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【第13回 酒類販売業等に関する懇談会】 議事録(2)

田中座長代理
 それでは、矢島先生から、「青少年問題と飲酒」というテーマで10分ほどお話をいただきまして、後ほどまた15分ぐらい御質疑に移りたいと思います。
 先生、よろしくお願いします。


矢島氏
 私に与えられたテーマは、「青少年問題と飲酒」ということでございまして、第一に、青少年たちがどれほど飲酒をしているのかというその実態でございます。
 それから、第2番目は、この飲酒というものと青少年の問題行動、逸脱行動といったようなものがどのように関連しているのかということでございます。
 こういう2つのデータを示して、第三に、それでは私自身がどのように考えているのかということでございます。
 そのようなことを手短に御報告させていただきます。
 なお、皆様のお手元にデータがございますけれども、これは網羅的にこういうデータをあさったわけではございません。恐らく青少年と飲酒に関する調査データというのは、かなりの数あると思います。これは、私がかかわりました、主に以前の総務庁青少年対策本部が行っていました調査データと、このようにお考えくださって結構でございます。
 なお、実物をもっと詳しく見たいということがございましたら、ここに一式持ってまいりましたので、後ほどということにさせていただきます。
 1枚目と2枚目ですが、これは私の方でまとめたことでございますけれども、これよりもデータの方を使って説明させていただきたいと思います。3枚目を開けてください。
 1−1(1)とあります。(1)は、トータルで振ってあるページ数でございます。
 まずは、平成13年、総務庁青少年対策本部から出ました「青少年とタバコ等に関する調査研究報告書」でございます。これで表3「飲酒に対する健康意識」ということでございますけれども、害があるから絶対いけないという認識を持っているのは、高校生になるとほんの一割になってしまうということでございます。少しぐらい害があってもいい、言われるほど害はない、という認識が圧倒的多数を占めているということでございます。類似の1997年の調査においても、ほぼ同様な結論が出てきております。したがいまして、ここから言えることは、お酒と違いまして、たばこの場合はかなり害があるといった認識が強く浸透しておりますので、案外とこれが子供たちへの牽制効果になるんですけれど、残念ながらお酒の場合は、害があるといくら大人が言ったって、「うるさい」と言うだけで、そのような注意はほとんど無意味だという結論を導かざるを得ないということでございます。
 それから、2ページ目をお開きくださいませ。2ページ目は、「規範意識」についてでございます。「未成年者の飲酒は法律で禁止されているからいけない」、「20歳になるまで飲めなくても仕方がない」、という意識を有する者のデータを合わせてみますと、男の子も女の子も2割程度しかございません。さらに、「本人の考えにまかせればいい」という意識が70%程度ということでございます。したがいまして、法律で禁止されているというようなことも、お酒に関しては効力が非常に弱い、抑止力としては弱いと言わざるを得ません。
 なお、これはお酒だけじゃなくて、たばこもこの辺はそうでございます。たばこに関しても、二十歳未満は吸ってはいけないよというふうに法律的にお説教をしても、その有効性はほぼ無いと、大体こういうことでございます。
 では実際に、どの程度の者が飲酒した経験があるのか。飲んだことがあるというのは、中学生では4割から5割、高校生になると7割前後でございます。これは、後の調査でもこのように、大体同じような結果が出てきております。
 では、飲酒回数はどの位あるのかということを見ますと、毎週飲んでいるといったような人は、中学生で1割程度、高校生の男子になりますと、15%から20%ぐらいは毎週飲んでいるという状態となっており、男子高校生では、3割から4割は月二、三回以上飲んでいるというような状況が出てきておりますので、「月に二、三回」を合わせますと、さらに倍ぐらいになるというような状態となっております。
 私のように晩酌をやる者にとっては少な過ぎる量ですが、青少年にとっての「月に二、三回」という頻度は、かなり常習化しているというふうに考えてくださって結構だと思います。
