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【第15回 酒類販売業等に関する懇談会】 議事録(2)

奥村座長
 それでは、引き続きまして三浦様を御紹介させていただきます。三浦様は、社団法人流通問題研究協会の副会長でいらっしゃいます。「地域社会における酒販店、商店街の役割」というテーマでお話をいただきたいと思います。
 三浦様からは、15分ぐらいお話していただきまして、その後15分ぐらい意見交換していただくということで進めさせていただきます。よろしくお願いします。

三浦副会長
 大変立派な場でございますので、ちょっとイメージが狂ったのですが、私は、約40年間、商店街や中小小売場を指導してきた立場から、このテーマに何かお手伝いできないかなということを思って参りました。
 この場には、私の先生であります田中先生、寺沢先生がいらっしゃいますから、詳細はきっとつないでくださるだろうと思いながら、15分間話していきたいと思っています。
 私が今までに各地の商店街を何百カ所も見て歩きながら思っておりますのは、商店街を良くする、街を良くするということのために、TMOやその他の団体にお金を集めても、どうしても箱づくりといった方向に資金が流れるということです。そういった状況の下でうまくいっている商店街というのは、人づくりというか、人がその中に入り込んで動いていくケースであると思っておりますので、今回はここに目を向けてお話しします。また同時に、人づくりということは、お店づくりということにもなりますから、お店づくりにアクセントを置いたレジュメになっております。
 いわゆる地域コミュニティ等の安全とか安心とかということを商店街がどういうふうに担ってきたのかということと、酒販店とか商店街というものがどういうふうに変化してきたのかということの2つが重要な柱としてございます。先ほどの意見交換を聞いておりましても、そういうことが非常に重要であると思っておりますが、私自身の実感として思うことを申し上げておきたいと思っています。
 商店街の役割というものを、非常に牧歌的に、お互いが住んでいる地域社会、共同体として、非常に懐かしんで、街を見る見方をしたときには、今の商店街や街は、大変寒々としていると言うことができるかもしれません。しかし、生活の在り様の変化の結果こうなってきているわけでありますから、私は今の商店街あるいは繁華街等が、悪い方向に来ているとは決して思っておりません。ただ、もう少し箱型より、人間型というようなところを強く出していかなきゃだめだろうなとは強く思っておりますし、逆に言うと、最近、若い人が年をとってくることによって、そういうことへの回帰現象も起こっているように思います。
 昔の商店街と今の商店街ということについて、「こういうようなことがあったよね」、「それが逆にもう一度目を向け直されているね」という感じで見ますと、「家の近くというのが商店街だったね」と、こういう感じがします。食住一致というのが、大体昔の商店街であり商店だったという気がします。商店街を利用する人はその商店街の近くに住んでらっしゃいますから、朝市とか夜市が、ごく簡単にできる地域イベントというものを支えていたという感じがします。結果的に、そういう朝市とか夜市というところで、子供たちも、お父さん、お母さん方と一緒にそこで過ごせるというふうな空気が出てくるかと思います。
 また同時に、大体の家が木造であり、いいところ2階屋ということでございましたから、この点からも奥が丸見えというふうな開放性もあったような気がします。
 また、町内会があって、良かれ悪しかれ、町内会と商店街が非常に一体化していたのだろうという気がします。こういったことも振り返ってみる必要があります。
 それから、昔は歩き・自転車でしたが、現在は車社会になっております。現在、200メーター、300メーター先に商店街ぐるみの駐車場をつくっているところは多いですけれど、消費者にとっては200メーター、300メーターという距離を、買い物をしたものを持って歩くのは大変でございます。そういう点から、最近ではセットバックという、店の目の前に5〜6台の車が停められるような商店が出てきています。こういう商店が繁盛して、それができないところがだめということも最近の変化ですね。
 それ以外に、「商店街の中にチェーン店が非常に増えたな」とか、「銀行が増えたな」とか、「ファストフードの店が増えたな」とか、「ほとんどの商店がセルフサービスだな」とか、「働いている人というのはほとんどパートさんで、『どこに三浦さんの家あるんですか』と聞いたとしても、全く分かっていないだろうな」というふうなことはたくさんあると思います。これは本当に挙げてみれば限りないと思うし、場合によったら、今の間に変えておかないといけないなというふうに思っております。
