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ホーム活動報告・発表・統計国税庁レポート2013年度版(HTML)3 適正な調査・徴収>1 適正・公平な税務行政の推進

3 適正な調査・徴収

1 適正・公平な税務行政の推進

職員をバランスよく配置し、不正な税逃れには厳正な調査を実施

 国税庁は、適正かつ公平な課税を実現するため、限られた人員等をバランスよく配分し、大口・悪質な納税者に対しては組織力を最大限に活かした的確な調査を行う一方で、簡単な誤りの是正などは簡易な接触を組み合わせて行うなど、効果的・効率的な事務運営を心掛けています。
 特に不正に税金の負担を逃れようとする納税者に対しては、様々な角度から情報の分析を行い、調査対象を選定し、厳正な調査を実施することとしています。

税務調査等の件数の表

システムを活用した調査選定、資料情報の効率的な収集体制を整備

 具体的には、KSKシステムを活用して、データベースに蓄積された所得税や法人税の申告内容や各種資料情報などを基に、業種・業態・事業規模といった観点から分析して、調査対象を選定しています。なお、資料情報については、適正・公平な課税を実現するために必要不可欠なものであることから、活用効果の高い資料情報を効率的に収集するための体制を整備しています。

調査1件当たりの申告漏れ所得は申告所得税で841万円、法人税で914万円

 税務調査は、納税者の申告内容を帳簿などで確認し、申告内容に誤りがあれば是正を求めるものです。特に悪質な納税者に対する税務調査には日数を十分かけるなど重点的に取り組んでいます。
 実地調査で把握した1件当たりの申告漏れ所得金額は、平成23事務年度においては、申告所得税は841万円1、法人税は914万円となっています。

 注釈

  1. 1 実地調査のうち、特別・一般調査に係る金額です。

実地調査で把握した申告所得税・法人税の1件当たり申告漏れ所得金額のグラフ

(1) 調査において重点的に取り組んでいる事項

資産運用の多様化・国際化を念頭に置いた調査を実施

 高額な所得が見込まれるが申告額が過少であったり、そもそも申告を行っていない者などについては、資産運用の多様化・国際化も念頭に置いた上で調査等に取り組んでいます。

海外資産等の申告除外を把握した事例

  •  会社役員は、自身が海外に所有するコンドミニアムの賃貸料や海外に開設した銀行口座から得られる多額の預金利息を申告から除外していた。
  •  相続税の申告から除外されていた海外預金を、海外の税務当局との情報交換によって把握した。

十分な審査と調査等により、消費税の不正還付申告を防止

 消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、国民の関心が極めて高く、一層の適正な執行が求められています。特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得ようとするケースも見受けられるため、還付の原因となる事実関係について十分な審査を行うとともに、還付原因が不明な場合には、調査等により接触し、不正還付防止に努めています。

消費税の調査状況のグラフ

悪質な消費税不正還付事例

  •  帳簿等を改ざんし、国内売上を輸出免税売上に仮装する手口で不正に消費税の還付を受けていた。
  •  事業者が支払う人件費は課税取引とならないが、関係会社(人材派遣会社など)からの派遣であると偽ることにより、課税取引である外注費に仮装して不正に消費税の還付を受けていた。
  •  帳簿等を改ざんし、賃貸借処理をすべきリース契約について売買処理を行うことにより、リース資産を自社の固定資産として計上し、不正に消費税の還付を受けていた。

調査手続の遵守

 平成23年度税制改正において、納税環境整備の一環として国税通則法が改正され、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるなどの観点から、調査手続について従来の運用上の取扱いが法令上明確化され、平成25年1月から施行されています。
 国税庁では、国税に関する納税者の利益の保護を図るとともに、税務行政の適正な運営を確保する観点から、国税通則法に定められた調査手続を遵守していきます。

納税者の主張を正確に把握し、適正な課税処理を遂行

 税務行政に対する信頼を確保するためには、課税が正しい事実認定の下、適切な法令解釈あるいは法令の適用がなされていることが重要です。
 このため、あらゆる事案において、常に、納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて十分に法令面の検討を行った上で、適正な課税処理を行うよう努めています。その際、確実に法令要件が満たされているかなどを確認するための手続・手順の遵守を徹底しています。