 その次、3ページでございます。「飲酒場所」について、あてはまる場所すべてに丸をつけていただきました。どこで飲むかということですが、一番多いのが自分の家ということでございます。ここに関しましては、1994年の調査も、2000年の調査におきましても、中学生では80%から90%、高校生においても70%前後は、自分の家ということでございました。高校生になりますと、次に多いのは友達の家ということです。「友達の家」について詳しく調査しておりませんから何とも言えないんですけれども、これは2種類考えられます。友達の家で両親も一緒にいて飲む場合、それから、友達の家で仲間だけが集まって飲む場合でございます。恐らく仲間だけで集まって飲むということが可能性としてはかなり高いと想定できます。それから、高校生で多くなってくるのがカラオケボックス、そしてスナック・居酒屋といったところ、外でお金を払って飲むといったパターンも多くなってまいります。それと同時に、友達の家で飲む場合も、お酒を買ってきて飲むということになりますので、ここにおきましては、「自分の家で飲むグループ」と「自分の家以外で飲むグループ」、こういうふうに分かれると同時に、「家にあるお酒を飲むグループ」と「わざわざ買いに行って、もしくはお金を払って外で飲むグループ」に分かれます。そして、この「自分の家で飲むグループ」は家にあるお酒をお父さんとお母さんと一緒に飲むといったことが考えられますし、そうでないグループは、仲間集団だけでお酒を入手して飲むというように、イメージとして想定されるのではないかと思います。
 それをもうちょっと裏付けますと、お酒の購入場所はどこかということですが、家にあるお酒を飲むというのは、高校生で約5割、中学生ですと60%から80%ぐらいということでございまして、高校生になりますと、自動販売機・酒屋・スーパー・コンビニ等における購入が増えてまいります。
 なお、ここで、2000年と1994年でかなり異なる点はどこかと申しますと、自動販売機での購入が2000年ではぐっと減ってきております。これは自販機規制の効果がここに出てきているということでございます。しかし、自販機規制をしたから子供たちは酒を入手できないかと思ったら大間違いというデータも出てきております。というのは何かというと、スーパー・コンビニにおける購入がかなり増えてきております。したがいまして、自販機で買えなくても、スーパー・コンビニで買えるということでございます。
 その下の「表20」、ここからは、インフォーマルな規制、すなわち親の規制がどのような現状にあるのかということでございます。ここで見ますと、「飲酒で親から注意されたこと」が「ある」、「ない」で、「ない」を見ますと極めて高い数値、60%以上の数値を示しております。もっとも、これはお父さんお母さんと一緒に飲む機会、例えばお誕生日だとか正月だとか、そういったような特別の条件のもとで飲むような場合も入っておりますので、これを見て一概に、今の親はとんでもないというふうに結論付けられないと思います。その辺のところは御注意ください。
 以上が平成13年に我々が行った調査でございましたが、今度は「青少年と自動販売機等に関する調査研究報告書」にまいります。先ほども出てきました「1994年調査」というのは実はこれなんでございます。したがって、もう既に半分以上は説明しておりますが、もう一度説明させていただきます。
 「この一年間に酒類を飲んだことがありますか」について、「ある」という回答は、男子中学生の場合で50%、男子高校生では80%近く、女子中学生も50%弱、女子高校生も80%近くございます。
 「どの位の回数飲んでいますか」。これは先ほど示したデータにも御紹介させていただきました。
 「どこで飲みますか」。これも先ほどのデータでも御紹介させていただきました。
 それから、その次をめくりまして5ページ目、「どこで入手することが多いですか」。ここも先ほど御紹介させていただきました。
 その下、「自分で、又は友だちと飲むために、自動販売機で酒類を買ったことは、どの位ありますか」という質問ですが、これは、親とは関係無く、自分たちだけで飲むためにということでございますが、これがどれほどあるかと言いますと、「月に1回から3回」以上という回答を累積して見ますと、男子中学生で7%程度、男子高校生になりますとこれが24%、そして女子中学生では3%から4%、女子高校生では10%程度、この位は、自販機でお酒を買って、自分たち仲間だけで飲むという行為を月に1回以上はしているそうでございます。しかし、酒の自販機がなくなったからといって、こういう行為が少なくなるであろうと見ることはできません。コンビニが未成年者の飲酒をフォローしているかもしれませんから。
