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第1回 国税審査分科会 議事録(2)

判所次長
 では、引き続きまして、資料2によりまして、最近における審査請求事件の動向等について簡単な御説明をいたしたいと思います。
 審査請求制度につきましては、既に御案内のとおりでございますけれども、昭和45年度の税制改正において創設を受けまして、国税の賦課徴収を行う執行組織である税務署や国税局に対して、特別な機関として設置をされておりまして、原処分庁、そして納税者の双方の主張を客観的に勘案して、事実関係の正しい把握と法令の正しい解釈適用を行い、適正かつ迅速な裁決を通じて、正当な権利利益の救済を図り、もって、適正かつ公平な課税の実現を使命とする機関とされております。
 審査請求手続につきましては、机上に配付資料1として、別刷りで資料をお配りしてございますので、御覧になりながら、説明をお聞き取りいただきたいと思います。
 この国税に係る処分に対する不服申立ての手続全体といたしましては、まず、原則として原処分庁、つまり税務署長、国税局長に対する異議申立てが前置をされておりまして、この異議申立てに対する決定後に不服があるときに、審判所長に対して審査請求が認められると、そういう姿が原則とされておりまして、これを私どもは二審的な構造と、そのように呼んでおります。
 先ほど原則と申しましたが、直接審査請求とこの表の中ほどに、矢印の中に、横向きの中に書いてございますけれど、これは青色申告を行っている方に対して更正処分が行われた場合、国税局長が処分を行った場合には、納税者の方の選択でありますけれども、直接審査請求をすることができます。これは審理を始めるという意味で、始審的な審査請求と申しております。
 受理件数は3,405件と先ほど申しましたけれども、この始審的な請求が380件、約1割でございまして、残りの9割近くは3,025件でございますけれども、異議決定を経た二審的な請求でございます。
 そうしまして、この表には表してございませんけれども、審査請求を経て、行政事件の訴訟提起が出されております。これは審査請求前置主義と申しているわけでございます。件数が表にございませんが、先ほどのベースで申しますと、この時期に155件がございました。この件数の数え方等が違いますので、単純に比較をしていただけるものでもございませんし、同時期のスナップショットでありますので、1つの事件が時系列に追ったものということではないのですが、件数的にそういった比較の問題はあるわけでございますけれども、私どもが見ておりまして、裁決件数に対して訴訟提起される割合は低い水準にあると言えるのではないかと思います。
 つまり、裁決で主張を認められた納税者の方もいれば、棄却された納税者の方もいるわけですが、審判上の手続が終わった段階で、それ以上に進む方の割合は低いと、左様に思っている次第でございます。
 このような構造でございまして、審査請求手続というのは、異議申立手続と訴訟手続の中間に位置する手続とお考えいただいて、よろしいかと存じます。
 先ほどその表で件数的な動向については御説明をいたしましたが、内容面についての動向について簡単に御説明いたしたいと思います。資料の1番目でございますけれども、最近における審査請求事件の動向は複雑化、困難化と、このように書いてございます。
 この御説明に入ります前に、非常に一般的なお話を申しますと、審査請求はあくまでも原処分に対する不服でありますので、請求事件の内容、事件数の質量ともに、原処分の動向、つまり、賦課徴収の税務行政の動向に大きく影響を受けていると、当然ながらそういうことが認められるわけでございます。
 最近の税務行政の運営を取り巻く環境の変化といたしましては、国際化でありますとか、広域化でありますとか、情報化でありますとか、そういう中で複雑・困難化しているという、そういった点につきましては既にお聞き及びと思いますが、審査請求につきましても、このような傾向が反映をされているところであります。
 審査請求事件の過去からの内容的な推移につきまして深く御説明することはここではいたしませんが、かつては帳簿書類の提示がなくて、推計によって、税務署がその所得なり、税額を決定するという、これを推計課税と私どもは申しておりますが、そういった事件に対する審査請求でありますとか、サラリーマン減税と申しますか、共通のグループの中で税法上認められていないような控除等の主張に基づいて、請求事件を提起されるといったことが、これが年間1万件単位で起こっていたという時代もございました。
 現在では、状況は大きく変わっておりまして、いわばその一つ一つの賦課徴収関係を問題とするものが多くなってきていると認識をしてございます。
 この、複雑・困難化の中で、国際化、広域化と申しましたが、審判所においてどういう影響を及ぼしているかということでございますけれども、審査係属中の事案もございますので、余り具体的に申し上げられない部分もあるわけでございますけれども、国際化につきましては、例えば、移転価格税制でありますとか、海外子会社への寄附金の問題でありますとか、タックス・ヘイブンの税制でありますとか等々、多種多様な事案について審査請求が生じております。
 移転価格税制、これは御案内のように、海外親子会社間の取引価格の問題でございますけれども、その独立企業間価格、アームズ・レングズ・プライスで是正が行われた場合、相手国との相互協議と並行して、あるいは租税条約がない等の場合に単独で、我が国において、当該価格を争点とする審査請求が行われるという例が見受けられます。