(2) 資料情報

的確な調査・指導に活用するため、あらゆる機会を通じて資料情報を収集

 国税庁では、税法などの規定により提出が義務付けられている給与所得の源泉徴収票や配当等の支払調書などの法定調書のほか、調査などの際に把握した裏取引や偽装取引に関する情報など、あらゆる機会を通じて様々な資料情報の収集を行い、的確な調査・指導に活用しています。
 また、近年の経済取引の国際化、高度情報化、広域化等の進展や不正形態の変化に常に着目し、新たな資産運用手法や取引形態に関する資料情報を積極的に収集しており、海外投資や海外企業との取引に関する情報、インターネットを利用した電子商取引などの資料情報の収集に取り組んでいます。

資料情報の収集枚数のグラフ

(3) 査察

悪質な脱税者の刑事責任を追及

 査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。その目的を達成するため、一般の税務調査とは別に、偽りその他不正の行為により故意に税を免れた納税者に、正しい税を課すほか、強制的権限を行使するなど犯罪捜査に準ずる方法で調査を行い、その結果に基づき検察官に告発し、公訴の提起を求めます。
 昨今の経済取引の広域化、国際化及びICT化により、脱税の手段・方法が複雑・巧妙化している中で、国税査察官は、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者の摘発に全力を挙げています。

平成24年度の脱税総額は205億円、うち告発分は175億円

 平成24年度においては、190件の査察調査に着手する一方で、前年度から引き続き査察調査を行っていた事件も含めて191件を処理し、そのうち129件を検察官に告発しました。脱税総額は205億円、告発事件1件当たりの脱税額は1億3,500万円となっています。
 脱税の手口としては、売上を除外するものが多く見られ、国際取引を利用し、売上を海外法人名義の預金口座に振り込ませて除外した事例もありました。また、脱税で得た資金は、現金や預貯金、有価証券などで保管されていたほか、海外の不動産を購入したり、カジノで遊興し費消していたものもありました。

査察調査の状況
  着手件数 処理件数 告発件数 脱税総額(うち告発分) 1件当たり脱税額(うち告発分)
  百万円 百万円
平成23年度 195 189 117 19,221
(15,686)
102
(134)
平成24年度 190 191 129 20,479
(17,466)
107
(135)

※ 脱税額には、加算税を含みます。

平成24年度中の一審判決では119件で有罪判決、うち3名に実刑判決

 平成24年度中に一審判決が言い渡された事件は120件で、うち119件の事件について有罪判決が出されました。平均の懲役月数は13.0か月、罰金額は1,600万円となっています。また、実刑判決は3人に出されました。実刑判決は昭和55年以降毎年言い渡されています。

査察事件の一審判決の状況
  判決件数
まる1
有罪件数
まる2
有罪率
まる2/まる1
実刑判決人数
まる3
1件当たり犯則税額
まる4
1人当たり懲役月数
まる5
1人(社)当たり罰金額
まる6
  百万円 百万円
平成23年度 150 150 100.0 9 120 15.3 23
平成24年度 120 119 99.2 3 76 13.0 16

※ まる3まる6は、他の犯罪との併合事件を除いてカウントしています。

(4) 税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組

事前の信頼関係の構築と調査の重点化

 我が国全体の申告水準の維持・向上の観点から、大企業の税務コンプライアンスの維持・向上は大変重要です。大きな組織を有する大企業の税務コンプライアンスの維持・向上のためには、組織の第一線まで税務に関する認識が高まるようコーポレートガバナンスの充実が効果的です。
 このため、国税庁としては、大規模法人の調査の機会に、税務に関するコーポレートガバナンスの状況を確認し、経営責任者等と意見交換を行い効果的な取組事例を紹介するなど、その充実に向けた自発的な取組を促進しているところです。
 今後は、税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好と認められる法人については、税務リスクの高い取引の自主開示を受けその適正処理を確認するという事前の信頼関係を構築した上で、調査の間隔を延長し、より調査必要度の高い法人へ調査事務量を重点的に配分するなど税務行政の効率化を進めていきます。