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第3回 国税審査分科会 議事録(2)

審判所次長
 それでは裁決事例の紹介も事例と参考資料がございますので、これを併せて御覧いただきたいと思います。事例としましては所得税で2件、国際取引で2件、その他の事例で4件ほど簡単に御紹介したいと思います。
 まず最初の譲渡所得の事例でございますけれども、これは図の参考資料の方が分かりやすいのかなと。事案としましては、請求人が土地を売ろうと思って買主と当初売買契約を結びました。ところが、更地にするのが条件だったわけですけれども、なかなか更地にならないということで、条件が満たされないということで契約を解除したと。更地にできなかったのは請求人に責任があるので、違約金を支払ったと。したがいまして、その当初の約束を履行できなかったから払ったのは違約金ではないかというふうに原処分庁は解釈したと。
 これに対して請求人の方は、そうではなくて、その買主よりも新買主というか、もっと高く買ってくれる人が現れたんだと。したがって高く売るために解除したんだと。そういう場合は高く売るための経費であるということで、譲渡費用ということで経費に落とせると、そういう事情なんだというのが争いというか問題になりまして、審判所でいろいろ詳しく聞きましたら、下の時系列で書いてございますように、その書類の上では当初契約解除、解除した後売買契約と、しかもその解除した書類の中では、飽くまでも更地にならなかったから、だからそのために違約金を払ったんだということしか書いていないと。
 というのは、いろいろ事情を聞きましたら、あるいは裏の話を聞きましたら、実は高く売れるんで、むしろ買主と新買主とどっちで高く売れるかを水面下でネゴしながら、最後これで手を打ったと。ところが買主の方が協同組合でして、いわば請求人が更地にしなかったからという理由で解除する分には、理事会の中で反対者も出ないんだけれども、新買主がいて、その人に高く売るために解除したということですと、理事会が収まらないということで、実はそういう話なんですということで審判所としては、請求人の主張を認めたということでございます。
 それからその次の事例。所得税での推計課税でございますけれども、これはいわば推計課税の場合、なかなか税務調査に協力していただけず、書類等も出てこないという場合に同業者のですね、業種、規模、業態、同じような会社、青色申告者を選んで推計課税するわけですけれども、選び方がいいか悪いかということで、請求人は原処分庁が採用した同業者の業態は違うのではないかと。原処分庁の方は、いやなかなか税務調査に協力いただけない範囲内で調べた限りではこれでいいんだと。
 実際に原処分庁、あるいは異議申立てのときには、ほとんど書類が出てこないわけでございますけれども、審判所に参りますと非常に詳細な資料が出てくるということで、それをベースに調べましたら、原処分庁の同業者はやはり業態が違うなと。ということで、審判所が自ら所轄署、あるいは近隣の税務署で同じような業種、規模あるいは業態、特にデザインと工事のこの比率ですね。売り上げの比率によって大分違うものですから、そこで調べて、一部取り消したということでございます。
 それから次の国際取引(法人税)でございます。これも参考資料の方を御覧いただいたほうが分かりやすいのかなと。これは東南アジアの某国でございますけれども、A国の子会社、これはA国政府の方から海外子会社の資本金を引き上げろという要請がございまして、会社が考えましたのは、中古の機械を帳簿価格1,800万円の機械を、実は1億6,000万円の機械だというふうに偽って、輸出申告書等許可証等整えて、売却すると。売却代金を送金せずに、いわばその出資金に充当するという形できちっとした輸出関係書類が整っているということをベースに、譲渡益を課税したというのが原処分庁でございます。それに対して請求人の方は、実はごまかしたんで、実態は1,800万円の機械を現物出資したのに過ぎないんだと。現に相手国政府に出した書類は、いわば現物出資ということで書いてあると。
 さらに、輸出して最初はうまくいったんですけれども、3年か4年たちましたら、その仕掛けが相手政府にばれまして、ここに書いてございますように、差額の1億4,200万を貸付金と相殺したり、現金を別途送付したと、こういう実態に合わせて課税してくださいという主張が出てまいりまして、審判所の方で1,800万の機械を1億6,000万で売るというのはやはり不自然な行為だねと。それから輸出申請書などに輸出関係書類だと何もわからないけれども、確かに輸入したA国政府等の書類によると、現物出資という形になっているねということで、審査請求人の主張を認めたと。
 それからその次の4。これは国際取引でも贈与税の事例でございますけれども、これも図を見ていただいた方が分かりやすいのかなと。それで後で文書の方お読みいただければと。これは典型的な相続税・贈与税の節税スキームということで、かつてかなりはやったスキームのようでございますけれども、金融機関から例えば10億なら10億円、B、これはおじいさんでございますけれども、おじいさんがお金を借りて、それをC国、外国、贈与税がかからないような外国に法人を設立して、おじいさん、Bさんがその10億円でC国法人の株式を取得すると。