 こういった海外事案につきましては、原処分においても同様ですけれども、海外取引・法制度の知識が必要であるとか、実態把握が難しいでありますとか、そういう国際事案特有の複雑性なり困難性がございます。また、先ほども申しましたような段取りにおきまして、当事者において、相手国政府などとの関係などからも、事件進行に影響が出てくるというケースも考えられるわけであります。
 2番目に広域化でございますけれども、いろいろなケースがあるわけでございますが、その同一の争点の審査請求が全国的に起こって、複数の支部に係属すると、そういったものを、私どもは広域化といって捉えております。
 実例を挙げますと、ある不動産会社が、貸付用の分譲マンションを全国的に営業展開をするわけでございます。全国的に展開をして営業されますと、顧客が全国に出てくるわけです。その顧客の方が大体同じような考え方の申告をされます。
 今の場合、土地、建物の区分につきましての計算方法ですとか、建物本体と付属設備の減価償却でありますとか、そういったことについて、共通の考え方に従った申告をされます。これが税務当局から是正を受けます。これに対して審査請求が生ずるわけですが、これが私どもの支部が全国に12あるわけでございますけれど、北海道から九州まで、複数の支部に同種の事件が提起をされてきたというケースがございます。
 こういった場合はもちろん、支部によって、判断が区々になってはいけませんので、全体の整合性確保のために連絡を取り合って、取扱いを決めて裁決をするわけでございます。こういったことは元々社会経済の実態がそうなっているわけで多発してくるわけですが、請求を行う方は、その請求が他の支部の請求事件と関係があることを明示して持って来られるわけではございませんので、そもそもの統一的な処理が必要なケースかどうかというところから常に念頭に置いて見ていかなければいけない。そういったことから始まりまして、事件処理に当たって突き合わせをしたり、検討をしたり、事案の見極めの能力とか、事務量と私ども申しておりますけれども、そういったものが必要となってくる状況にございます。
 3番目に、等とございまして、他にどの様なものがあるかということですが、例えば、これは納税者の方々の行動が複雑になってきたというふうに思った方がいいのかもしれませんけれども、1つの契約について、1つの不動産賃貸借について、複数の契約書が存在するケースがあり、その真実の契約関係が一体何であるのかという解明に、審判所として努力を要する事件でありますとか、あるいは原処分の調査の段階では、納税者からの資料提出がなくて、推計課税が行われたわけです。その是正に対しての審査請求で経費一覧など実額証拠の提出があって、そうしますと、その審判所においては、新しく出された主張に対して、証拠評価等の事務量を投入するといった例が見受けられるわけでございます。
 以上、大変簡単ながら、審判所にとっての複雑・困難化の形を御紹介した次第でございます。
 次、2番目でございますけれども、このような事態に対応しつつ、現在の審判業務における運営の基本方針について、どのようにとっているかを御説明いたしたいと思います。
 まず、1番目には実績評価についてでございますが、後ほど実績評価について全体的な御説明もありますが、審判所におきましては、目標としまして、正当な権利利益の救済を図るため、不服申立てに対する適正、迅速な対応を掲げております。
 そうしまして、実績評価の仕組みの中でモニタリングの指標という参考指標があるわけでございますけれど、審査請求の1年以内の処理件数割合をとってございます。
 ちなみに資料にはお示ししてございませんので申しわけないのですが、12会計年度におきましては、この割合が48.9%ということでございます。
 この審理期間の問題につきまして、事件処理が長期化する要因というのが幾つかあるわけでございますけれども、先ほど申した困難性の問題もございますし。例えば、審査請求の対象になっています原処分が、例えば査察事件でありますとか、行政訴訟事件に関連している場合がありまして、そういう場合には、関係書類が押収されたりして、今、手もとには無いという状況があるような事件もございまして、こういう場合には、調査・審理を一時見合わせるといいますか、私どもの言葉で、審理を留保するというふうに言うのでございますけれど、そういったことがございます。
 次に、3本柱というちょっと俗な言葉が書いてあるわけでございますけれど、これは審判所が、常に運営の基本的事項として、常々傘下の支部に申していることでありまして、俗な表現でありますけれども、その審判所の日常をお伝えできるかと思いまして、あえてここに示させていただきました。具体的な運営方針ということでございます。
 まず、第1番目に、争点主義的運営とございますが、既に御案内のところも多いと思いますけれども、不服審査の審理範囲、租税争訟につきましては、総額主義と争点主義と二つの考え方がございます。
 総額主義と言いますのは、審理対象になった原処分全体の違法性を見るというものでございまして、いったん審査請求をいただきますと、審理はその審査請求人の主張内容に限らず、例えば、所得の発生原因と成り得るすべての事実関係について審理ができるということになります。
 一方、争点主義と言いますのは、審査請求人が主張する理由のみを審理の対象とするというものであって、審査請求人が主張していないものは、審理の対象とすべきではないという考え方でございます。
 この点につきましては、昭和45年の審判所の根拠法である国税通則法の規定が整備されましたときに、国会審議の際に「審判所が納税者の権利救済機関であるから、総額主義に偏することなく、争点主義の精神を生かす」という附帯決議をちょうだいしております。
