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「酒類販売業等に関する懇談会」第16回会合 議事要旨

1. 日時 

平成16年5月19日(水) 10:00〜12:00

2. 場所 

国税庁第一会議室

3. 出席者 

  • (懇談会メンバー)
    • 井岸松根、岡本 勝、奥村洋彦、小宮信夫、田嶼尚子、田中利見、寺沢利雄、 御船美智子、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 寺内酒税課長、浜田鑑定企画官、若尾酒税企画官、 初谷、小森、亀井、本宮、前田、土屋(以上酒税課課長補佐)

4. 議事概要

 武蔵野大学現代社会学部林助教授、神戸大学発達科学部川畑教授及び財務省理財局垣水たばこ塩事業室長から、「望ましい酒類の販売方法のあり方」を主なテーマに説明を受けた後、メンバーとの間で質疑応答等が行われた。概要は以下のとおり。

(1) 武蔵野大学現代社会学部 林助教授

○酒類の注意表示について考慮すること

<説明>

  • ・ 注意表示については、どのような情報が求められているかを考えることが重要であり、その情報の条件は、「個別的情報」、「短期的情報」及び「断定的な情報でない」ことである。
  • ・ 複雑な情報は極端に単純化され、その方向性は、受け手の先入観に合致する方向に一致する。
  • ・ 専門家と一般人の間では、情報に関して「未知なるもの」のとらえ方が大きく異なっており、一般人に対しては、単に「健康に有害」という情報だけではなく、「どのように害があるのか」を直感的に理解できる内容が求められる。
  • ・ 一般的に人間の関心は指数関数的に低下すると考えられることから、「未成年者の飲酒は法律で禁止」といった表示についても、同一の文言を何度も繰り返していると効果が減少する。
  • ・ 若者の飲酒問題に対し、逸脱行動を繰り返す若者が規範意識に欠けているという理解は誤りであり、あくまでも仲間内での規範を優先しているということである。逸脱行為の要因は、漠然とした社会からの疎外感と考えられ、その疎外感の解消に社会全体として取り組む必要がある。
  • ・ 健康問題を意識している人や妊婦のように飲酒に関し問題意識を有している者には、「健康に有害」や「胎児に影響」といった警告表示は有効である。同様に「あなたの子供に有害」という表示は、少々の飲酒を許容する親に対して効果が期待できる。

<質疑>

  • ○ 飲酒等を行う若者達に対して、具体的にどのような対応策が考えられるか。
    • ⇒ 根本的な解決方法としては、酒だけの問題に限らず学校の中に居場所がない生徒を無くすことが有効であり、「あなたの居場所はある」といった大きなメッセージを発することが必要。
  • ○ 酒類の注意表示について、未成年者の飲酒がいけない根拠を付加すれば強いメッセージになるのではないか。特に健康面については、説得力があるのではないか。
    • ⇒ 健康に無関心な者には、効果はないが、一般的には、メッセージに直感的に分かるような根拠があれば効果はあると思う。

(2) 神戸大学発達科学部 川畑教授

○青少年の危険行動の形成要因(飲酒行動に及ぼすメディアの影響)

<説明>

  • ・ 飲酒は、わが国の青少年が最も頻繁に取る危険行動の一つであり、早期からの飲酒は、強い依存を引き起こし、短期及び長期の健康問題を生じるだけでなく、喫煙や薬物乱用等のリスクを高める。
  • ・ 酒類の広告・宣伝は、飲酒の危険性に対する意識を低下させ、飲酒に対する肯定的イメージを形成する。また、価値観などの確立の過程にある青少年に対して、とりわけ大きな影響を与える。
  • ・ セルフエスティーム(自尊心)やライフスキル(心理社会能力)の低い青少年は、社会的要因の影響を受け、様々な危険行動を取りやすい。また、そうした青少年の中には自ら進んで危険行動を取る者もいる。
  • ・ 青少年の危険行動を防止するためには、彼らの個人的責任を強調するだけでは不十分であり、周囲の人々への働きかけや、自動販売機、広告制限などの規制を含む社会的環境の整備により、健康を支援する環境作り(ヘルスプロモーション)を行うことが不可欠である。
  • ・ 「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」等の注意表示は、若者に対しては直接的効果が少ないかもしれないが、社会全般に対する意識付けという点で大きな役割を果たしている。

<質疑応答等>

  • ○ 自尊心や心理社会能力が低い青少年に対して、どのような飲酒防止対策が有効か。
    • ⇒ そうした子供たちにいくら酒はダメだといってもそれだけでは効果はない。自尊心や心理社会能力を高め、危険行動をとる機会を少なくするための「居場所づくり」などの取組を併せて行うことが重要である。
  • ○ 広告は、見る側にとって見せられているという意識が働くが、ドラマの飲酒シーンなどはそのような意識が働かない。ドラマの影響力について、どのように対処すべきか。
    • ⇒ 今後は隠れたメッセージに対する教育もしていかなければいけない。また、ドラマなどの飲酒シーンの絶対的な量を少なくするなど社会的施策と教育の両方をやっていく必要がある。

(3) 財務省理財局 垣水たばこ塩事業室長

○最近のたばこを巡る制度について

<説明>

  • ・ たばこの注意表示は、8種類の文言のを組み合わせを変えて表示することとしている。これらの表示文言は、「法律で禁止されています」等の反発の予想されるものではなく、疫学データ等を使って説得的な表現とした。
  • ・ 「たばこ規制枠組条約」では、広告、販売促進活動、スポンサーシップの全部を規制の対象とし、包括的禁止又は規制を求めている。この条約を受け、「製造たばこに係る広告を行う際の指針」を改正した。併せて、たばこ業界の自主基準も改正された。
  • ・ 財政制度等審議会たばこ事業等分科会では、言論・営業の自由の面から行き過ぎたたばこ広告規制となるのは問題であるが、諸外国とも比較し、今回の広告規制は、この程度はやむを得ないということで意見が集約された。

<質疑応答等>

  • ○ ドラマの中でのたばこの喫煙シーンの規制はどうなっているのか。
    • ⇒ ヨーロッパの一部の国では議論が進んでいるが、日本はそこまで至っていない。喫煙行為を行うことを明示しているスポンサーシップ契約のようなものであれば、規制対象となるかもしれない。
  • ○ 欧米のたばこ規制は、単に健康からのアプローチだけではなく、コミュニティー秩序の面からもかなり規制が強化されている。
  • ○ 広告以外にたばこ販売の規制に関する議論の状況はどうか。
    • ⇒ 「たばこ規制枠組条約」では、たばこの不正取引を防止するため、許可制や定価制は場合によっては必要であるとされている。また、未成年者喫煙防止の観点からの規制は、条約においても推進すべきものとされていることから、今後、関係省庁と検討していきたい。

(注) ⇒は、メンバーからの質疑に対する説明者からの回答である。

(以上)