 それで一つそういう行為があって、それとは別途、贈与契約を結びまして、これは現在は法律改正してございますけれども、外国に住所がある人の贈与税ですね。贈与税は国内財産についてはかかるけれども、外国にある財産についてはかからないと。これを利用しまして請求人をそのC国の法人の社長なり何なりにしまして、C国に出国させて、その後正式の贈与契約書を結ぶと、こういうスキームでございます。
 それに対して原処分庁の方は、これは租税回避行為であるということ。それをベースに課税したと。審判所の方は、むしろ贈与の時期がいつなのかというのを民法等を参照に検討をしましたら、出国後ではなくて、平成9年12月9日、出国する前に、契約書類ができて、住所だけが空欄だったと。住所は出国した後決まってから入れて、確かにC国政府のいわゆる公証人役場で証明を受けたのは出国後の12月18日ですけれども、書面は既に12月9日にできていたということで、課税すべきということで、審査請求人の主張を退けた事例でございます。
 なお、参考資料の4ページをお開きいただきたいんですけれども、これは平成12年度に税制改正を行いまして、そういう事例を防ぐために現在では外国に住所を有する者でも、それ以前5年以内に日本国内に住所がある場合は、外国で行われた贈与についても贈与税を課税しますよという形で、法整備が行われております。
 それからその次は、幾つかそれ以外の話を四つほど御紹介したいと思うんですけれども、一番上の法人税。この事案は売上集計表の数字、これを税務調査の段階で見つけまして、それと帳簿の数字が違うじゃないかということで、その差額は売上除外だということで課税したと。これに対して審判所へきましたら、実はという話で、これは銀行から資金を借り入れるためにあえて作ったうその集計表で、実際は帳簿が正しいんですと。ただし、銀行には絶対に調査に行かないでくださいと。その代わり取引先を全部知らせますので、全部審判所の方で職権で調査をしてくださいということでしましたら、確かにその銀行用の売上集計表だなということで、審査請求人の主張を認めた事案でございます。
 それからその次の所得税。この関係は、これは余り言うと差し障りがあるわけでございますけれども、一部の弁護士、あるいはお医者さん等の士業(さむらいぎょう)の方の場合、家族の経費を交際費で処理するという方が時々おられまして、正にその事案でして、1000以上の支出、これが全部交際費。税務署で反面調査しまして、必要経費には当たらないよと、交際費ではないよと。それに対して審査請求人は、違う必要経費であるということを主張する。よくあるんですけれども。昨年も御紹介したんですけれども、この場合、審判所の方で、どちらが正しいのか関係者に確認する。それに対して関係者が、「いや、税務調査の時はうそをついたんです。」と、こう言う場合があるんです。どちらが正しいのかを我々が1件1件聞きに行くと。
 そうしましたら、1000のうち85ほどは確かに必要経費だと。非常におもしろい事例を御紹介しますと、着物です。200万円する着物を、交際費で落としているんです。「何で交際費なんですか。」と言ったら、得意先の奥様に差し上げたと。呉服屋さんへ行きましたら、名前は奥様の名前で、寸法を測りに来たのも奥様なんですね。聞きましたら体型が同じなんで、忙しいので代わりだと。それでしたらどなたに贈ったのか教えていただかないと困るんですと言うと、それは言えないということで、こういう場合は審判所としても心証として必要経費に当たらないのかなと。
 その次の3でございますけれども、これは医療費控除の問題でして、これはいわゆるお医者さんの処方した自然食品です。健康食品。これが医療費控除の対象にすべきではないかという主張に対して、これは法律、5ページを御覧いただきたいんですけれども、5ページの医療費控除の中の医療費の範囲で、所得税法施行令第207条の2号で、医薬品の購入となっているわけです。この医薬品と申しますのは、薬事法第2条第1項に規定する医薬品で、これは売った方の薬屋さんも、これはいわゆるここで言う医薬品ではないんですよと言っておりまして、審査請求人の主張を認めなかったと。
 審査請求人の主張は、薬事法の規定がおかしいんだと。即ち薬事法の規定はおかしいんで、薬事法の規定は規定として、健康にいいし、お医者さんが処方したんだから、医療費控除の対象とすべきで、憲法違反であるという主張等も展開したんですけれども、ちょっとそれは受け入れられないなという事案でございます。
 それから最後の、これは源泉所得税でございますけれども、これは先に6ページの資料を御覧いただくと分かりやすいと思うんですけれども、給与所得の場合、源泉所得で課税するわけでございますけれども、ただ通達がございまして、結婚とか出産等の祝い金、社会通念上社会常識からいって課税するのが酷だなというものについては課税しなくても差し支えないと、これに当たるか当たらないかと。
 具体的には非常にもうかっている会社でございまして、毎年全従業員に現金を「お祝い」というふうに封筒に入れて誕生月に配ると。これが審査請求人は社会通念上一般的に行われているんじゃないかという主張なんですけれども、実際にその地元の会社何社か聞きましたら、そういうことをやっている会社、聞かないね、ないんじゃないのということで、社会通念上認められないというふうに判断して、審査請求人の主張を退けた事案でございます。
 以上でございます。