 同時に、昔は、酒屋さんとか八百屋さんとかのいわゆる物売り屋さん、つまり業種店でしたが、今ではほとんどが業態店です。何かコンセプトを売るお店屋さんに変わってきたというのも大きな特徴であり、僕はこのことを進歩だと思っています。
 もう一つ、非常に大きな小売店舗の条件がございます。昔の小売業さんは、製造販売業でございました。そのお店自身が、お酒をつくるということはないかもしれませんが、味噌をつくるとか、お酢をたるで買ってきて販売するとか、あるいはお豆腐を短冊に切って売るとか、ただ物を売るというのでなく、そこに何らかの機能を持っていて、お客さんとのコミュニケーションを持つということがありました。同じ対面販売といっても、昔の商店は本質的に、同じようなブランド商品の対面販売をはるかに超えたパワーを持っていました。コミュニケーションというものがあって、そのコミュニケ−ションでもって、お客さんとの関係をよくしたのでしょう。
 一時、ツケという制度は非常に悪い制度であり、これはクレジットにしなくてはいけないというようなことを言われました。しかし、ツケ販売というのはお客さんとの関係を非常に密にしていました。そういうような意味合いでは、ツケがあるということは配達がある、配達があるということは集金がある、集金があるということでお互いが分かり合うというふうなことがありました。これもやはり商店街であり、商店の持っていた強さでしょう。
 そういうふうなことを一回総ざらいしてみると、たとえセルフの時代、車社会になっても、過ごしやすい街では、そういった良いところを捉え直したまちづくりをしてみようというソフトの部分を取り込んでいく動きが見えます。そういったことを頭の中に入れながら、酒屋さんに限らず今の商店街・今の店、昔の商店街・昔の店と組み合わせをしながらみていきたいと思います。どんな業種も大変おもしろく、ある意味でヒントがあるのかなというふうに思っております。
 今、酒屋さんも含めて小売店舗、商店街が急減していますが、これはやむを得ません。これもだれがこういうふうにしているのかと考えると、詰まるところ、大型店云々というより、消費者がしていると受けとめるしかありません。消費者に対して文句を言う訳にはいきませんので、街や店が消費者に目を向けてもらうような努力をしていないということが1つのポイントでしょう。
 では、スーパーマーケットがその問題に対し全て合格点を出しているかというと、そういうことはありません。今、総合スーパーマーケットはがたがたであり、スーパーマーケットも商店と同じように消費者からの拒否権に遭っていると考えるべきでしょう。大型店舗の方が地域ショックが大きいという意味では課題でしょうが、条件はほぼ同じです。
 2番目に、消費者が求めている店への期待ということについてはここに挙げているとおりですから、改めてのことは言うことはないと思っていますけれども、こういうことに対して近隣性といいますか、全部を括ったときに近くの生活、つまりネイバーフードというような要因を束ねてみることが、消費者が求めているポイントの一つではないかと思います。生活にはハレとケがありますから、ハレの分野を商店街に持ち込んでも余りおもしろくありません。やはりケの中でのおしゃれをどうやって持ち込んでいくのかということが近隣的なアップグレードという感じがいたします。
 非常に具体的な問題としての課題は、先ほど少し議論になりましたが、販売方法、商店という場、商店街という場でしょう。商店という場、商店街という場は、売り買いの場です。販売の方法という中には大きく言ってセルフ販売と対面販売があります。最近では、その中間の販売の方法も出てまいりました。あるいは、通信販売のような無店舗というのもありますけれども、地域社会における酒販店、商店街の役割においては対面とセルフの2つが重要だと思います。一時、セルフ販売の方が近代的であり、対面販売の方が時代遅れの存在というふうな極論が起こり、セルフ販売の方向に動きましたが、今、もう一回、セルフ販売と対面販売がバランスをとろうとしています。やはり対面販売には、物を売り買いするという、右から左に流すという機能だけではなく、バリュー(価値)をどういうふうに伝達するかとか、場合によっては、お店の店頭でメーカーにはつくり出すことのできない価値をつくり出す力があるというところが、高質化してきた消費者の中では意味を持ち始めてきたという気がします。そう考えてまいりますと、レジュメには「ライフライン」という大げさなことを書きましたけれど、これだけは絶対必需品だという商品、みんなが知っている商品については、どんどんセルフ販売していっていいのではないかと思います。こういった明確な区分をしながら、消費者の前に多くの選択の幅を広げるのがいいと思います。