 どうしてかと申しますと、「なぜ、自販機で酒類を買うのですか」ということに対する理由として一番多いのが、「簡単に買える」ということでございます。コンビニは、自販機から比べるとそれほど「簡単に買える」わけではないですけれども、やはり、かごの中に他の商品と一緒に入れてレジに持っていけばいいわけですから、「簡単に」ということに関しては、コンビニもそれなりに「簡単に買える」購入場所であると言えます。それから、夜間に買えるということもございます。調査結果によれば、夜11時以前大体9時、10時台に買うというパターンが多いのですが、もちろんコンビニでは9時、10時台にも当然買えますし、11時以降でも購入することは可能であるということでございます。
 6ページ目に行きます。先ほど、子供の飲酒について親が注意しないというふうに言いましたけれども、他の大人たちはどうなのかということで、「自動販売機から酒類を買おうとして、大人から注意されたことがありますか」という質問でございますが、これは、「ない」という回答がほとんどででございます。特に、高校生では約99%は注意されたことが無いと回答しております。もちろん購入現場を大人に見つからないということもあるかもしれませんけれども、街を歩いている大人も多数いるはずでございますから、したがって、この注意されたことの無い99%については、「大人が見ていても関係無い」というふうに思っていると解釈してくださって結構だと思います。
 それから、「自動販売機から酒類を買おうとして、人が見ていたので買うのをやめたことがありますか」ということについては、これはまさに今申し上げたとおりで、大人が見ていたらためらうかどうかということですが、これもほとんどが「いいえ」という結果です。中学生でも80数パーセント、そして高校生では90%が「いいえ」という回答です。ここで注目したい点が、男子と女子との差異がほぼないということです。つまり、女子は、酒を飲むということに関しましては男子よりその頻度は少ないかもしれませんが、かなり確信犯的であると、このようにお考えくださいませ。
 次、「昼間だと自動販売機でも酒類は買いにくいと思ったことがありますか」という質問ですが、ここでは幾らか男子と女子の違いがあります。女子の方は、やはり昼間からだと買いにくいという結果が、ここでは出てきております。
 それから、「酒類を飲んで、親に注意されたことがありますか」ということで、「いいえ」という回答率が、やはりかなり高い数値となってございます。ただし、先ほども申しましたように、この場合、親と一緒に飲むということも多いかと思います。
 以上でございます。こうした実情から伺えるのは、ここでは喫煙の実態に関しては出てきておりませんが、喫煙と比較して、飲酒の方が経験率は高い、こういうふうに言えます。それと同時に、お酒に関しては、喫煙以上に、親も含めた世の中の人たちのインフォーマルな統制というものが弱い、いわば「寛容である」ということが言えるかと思います。
 次にまいります。7ページ、酒類の自動販売機利用と非行・不良経験等との関連でございますが、これはお酒を飲んだということではなくて、お酒を自動販売機で買ったということの違いでございます。したがいまして、親と一緒に飲むというパターンよりも、むしろ仲間うちで、しかもお金を出して買ってきて飲むといったようなパターンでございますので、その辺は、単に「お酒を飲んだことがある子供たち」から、さらに限定されているというふうにお考えくださいませ。
 「暴行」の経験がある者のうち、自動販売機利用「あり」の者、「なし」の者は、男子中学生でそれぞれ61.5%、47.4%、男子高校生では29.6%と16.2%、女子中学生では23.1%と8.4%、女子高校生では7.3%と0.9%と極めて明確な違いがここで表れております。「恐喝」においても、御覧のとおりの数値。「自動車・バイク窃盗」、ここにおいても御覧のとおりの違い。「万引き」もこのように違ってきております。「ナンパ」の場合もかなり違ってきておりますが、とりわけ、女子中学生の場合に23.1%と0.5%とものすごい違いです。「深夜徘徊」、この辺もかなりの違いが見られます。「怠学」、これも違ってきております。「無断外泊」、これも違ってきております。したがいまして、このような非行・不良行為、逸脱問題行動と酒類を自動販売機で買って飲んだことがあるという子供たちの関係にはかなりの相関性が見られる、このようにいうことができるわけでございます。
