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【第21回 酒類販売業等に関する懇談会】 議事録(2)

 続きまして、フランスでございますが、酒類の販売が免許制であるという点はイギリスと共通しておりますが、これはかなり細かい類型があって、もう一つよくわからないところでございます。例えばバーなどについては、比較的厳しい免許であって、かつ、あらゆるアルコール類を販売できるような免許になると、これは地域ごとに数が決まっていてそれ以上出せません。これは歴史的な理由ではないかと思いますが、フランスは営業自由の国だということも申しておりました。どうやってつじつまを合わせているのかというと、ライセンスというのは自由に売買できるそうです。それで、比較的安い価格で売買されるということがあって、そういう営業の自由が実質的には担保されているということのようです。
  それから、このフランスの法的な規制の面では、有名な「エヴァン法」という、たばこの規制、それからアルコールの規制も少し入っておりますが、そういうたばこ、アルコールについての1991年に制定された有名な法律があります。そういう法律も含めて、国民の公衆衛生に関する関係の法律を全部集めて、体系的に整理したものとして、「公衆衛生法典」という法典が2004年に制定されたということであります。これは抜本的に何か変わったというより、法律を整理したというようなことではないかと思いますが、その中で多少酒類に関する改正事項も盛り込まれているということのようでございます。
 そこで、具体的な酒類販売の制限には、どういうものがあるか。場所的な制限、例えばスポーツ施設とその周囲における販売の制限とか、販売時間の制限というものが一般的にあるし、それからさらに協会、墓地、病院、学校等については、地域ごとにまた何か制限を特に設けることも可能だということであります。免許が出た後の規制を守っているかどうかの取り締まりについては、行政、警察が執行しており、違反すれば営業停止処分等が行われます。最終的な、最長1年の営業停止のようなものは、実際にはそれほどあるわけではなくて、麻薬とか売春のあっせんもしているようなときに、そういう最終的な強権発動に至るのだという話であります。
 それから、未成年者の関係につきましては、フランスでは、これはドイツも共通ですが、16歳と18歳で制限が2段階になっておりまして、16歳未満の者にはすべての酒類の販売提供が禁止されています。16歳以上18歳未満の者につきましては、蒸留酒など強い酒と言っていいかと思いますが、そういうものの販売提供のみを禁止、逆に言えば、ワイン、ビールのたぐいは16歳になったら売ってよいということです。それから、16歳未満の者については、レストラン等への入店禁止という規制もあるというのも、それは父母であるとか保護者がついていればまた別だと、そういうような例外もあります。これもやはり司法警察が執行しているそうですが、これもイギリスと同様で、違反したからといって摘発されるのはまれだというふうなことを言っておりました。
 それから、自動販売機による販売、これは法律によって明示的に禁止されているという状況であります。
 次のページで、宣伝・広告については、これは「公衆衛生法典」でそもそも一定の制限がありますが、それに加えて後ほど申し上げるような自主規制があるという、2段階の規制ということになっているということでございます。
 以下、具体的に訪問した先の話でございますが、パリ警視庁、これは日本の警察よりはもうちょっと広い、保健所的な機能も持っているのではないかなと思いますが、そういうところが免許関係の仕事を担当しています。ここでは、例えば酒類販売禁止時間の遵守状況を頻繁にチェックして、必要であれば営業停止処分を出しているということを言っておりました。例えば、営業停止処分を出しているのは、短期間のも含めると、パリ市内に全部で1万8千店くらいある中で、年間150件ぐらいだそうです。閉店命令までいくのは10件ぐらいだというふうなことを言っていたところでございます。それから、警察ですから、特に飲酒運転の関係は問題であるということで、いろいろ努力をしているというふうなことを言っておりました。
 それから次が、フランス薬中毒物省庁間ミッションです。これは麻薬の予防・取り締まりを実施するために、省庁横断的につくられた常設の組織のようでありますが、最近たばこ・酒類についても仕事に追加されたということで、ここでは酒類について、未成年者の問題だけでなく、国民全体についてのアルコールの消費を落としていく必要があるということを強調しています。フランス人はこの40年間で、アルコール消費量が40%減っているそうでありますが、それを5年後にもさらに20%減らしたいというふうなことを言っておりました。