 先般、ダラスへ行ってまいりました。ダラスでは、すでに立地機会がほぼいっぱいになっています。こういった状況の中で、次のターゲットとして、ウォルマート・ネイバーフードという新しくてこれまでに比べて小さいウォルマートをつくり、24時間営業して、この地域の中のライフラインを24時間確保していました。それでいながら、様々な清潔感やガードも両立しており、ライフラインショップというところには確かに意味があると思って見てまいりました。セルフ販売と対面販売の中間のやり方として、例えば、店の奥の方でパンを焼いているところがはっきり見え、出てきた商品を自分で選ぶというような形態等、様々なものがあります。
 ダラスのビールとワインがよく揃っているあるお店の中を歩いていたときに、「ハードリカーはないの」と聞きましたら、「ハードリカーは健康やその他の問題からいって、うちの店のテーマに合わない。ここから3キロ先にハードリカーの専門店があるから、そっちに行ってほしい」と言われ、その店までの地図が書かれた小さい紙切れをくれました。そのぐらいの提案型の棲み分けといいますか、自己主張とかというようなものが大事になってきていると思い、対面販売、セルフ販売、その中間の3つを挙げておきました。
 レジュメには、次に、生き残っている中小店業種を挙げておきました。ここに挙がっているようなお店は、トータルではむしろ減っているが、全体が減っている中でも商店がまだ生き残っているというような業種です。
 中小・零細店の中で生き残っていく方法というのは、2つあると思います。1つには、店内加工機能、つまり、お店でただ品ぞろえをして右から左に売るのでなく、お店で何らかの独自のスキルを提供し、声をかけ合うという機能が必要だと思います。もう1つには、近隣専門性を持つという方法です。過去に、家の近所のお店は専門店である必要はなく、いわゆる最寄り店であってよろしいという理屈が過去にありました。今は、家の近所であったとしても、専門性があり、特殊な力を持って、近隣ならではの専門性を発揮するような店がいいというふうな評価を受けます。このような形のお店が最近どんどん増えてまいりました。私も酒屋さんとかカメラ屋さんとか、随分の数の商店をお手伝いしてまいりました。近隣専門性についての違いをはっきり出している酒屋さんで、すばらしい店がございます。今、カメラ屋さんはがたがたですが、その中でもすばらしい店があります。そういうふうな形の店、生き残っている店というのは、こういう特徴を持っているということを御紹介しました。
 そういう中で、酒屋さんについて絞って、どんな役割があるのか考えましたら、第一には商品を育て、消費者に価値を伝えて需要を創造する役割がございます。これは非常に重要なことです。地域の生活の問題は大事ですけれども、やはり需要創造というのは非常に大きな課題でございますから、メーカーだけが需要創造するのでなく、小売店が酒蔵を育てたというふうなストーリーはたくさんあります。そういう意味合いで、メーカーを小売店が育てたといったような関係の新しい役割というのが出てきましたら、小売店が地域で尊敬されます。本当にいいお酒を地域の消費者に教えていくと、青少年に対しても、安酒で酔っぱらうことが目的ではなく、うまい酒というものがあるんだというふうなことをしつけられるのではないのかとさえ思います。
 次に、顧客に良いカタコト提案をして満足と購買を売る役割というものを挙げましたが、カタコトというのは初歩という意味もありますけど、ここでは、食べ方とか、食べ事とか、そういうふうな場面を提供して、お店がしつけていくということであって、これは学校にはできないことだと思っております。これからの小売業には、このカタコトが大事だと思ってここへ出しておきました。
 それから、酒飲みマナーの伝達など、セルフやベンディングマシーンにできない役割が本当に大事なことであります。安い酒をがぶがぶ飲むことによってどんな悲劇が起こるのなどということは、口コミの中でどんどん教えてやればいいんです。
 そして、店を明るくして地域防犯とか和みづくりに貢献するということです。つい先般もNHKさんで世田谷区の空き巣がたくさんあるところの診断をしたところ、お店の照明をほとんどの店が消しており、これを明るくすることによって、空き巣が減ったというふうな町内会の番組をやっていましたが、そのとおりだと思います。酒屋さんというのは一番中核のお店ですから、お店を明るくして、そういったことに貢献をするということをテーマにすることは良いと思います。
 祭りの指導とかショップイベントなど賑わい作りの役割というのは、これはもう当然のことです。酒屋さんがたる酒を持ち込んできて、それでもって楽しむなどということは、本当に日本の象徴です。そういったことを余り難しい場ではなくて、いろんな人たちと組み合わせて、月に1回ぐらいずつ小さい場をつくっていくということがショップイベントです。そういうことをやっていくことによって、酒というのは明るいものだなというイメージを地域に植えつけていくことは、マーケティングを超えた地域イベントだろうと思っています。