 その次、8ページでございます。これは、社会安全研究財団委託研究報告書、私が代表を務めまして、元科学警察研究所の内山さんという方を中心にやった研究でございますが、これにも似たような数値がございましたので、ここにお示した次第でございます。
 一番下の表、「飲酒に対する親の態度」、これを見てみますと、飲酒が「習慣になっている」、「なっていない」は関係なくて、「知っていても何もいわない」がそれぞれ20.5%、15.1%、「酒を飲むのをゆるす」がそれぞれ49.3%、33.3%と、こういった数値が出てきているということでございます。
 その次の9ページでございます。ここからは、また逸脱行動に関するデータに入らせていただきます。逸脱行動の1つのパターンとして、「友達と酒やビールを飲んだこと」が1年以内にあるかどうかを聞いております。次に、「アダルトビデオに接触したこと」、つまり、1年以内にアダルトビデオを見たことがあるかどうかを聞いてみますと、男子中学生でアダルトビデオを見たことがある者のうち、酒を飲んだ者は30.8%、見たことがなくて酒を飲んだ者は7.1%となっておりまして、男子高校生では、アダルトビデオを見たことがある者については、見た数がかなり違っていましたので10本以内と11本以上に区分しておりますが、「見たことがない」と過去1年間で「10本以内」と「11本以上」ということで見ていきますと、それぞれ31%、67%、79%と、かなりの違いがございます。女子中学生の場合でも、見たことが「ある」「ない」で、結構違っておりますし、女子高校生でもそれぞれ51.4%、77.4%と、これもだいぶ違ってきているということが分かります。したがいまして、ここで、お酒とアダルトビデオの視聴経験についても相関があるということがいえます。
 次の10ページ、今度は先ほどと同じ「友だちと酒やビールを飲んだこと」と「ポルノコミック接触経験」との関係を見てみました。ここでは、「現在ポルノコミックを読んでいる」、「過去に読んだことがある」、「いまだかつて読んだことがない」という3つに分類にしております。この3分類で見てみたとき、男子中学生の場合で、「現在読んでいる」者のうち、酒やビールを1年以内に飲んだことがある者は44.7%、以下「過去に読んだ」27.0%、「読んだことがない」12.6%、男子高校生では、それぞれ71.8%、66.6%、25.3%、女子中学生では、42.9%、28.2%、10.7%、女子高校生は、71.8%、66.3%、41.5%と、これもかなりの違いが出てきております。
 11ページ目、テレクラなどの電話経験でございます。「友だちと酒」という項目がございますが、これはつまり、テレクラに電話をかけたことがあるという電話経験者と非経験者それぞれにおける「友達と酒を飲んだことがある」者の割合というのを出してきたわけです。そういたしますと、男子中学生では、テレクラに電話をしたことがある者、電話経験者のうち、友達とお酒を飲んだことがある者は61.1%、それから非経験者では15.4%、男子高校生ではそれぞれ91.4%と58.2%、女子中学生では46.9%と10.1%、女子高校生では71.7%と37.1%というふうになっております。以上、アダルトビデオ、ポルノコミック、そしてテレクラの電話経験等々、こういう性的な逸脱行為と飲酒経験というのも、極めて相関性が高いということが分かるわけです。
 その下になりますが、今度は、「友だちと酎ハイやビールなどのアルコール類を飲んだこと」と、携帯電話の所有についての関係になります。これは平成12年ですから、今から3年、4年位前の調査でございます。まだこの頃は、中学生で携帯電話を持っている割合というのは非常に低く、高校生でも半分程度だったでしょうか、ちょっと記憶があいまいですが、そんなようなところでしたので、携帯電話所有者については、流行の先端を先取りする、単に携帯電話を持っているというだけではなくて、流行の先端を先取りする子供たちというふうに我々は位置付ける場合がございます。ここでも、男子所有群では、「ある」という回答が76.7%を占め、非所有群では47.8%となっております。また、女子の場合は、所有群が70.5%、非所有群が36.2%と、このようになります。今、高校生について携帯電話の所有・非所有でもって調査をしたとしたら、恐らく、そんなに所有者・非所有者で差異は出てこないと思います。ところが、中学生について、携帯を持っているかどうかで調査をしたら差異は出てくるはずですし、こういう結果になるかと思います。
