件数

年度
区分
平成17 18 19 20 21
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
所得税
47

31

59

35

57

36

40

26

36

24
法人税 86 57 78 47 62 39 97 63 84 57
相続税 4 3 5 3 4 3 4 3 6 4
消費税 10 7 23 14 30 19 12 8 18 12
源泉所得税 3 2 1 1 5 3 5 3
合計 150 100 166 100 158 100 153 100 149 100
税目別の件数(グラフ)

(参考3)税目別の脱税額

年度
区分
平成17 18 19 20 21
脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合 脱税額 割合
所得税 百万円
6,156

27
百万円
10,842

39
百万円
9,353

30
百万円
3,983

16
百万円
5,375

21
法人税 10,196 44 11,849 43 8,054 26 18,628 75 15,205 60
相続税 5,004 22 2,849 10 8,217 27 1,054 4 1,915 7
消費税 1,120 5 2,088 7 4,369 14 1,277 5 1,953 8
源泉所得税 484 2 127 1 895 3 1,027 4
合計 22,960 100 27,755 100 30,888 100 24,942 100 25,475 100

(注)脱税額には、加算税額を含む。

税目別の脱税額のグラフ

4 告発の多かった業種・取引と脱税の手段・方法

主要ポイント

  • ○ 平成21年度に告発の多かった業種・取引は、都市部における地価高騰の影響を受けた不動産業、建設業、不動産譲渡、また、昨年に引き続き、鉄くず関連業の好況による鉱物・金属材料卸も多く見受けられました。
  • ○ 脱税の手段・方法については、告発の多かった不動産業では、取引で得た利益を全く申告しないものが多く見受けられました。

(参考4)告発の多かった業種・取引(5者以上)

平成19 20 21
業種 者数 業種 者数 業種 者数
商品・株式取引 21 鉱物・金属材料卸 14 不動産業 15
鉱物・金属材料卸 15 不動産業 14 鉱物・金属材料卸 11
人材派遣業 14 人材派遣業 11 建設業 9
不動産業 10 商品・株式取引 11 商品・株式取引 8
機械器具製造 7 パチンコ 8 キャバレー・飲食店 7
運送 7 建設業 6 人材派遣業 7
建設業 5 電気機械器具製造 6 不動産譲渡 5
キャバレー・飲食店 5 コンサルタント 5

(注) 同一の納税者が複数の税目で告発されている場合は、1者としてカウントしている。

(参考5)脱税の手段・方法

  • 告発の多かった業種・取引における脱税の手段・方法としては、

    ○ 不動産業では、取引で得た利益を全く申告しないもの

    ○ 鉱物・金属材料卸、商品・株式取引及び不動産譲渡では、売上を除外するもの

    ○ 建設業では、架空の原価を計上するもの

    ○ キャバレー・飲食店では、従業員等から徴収した源泉所得税を不納付とするもの

    ○ 人材派遣業では、消費税の申告において、課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目仮装するもの

    が多く見受けられました。
  • また、海外に関連した脱税の手段・方法として、

    ○ タックスヘイブンに設立した関係会社に対して、架空の経費を計上したもの

    ○ 国内に住民登録をせず、海外居住者を装い、全く申告しないもの

    が見受けられました。

5 不正資金の留保状況及び隠匿場所

主要ポイント

  • ○ 脱税によって得た不正資金の多くは、現金、預貯金又は有価証券として留保されていました。とりわけ、近年、海外での預金等による留保が増加傾向にあります。
  • ○ 脱税によって得た不正資金の隠匿場所としては、現金を缶や段ボールに入れて倉庫内に隠匿していた事例や、金地金を自宅庭の地中に埋めていた事例などがありました。
  1. (1) 脱税によって得た不正資金の多くは、現金、預貯金又は有価証券として留保されていたほか、不動産、金地金、宝飾品の購入や遊興費に充てられているものも見受けられました。
     とりわけ、近年、海外での預金や有価証券、不動産による留保が増加傾向にあります。
  2. (2) 脱税によって得た不正資金等の隠匿場所は様々でしたが、
    • ○ 倉庫内に置かれたスチール缶、居宅内に置かれた段ボール箱・菓子箱(現金)
    • ○ 倉庫内の工作機械の隙間に置かれた段ボール箱(現金)
    • ○ 自宅庭の地中(金地金)
    • ○ 倉庫内に重ねて置かれたタイヤの中(真実の帳簿)
    • ○ タンスに収納された衣服内(預金通帳)
    に隠していたケースなどがありました。

6 査察事件の一審判決の状況

主要ポイント

  • ○ 平成21年度中に一審判決が言い渡された件数は141件であり、すべてについて有罪判決が出され、実刑判決が7人に出されました。
項目
年度
1
判決件数
2
有罪件数
有罪率
(21)
実刑判決人数 3
1件当たり犯則税額
4
1人当たり懲役月数
5
1人(社)当たり罰金額
平成
19

189

189

100

22
百万円
127

16.1
百万円
31
20 154 154 100 9 79 16.1 22
21 141 141 100 7 86 14.6 17

(注) 実刑判決人数及び35は、他の犯罪との併合事件を除いてカウントしている。