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個人が所有する土地を法人に現物出資した際の費用を、契約により個人が負担した場合の当該費用の譲渡費用の該当性について

照会

照会の内容 1 事前照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び事前照会者の求める見解の内容)  別紙1のとおり
2 事前照会に係る取引等の事実関係(取引等関係者の名称、取引等における権利・義務関係等)  別紙2のとおり
3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由  別紙3のとおり
4 関係する法令条項等 所得税法第33条、登録免許税法第3条、会社法第207条
5 添付書類 照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関係する参考資料

回答

6回答年月日 平成22年3月2日 7回答者 関東信越国税局審理課長
8回答内容

 標題に関する登録免許税については、貴見のとおり取り扱われますが、税理士報酬及び不動産鑑定料については、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは限りません。
 なお、この回答内容は関東信越国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。

(理由)

1 所得税法第33条第3項に規定する資産の譲渡に要した費用
 所得税法第33条第3項に規定する譲渡所得の総収入金額から控除することのできる「資産の譲渡に要した費用」(以下「譲渡費用」といいます。)とは、取得費とされるものを除き、1資産の譲渡に際して支出した仲介手数料等その他資産の譲渡のために直接要した費用、21のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料等その他資産の譲渡価額を増加させるため譲渡に際して支出した費用であるとされています(所基通33−7)。そして、資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法第33条第3項にいう譲渡費用に当たるかどうかは、一般的、抽象的に当該資産を譲渡するために当該費用が必要であるかどうかによって判断するのではなく、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきものである(平成18年4月20日最高裁第一小法廷判決)とされており、1の資産の譲渡のために直接要した費用に当たるかどうかは、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかにより判断することとなります。

2 現物出資に係る税理士報酬及び不動産鑑定料
 株式会社が増資をしようとするときにおいて、金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びにその財産の内容及び価額を定めなければなりません(会社法1991三)。この場合、株式会社は、遅滞なく、当該現物出資財産の価額を調査させるため、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならず(同法2071)、裁判所は、検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができるとされています(同法2073)。
 ただし、現物出資財産が不動産であって、当該現物出資財産の価額が相当であることについて税理士等による証明及び不動産鑑定士による鑑定評価を受けた場合には、検査役の調査は必要ないとされています(同法2079四)。
 そして、この税理士等による証明及び不動産鑑定士による鑑定評価は、専門家による評価への信頼を基礎として、現物出資する不動産の価額についての検査役の調査に代わり不動産の価額が相当であることを証明するものであり、また、検査役による価額の調査が行われた場合の報酬は現物出資を受けた株式会社が当該検査役に対して支払うべきものとされていることからすれば、この場合の税理士報酬及び不動産鑑定料も、現物出資を受けた株式会社が税理士及び不動産鑑定士に対して支払うべきものと解するのが相当です。
 そうすると、本件の場合、税理士報酬及び不動産鑑定料は、A法人が税理士及び不動産鑑定士に対して支払うべきものであるから、たとえ契約に基づき甲らが負担するものとされたとしても、甲らにとって、上記11の客観的に見て現物出資を実現するために必要であった費用に該当するとは認められないものと考えられます。
 また、当該税理士報酬及び不動産鑑定料は、現物出資する不動産の価額の証明の対価ですから、上記12の譲渡価額を増加させるために譲渡に際して支出した費用にも該当しません。
 したがって、税理士報酬及び不動産鑑定料は、譲渡費用に該当しません。