ここから本文です。

ホーム活動報告・発表・統計審議会・研究会等>【第7回 酒類販売業等に関する懇談会】 議事録(2)

【第7回 酒類販売業等に関する懇談会】 議事録(2)

奥村座長
 わかりました。ありがとうございました。
 事務局の方からは、後から加わっていただくことにしますので、山下先生から先にお話いただけますか。

山下氏
 先ほどの奥村先生のおっしゃった経済的規制ということですが、これは、経済学の方では一定の意味が自動的にあるのかなと思いますけれども、従来恐らく中心に考えられていたのは、まさに免許によって参入を人為的に制限するような規制だったと思うのですけれども、そういうのは規制緩和でどんどん撤廃されているわけです。しかし、経済的規制ということは、我々法律家が考えるともうちょっと広い意味があって、例えば、今日の取りまとめで言うと、酒税の確保の観点と公正取引の観点というのも恐らく社会的規制では必ずしもない。少なくとも未成年者への販売について何かいろいろ規制を加えるというふうな、狭い意味での社会的規制では違うのではないかと思うので、そこらは奥村先生の問題意識に即して考えれば、経済的規制というのも何を意味しているのか、もう少しこのレポートで整理された上で社会的規制と記載されれば、読んでいる人もわかりやすくなるのではないかなと思います。

奥村座長
 ありがとうございました。
 今、非常に私自身も勉強させていただくコメントをいただいていますので、また少し山下先生からお教えいただきたいこともありますが、須磨先生、先にお話いただけますか。

須磨氏
 いえ、先生のおっしゃるとおりだなと思って聞いておりました。

奥村座長
 今、ほかのことではよろしいですか。

須磨氏
 やはり、その整理面で同じように思っています。

奥村座長
 はい、わかりました。
 先に山下先生からのコメントについてなのですが、私が「経済的規制」と「社会的規制」にちょっとこだわってしまったのは、基本は今、資本主義経済、市場経済を国民が選んでいるとしますと、もう政府の役割はできるだけ小さくして、価格メカニズムで需給調整をしようと考える。そのときに市場経済だけで、価格だけで調整すると、人間の幸福にとって十分ではないと。あるいは弊害をもたらすと。そういうのが出てきたときには政府が入っていきましょう、規制しましょう、という経済の考え方でいきますと、どうしても「社会」という言葉を、何か文化だとかですね、よくこの場で出てきたコミュニティとか、そういう方へ「社会」という言葉を割り当てている。「経済」という言葉は、市場経済のメカニズムの中で価格で需給調整できるところを経済でとやっておりまして、もし、情報がうまく消費者に伝わらないので、したがって需給調整価格だけでは不十分であると。そういう情報の問題をとり入れてきますと、それでは情報が公正に消費者に行くように、政府が一種情報の義務づけをしましょうとか、あるいはチェックをしましょう、そういう情報規制はあっていいのではないか、みたいな方へ経済的規制を持っていくんですよね。それで、それに対して社会的規制と出てきたので、それではこれでは経済の次元の話ではなくて、文化とか、価値とかですね、経済外で人間の幸福にかかわってくるところ、それをもう「社会」という言葉で何か置きかえているのかな、みたいに初めとってしまったのですよ。それで、私の質問事項になって参りましたけれども、これはもう経済学のところにしがみついてしまったからそういうコメントなので、国民の方が、あるいはお酒にかかわっていらっしゃる方がこのレポートをお読みになるときに、「社会」という言葉をここのレポートでまさに表していらっしゃるように捉えているから、あまり経済的規制にしがみつく必要はないということであれば、それで結構だと思いますし。ちょっと事務局の方から、何かお考えご披露いただけますか。