 次、最後のページ、これは「青少年の人間関係に関する調査研究報告書」として、やはり社会安全研究財団助成調査研究報告書から出されました。また同時に、この研究報告書に基づきまして、「季刊 社会安全」の2002年10月の46号に私が書いております。したがって、この2つのどちらを御覧になっても良いということですけれど、数値がはっきりしておりますので、下の方、「社会安全」の方を御覧になっていただければと思います。
 「ヨソ様視行動群」と「ヨソ者視行動群」というふうに、私は分けました。これは、バスや電車の中、駅のホーム、道を歩いているときなどに、第三者、すなわち全く知らない大人たちをどのように見ているのかということで区別しております。
 大人たちに見られて恥ずかしいとか、見られていることをすごく意識するとか、そういったような意識を持っている人。それから、バスや電車の中などマナーを必要とする場所でも平気で携帯電話を使用したり、それから、足を開いて座ったり、通路で地べたに座りこんだりといったように、人の行動なんて関係なくて、自分たちでやりたいようにやっている人。そういった人たちの行動を点数化いたしました。点数化したうえで、そういうマナーを知らない、第三者のいる公衆の面前でマナーを無視する者を「ヨソ者視行動群」、そしてマナーを気にする者を「ヨソ様視行動群」と、こういうふうにいたしました。そして、これと飲酒経験との関係を見たところ、中学生男子で、ヨソ様視行動群のうち29.9%、ヨソ者視行動群のうち77.3%、中学生女子ではそれぞれ39.0%、77.4%、高校生男子で44.5%、83.6%、高校生女子で51.9%、94.7%となり、問題行動、逸脱行動だけじゃなくて、このようにマナー行動、人様を無視するような行動、そういう行動においても相関関係が見られるということが分かった次第でございます。
 最初のページを御覧くださいませ。ちょっとまとめていきたいと思います。
 「*」印の部分だけを見ていきたいと思いますが、飲酒に対しての寛容文化は大人だけでなくて、青少年にも浸透しているということです。
 それから、その次の「*」印。中学生女子で1割、中学生男子で約2割、高校生女子で約3割、高校生男子で約4割は、常習的にお酒を飲んでいると推測されるということでございます。
 それから、その次ですが、自宅に酒があって、自宅で親と共に飲んでいるという群と、友達と飲むという群に分けられそうである。もしくは、買ってまで飲む・店に行ってまで飲む群とそうでない群に分けられそうであるということです。
 それから、その下、親や他者というインフォーマルコントロールも飲酒の抑止力にはなっていないということ。
 さらにその次、「青少年の飲酒と逸脱行動」におきましては、そのまとめといたしまして、「飲酒と他の逸脱行動とは相関関係にある。ただし、因果関係を説明するものではない」ということです。これは相関関係と言うと、すぐに因果関係を有すると読み取ってしまう方もおりますが、そうではありません。「お酒を飲むから逸脱する、逸脱するからお酒を飲む」という因果の関係ではございません。むしろ1つの享楽志向的・逸脱的な青年文化の中の1つとして飲酒が含まれているということでございます。もちろん喫煙も含まれているし、万引きだとか、学校をサボること、深夜徘徊も含まれているわけでして、こういった逸脱的な青年文化の中に含まれるものの1つが飲酒であると、このように理解できるのではないかということです。もしくは、これは私の言葉になりますが、青春を満喫する過程、若いときは少しぐらい逸脱してもいいといったような、疾風怒濤の時代、これはもう、ヨーロッパは19世紀からずっとそれなので、若いことに価値がある、もう、じいさんもばあさんも価値がないと。それは若い人だけが思うんじゃなくて、お年寄りまで、シルバーシートにどうぞと言ったら、ばかにするなという、そういう発言をして当たり前だと思っているような社会、お年寄りを尊敬するんだから、お年寄りにどうぞと言って、ばかにされたと思うはずがないにもかかわらず、お年寄りがばかにするなという発言をするような、そういうのを青春満喫時代精神というのですか、そういったようなプロセス、またはそれに伴った逸脱のプロセスの中の1プロセスとして飲酒というものがあると、このように理解してよろしいのではないかと思います。したがって、未成年者の飲酒に対する規制を厳しくするということは、飲酒をきっかけにして、ほかの逸脱行動についても厳しくするということですし、他の逸脱行動等を厳しく規制していくということは、間接的に飲酒についてもより厳しく規制するということになってくると思います。だから、飲酒だけを規制するということは、私は効果はそう余りないのではないかという気がします。