 国税通則法には、法律の話になって恐縮ですけれども、職権調査権が97条という条文にあるわけでございますけれども、実際の審判実務におきましては、この附帯決議を受けまして、職権調査等は争点事項及び争点関連事項に限って進めるということで行っており、これを争点主義的運営と言っております。
 2番目は、合議の充実でございますけれども、これは審判所の基本的構成でございまして、審判所長は、事件ごとに担当審判官一人と参加審判官、参加副審判官を2名以上指定し、合議体を構成する。そして、その合議体で審理をするということになっております。現在では3名構成を基本としております。3名にしたというのは、独断に陥らないように、各人が十分意見を示して、議を尽くすという趣旨でございまして、最終的には多数決で決めるというものでございます。
 この合議の充実ということは、これはまさに適正、迅速な審理の実現のために、不断の努力を重ねるということに尽きるわけでありますけれども、最近におきまして、審理手続の改善に私ども取り組んでおりまして、それについて資料は配布してございませんが、簡単に御紹介をいたしたいと思います。
 これは審判所の審理の進め方といいますのは、プライバシーの保護などの観点を含めまして、原則書面審理主義をとっております。その書面審理主義でありますけれども、中には面談などで、効率化を図り得るケースがあるわけでございます。こういうことで、従来から請求人面談という、直接話を聞くという審理手法をとってまいったわけでございますけれども、最近の動向を見まして、今年度から事件処理の効率化の一環としまして、書面審理によっては長期化が見込まれるような、そういう複雑性、困難性のある事案につきまして、担当審判官が請求人の方と原処分庁の担当者の双方を同席、又は交互に面接をして、交互というのは時間的に間を短くするということでございますけれども、事情の説明を求めるという方式を考えております。
 御案内のように、裁判における弁論主義のもとでの対席構造というのがあるわけでございますけれども、これと今の同席なり、交互とは意味を異にするものでありますが、複雑困難事案について、今、問題になっている争点について、その審判所、請求人、原処分庁の三者が同じタイミングで共通の認識を持って、適正、迅速な審理を進めようという趣旨に基づくものでございます。現段階におきましては、ノウハウの蓄積、基盤の整備等の取り組みに着手をしてございます。
 資料2の2つ目の3本柱の3番目の納得の得られる裁決書の作成というところでございます。これは裁判での判決書に当たり、審判所の判断を示す文書で裁決書と申します。当事者より信頼される、つまり、分かりやすい、質の高い裁決書が求められていると認識しておりまして、マニュアルの改定でございますとか、自己研鑚でございますとか、こういったものに努力をしてございます。
 次に、その3番目のその他でございますが、情報公開法に関してでございますけれども、本年4月から情報公開法が施行されてございます。裁決書は行政文書と位置付けておりまして、開示対象とされております。後ほど、全体的な御説明があると存じますけれども、審判所といたしましては、これまでに565件の情報公開請求を受け付けまして、うち479件を処理してございます。
 次に、裁決の公表がございますが、これは審判所の発足に向けた税制改正に際しまして、税制調査会の答申がございました。「審判所の裁決結果は、原則非公開であるけれども、先例となるような裁決、その他、国税不服審判所長が必要と認める裁決については公開とするということを考慮する。」と、そのように述べられております。
 これによりまして、従来より年2回にわたりまして、裁決事例集という書物を編さんして、発行してまいりました。これまでに1,323例の裁決が公表されてございます。この事例集は、税務署にも備え置くという仕組みになってございます。
 このように公表してまいったわけでございますけれども、先般、総務省の行政監察が平成11年から12年にかけて行われまして、「納税者の適正な申告に資するため、裁決結果の公表拡大の余地があるのではないか。」と、そのような御指摘をいただいたところでございます。
 そこで、平成11年分は全裁決の7%ぐらいだったのでございますけれども、12年度分では1割に引き上げてございまして、拡充を図らせていただいております。
 その公表等の形態につきましては、従来からインターネットの活用を考えておりまして、これまでも裁決要旨というのはインターネットで出していたわけでございますが、インターネット利用の拡充ということから、来年4月を目途としまして、過去5年分につきまして、公表裁決の要旨だけではなくて、全文をインターネットで取得することができるようにすることを今考えております。これは過去5年ということでございますので、その中で公表されたものは、全数で324件でございますが、これについて全文を掲載いたします。
 そして、その過去5年間に行われました全裁決でございますけれども、これは非常に一般的な事案なども含んでいるわけですが、数としては約4,500あるわけでございます。これらの要旨を、約1万項目のインデックスでインターネット上で検索ができるシステムを作るということで準備をしてございます。
 以上のような公表拡大、そして、検索の便宜のための措置を講じてございますけれども、裁決結果の公開でございますとか、公表の拡充の要請につきましては、請求人の方のプライバシーと申しますか、保護されるべき私的利益と税務行政の適正な運営の確保に資するという、私ども審判所の使命とが常に議論をされております。こうした点を配慮しまして、公表につきましては、裁決書上の固有名詞を記号に置きかえたり、伏せ字にしたりして秘密保持を図ってございます。