大西審議官
 これはかなり難しい話なのですが、実はこの紙の10何ページにありますが、「社会的」という言葉は何回か使っております。最初に出てまいりますのが「社会的責任」という、今やっているところではないので恐縮ですが、前の方でございますが、5ページのニのところに「社会的責任」という言葉がございまして、その5行目あたりに「酒類の特性を踏まえた社会的要請」先ほど紹介しましたが、7つ書いてございます。「社会的要請」という言葉は、責任があって、その具体的サブスタンスは社会的要請であるということです。よくごらんをいただきますと、品質安全性など、今の消費者情報という話から自由公正な取引の実現、6は酒税の確保もここに書いております。ここが1つ出てくる箇所でございます。
 それから、先ほどの9ページ、いわゆる免許目的を酒税の保全、あるいはいわゆる事前的な参入抑制のような形での経済的規制である販売業免許、そういう点がありますから、それに加えて社会的規制目的でのという、それで講学上で論じると問題があるかと思うので、ここに「社会的規制」という言葉を使っておいて、10ページから社会的観点からのとしています。販売管理の話というのは、やはり社会的要請の一番ある意味では大きなものを踏まえた販売管理でありましょうが、実はそれをいきなり社会的規制からの手当てということですと、何かがんじがらめに縛るような感じがするものですから、そこで苦し紛れに観点と多分使っているのだと思います。
 それで、その中身は社会的規制として、あるいは社会的観点から、社会的要請として求められるもの、一番代表的なものがこれであるという位置づけをして、あとはそれぞれ言葉の水準を(1)から(4)まで観点ということで書いております。また、9ページから10ページへ流れる関係で、社会的観点からの手当てというのが一番最初に出ているのですが、今もお話がありましたように、ややここの(1)、(2)、(3)、(4)の順番の置き方は、その前の9ページまでのところとの関係、それから4での法的規制などを考えた場合の並びとちょっと悪いのかなという気もしております。
 それで、今の経済的規制とは何か、それから社会的規制とは何かという話なのですが、ここで何らかの要請を加えるとした場合に、経済的規制的な機能のあるそのものについても、例えば「社会的要請」とか「社会的責任」という言葉を使うのは許されるのだろうと思います。
 それから、一方、規制緩和の世界で言われている経済的規制をできるだけ縮小していくべきだという意味における経済的規制というのは、参入抑制的な免許制度という意味ですから、ある意味ではギリギリと定義をいたしますと、「経済的規制」と一般に言われるものと「社会的規制」と言われているものが少し重なっているところがあるというようにお考えいただいた方がいいのではないかと。それはどちらからアプローチするかということで。それで、そう仮に仮置きさせていただいたとして、その上でどうやって書けば一番わかりやすいかというのが今課題であるというように受けとめております。
 ちょっと気になるのは、社会的というのがいっぱい出てきて、何でも社会的と言えばいいのかというように言われることがつらいのと、それから「社会的規制」とか「社会的要請」という言葉を使うのは、経済的規制でないということをことさらに言うためだろうというようにも思われますので、その辺は、さっきご指摘いただきましたような、今の経済的規制をできるだけ規制を緩和してというところと、ここで言っている社会的要請なり社会的規制というのはどういうものなのかというのは、改めて整理をしてみたいと思います。

奥村座長
 そうですか。最後に今審議官がおっしゃったことが出てまいりますと非常にわかりやすくなってくると思いますが、ではちょっと白黒をつける意味での整理なのですが、従来の規制については、例えば、市場に任せておけばいいようなところまで規制を加えていた嫌いもあるので、それについては今の政策の流れから縮小していく方向で今進行しております。それをあえてブレーキをかけるつもりはないけれども、もちろん情報の問題とか外部経済の問題で市場経済で扱えないところについては、規制を新たに考えたりする必要はありますが。
 そのことと別の次元で社会的な問題というものも発生してきているので、これについては、言葉遣いではあえて社会的規制という言葉遣いをして、具体的な手当てについては経済的規制と少しダブるところもあるのだけれども、目的というか、規制のねらいというのが、社会的問題の発生に対して手当てをしておくということで、「社会的規制」という言葉遣いをいたします。そういうことで整理しておけばよろしいでしょうか。
 もしそうだとすると、この今度お書きいただくレポートで、10ページの頭のところにちょっと位置づけを明確にしてくださって、さっき山下先生がいいコメントをくださっていますので、少し何行か導入部分があって、その後に(1)社会的観点からのと出てくると抵抗が少なくなっていくでしょうか。
 山下先生、そういう考えでよろしいですか。

