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第4回 国税審査分科会 議事録(1)

日時: 平成17年4月26日 15:01〜16:32

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

国税審査分科会委員   北村分科会長   阿刀田委員
井堀委員 こう津委員
島上委員 高木委員
崎委員 森臨時委員
国税庁 大武国税庁長官
村上国税庁次長
岡本審議官
竹田課税部長
徳井徴収部長
鳥羽調査査察部長
荒井総務課長
国税不服審判所 春日国税不服審判所長
山添国税不服審判所次長

総務課長
 総務課長の荒井でございます。定刻を少し過ぎておりますけれども、第4回の国税審査分科会を開催いたします。
 本日は委員の皆様方には、大変お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございます。
 今回は、本年1月6日の国税審議会委員の発令後、初めての国税審査分科会となります関係上、後ほど分科会長をお決めいただくまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
 本日は現在8名の委員の方々に御出席いただいており、過半数の御出席でございますので、本会は有効に成立しております。まず本日御出席いただいております委員の方々を御紹介させていただきます。
 阿刀田高委員。
 井堀利宏委員。
 北村敬子委員。
 こう津十月委員。
 島上清明委員。
 高木光委員。
 宮崎直見委員。
 森金次郎臨時委員。
 続きまして、国税庁側の出席者を紹介させていただきます。
 大武国税庁長官でございます。
 春日国税不服審判所長でございます。
 村上国税庁次長でございます。
 山添国税不服審判所次長でございます。
 岡本審議官でございます。
 竹田課税部長でございます。
 徳井徴収部長でございます。
 鳥羽調査査察部長でございます。
 よろしくお願いします。
 なお、青山審議官は本日欠席させていただいております。
 それでは委員の皆様方で、国税審査分科会の分科会長選任をお願いしたいと思います。国税審議会令によりまして、分科会長は委員の皆様の互選により、選任していただくことになっております。どなたか御推薦ございますでしょうか。島上委員どうぞ。

島上委員
 私は今まで分科会長代理をやっていただきました北村敬子委員に、分科会長をお願いしたらいかがかと思います。皆さんいかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

総務課長
 それでは、北村分科会長には分科会長席の方にお移りいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、分科会長から一言ごあいさつをいただきまして、その後に議事を取り進めていただきたいと思います。それではよろしくお願いします。

分科会長
 ただいま御推薦いただきました北村でございます。私、税務行政には疎いのでございますが、この国税審査分科会は非常に興味がございまして、非常に勉強になって、うれしい分科会だなというふうに思っております。皆様方の御指導によりまして、何とか務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、これから私が議事進行させていただきたいと思います。まず国税審議会令によりまして、分科会長が職務を代理するところの委員をあらかじめ指名することができるということになっておりまして、分科会長代理の指名を行いたいと思います。水野委員にお願いしたいと思っているのですが、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございます。
 それでは、最初の議題であります裁決事例の紹介につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