 また、先ほど情報公開法の開示請求の話を申し上げましたが、裁決書の開示請求につきましても、審査請求人の住所、氏名等の個人の識別可能な点はマスキングをいたしまして、部分開示により対応させていただいております。
 以上で、審判所の基本問題についての御説明を終らせていただきますが、審理の質的な向上と効率化という両面から、サービスの改善の一層の努力が求められていると認識しておりまして、今後ともよろしく御指導、御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
 次に、先ほど、インターネットの御説明をいたしましたが、この机上資料の、先ほどの手続の絵を1枚おめくりいただきますと、ホームページがございます。審判所は平成11年よりホームページを開設しておりますが、これに4万件ほどアクセスをいただいているわけであります。これにつきまして簡単に御紹介をいたしたいと思いますが、この抜き刷りの資料は数枚しかお配りしておりませんが、プロジェクターのほうを御用意しましたので、御覧いただければと存じます。
 今、御覧いただいておりますのが、審判所のホームページの一番上の画面でございます。不服申立制度の、少し御覧になりにくいかもしれませんが、お手もとの資料も併せて読んでいただければと思います。制度の説明でありますとか、所在地・管轄、作成、提出等々、6項目に分かれての御説明がございます。先ほどの要旨を公開すると申しましたが、それはここの部分でございます。
 私どもの公表といいますか、ホームページを作っていくという考え方は、不服審査制度を利用される方の支援のために情報を提供しようということでございまして、例えばこの一番上を御覧いただきますと、どういった場合に不服審査請求ができるか、また、異議申立てとはどういう関係になりますかとか、それから、どこへ出したらいいでしょうかと。こういったことにつきまして、御質問に答える形で資料を準備させていただいております。
 また、制度の概要ということで、こうしてこのような形で、先ほど簡単な絵で御説明をいたしましたが、ここには、相当に詳しく解説をさせていただいております。資料が重複してしまって恐縮でございますが、本体資料の、先ほどの1枚紙の次に御覧いただく場合の、ホームページのアドレスを書いてございますので、一度御覧いただければと存じます。
 また、この所在地ですが、全国で12支部ございますと申しましたが、大体国税局所在地に展開しておりますほか、長野、新潟、横浜、京都、神戸、静岡、岡山に支所を置いて、運営をさせていただいてございます。
 先ほど御説明した中で、審査請求をする場合の審査請求書の提出という場合において、ここに様式を用意してございまして、どなたでもこれを、御自身で印刷さえしていただければ、税務署なり、不服審判所にこれは用意してございますけれども、取りにお越しいただく必要はないようにさせていただいております。
 先ほど手続は御覧いただきましたので、時間の関係もありますので、この裁決の公表の部分につきまして申し上げますと、一番最後に裁決事例要旨集というのがございますが、先ほど裁決事例集というのを全国に配っていると申しましたが、その要旨部分を原則としてすべて掲載をしてございます。これは税目別に区分をしてございまして、例えば、国税通則法の中では、例えば附帯税の中で重加算税を調べると、重加算税の項目がすべて出てくるという格好になります。
 ここはちょっと見えにくいかもしれませんけれども、今、黒くしましたところですが、それぞれの裁決事例集の引用が、レファレンスがここにございますので、これをもとに検索をしていただくということができるようになってございます。このページの中で、先ほど申しましたように、裁決書の全文でありますとか、検索のインデックスでありますとか、そういったものを今後拡充して、来年4月ごろより供用してまいりたいと、そのように思ってございます。御覧になりにくいところは失礼いたしました。
 御説明に戻らせていただきます。
 大変長くなって恐縮なのでございますけれども、先ほど、分科会長代理からもお話がございましたが、当分科会は、裁決の研究ということでの御開催をいただいておりますので、従来より国税審査会の際にも、最近の裁決例より2事例を御紹介してございますので、今回も最近の事例を御紹介させていただきたいと存じます。
 なお、これから御説明いたします2事例でございますけれども、次に出る裁決事例集で公表する予定のものを御紹介をいたしますので、その点を含み置きいただきたいと存じます。
 お手もとに、刷り物としまして、先ほどのホームページの関係の資料2枚おめくりいただきますと、事例1として、文章ばかりの資料でございますけれども、これによりながら、簡単に御説明をいたしたいと存じます。
 まず、事例の1でございますけれど、これは在日外国公館に勤務をする日本人職員の所得税申告につきまして、給与収入の申告漏れの是正を受けたことに対する審査請求があったという事例でございます。
 在日外国公館は、国際慣例で給与を支払う際の源泉徴収義務がありません。このため、勤務する職員の方々は、確定申告によって、所得税を支払うことになります。
 ある在日外国公館に勤務する日本人職員が、長期間にわたって申告漏れが生じていたとされまして、7年間遡及して是正を受けました。本件は、この是正の及んだ期間についての不服審査請求の事例であります。