 そうやって国民全体の健康政策によって、アルコールの消費の抑制がいろいろ犯罪とか未成年者保護の問題の解決にもつながるという、そういう意識ではないかと思います。ただ、何か法規制をという形で強化するということは考えていないので、今の法規制を適切に運用していくことが重要だと申しておりました。
 次にフランス健康社会保障省の健康局ですが、これも健康政策全般の話を伺いました。広告規制で訴訟があったというようなことがありますが、これは後ほど田中先生からお話が出るかと思います。
 それから、特に表示規制の面では、「妊産婦にはこのアルコールは害があります」という、たばこと同じような表示を義務付けるべきではないかという問題意識があって、ここでは立法を検討しているというふうな話をしておりました。
 フランスでも、やはり「アルコポップス」というものについて問題視されていて、フランスではこれは課税によって抑制していくというふうな動きがあるということを言っておりました。
 フランスの広告は、広告審査事務所において、自主規制をしているということで、次のページに写真がありますが、これも田中先生から後ほど、なぜこういう写真があるかというお話をしていただけると思います。
 最後、ドイツの話でございますが、これは、イギリス、フランスと比べますと、規制が非常に緩やかな国であるということで、特に酒類の販売について免許制度のようなものはありません。ただ、飲食店については、飲食店の独特の法律、「飲食店法」というのがあって、これに基づく営業許可が必要だということでありました。その「飲食店法」の中で、例えばアルコールを出すときには、必ずアルコールでない飲み物もメニューに置いておかないといけないとか、そういう細かいことも書いてあるということでございます。
 酒類販売一般につきましては、特別の規制はなく、免許制もないというふうなことになります。ただ、お店の営業時間については、ドイツ特有の「閉店時間法」というものがあって、これによって営業時間がおのずから制限されています。日曜日は基本的には店を開けないとか、そんなようなことになるわけであります。
 そうやって酒類の販売について、一般的な規制はないということでありますが、その後は何が残るかというと、未成年者の飲酒に関する規制ということでございます。これは「未成年者保護法」という法律がございまして、その中でこれが行われているということでございます。ここでもフランスと同じで、2段階ございまして、蒸留酒は18歳未満には販売・提供してはいけない。蒸留酒以外のワイン、ビールのたぐいは、これは16歳未満の者への販売・提供はいけない。ですから、16歳、17歳にはワイン・ビールは売っていいということでありますし、それから保護者が同伴していれば、14歳以上の者にワイン、ビールのたぐいは提供してよろしいということです。これは要するに、食事を家族でするときに、14歳にもなっていれば、それは一つのマナーでお酒を飲むというのも一つの教育だというふうなことだろうと思います。これはイギリスとかフランスでも、先ほどは省略しましたが、親がついていればまた別だということで、やはりそういう考え方がヨーロッパ全般的にはあるようでございます。逆に言えば、家庭の中のことについてあまり立ち入らないという面があるということではないかということで、ドイツでは特にその点を強調しておりました。
 こうやって年齢による販売制限があるわけですが、ドイツでは国民全体にIDカードがあったりしますし、学生証なども含めて、年齢は確認して売っているということでございます。
 ただ、実際にまた、これがどの程度守られているかというと、いろいろ問題があるそうでありまして、例えばテレビの番組で、おとりで14歳未満の子供に買いに行かせたら簡単に買えたとか、そんなようなことで、実際はなかなか問題が多いというようなことを言っております。
 罰則ですが、5万ユーロになっています。これは、「未成年者保護法」は、2003年に改正されておりまして、アルコール販売の規制の点ではあまり変わりはないのですが、有害メディアから未成年者を保護するという面での規制が非常に強化されたりしておりまして、そういう関係で、罰則も強化されています。これは行政罰で、日本で言う過料に該当するようでございます。5万ユーロですから、かなり高いという感じはします。