山下氏
 はい、どうぞ。

須磨氏
 おっしゃることはとてもよくわかって、一つだけ言葉の質問をさせていただきますけれども、その社会的な要請に沿った経済的規制ではないのでしょうかね。

奥村座長
 それは少し、例えば、社会的ないろいろな問題が出てきて、私の言葉遣いでは、コミュニティが壊れてしまうと、市場の効率性だけで人間の幸福は確保できません。今、具体的には多くの県庁所在都市へいらっしゃいますと、地元の商店街がクローズ、クローズで、半ば店を閉めているところが多くて寂れているわけですね。その理由を聞くと、どうしても東京資本の大型小売店が郊外に出てきて、客を自分たちのところから奪っていってしまっていてという話が出てきていて、これまで地元の商店街の核になっていた酒屋さんとかお酒をつくるところがなくなって、コミュニティがなくなってしまう、というお話が出てまいります。そうすると、それが経済効率性を追いかけていくとそういうことが自然に引き起こされてくるのですが、ではそれを中長期的に続けてしまうと、地元に住んでいる人たちにとっては必ずしも幸福ということにはなってこないわけですよね。
 それに対して、経済学の方で今、従来の経済学の考え方だけでは人間の幸福は確保できないので、文化とか社会を考えた経済学の体系というのを人間のコミュニケーションとかといったのを入れてきてつくろう、という動きがあるのですよ。それで、そのときには盛んに社会というのが出てまいります。そうすると、ではコミュニティを維持しよう、という政策目的のためにどういう経済政策を展開するか、経済的規制を加えるかというところになってまいりますので、そこで重なってくるところが出てくるのですが、ゴールがですね、ただ消費財は安い値段であればいいとか、ただ企業は株主資本の利益率を最大にすれば良いとか、そういう経済的目標だけではないというところから発してくるのです。経済学の方ではそんなような今動きになってきて、盛んに文化とか社会を取り込んだ経済学という走りがあるのですけれどもね。

須磨氏
 質問の意味なのですけれど、酒税法に経済的規制を考えるときに、社会的なさまざまな要因を加味した上で考えるということではないのかなと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。

奥村座長
 今までの酒税法で何かそのあたりを明確に概念化していますか。

若尾酒税企画官
 制度上はそれはありません。免許に社会的規制の意義があるとしてもそれは、付随的についてきたということではないかと思います。

大西審議官
 本来概念論ですから、一度きちんとワークシートをつくって、その上で説明すべきものだと思いますので、ちょっと正確でなければ後で訂正させていただきたいのですが、酒税法上、酒税の保全という体系で販売業についても免許がございます。免許がございまして、例えば、需給調整要件というのがあるわけですが、規制緩和はされてもその規定は残っているわけです。ということは、その意味における酒税の保全上というのは、ある意味で立派な経済的規制であります。したがって、規制緩和が進んだ後であっても、経済的規制としての酒税の保全上の決まりというのはあるのですね。
 ここで、9ページのところに「である販売業免許の」と言っておりますのは、そういう意味も少しはあるのだろうと思いますが、もともと酒税の保全上の目的でつくられている販売業免許というものは、経済的規制の性格があって、それに更に以下で述べるような販売管理などを中心とする狭義の意味での社会的規制目的を加えるという意味にしております。今、須磨先生がおっしゃったような意味での考え方は、それはそれで正しいのだろうと思います。
 ただ、ここで論じられておりますのは、もともと経済的規制というものと社会的規制というものを峻別して考えるべきなのか、その場合に経済的規制というのはどこまで定義をして、それに、それとはいわば経済的規制から社会的規制の方に少しウエートを移そうとか、重点を変えるべきではないかというような議論もありますから、その場合、そうすると経済的規制というのをきちっと定義して、そうではない違う方へ行くのだというふうに論じなければいけないのではないかという、いわば概念論の整理だと思うのですね。ですから、そこはいろいろな言い方がありますので、少し整理をさせていただいて、わかるようなものにしたいと思います。

本間氏
 消費者としてのごく素朴な目から見ますと、この今後の手当ての必要性というところは非常にわかりにくいのです。今お話を伺っていて私なりに整理してみたのですが、非常に乱暴な分け方なのですが、奥村座長のおっしゃったように、市場経済に任せると、そして、価格調整だけで済むのかという問題が生じてくるわけですね。それで、私はそこが経済的規制、規制とは言いませんけれども、ものであって、その価格調整をあくまでも潤滑に、あるいは人間の見地から幸せに動かすための規制ではなくて枠組みづくりというのが、社会的観点あるいは社会的規制の方に全部入ってくる、この2つに分けられると思うのです。ですから、経済と社会というふうに分けて考えますと、非常にわかりやすくなってくるのではないかというように今思いました。
 そして、先ほど井岸先生のおっしゃったことが、お分けになり方、4つに分けられるとおっしゃったことが非常に私にはわかりやすかったのですが。

←前ページへもどる

次ページへつづく→