 この審査請求における具体的な争点は、請求人が給与収入をことさら過少に申告した行為が、7年間遡及の根拠規定であります国税通則法に規定があるのですが、その規定に「偽りその他不正の行為」という要件が規定されているわけですが、これに該当するかどうかという点が争われました。
 お手もとの資料の6ページを御覧いただきますと、条文を引用しておりますが、それが7年間遡及の根拠条文、国税通則法第70条第5項でございます。
 更正は期間制限として、第1項というのがございまして、これが3年になっているのですが、この「偽りその他不正の行為」の場合には7年と書いてあるわけでございます。
 この事例の場合には、一部修正申告が出ているわけですけれども、その修正申告が出た年分前の年分につきまして、所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分がなされているわけであります。
 少しお戻りいただきまして、4ページ目を御覧いただきますと、この冒頭に(2)とございます。これは裁決書のスタイルを若干引き写しながら御紹介しておりますが、(2)は、請求人の主張でございます。ここで書いてございますけれども、ことさら過少に申告する行為自体が「偽りその他不正の行為」に当たるという、これは最高裁の判例があるわけですけれども、この最高裁の判例を引用しながら、「ことさら」というのは、税をほ脱せしめることの積極的な意思の存在とあえてその申告に及ぶ行為とされています。今、申しました最高裁判例等々につきましては、4ページ目の(3)というのが下のほうにございますけれども、その三、四行上のところにございます。
 それより少し逆戻りをしていくわけですけれども、(2)のイの第1パラグラフの一番下のほうに書いてございますけれども、この申告をされた方は、言い伝えを信じて過少申告をしたということで、ほ脱の意思はないと、そういう御主張をされたわけであります。これに対して、審判所の判断というのが4ページ目の下のほうから始まりますが、5ページ目をおめくりいただきますと、その事実認定がある程度ございまして、中ほどに123とございますけれども、申告されていなかった収入金額というのが、全体の6割以上に及ぶということと、この金額が800万円という非常に大きな金額であって、これは非課税所得として不相当に高額だと思わなかったのかと、とてもそうは思えないという判断を書いてございます。そして、こういった大きな金額にもかかわらずその職場での言い伝えということで、税務当局に確認もせずに除外していたという事実認定を行いまして、請求人は税額を免れる意図のもとに、内容が虚偽の申告書を提出したもので、請求人の主張するほ脱の意思はないから、「偽りその他不正の行為」に該当しないという主張は理由がないということでこれは棄却、つまり、原処分を維持する裁決が下されております。
 それから、続きまして、時間の関係もございますので、事例の2に移らせていただきます。これは原処分の一部を取り消した裁決の例であります。少し複雑な法律関係等々がございます。お手もとにお配りしました机上配付資料の3というところに絵をお付けしてありますので、これで御覧いただければと存じます。
 この請求人は、貨物運送業を営む法人でございます。請求人の代表者がディーラー、自動車の販売を行う方から自宅の新築祝金を受け取ったわけです。これが一番上の右上から左下に斜めの矢印がございますが、これのaでございます。このaが、税務上請求に至る法人の収益に計上すべきかどうかと、これが争点でございます。
 真ん中に原処分庁の主張がございますが、原処分庁は、この新築祝金相当額のaは、本来、請求に至る会社が、ディーラーから購入した自動車に関する、ディーラーから請求人へのリベートであり、それを代表者に支払ったということで、リベートについての法人の収益を認定して、かつ最終的にはこのお金が代表者のもとへ行っておりますので、代表者に対する会社から支払われた賞与だという認定を行いまして、法人税等の更正処分、賞与にかかわる源泉所得税の告知処分がなされました。
 請求人の主張、原処分庁の主張に対しまして、審判所は事実認定を行いまして、これは8ページ目を御覧いただければと存じますが、8ページ目の真ん中に、(3)審判所の判断というのがございますが、その中にイ、ロという事実認定がございます。取引先の内部資料で300万円と、これがaでございますけれども、「上乗せする」というメモがあったとか、関係者がここに書いてありますような内容を答述されたということで、これをもちまして、会社が代表者に賞与を出したという原処分庁の認定については支持をして、ただ請求人である会社が、購入代金にaを上乗せしてディーラーに支払って、そして、同ディーラーに、新築祝金の名目で、代表者へバックをさせたという認定をいたした次第でございます。
 つまり、車両の本体価格というのが、審判所の判断の絵のところにございます、(X−a)と書いてございますけれど、Xの価格の中にaが含まれているという認定をしたということになります。
 この結果、リベートとしていたaにつきましては、収益加算は認めないということで、他方、車両取得価格は過大だったわけですから、これを減額しまして、その上で車両価格の減価償却の過大を是正して、法人税の一部を取り消したということでございます。
 役員賞与であるという判断は、これは原処分と変わっていないので、源泉所得税の告知処分の審査請求は棄却されたと、そういう判断、裁決が行われてございます。
 大変長くなりましたが、これにて御説明を終了いたします。第1回目ということで大変長くなりまして、御質問時間等々に食い込んでしまいました。また説明に至らない点も多々あろうかと存じますが、御質問等を承りますので、お気軽にお申し出ていただければと思います。ありがとうございました。