審判所次長
 審判所次長の山添でございます。よろしくお願いいたします。
 事例の御説明に入ります前に、委員の方が若干変わられましたので、審判所の概要を説明させていただければと思います。
 お手もとに「裁決事例の紹介(参考資料)」というものがあろうかと思いますので、この1ページ目をご覧いただければと思います。現行の不服申立て制度及び訴訟のあらましというところでございますが、一番上のところにありますように、納税者から申告をいただいた後、それが正しい申告かどうか、適正な申告かどうかということで税務署としましても例えば調査をいたしまして、もし適正でないという場合には、更正決定処分などをいたすわけでございますが、納税者からそれに対して不服がある場合には、原則としてここに書いていますように2カ月以内に税務署長に対して異議申立てをしていただくことになります。異議申立てが出ましたら、おおむね3カ月以内に更正決定処分などを取り消す、あるいは棄却する、あるいは却下するというような、何らかの形の異議決定がなされまして、その次でございますが、異議決定に不服がある場合には1カ月以内に今度は国税不服審判所に審査請求をしていただくということになります。
 国税不服審判所におきましては、調査・審理・合議を行いまして、議決を行いました結果、現在原則として1年以内に裁決を出すということを目標に掲げてやっております。それにもしまた不服があれば、6カ月以内に今度は訴訟を提起していただくということになりまして、今度は裁判所におきまして一審から審理が始まるという、大きな流れでございます。
 審判所の仕事に関しましては、「国税不服審判所の審査と手続」という1枚のパンフレットがあろうかと思うんですが大体審判所に来ていただく方は、初めての方が多ございますので、それらの方々にもこの資料を使って御説明いたしております。「国税不服審判所は」と、最初の二重丸にありますように、納税者の正当な権利・利益を救済することを目的とした国税庁の特別な機関でございます。国税の賦課徴収に当たる税務署や国税局などの執行機関からは分離されておりまして、裁決を行うという機関でございます。
 国税不服審判所では、各審判所で審査請求人と原処分を行っている税務署長などの双方の主張を公平に審理し、その処分を取り消すかどうかを判断するということが重要な使命でございます。審査手続としましては、そこに三つ書いてありますように、必要事項を記載した審査請求書をご提出いただくという非常に簡易な手続でございます。それから審判所には裁判と違いまして、特に手数料などは納める必要はございませんので、遠慮なくお越しいただけます。審査請求に当たりましては、迅速に結論を出すことを旨としておりますが、これは請求人の方の御理解、御協力がないとできませんので、御協力をお願いしている次第でございます。また、国税不服審判所長が裁決を行うわけでございますが、その裁決は税務署長などの行った処分以上に納税者の不利益になることはありませんので、安心してお越しいただけます。さらに、裁決は行政部内での最終の判断ということで、仮に全部取消しをいたしますと、税務署長などは裁決の内容を不服として訴えを提起することはできません。逆に棄却の場合ですと、先ほど申しましたように審査請求人の方、納税者の方からは裁判所に訴えを提起していただくことができるわけでございまして、訴訟の提起期間は裁決の通知を受けた日の翌日から6カ月以内ということになっております。
 「一般的な審理の流れ」をご覧いただきますと、まず審査請求人から審査請求書が出されて、それを国税不服審判所で収受し、形式審査というものをまず行います。先ほどの期間が過ぎていますと、それは不適法な請求ということになってしまいますので、却下せざるを得ないわけですから、不適法でないかの形式審査を行いまして、実質的な審査ができるということであれば、課税処分等を行いました税務署長等に対して答弁書の要求をします。税務署側からの書類等でございますが、審査請求人からの主張に対し、税務署からおおむね3週間程度で答弁書が出てまいりまして、それを今度は審査請求人の方にお送りします。
 それと同時期に、担当審判官というものを指定いたしまして、請求人の方に御通知申し上げます。あわせて審査請求人の方からこの答弁書に対する反論があるということであればお出しいただいて、それに対して税務署からまた意見があれば出していただくというような形で、書面でやり取りをすることになります。その後、審判所は、審査請求人あるいは税務署に質問検査権の行使をし、実際にお会いしていろいろお話を聞くというようなことを行います。つづいて、調査・審理・合議を行いまして、通常、3名の審判官等によります合議体というものを形成しておりますので、3名の審判官等が合議を行いまして、最終的に議決というものを行い、その議決に基づいて国税不服審判所長として裁決を行います。裁決としては全部取消し、あるいは一部取消し、変更、棄却、却下という、5種類の裁決がございますが、いずれかの裁決を行いまして、その裁決書謄本を請求人の方と原処分庁、これは普通は税務署長でございますが、にお送りして、一連の手続は終わるというのが大きな流れでございます。
 以上のようなことでございますが、これは後ほどまた御説明する時間があろうかと思いますけれども、3,000件ぐらいの年間処理をいたしております。最近の特徴といたしましては、個人所得税に係る推計課税事案というものが従来かなり大きな割合を占めていたわけですけれども、そういうものが最近かなり減ってまいりまして、逆に従来はあまり見られませんでした大企業、大法人に係る事案、あるいは資産税の財産評価に係る事案、あるいは後ほど説明申し上げますけれども、国際取引に関する事案、全体に占めるウエートは少ないんですが、複雑困難な事案が増加してきておりまして、より効率的な事件処理が要請されているのではないかと考えております。