 高齢化社会は日本にとって初めての経験です。この初めての経験の高齢化社会の中で訪問宅配とか地域安全便利業というふうなコンセプトも大事です。「宅配はヤマトがあるからやらなくてもいいじゃないか」といったとしても、ヤマトが持っていく宅配と、声をかけて御用聞きしながらの宅配というのは意味が違います。そういう意味合いで、宅配の質を考えていくとき、酒販店は、この受け皿として大変良いものになるはずであり、これはお店の違い、いわゆる経営戦略論的にも使えると思っております。実際にやっている仲間もいます。
 今、流通は所有の価値から使用の価値に進み、さらに再生の価値づくり、こういうような方法がミックスされようとしています。この典型的なものとして、ビンやカンのリサイクルを考えていくと、この再生の価値づくりを酒販店が持つことは可能だと思います。1店舗で重いビール全てを担いでいくということは困難ですから、そういう方々を地域のアウトソーシングセクター等でつくり上げていくようなことができたら、大変良いことだし、声を上げるべきなのは酒屋だと思っています。
 そういうことをやり続けていくということが非常に重要でありますが、問題は、やり続けていく仕組みをどういうふうに応援するかということです。これは、地域、自治体の課題でもあるというふうに私は思っています。
 しかし土台として店が先か街が先かといったら、お店が先なんですから、いいお店がなかったらどんな箱をつくってもだめなんです。そういう点から考えたら、酒販店という一個のお店の経営努力、これが必要です。そのときの基本というのは、専門的というプライドの高いコンセプトに、自分自身がどう取り組むかということなんだということです。
 そのためには、先ほど申し上げましたような様々な規制があります。自分の経営についての規制のことは酒屋さんたちも知っていますが、青少年の問題とか文化の問題とかの規制等については、知っていても知らないふりをしている人が多いと思います。これから何らかの恩典を酒屋さん等にも与えていく方法があるとすれば、その片一方で、義務としていわゆる酒専門店とかそういう専門店ならではの役割を発揮することをどんどん要求しても良いというふうに思っております。
 今、酒屋さんの数が8万か9万店舗に減ってきましたけど、将来、全国に3,500ある商店街に1店舗ぴかっと光った専門店が残ってくれれば、地域にはすごい明るさができるというふうに思っております。その周辺に様々な購買の接点があれば、消費者は全然困らないというような姿をイメージした御指導等があると、その指導のリアリティーが高いと思っています。
 最後のところですけど、土俵での競争について説明させていただきます。競争というのはオーダーリングマーケティングですから、競争には絶対に土俵がいります。秩序がいります。この土俵の競争の結果、いずれ本物だけが残るというようになっていいと思います。しかも硬直的でなくて、どんどん残り続けるというような形になってくると幸せだと思っています。そういう中の政策としては、「あら探しより相ぼめが効果的」という少し分かりにくい言葉を書いてます。諸規定を作って縛るというだけのことではなくて、お互い同士のいいところをうんと褒め合ってやるということが人間一番気持ちいいです。
 随分昔に会津若松という街へ行きましたが、会津若松には会津復古会という会がありました。20ぐらいの地元の専門店、近隣の専門店が2カ月に1回ぐらい寄って、この2カ月の間はAさんはBさんのことを徹底的に褒める2カ月間とか、何かそういうふうな約束事があらかじめできていて、絶対に悪いことを言いません。奥さんがきれいだとか、何でもいいから徹底的に褒めまくるという形で一杯飲むんです。その中から新しい商売の仕方というのが、たくさん生まれています。
 規制ということもいいかもしれませんが、片一方では褒めるというようなやり方を考えられます。そして、そのようなことがやられている地域を国税庁さんがPRするとか、ここでやっていることを少し応援していただく。小さな贈り物と書いておきましたけども、そういう方々に対して、きれいなお人形をあげるとか、何か楽しいものをあげるとか本当にどんなことでも構いません。もっともらしい表彰状なんていりません。あるいはどこかへ連れていってあげるとか、そういうふうな何かいい贈り物、これをぜひ作っていただきたい。そういうようなものをインターネットとかの形でうんとPRしていただきたいと思います。今度は少し逆に、土俵とともに、大いに褒め型というような政策ができないものかなという御提案です。

