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ホーム広島国税局文書回答事例法人税一般財団法人が設立時に寄附を受けた場合の課税関係別紙 一般財団法人が設立時に寄附を受けた場合の課税関係

別紙 一般財団法人が設立時に寄附を受けた場合の課税関係

1 事前照会の趣旨

(1) 一般財団法人である当財団は、現在病院経営を行っていますが、今後、平成29年10月に設立することを予定している一般財団法人である新財団に対してその病院経営の一部を引き継ぐために、資産(預金、土地、建物及び医療機器等)及び負債(銀行借入金等)について贈与をする予定です。
 なお、新財団は贈与を受けた資産及び負債については、収益事業に属する資産及び負債として区分経理することとなります。

(2) 新財団は、法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人に該当することとなりますので、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる(法法41)とともに、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります(法法7)。
 新財団が今後行う予定の病院経営は、法人税法第2条第13号及び法人税法施行令第5条第1項第29号に規定する収益事業である医療保健業に該当することとなり、公益法人等が収益事業に属する固定資産等を処分したことにより生じた損益は原則的にはその収益事業の付随行為に係る損益となりますが、新財団が医療保健業を行うために、当財団から贈与を受ける資産等に係る受贈益については、法人税法第2条第13号に規定する収益事業(医療保健業)に係る収益には該当しないと解して差し支えないでしょうか。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) 新財団は、法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人に該当することを前提とします。

(2) 新財団は、当財団から預金のほか、土地、建物及び医療機器等の贈与を受け、これらの資産等を用いて病院経営を行うこととなり、この病院経営は、法人税法第2条第13号及び法人税法施行令第5条第1項第29号に規定する収益事業である医療保健業に該当します。そして、これらの資産等は、全て収益事業(医療保健業)に属する資産等として区分経理します。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 公益法人等に係る収益事業課税
 法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人(公益法人等)は、収益事業を行う場合に限り納税義務があります。この場合の収益事業とは、販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、法人税法施行令第5条第1項(収益事業の範囲)において34種の事業が限定列挙され、その中には医療保健業が含まれています(法令51二十九)。そして、収益事業には、その性質上その事業に付随して行われる行為を含むこととされています(法令51柱書)。「その性質上その事業に付随して行われる行為」とは、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいうとして取り扱われています(法基通15−1−6)。
 また、公益法人等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならないとされており(法令6)、この区分経理には、資産及び負債に関する経理を含むこととされています(法基通15−2−1)。

(2) 収益事業に係る収益の意義

イ 上記(1)のとおり、公益法人等は、収益事業を行う場合に限り納税義務があるとともに(法法41)、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されるとされています(法法7)。そして、法人税法第22条第1項において、法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額とするとされており、これらのことから、公益法人等の各事業年度の所得の金額とは、収益事業に係る益金の額から収益事業に係る損金の額を控除したものとなります。

ロ 上記イの益金の額に算入すべき金額は、法人税法第22条第2項において、別段の定めがあるものを除き、1資産の販売、2有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、3無償による資産の譲受け、4その他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とされています。

ハ この点、普通法人が他の者から資産の贈与を受けたことによる利益、すなわち、受贈益については、上記ロの3「無償による資産の譲受け」に該当し、益金の額に算入することとなりますが、公益法人等が他人から贈与を受けた寄附金収入(金銭以外の現物資産の贈与を受けた場合を含みます。)については、例えば、法人税基本通達15−2−12(2)(補助金等の収入)に定める収益事業に係る収入又は経費を補填するための補助金等といった例外を除き、収益事業に係る益金の額に該当しないと考えられます。また、公益法人等が固定資産の取得等に充てるために補助金等の交付を受ける場合に、その固定資産等が収益事業の用に供されるものであったとしても、その補助金等の額は収益事業に係る益金の額に算入しないこととされています(法基通15−2−12(1))。

ニ 他方、公益法人等が収益事業に属する固定資産等を処分したことにより生じた損益については、処分した固定資産の過去の値上り益(キャピタル・ゲイン)と認められる場合を除き、その収益事業の付随行為に係る損益となることとされています(法基通15−1−6(6))。

(3) 当てはめ
 新財団は、上記2(2)のとおり、今後、当財団から病院経営を引き継ぐに当たり、その病院経営に必要な医療機器等を贈与により取得することになりますが、その贈与により取得した医療機器等については、その後、これらの医療機器等を処分した時に、上記(2)のニのとおり、原則として収益事業の付随行為に係る損益になる(課税対象になる)ものと考えますので、この取得に係る受贈益についても収益事業の付随行為に係る損益となるのではないかとも考えられます。
 しかしながら、この贈与による医療機器等の取得は、上記(2)のハの収益事業の用に供される固定資産の取得のために交付を受ける補助金等と何ら変わるものではなく、実質的な元入金のようなものであり、収益事業に係る収入又は経費を補填するための補助金等のような役務の提供等を受ける者から得る対価と経済的に同じ性質を有しているとは認められませんので、収益事業(医療保健業)に係る収益には該当しないと考えられます。