科会長
 遅刻しまして、どうも失礼いたしました。
 只今の事例ですね。事例が2つございます。
 それから、情報公開の話、あるいはもう一度さかのぼりますと、最近の審査請求事件の動向、あるいは運営の基本方針について御説明があったわけですが、何か皆さん、御質問ありましたらどうぞ御自由に。
 私は、この某国大使館というのは、某国というのは区分で言えば、先進諸国に属するのか、発展途上国に属するのか、そういうことは聞いてよろしいのですかね。
 だから、要するに、例えばアメリカ人のケースであれば、アメリカのケースというのは、やはりそれなりに所得税についてのある種の、ですが、発展途上国とか、そういう国は、多分所得税、その他も余り十分に整備されていない。そうすると、考え方がもともと違って、その辺がある意味で、簡単に言えばルーズになっていく可能性があり得るのですが。

判所次長
 本件の場合は、在日外国公館にお勤めの日本人職員の方だったんです。その日本人の職員の方が、以前、日本の会社にもお勤めになっていたことがありまして、要するに日本の所得税、日本の会社での給与の税金関係というのは、承知していたという事例です。お手もとの資料の5ページ目を御覧いただきますと、私が説明を省いてしまったので大変恐縮でございましたが、(イ)の3でございますが、請求人は、過去に日本の法人に勤務していたこともあり、800万円をも上回る申告除外金額が非課税所得分の支給額として不相当に高額であることを認識し得なかったとは到底認められないと、これが審判所の事実認定でございます。