 それから、自販機による販売は、これは「未成年者保護法」で禁止されています。
 ドイツでも「アルコポップス」の問題が大問題だということで、これは先ほどから盛んに出てきておりますが、要するに、甘い飲み物とアルコールを混ぜたものです。アルコールの含有量はそんなに高くなく、非常に飲みやすいものを造ったというものです。これはある見方からすると、一般にお酒をみんな飲まなくなり、消費があまり伸びない中で、未成年者をターゲットにした商品でけしからんという声があるし、事業者からすれば必ずしもそうでないという反論をしているとか、そういういわくつきの飲み物のようであります。これは各国で広まっています。
 ドイツではそれに対してどう対処しているかというと、ちょうど今年の7月に新しい法律を制定して、まず、イギリスとこれは同じで、フランスもこれからやりたいという感じでしたが、課税を強化し、価格を高くして未成年者が買えないようにするというのが一つであります。それから、「未成年者保護法」に基づきまして、18歳未満の者へこういうものを提供してはいけないという旨の表示を義務付けるというようなことを新しい法律で規定しております。ただ、課税の面については、こういう特別な目的を持った間接税的なものをEUの加盟国が一国で課すということについては、EUの承認が要るということで、それを今待っているのだということであります。
 こういう法律を制定したことについては、場合によっては製造者の方から、そういう規制をするのは憲法違反であるという訴訟が提起されるかもしれないということを言っておりました。
 ドイツでも広告については自主規制によっているということです。これがドイツ広告評議会というところが行っているものでありますが、自主規制の内容はほかの国とそう大きく変わらないところではないかと思います。
 具体的に訪問した先ですが、ドイツでは結局、直接行政機関を訪問するということができませんで、ドイツ青少年保護協会という民間の団体を訪問しました。ただ、これは、青少年の保護政策について、いろいろ政府に対して企画・立案をしていて、それがかなり尊重されている、そういう実績のある団体ということであります。そういう中で、やはり未成年者のアルコール消費というのがいろんな面で問題となっているので、いろんな対策が必要であるというふうなことを言っております。
 実際に、例えばアルコールの販売制限であるとか、あるいは先ほど省略しましたが、レストランとかディスコとか、そういうのは一定の深夜時間帯は立ち入ってはいけないとか、そういういろいろな未成年者保護規制があるのですが、それについて、実際にどこがそういうのを監視して、違反を摘発しているかというと、それは各州の自治体ということになります。実際の摘発というのはいろいろ努力はしているけれども、なかなか難しいというようなことを言っておりました。
 ドイツ広告協議会については、後ほどまたお話があるかと思いますが、概して言えば、ドイツの規制もあまり強いものではないような気がいたしました。
 以上が全体的な報告でございます。全体を通じた感想を申し上げますと、やはり未成年者に対するアルコールの販売というのが非常に大きな問題として各国とも考えられております。ある程度法律的なルールも整備しているということは共通でございますが、実際にそれをどこまで徹底できるかということになると、これはなかなか難しい問題のようでした。これは日本でも同じような話ではないかと思います。
 それから全般的に、そういう健康保健政策を担当しているような分野を訪問したから、そういうことが特に言われているのかもしれませんが、やはり国民全体のアルコールの消費というものについて、国全体として健康促進の観点などから政策をとろうとしているということであります。
 ただ、それは何か法律上の規制であまり飲ませないようにしようとか、そういうものではなく、やはりいろいろなPR、啓発活動を盛んにするとか、そういうあたりを中心に考えているということで、このあたりはたばこと少し感覚が違うというところではないかと思います。
 それから、広告なり表示規制についても、あまり法律でがちがちにやろうということは考えられていないようです。これはまた逆に、自主規制団体のようなところばかり訪問したせいもあるかもしれませんが、柔軟な自主規制がいいのだという声もかなりあるそうです。実際、今のところはそういう自主規制で、いろんなことが行われているという状況かと感じたところでございます。
以上、私の方からの報告でございます。

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