分科会長
 どうもありがとうございました。ただいま、かなりいろんな例について御説明いただきました。どうぞ御質問ありましたら、御自由に。
 金融機関との関係で、金融機関がいろいろ調べて、お金を借りるときに売上が幾らぐらいですかというようなことで調べるわけですが、そうしますと要するに国税庁が言われている売上高が幾らだと申しますと、ある意味で当然乖離するケースがあり得るわけです。ですから金融機関との関係の話というのは、ある意味では客観的な話をすると、あるいは正に推計というか、ですから乖離があるのはある意味では当然かもしれないんですけれども、そういう種類がたまたまそのまま使っちゃったということもあるかもしれないしということなんです。ですからやっぱり金融機関との関係というのは企業にとっては非常に重要なことですから。うまくという感じで。
 分かりました。どうぞ。

水野委員
 ちょっと4番目の国際取引贈与税の事例について、ちょっと教えていただきたいんですけれども。先ほど御説明あったと思いましたんですが、5ページで原処分庁は、これは後ろの方で贈与税の回避であると、それから経済的必要性合理性が認められない取引だという、かなり無理なこういう構成でこの贈与税、課税しておりますけれども。審判所ですと、これ専らいろいろ周辺の事実関係などから、贈与契約書といったものが作成されたのがこの年の12月であると、かなり事実の把握がここで非常に詳しくなっていると思いますけれども、こういう原処分庁はやはりこれは事実の調査というのは少し甘かったというか、不十分だったという感じでしょうか。それとも何か審判所でないと、審判所は非公開だから納税者の方で出しやすいとか、なんかやっぱり調査でも守秘義務というのがくっついていますけれども。それから場合によってはやはり現実に調査に出向いた方と審判所の審判官の腕の違いとか、そういうところから出てくるものなんでしょうか。

審判所次長
 この事案は非常に長時間かかっていまして、審判所でも。いろいろ実態を聞きますとなかなか審査請求人というか、原処分の段階では審査請求人からきちんとした資料がほとんど出てこなかったというか、出してもらえなかったというのが実態のようで、その後も何回も反論書、意見書のやり取りなどがありまして、その中で例えば往復の書簡とかが出てきた。これは結局そういう形で、一つはやはり長期間かけてじっくり審判所の場合は取り組めるからです。
 それから審査請求人の対応というのが、やはり原処分庁異議申立てと審判所ですと大分違うのと、それから一つはやはり審判官というのは、お年を召した50歳以上の、非常に調査能力のたけた、経験豊富な方ですから、非常に真実を解明するのが上手というか、その辺のところにもあるのかなという気はいたします。