奥村座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、また質疑をよろしくお願いします。

御船氏
 1つは非常に簡単で、VMDとは何でしょうか。

三浦副会長
 VMDとは、ビジュアル・マーチャンダイジングという業界用語です。同じ商品の並べ方でもできるだけきれいに並べて、手に取りたくなるような商品の陳列方法のことです。

御船氏

 5番目のVMは、ベンディングマシーンですね。

三浦副会長
 そうです。

御船氏
 ありがとうございました。
 最後に、国税庁からの小さな贈り物が必要だというようなことをおっしゃいましたが、なぜ国税庁から贈り物を差し上げるのが合理的かつ有効で、かつ根拠づけができるのか、教えてください。

三浦副会長
 こういうことができたらいいのになと思っています。この国税庁のビルに入るのさえちゅうちょしたぐらいです。そういうふうな国税庁が、こんな立派な50年表彰なんていう表彰じゃなくて、例えば楽しいお人形とか、あるいは楽しいグリーティングカードとか、何かそういうようなものを小売店さんにあげるとか、あるいは逆に小売店さんを経由して飲み屋さん等にそういったグリーティングカードを配るとか、何かいろんな工夫というのがありそうだなと思っています。そういうことをやっても、多分、国税庁さんの予算の使い方からいって、文句はないはずだろうと思うんです。

