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第2 税務執行のあらまし

1 概説

 国税庁は、歳入予算の大部分を占める内国税の賦課徴収という税務の執行面を担当しており、その執行に当たっては、調査と指導の一体化、税務相談の充実、広報広聴活動の積極化を基本として運営している。

 すなわち、我が国は納税者が自ら申告し、納税するという申告納税制度を採っており、この制度を円滑に運営していくため、効果的な税務調査と情報管理を通じて納税者との間に適度の緊張関係を維持しつつ、納税者が申告と納税をするに当たり必要な事務手続や税務当局の法令解釈・取扱いを知ることができるよう、広報、周知に努めるなど納税環境の整備を図っている。また、租税収入を確保するため、租税債権を確実に管理するとともに、滞納処分を執行するなど的確な徴収に努めている。

2 申告納税制度

  1. (1) 申告納税制度と青色申告制度等

     申告納税制度は、納税者自身が行う申告により第一次的に税額が確定するという効果を認める制度であり、それが適正に機能するためには、納税者の自発的な納税意欲と、納税者が継続的かつ正しい記帳を行い、客観的な計数に基づいて所得を計算するということが基本的な前提となっているといえる。

     この制度は、昭和22年(1947年)に、アメリカ税制の強い影響の下に採用されたもので、それまでは、税務官庁の行政処分によって納付すべき税額が決定される賦課課税制度を採っていた。この新しい制度を日本に定着させるには、特に個人所得税の分野においてかなりの困難があったが、申告納税制度が導入されてから半世紀を経た現在ではかなりの定着をみているといえる。その背景には、1申告納税制度の基盤を築くために、昭和25年(1950年)に青色申告制度が創設されたこと、2昭和59年(1984年)には申告納税制度の一層の定着を図るため、白色申告者に対する記録保存制度、記帳制度、収支内訳書添付制度が設けられたこと、3これら制度の定着を図るため、税理士会、青色申告会等関係民間団体等の協力を得ながら、記帳方法等の指導を必要とする納税者に対して適切な指導に努めてきたこと、更に 申告漏れが多額であると認められる者等を対象として徹底した税務調査を行ってきたことなど、制度・執行両面からこの制度の定着に努めてきたことがあるといえる。

    (青色申告制度)

     申告納税制度が適正に機能するためには、納税者の継続的かつ正しい記帳がその基盤になければならない。青色申告制度は、このような基盤を築いていくため、昭和25年(1950年)に、シャウプ勧告に基づく税制の全面的な改革の一環として創設された制度である。

     青色申告制度は、事業等を行っている個人又は法人があらかじめ税務署長の承認を受けて、青色申告を行うことができることとし、このような納税者には、帳簿書類を備え付け一定水準の記帳を継続的に行うとともにこれを保存することが義務付けられる一方、青色申告者及び青色法人以外の納税者に比し税制上有利な所得金額の計算や取扱いが認められることを骨子とするもので、我が国の申告納税制度において中心的役割を担っている。

     現在では、青色申告制度は納税者の間に定着してきており、青色申告者は個人で495万人、法人で260万社を数えている(表7表8参照)。

    (記帳制度等)

     昭和59年(1984年)度の税制改正において、申告納税制度の定着と課税の公平の一層の推進を図るため、白色申告者に対しても記帳制度等が設けられた。その内容は、事業等を行う個人の白色申告者については、1取引に関して作成し、又は受領した帳簿及び書類を保存する(記録保存制度)、2事業等の所得金額が一定額(300万円)を超える者については、取引に関し簡易な記帳をしなければならない(記帳制度)、3確定申告書を提出する場合には、事業等の総収入金額及び必要経費の内容を記載した書類を申告書に添付しなければならない(収支内訳書添付制度)というものである。また、いわゆる白色法人については、帳簿を備え付けてこれにその取引を簡易な方法により記帳するとともに、当該帳簿並びに当該取引に関して作成し、又は受領した書類及び決算に関して作成した書類を保存しなければならないというものである。

     なお、記帳制度の適用者数(個人)は、平成15年(2003年)3月31日現在で66万人である(表9参照)。

  2. (2) 電子帳簿保存制度

     情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため、所得税法、法人税法、その他の国税に関する法律の特例として「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(平成10年7月1日施行)が創設され、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類について、一定の要件の下に電磁的記録等による保存等をすることができる電子帳簿保存制度が採用されている。

3 源泉徴収制度

 所得税及び法人税については、納税義務者(所得者)自身が、課税期間の所得金額とこれに対応する税額を計算し、これを自主的に申告して納税する、いわゆる「申告納税制度」を建前としているが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度を採用している。

 この源泉徴収制度は、 給与や利子・配当・税理士報酬などの所得を支払う者(源泉徴収義務者)が、その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、その所得の支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するという制度である。

 この源泉徴収制度により徴収された所得税の額は、源泉分離課税とされる利子所得などを除き、例えば、報酬・料金等に対する源泉徴収税額については、その納税義務者がその年分の所得税の確定申告をする際に、また、給与に対する源泉徴収税額については、通常は年末調整という手続を通じて、精算(年税額からの控除又は過納額の還付)される仕組みとなっている。これは、主として、徴税の確実性と納税義務者の煩雑な納税手続を省くために設けられているものである。

 源泉徴収制度が我が国に初めて採用されたのは明治32年(1899年)の公社債の利子所得についてであり、また、給与所得に適用されたのは昭和15年(1940年)であるが、それが今日のように整備されたのは、第二次世界大戦後である。源泉徴収の対象となる所得は、給与所得、退職所得をはじめとして、利子所得、配当所得、原稿料・作曲・レコード吹き込みの報酬その他各種の人的役務の報酬(例えば、弁護士、公認会計士等の自由職業者の報酬、医師が社会保険の基金から支払を受ける報酬、更に、芸能人やプロ野球、プロサッカーの選手、外交員、集金人、バーのホステスの報酬等)など広範なものとなっている。

 なお、源泉徴収義務者数は、平成15年6月30日現在で、給与所得は約390万件、報酬・料金等所得は約322万件、配当所得は約13万件、利子所得は約5万件となっている(表10参照)。

 また、源泉徴収制度は極めて円滑に運営されており、平成15年(2002年)度当初予算では、所得税収入13兆8,100億円中、源泉徴収の方法で徴収されるものは、その81%に当たる11兆2,410億円に達している。

 源泉徴収のメカニズムは非常に精ちなものである。例えば、給与所得に対する源泉徴収は、個々の給与所得者の人的控除と所得の大小に応じ、これらを織り込んで作成された各種の税額表に基づいて行われる。これらの税額表は、定期的に支払を受ける給与に適用されるもの、賞与に対して適用されるものなどから成っており、それぞれの給与の性格に即して一定の前提の下に複雑な方法でその税額が計算されている。これらの税額表によって徴収された税額の年間合計額は、概算的にはその給与所得について納付しなければならない年税額に近い金額となっている。

 しかし、種々の要因により、その徴収額のトータルは、年間に納付しなければならない年税額とは一致しないので、源泉徴収義務者において、その年最後の給与の支払をする際に、この年税額と比較して、その過不足が精算される仕組みとなっている(年末調整)。

 この年末調整を行った給与所得については、源泉徴収の方法を通じて完全に正確な税金が徴収されるので、給与以外に一定額以上の所得を有する場合など特別な場合を除いては、税務署に確定申告書を提出する必要がないことから、給与所得者の負担をかなり軽減するものとなっている。現在、給与所得者の大部分は、専ら源泉徴収制度を通じてその納税を行っている。(表11参照)。