分科会長
 ただいまの事例に対して何か。どうぞ。

阿刀田委員
 ちょっと笑われるようなばからしい質問かなとも思うんですが、文芸家協会、小説家など文筆で生きている者の協会の税務関係の担当をやっております。確定申告をきちんとやるよう言っております。
 小説の分野では日本には私小説といいまして、自分の生活をつづるというジャンルが志賀直哉この方ずっと連綿と続いておりまして、この私小説を書く方に言わせると、取材費というか、「おれは生きていることが全部取材費だ。」ということをおっしゃる方がいまして、それは幾ら何でも。私税理士じゃないから余りサゼスチョンをしちゃいけないことになっておりますけれども、生きていることが全部取材費だというのは、それはちょっと幾ら何でも世間には通らないのではないかということで、一つの目安として小説家であろうとなかろうと、当然必要であるという範囲のものは、それは取材費にはならんであろうと。
 明らかにこれらは日常生活の種種のように見えるけれども、やはりこれは小説を書くためだなということになれば、当初はそういう意図ではなかったかもしれないけれども、結果としてそういうことであれば、修正でも何でもしたらいいんじゃないですかと。生きていること全部というのは、幾ら何でも無理であるというようなサゼスチョンを税理士でもないのに、聞かれればその辺ですよということを言っていますが、大体そんなところでございましょうか。ばからしい質問ですが、お聞かせください。

次長
 かつては御案内のとおり標準率みたいなことを言っていたんですけれども、法律的な根拠もありません。そういう平均率で申告されても、申告書は受け取りますよと言っただけなんです。調査をして実額を把握して、もしおかしければ否認しますという説明だったんです。従来そういう説明でしたが、今どちらかというと余りそういう説明をせずに、飽くまで収支ですから、収支で計算してくださいと。収入を得るための必要経費であれば、もちろん認められますということなんです。
 ただ個々の経費については、これはもう永久の課題だと思うんですが、例えば料亭に行かれて会食をされても、小説を書くためにどうしても必要であれば、恐らく取材費になるんだと思います。単なる遊びで行かれたら、それは駄目なんだと思います。これはしたがって個々の行為、個々のケースごとに判断せざるを得ない問題だと思います。
 したがって、人生すべて必要経費ということは到底あり得ないと思いますが、すべて必要経費ではないということもないんだと思います。したがってあくまで個々のケースで判断させていただくしかないと思いますが。

阿刀田委員
 どうもありがとうございました。

分科会長
 ほかの委員、何かもし特段御質問。どうぞ。

三屋委員
 興味ついでにお聞きしたい。いいですか。例えばプロのスポーツ選手は、体がやはり商売道具ですよね。じゃそうすると食事とかいうものはすべて必要経費として認めていただけるということなんですか。

次長
 プロスポーツ選手も個人の事業所得者なんです。球団などからある程度指導していただいていると思いますが。必要経費となるのは、あくまで事業を遂行するのに直接要する費用だと思いますから、単に食事をしていたというのはだめだと思います。

分科会長
 我々のケースでもやはり原稿料を稼いだときの必要経費というのがありますね。それと、それもある種のやはり慣行的な数字はあるんでしょうね。

次長
 絵をかかれるときの材料費みたいなものは、明確になるんですね。アトリエを造られる、これはもちろん減価償却ができます。しかし、取材費みたいな話ですと、取材費って一体何かという問題があり非常に難しいんです。もう一つ難しいのは、更に加えまして、期間という問題なんです。10年前に旅行されたと。それを基に今小説を書かれるわけです。そういう方が多いんです。阿刀田先生もそうだと思いますが、10年前、20年前の取材を基に今年小説を書かれても、期間対応がありますから、この1年間に稼いだ原稿料に取材費を対応させるといっても、実際問題なかなか難しいんです。その点スポーツ選手の方がまだやや期間対応がはっきりすると思いますが。

分科会長
 ほかにも御質問あるかもしれませんですが、次の議題に移らせていただきますが、税務行政に関するトピックスについて、事務局から御説明いただきます。
 御質問につきましては、事務局の御説明の後で御質問をお願いしたいと思います。どうぞよろしく。

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