 最後に【3】ですが、まとめさせていただきます。
 実は私もほぼ同じ意見ですが、清水新二さんという方が、日本の社会学界においてアルコールを扱っている人としては今第一人者なんですが、『アルコール関連問題の社会病理学的研究』という分厚い本をお書きになっております。ここのまとめの内容については、その中にも出てくることですが、日本の飲酒文化についてどのように位置付けているかというと、まず、欧米各国と比べてみますと、飲酒に非常に寛容な文化であるというふうになっております。それから、もう一つは、酒を飲むことに寛容なだけじゃなくて、酔うことにも寛容な文化、つまり「酔っ払い天国」というのでしょうか、酔っ払いに寛容な文化であるということです。ここまではだれでも言っております。それでは、日本は酒に対して極めてふしだらかというと、彼はそうではないと、こう言いました。どういうふうにふしだらでないかというと、日本はほかの国に比べて「酒の飲み方にうるさい」という文化を有する国である、こういうふうに言っております。さらに言いますと、日本人は酒を飲むのではなくて、飲ませていただく、つまり自分でつぐのではなく、相手につがせていただくんです。相手がついでくれたら、初めて飲めるわけです。しかし、それが逆機能で、「俺の酒が飲めねえのか」なんて言う馬鹿な奴が出てくることもございますけれども、そこはもう、つがせていただくわけですから、相手についでいただいて、やっと飲める資格が出てくるという、そういう文化があるわけです。欧米の場合は、自分でついで自分で勝手に飲みますから、人がどうであろうと、自分が飲みたけりゃ飲む、飲みたくなかったら飲まないというふうに、第三者との関係なくして飲むという、非常に個人主義的な傾向があります。
 そして、青年期に、こういう日本の酒の飲み方について学ぶ、飲酒に寛容な文化だけでなくて、酒の飲み方について学習する文化があるということでございます。ところが、残念ながら、この学習文化が崩壊してきております。この崩壊は戦前から既に始まっておりますけれども、具体的には、まず異年齢集団での飲酒がなくなっていきます。つまり大人の人、じっちゃん、ばあちゃん等々と一緒に青年が飲むということがなくなります。異年齢集団といっても、二、三歳年が離れた程度の先輩と一緒に飲むのは、異年齢集団での飲酒とは言いません。この場合、ほとんど同質の者のグループでございますので、先輩と一緒にとか言いながら飲んでいるのは、同年齢集団で飲んでいるということでございます。このように、異年齢集団ではなく、同年齢集団で飲むようになってきております。それから、酒の飲み方の個人主義化、すなわち、飲みたければ飲んでいい、飲みたければ自分でつぐ、人には関係なく自分は飲むといったような変化がございます。
 そうなってきますと、日本の飲酒文化、これには大人の飲酒文化も含みますが、典型的には青少年の飲酒文化、もしくは若い人たちの酒の飲み方というのは、「酒に寛容な文化」という伝統をそのまま引き継ぎ、「酔うことに寛容な文化」もそのまま引き継いだ上で、さらに、「飲み方に寛容な文化」が生まれてきております。こうなってくると、「酒の無秩序化・逸脱化」というものが明確に出てくることになります。では、飲み方にうるさい文化だけ復活させることができるかというと、これは無理でございます。したがいまして、やはりある程度トータルに規制していく必要がこれからは出てくる、つまり飲み方の分からない者に対しては、やはり厳しく扱わなくちゃならないと、こういうことでございます。
 以上でございます。

田中座長代理
 どうも、矢島先生、大変示唆にとんだお話をありがとうございます。
 それでは、メンバーの皆さんから、御質問なり御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。どなたからでも。
 岡本先生。

岡本氏
 非常に楽しい話をありがとうございました。なるほどなと思うところがたくさんありました。