 それでは、お手もとの資料に基づきまして裁決事例を二つ御紹介申し上げたいと思います。「資料1裁決事例の紹介」と「裁決事例の紹介(参考資料)」と並べて見ていただければと存じます。
 事例1、国際取引事案の概要のところに書いてありますように、本件はいわゆる船舶リース事案と呼ばれているかなり複雑な取引関係の事案でございます。分科会で御紹介させていただきます理由といたしましては、かなり複雑困難な国際取引事案であって、裁決まで随分苦心をした事案でございまして、調査審理の過程におきましては重要な関係先、取引先への調査、それから契約書等が英文の契約書になっているものが多かったので、その読解をどうするかとか、さまざまな難しい場面がありましたという事案であるということと、それから余り先例がない事案でございまして、本部、支部一体となりまして取り組んだ事案であるということです。実は東京の国税不服審判所長、あるいは大阪の国税不服審判所長はそれぞれ法曹界の出身の方で、東京の所長は検事出身でございますし、大阪の所長は裁判官出身ですが、東京支部、大阪支部と本部が一体となって、総力を挙げて検討を行ったという事案でございますので、御紹介をさせていただきます。
 概要のところに書いてありますように、この事案は請求人が組合員となっている民法上の任意組合からの船舶の賃貸事業に係る損益であるとする金額が、所得税法第26条第1項に規定する不動産所得の金額に当たるか否かということを争点とする事案でございまして、補足いたしますと、任意組合と申しますのは、個人の何名かの方が出資をして共同事業を営むという契約を締結することによって成立する、民法で規定されているものでございますが、特徴としては法人格は有しておりません。その結果出資された財産というのは組合員共有の財産となりますし、それから共同事業から得られた収益につきましては、組合段階では課税されず、組合員に分配された段階で組合員に課税されるという特徴がございます。
 この任意組合を通じてのいろいろな行為についてどう判定を考えるかというところがポイントになるわけでございますが、先ほどの事例1参考資料、事案の概要をちょっとご覧いただきたいと思いますが、事案の概要としまして、まずリース会社であるGリース会社が企画し、販売した投資商品であるということで、この取引はこのG社が設計したものでございます。商品としては5,000万円を1口とする小口化された船舶の共有持分をオーナーが購入して、共同で船舶の賃貸事業(用船)を行うものとされております。
 G社の説明によりますと、この商品については従来の不動産投資にない高い運用利回りと、キャピタルロスの懸念の少ない安全な投資商品であるというふうに販売しておりました。また、商品の案内には、メリットの1番目に、「毎年の所得を大きく圧縮できます」と書いてあります。その次でございますが、審査請求人は、G社からの借入金、この請求人の場合ですと全体1口5,000万円でございまして、その7割の3,500万円を左のGリース会社から調達いたしまして、あと自己資金3割、1,500万円により日本のK社(G社の子会社)というところから船舶の共有持分権を購入いたします。
 そもそも船舶につきましては、さかのぼって見ていただきますと、もともとは日本の造船会社であるJ社が建造したコンテナ船を日本の船会社、M船会社の子会社Uがパナマにございまして、U社が船舶を購入し、それを更に先ほどのGリース会社の子会社である、イギリス領のケイマン諸島にありますN社が購入し、それを日本の同じくG社の子会社であるK社が購入し、この段階で船舶としては約80億円の船舶でございますので、160口ぐらいに分割いたしまして、その一つを審査請求人の方は買われたということでございます。
 その後、審査請求人としては購入した船舶の共有持分権をL組合に現物出資いたしました。このL組合は更にその下のケイマンに設置されましたPパートナーシップというものを通じまして、日本の船会社のM社の子会社であるパナマのR社を経由して約10年間の船舶を賃貸する事業を行います。そして賃貸期間が終了後、真ん中のケイマンのPパートナーシップは船舶を中古マーケットで売却して、売却収入はL組合を経由して出資者であるところの、本件でありますと請求人に配分され、組合及びパートナーシップは解散するというスキームになっております。
 審査請求人につきましては、ここがポイントになるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり任意組合の事業に係る損益は、組合員の所得の計算上、組合員の収入金額あるいは必要経費に算入することとされております。そうすると、船舶の貸付けによる所得につきましては、所得税法上、不動産所得に該当するということになっております関係で、請求人はこのL組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は不動産所得に該当するといたしまして、船舶の用船料収入を超える船舶の減価償却費、これは船でございますので、年々その価値が減少していくと考えられ、その分を毎年費用化するわけですが、船舶のこの減価償却費とそれから先ほどGリース会社から3,500万円の借入れを行って買ったと申し上げましたが、それに係る支払利息、これによって生じました不動産所得の損失を、給与所得と損益通算することにより税負担を軽減したというのが大きな概要でございます。