寺内課長
 お人形を差し上げるかどうかは別にしまして、実際に今やっているものとしては、例えば酒販店の経営の活性化、あるいは成功事例ということについて、我々もリーディングケース、サクセス・ストーリー的なものを冊子でまとめ、これを小売組合等の研修の場等でお配りしております。先生も御覧になっていると思いますが、そういった形で、「こういうやり方もあるんじゃないですか」と紹介すると同時に、「あなたたちは成功しましたね」と、間接的に紹介するようなやり方を、いわゆる経営活性化支援ということで従来からやってきております。
 それから、これは今年からの調査委託事業ですが、小売組合で成功しているようなところについて、モデル事業、モデル組合みたいな形で紹介していきます。そして、小売業の活性化ということで、全国的な広がりというものにつなげていく、そういうことをきっかけに自分達もやっていきたいという方もあるだろうということで、これも事業化しております。
 それから、リサイクルの関係で言いますと、リデュース、リユース、リサイクルということで、推進功労賞の表彰ということを行っております。
 これらは小さな贈り物であるかどうか分かりませんが、これまでも、施策の中身に応じていくつかの場面で、そういったことをやってきているということでございます。
 さらに、例えば、創意工夫を凝らして、いろんな環境変化に対応している立派なお酒屋さんというのは、こういうお酒屋さんございますよという、表彰制度みたいなものを、今後できるかどうか、そういったことも1つの考えとして今後さらに検討していく必要があるとは思いますが、現在既に、立派な活躍をされている酒屋さん等について、紹介するといった幾つかの施策を講じているというところでございます。

三浦副会長
 随分昔に、当時の通産省からのミッションで、ヨーロッパとアメリカの各地を回ったことがあります。そのときに、イギリスの流通、卸売等を視察したことがあります。ヨーロッパやアメリカでは、卸売に対する規制や振興は余りございませんでしたけれども、中小小売業に対しては、ここまでやっているのかというぐらいの本当にきめ細かい規制や振興策がございました。パンフレットや、2、3人に対する講習とか、そういうようなことを非常に丹念にやっていると思いました。イギリスでは出店規制が物すごく厳しいのですが、本当に、こんなに細かくやっているのというぐらいの細かいプロモーションがなされるほど、気持が入っています。

寺沢氏
 ちょっと質問の域を超えてしまうと思うんですけれども、商店街と、それから商店街と同じ機能を持って新しい施設としてショッピングセンターというのがあると思います。両者を比較すると、商店街の問題点等が出てくるのではないでしょうか。それは、ボランタリーチェーンという組織と、それからフランチャイズチェーンという組織があって、商店街というのは、どっちかというとボランタリーチェーンに近い組織じゃないかと思います。というのは、みんなが集まってきて、だれがリーダーシップをとるか関係なくビジネスをしているという点からです。ところが、ショッピングセンターというのはだれかリーダーシップをとる人がいて、その指示のもとに商業が展開されます。そこに大きな違いがあるというふうに思います。商店街を運営していく、理事会というのがあって、その理事長が「皆さん、どうですか」と多数決で決めます。その多数決で決めるときに、賛成もしくは反対する人たちは、その商店街のメンバーなんです。ですから、競争相手がそこの商店街に入ってくるということには、まず賛成しません。そうすると、消費者のための活性化ということからちょっと違った形の結論が出かねないという問題点があります。
 そこへいくと、今、三浦先生が言われたように、欧米のショッピングセンターの場合は、「集積に貢献しないテナントはいりません、出ていってください」ということを平気でやります。「消費者のためを考えると、それは必要なんだ」というふうなことで、ボランタリーではなくて、かなりタイトな組織で商業施設を運営するということが必要です。このことが、今の商店街の大きな問題点ではないかと私は思いますが、どうでしょうか。

三浦副会長
 同感です。日本は、アメリカの合理的な姿を見て、日本のすばらしい存在であった商店街というものの良さをいっぺんに捨てて、アメリカの傾向へ傾きましたが、これはよくないことだと思います。やはり今改めて、商店街が持っている良さというものを考えてみると、小さい地域の文化とか歴史とか人間関係とかというものだと思います。そういったものは、作ろうと思ってできるものではないので、それを残しながら、きちんとした責任体制、タイトな体制、これをどうつくるかということが重要になります。そういうふうな形のことは、片一方でやらなければならない。そのとき、だれがどういうふうにやっていこうとするのかといったときには、専門のプロを雇い、やるということもあります。同時に、酒屋さんというのはそういうときに非常に地域信頼を受ける立場にいると思います。寺沢先生がおっしゃった方向にあるということは、同感です。
 いわゆる自然発生的商店街という言葉が、先生の御発言の背景にあります。それからまた、ショッピングセンターについては、計画的商業集積という言葉が使えます。計画というのは、大体底が浅いですから、そういう底の浅さが比較的早くばれて、田舎の山奥の中につくった商店街、ショッピングセンター等が、がたがたになっているという状況はたくさんあります。酒販店は、そういうことでないもっと重さというか、厚みというか、そういうようなものを作っていけるという意味合いで、今、まだ機会があると思っています。