 今伺っていると、結局、青少年でお酒を飲んでいる人たちというのは、ほとんど自覚症状がないといいましょうか、そこを責めても仕方がないような部分があるというふうに受け止めました。それでは、どうすればいいのかなというところで、行き着くところというのは、「販売する側」といいましょうか、まあ、家で飲んでしまう分は仕方無いわけですけれども、外で飲む又は買う場合ですね、自動販売機とかでの購入も含めて、そういった「販売する側」に対する圧力というか、そこに対して何かを働きかけるということが一番効果的なのかなと。何をやっても効果がないと言われればそうなのかも分かりませんけれども、これが一番効果がありそうかなと思うんです。先ほどの御説明にも、販売のところで、もし違反があれば適正な処分を行うという、何か怖い言葉で言っていましたけれども、そういうところに行き着くのではないかという気がするんですけれども、矢島先生、いかがでしょう。こういう、業者に対してかなりの責任を負わせるような方向性の法律強化と言いましょうか、そういうことは良いことなのでしょうか。

矢島氏
 それについては、私、半分賛成で、半分反対なのでございます。大体行政というのは締め易いところを締め、締めにくいところは締めない。業者を締めてもマスコミにはたたかれませんけれど、親がだらしないから親を取り締まれなんて言ったら、マスコミにたたかれますよ。だから、それはよく分かります。しかし、業者だけを取り締まっても駄目だというのが私の見解です。一方、社会学では、スケープゴート論というのがございます。業者を厳しく取り締まることによって、世の中の大人も含めて、もちろん子供たちに対して、「酒に関しては近ごろ厳しくなったんだ、やかましくなったんだ」という警告を発することができるんです。それに関しては非常に効果があります。したがいまして、どんどん業者を取り締まって、子供たちにも「最近やばいぞ」と思わせる。そういうやり方も、やり方として十分効果はあるということでございます。これは、たばこに関してですが、子供の喫煙はやめましょうなんて一言も言わないで、「癌になるぞ」等々の警告で脅かすことによって、子供たちへの効果はてきめんだったわけですが、これと同じことが言えるかと思います。

岡本氏
 すみません、今のところと関連して言いますと、欧米の法律、例えばお酒についての法律なんかでも、飲酒禁止という内容の法律は、実は比較的少ないんですね。飲むこと自体が禁止されているということはほとんどなくて、それよりも製造、販売、これを禁止するという内容の法律の方が非常に一般的なんですね。ですから、日本の場合、現状未成年者の飲酒自体を禁止しているものの、これはあってなきがごとしのような調査結果が出てきておりました。やはり製造側、販売側といった方を規制のターゲットにするということが世界的な流れだと思います。日本がどうなるか分かりませんけれども、それも1つの方向かなと思ったりもするんですが。

矢島氏
 それはたばこについても、警告表示をもっと厳しくやれと、今、日本は批判されております。しかし、これは今回の私の報告の中心をなす部分ですけれども、規制の強化と同時に、飲酒にしろ何にしろ、やはり、「俺たちの自由だ、少しぐらいなら許されるだろう」といった考え方は、もう通用しないんですよということを、それは飲酒に限らず、例えばマナーであっても、マナー違反の子供に対してはマナーを身に付けなさいということをきちんと指導していかないとまずいのではないかなと、指導の一環として、未成年者の飲酒についてもきちんと対応しなくてはならない、そのように思うわけです。
 それから、もう一つ言わせていただきますと、「未成年者」という言葉、この言葉がここでは非常に頻繁に使われているわけですけれども、実は「お酒は18歳を過ぎるともう飲んでもいい」というふうに思っている子供がかなり多いんですね。したがって、大学生になったらお酒を飲んでいいとばっかり、皆思っているわけです。それで「大学生なのに何でいけないの」と聞いてくるわけですが、「未成年者は20歳未満の者のことだよ」と言うと「へえっ、18歳じゃなかったの」といった感じで、大学生ですらそのように答える始末ですから、「未成年」というのは「20歳未満」だということをしっかりと子供たちにも浸透させていく必要があるのかと思います。

田中座長代理
 どうもありがとうございました。
 ほかに、御意見、御質問ございますでしょうか。
 それでは、矢島先生はまた引き続きこちらにいるわけですから、またいろんな機会をとらえて、先生のお話をお伺いするということで、今日はどうもありがとうございます。

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