 具体的に申しますと、この方の場合に賃貸料の収入を計算いたしますと、毎年約400万円ぐらいの収入になるわけですけれども、当初の年度ですと先ほど申しました減価償却費と支払利息合わせまして、約800万円ぐらいになりますので、その差額が約400万円の損失ということになり、これを給与所得から差し引いて確定申告ができるということになります。給与所得の場合には通常源泉徴収をされておりますので、結局源泉徴収された税金の一部が返ってくるということになり、そのような形で税負担の軽減を行ったというのが実態でございます。
 先ほどの本文のほうに戻っていただきますと、請求人の方の主張はここに書いてありますように、船舶の賃貸事業は請求人が投資商品の販売者から船舶の共有持分権を購入し、これを民法上の任意組合及びケイマン諸島のリミテッド・パートナーシップPを通じて行っているのであるから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たると主張しておられます。
 これに対して原処分庁の主張は、船舶の賃貸事業については1請求人が当該事業に係る業務執行権を有さず、経営に参画していない、それから2請求人が船舶を実質的に保有していない、使用収益処分の権限はかなり制限されているということで、保有していないということ、3請求人の事業リスクが出資持分を限度とするものであること等がございます。加えて、原処分庁は、これ以外の理由として請求人はG社が企画した船舶の賃貸及び売却事業に係る投資を行って、節税を図る意思のみを有し、当該事業、この場合ですと船舶の賃貸事業を行う意思がなかったと認められると主張しております。
 それからこの当該事業に係る契約内容については、通常の取引ではあまり行われない特異な面があるというようなことからも、結論的には、請求人ら組合員の共同事業であるとは認められないということから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たらないというふうに真っ向から主張が対立しておりまして、これがまさに争点となったわけでございます。
 審判所の判断のところでございますが、その次に書いてありますように、いろいろこれだけ複雑な事件でございまして、ちょっと時間を要してしまったんですが、整理いたしますと、1に書いてありますように、G社が企画した船舶に係る投資商品は、G社から一体の投資システムとして請求人らに示されていたものであるということで、最初にG社から請求人に示した御案内という資料があるんですが、その中には船舶の共有持分権の購入、その持分権のL組合への現物出資、それから船舶の賃貸、売却等、各一連の行為による運用システムであるという旨が記載されています。
 それから2その内容を構成する各一連の行為において、船舶の売却を切り離した場合には、船舶の賃貸事業は収益面で全く成り立ち得ない。約10年間トータルしますと、プラス、マイナス全部あわせて約1,000万円ぐらいの損になるということで、賃貸事業だけでは全く成り立ち得ない形になっているということ。
 それから3は、L組合の出資者には実質的に組合の事業参加の機会は全く予定されていないということで、組合員名簿も配付されておりませんし、理事あるいは理事長を除く組合員についてはその事業への参加が実質的に保証されていないと認定いたしております。
 それから4としまして、不動産投資に伴う通常のリスク負担も予定されていないこと。これは通常不動産投資、例えば建物に投資をした場合でも、そもそもそれを貸す場合に、借り主がいるかいないかという問題が発生しますし、それから不動産を所有しておりますと、いざというときに事業をやめて売却する場合に、果たして売却できるかどうか、そのときにキャピタルロスが生じるかどうか、そういうリスクを通常ですと負っているわけですが、本件についていいますと、借り主は先ほどのM船会社側ということで、これも保証されておりますし、それから売却価格につきましても、一応10年で見直すことにはなっておりますけれども、10年後に幾らくらいで買うということも実は決められておりますので、そういう意味で通常の投資とは違う形があるというようなことから、当該投資商品は、船舶の賃貸とその売却とが一体不可分にセットされ、それらに係る収入金額から投資資金が回収され、収益の分配を受けるという経済的成果をもたらすものであるということが明らかであるということで、賃貸だけでは成り立たずに、賃貸と売却とが一体不可分にセットされた商品であるということになります。売却があって初めて経済的成果、経済的利得、これが所得につながるということなんでございますが、それらをもたらすということが明らかであるということになります。
 したがって、L組合の船舶賃貸事業は、船舶の賃貸借という法形式に伴う実質的な経済的成果が発生していないと認められる、実は一体不可分にセットされた事業でございまして、L組合の船舶賃貸事業、それだけを取り出したところではまだ経済的成果が発生しているとは認められないことから、L組合の船舶賃貸事業に係る損益は、請求人の不動産所得とすることはできないと審判所としては認定いたしまして、結論的にはその損益通算については認めなかったということでございます。
 以上が、船舶リース事案の概要でございます。本件につきましては、最初に申しましたように、審判所総力を挙げて取り組んだ、なかなか苦心をした事案であったということで御紹介させていただきました。

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