矢島氏
 私、青少年問題をちょっと専門にしておりますで、その辺のところから申し上げます。先ほどショッピングセンターと商店街の話が出ましたが、商店街のいいところは、商店というのは地域の住民であるということであると思います。この辺が一番大きなポイントでございます。大きなビルのショッピングセンターでは、オーナーがどこのだれだか全然分からないし、働いている店長は通い店長だし、もちろんパートの人もどういった人か分からないといったような感じです。そういうショッピングセンターにしろ、まちづくりが地域住民には全く関係のないところででき上がっているのか、地域に住みながら地域住民として街というものを形成しているのか、この辺のところでかなり大きな違いというのが出てくるんだと思うんです。
 ショッピングセンターというのは、たむろするには非常に良い場所ですけれども、集まる場所ではありません。商店街というのは、公民館や何とか施設といったような、そういう施設以上に集まれる場所というふうに私思います。その点は、商店街の非常に強力な武器なはずなので、その武器を用いるならば、お酒だけの話ではないですが、近代的な機能と、コミュニティという機能を非常に期待できると思います。それと同時に、商店街の中で酒屋さんというのは極めて中心的な主要人物になっているようなので、なおさら期待できると思いました。

三浦副会長
 その話も全く同感ですが、やはり今、寺沢先生がおっしゃったように、地域住民が一緒になっている結果的なコミュニティとしての意味が、逆に、競争戦略単位としては非常に弱点になる。やはり、このところを競争戦略単位としての強さというものに持ち込んでいくようにしておかなければ、「商店街の良さは分かっているけど、いつか消えてなくなるね」というようなことになりますから、そこら辺を大事にしなければいけないと思います。これはきっと課題になっているでしょう。

奥村座長
 生き残っているお店とそうじゃないお店とおっしゃいましたが、今、おとらえになっていらっしゃる感じでは、お酒屋さんで生き残りそうなところは何割ぐらいで、だめになりそうなところは何割ぐらいというのは、どのくらいの大きさでしょうか。

三浦副会長
 酒屋さん、プロパーといいますか、酒の売上高が店の総売上高の過半数以上ある店を酒屋さんというように考えたとすると、こういった存在というのは本当に少ないでしょう。今、全部の酒屋さん、いわゆる免許上だけでなくて、酒屋さんというのは統計上8万8,000ぐらいです。

寺沢氏
 商業統計上はそうですね。
 免許の数で言うと15万くらいです。

三浦副会長
 それでもって、むしろコンビニエンスストアさんとかセルフさんを悪く言うわけではありませんが、そういった店の販売方法というのは、酒を飲みたいから買いに来る人たちを対象にしています。これからの酒屋さんというのは、本当に酒が好きな人たちを対象に、そういった人たちに酒の価値を伝えていけるようなお店であると考えています。今、商業統計上で8万8,000店舗あるんだというお話ですが、こんな場所でこういうことを言ってはどうかと思うんですけど、だけど1万店舗もないのかと思うんです。
 かつてカメラ屋さんについて、20年ぐらい前に、将来、カメラ屋さんとしての専門店が何店残るかというシミュレーションをつくったんです。そのとき2,000店舗ぐらい残るだろうというふうに予測しましたが、ほぼ当たっていました。そういう意味では、もしかすると私が申し上げているような本当の酒屋さんというのは、3,000店舗ぐらいしかないのかもしれません。それでも1つの商店街に1軒であります。1つの商店街に1軒そういう光った店があったらすばらしいです。

奥村座長
 では、少し時間も過ぎてまいりましたので、これでこのセッションは終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

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