登場人物の酒田くん、課長、米沢さんをイメージした図

ある地方都市の酒卸会社にて

酒田:おはようございます。

米沢:今朝はずいぶん早いのね。

酒田:いやあ、高校の同窓会でやりすぎちゃって・・・。電車で来たんです。

米沢:えー、また宿酔いで営業に出られなかったら、いくら新人でもクビよ!

酒田:朝からきついなあ。ところで、ゆうべ先輩に『「フレンチパラドックス」ってなに?』と聞かれたんですが知ってます?

米沢:あ、課長おはようございます。

課長:おはよう。酒田君は知らないのか「フレンチパラドックス」。まあ、あれが話題になったのは10年以上前だから無理もないか。

フレンチパラドックスとは

  • 動物性脂肪を多く摂るとコレステロールが増え
  • 心筋梗塞など血管が詰まる病気になりやすい
  • フランス人は乳製品など動物性脂肪をたくさん摂る
  • 心臓病で亡くなるフランス人は多いはず

ところが実態は逆!!
フランス人の心臓病死亡率は西欧諸国のなかで最低水準

これをフレンチパラドックス(フランス人の逆説)という。これはフランス人が赤ワインをたくさん飲むかららしい。赤ワインに多く含まれるポリフェノールが効いているといわれる。(注)

酒田:ウーロン茶に多い成分ですね。脂っこい料理でも太らないとか。

課長:ポリフェノールは、いろいろな食品に含まれる植物成分なんだよね。

米沢:緑茶でうがいをするとインフルエンザの予防になるというのが話題になったけど、あれもそうでしょう?

課長:ポリフェノールの一種で緑茶に多いカテキンが、ウイルスの働きを弱めることが実験で確かめられてるそうだから、効き目はあるかもしれないな。

米沢:さすが食品化学科出身ですね

酒田:課長!勉強になりました!!

課長:話はここからだよ。ちょっとこのグラフを見て。ワインの国内消費量の推移なんだけど、平成9年から10年にドンと跳ね上がっているだろ。これはテレビでフレンチパラドックスが紹介され、多くの人たちが赤ワインを飲むようになったのが原因といわれているんだ。

平成元年度から平成17年度までの果実酒販売(消費)数量の推移をあらわしたグラフ

米沢:母が赤ワインの薬飲み(くすりのみ)を始めた頃ね。普段は飲まない人なのに。

課長:まさにそういった人たちも巻き込んで、お酒の業界では前例のないブームになったんだ。うちもワインの注文が急に増えて大変だったよ。
 このブームですっかり「健康」の威力を見せつけられたよね。実は、ワインだけでなくお酒には、いろいろな健康効果があるらしいことが報告されている。その一部を整理したのがこれだ。
清酒、ビール、本格焼酎及びワインの効用を表した図

酒田:いろいろあるんですね。百薬の長ってことですか。

課長:しかし、だからといってお酒をあまりたくさん飲むのはからだにマイナスだ。その辺を端的に示したのがお酒の「Jカーブ効果」というものだ。
 おっと、もう出かける時間だ。続きは、またいつかということで。

米沢:ちょっとちょっと!酒田君アルコールチェックはしたの!

酒田:済ませました。アルコール濃度ゼロ、運転OKです。いってきます。

米沢:安全運転でね!

(次回「Jカーブ効果」編につづく)

(注)現在ではアルコール自体による効果が大きいという説も有力です。