崎委員
 これは在日外国公館のほうは、税務署の調査に協力したのですか。幾ら給料を払っているかということは。

判所次長
 私どもといたしまして、これは質問検査権の対象になっているかどうかという、一般論で申せば、在日外国公館というのは、そういう受忍義務はないのだろうと思いますけれども、本件については、私、承知致しかねます。

崎委員
 いや、そうではなくて、調査額と書いてありますので、これは本人の申立てだけですか。それとも在日外国公館のほうで、給料の支払いについて協力してくれたので分かったのかということです。

判所次長
 私、この裁決の中でしか情報がないのでございますけれども、給与支払の明細書等は交付を受けたと承知しております。
 それから、本件の調査、原処分庁側の調査は、申告所得税の調査でございまして、給与の支払者に対する調査といいますか、そういったものは源泉課税の部分でございますけれども、源泉課税につきましては、国際慣例によりまして行われていないものでございますので、そこではそういった関係は起きなかったと。これはちょっと私のそんたくでございますけれども、そのように理解してございます。

崎委員
 要するに、源泉徴収は免除されていますから、実際に幾ら給与が払われたかというのは、これは本人がちゃんと明細書を持っているから、それを持って、税務署に申告すれば、それは当然正しい給与が賦されるわけですね。
 ところが税務署のほうは、本人の証拠もなく、申立ての給与だけで、これは判断したと。判断したといっても、納税申告ですから、そうなったと思うのですが。本人はそういう資料というのは一切出さずに、こういう収入しかないという申告をしていただけですか。

税部長
 これは在日外国公館ですから、我々はそれに対して、その質問検査権の行使はできません。もちろん、源泉徴収義務を免除されております。それは御案内のとおりです。
 ただ、実際に、給料の支給者は在日外国公館でありますから、実際の給与の支給額は、在日外国公館もわかるはずでございます。それを我々に示すかどうかは、任意の協力の問題です。本件についても、そこは一般的な協力があったものと思います。

科会長
 今の点は、在日外国公館というのは、ある意味で治外法権であって、日本の課税権は直接には及ばないのですかね。ただ、そこで雇われている人は、日本人の居住者、当然。そうすると、日本の居住者には所得税が当然かかるという、そう理解してよろしいのですか。

税部長
 そうです。あくまでも日本のローカルスタッフで、日本の居住者でありますから、単純に日本の申告所得税の納税義務者です。ただ、普通のサラリーマンと違いまして、源泉徴収規定が働かないのです。それはなぜならば、在日外国公館はそういう義務を負っていないからです。

科会長
 ほかに何かご質問は。

崎委員
 そういう事例は非常に多いのかな。

判所次長
 先ほど申しましたように、課税関係としてそういったものが集中的にありまして、私ども審査請求を受ける立場からしますと、同種の事案が非常に多かったと。
 本件の場合でも、先ほどの一人1年、1税目1件とか、そういうベースで数えますと、100件程度のオーダーでの件数があったと承知しております。

科会長
 ほかに何か質問ございますか。
 (「なし」の声あり)

科会長
 では、次の議題に移ってよろしゅうございますか。
 国税庁の実績の評価について、御説明お願いします。

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