【東京国税局 近藤鑑定指導室長】

1 日本酒のタイプ
 日本酒のタイプ分けの方法はいろいろありますが、香りの高低や味の濃淡によって、次の4つのタイプに分けることができます。

  • (1) 香りの高いタイプ(お奨めの飲用温度:10〜16度)・・・主に吟醸酒
    • (香り) 華やかで透明感のある果実や花の香りが特徴
    • (味) 甘さと丸味は中程度で、爽快な酸との調和がとれている
  • (2) 軽快でなめらかなタイプ(お奨めの飲用温度:6〜10度もしくは氷温近辺)
    • (香り) 穏やかで控えめな香りが特徴。
    • (味) 清涼感を持った味わいでさらりとしている。
  • (3) 熟成タイプ(お奨めの飲用温度:7〜25度)
    • (香り) スパイスや干した果物等の力強く複雑な香りが特徴。
    • (味) 甘味はトロりとしていて良く練れた酸が加わり調和している。
  • (4) コクのあるタイプ(お奨めの飲用温度:10〜45度)
    • (香り) 樹木や乳性の旨味を感じさせる香りが特徴。
    • (味) 甘味、酸味、心地よい苦みとふくよかな味わいが特徴。
  • [情報提供:日本酒造組合中央会]

2 料理の味と日本酒のタイプの取り合わせの例
 料理と酒のタイプの取り合わせは、人の好み、飲食の場面、飲用温度等によって変わるため、一概にはいえませんが、一般的には以下のとおりです。

  • (1) 香りの高いタイプの酒にあわせやすい料理
     ・スズキの塩焼き、・鮎の塩焼き、・山菜のてんぷら、・平目のこぶじめ、 ・あなごの白焼き
     (どちらかというと、風味の強い料理には合わせにくいようです。)
  • (2) 軽快でなめらかなタイプの酒に合わせやすい料理
     ・ニジマスの塩焼き、・出汁巻き玉子、・茶碗蒸し、・タコの唐揚げ、・生カキ、・ふろふき大根、・湯豆腐
    (どちらかというと、脂っこい料理には合わせにくいようです。)
  • (3) 熟成タイプの酒に合わせやすい料理
     ・うなぎの蒲焼き、・鯉の甘煮、・豚の角煮、・鯉のあら煮
     (どちらかというと、生の魚介類には合わせにくいようです。)
  • (4) コクのあるタイプにあわせやすい料理
     ・とんかつ ・筑前煮 ・サバの味噌煮 ・焼き鳥(タレ) ・すきやき、・カレイの唐揚げ
     (どちらかというと、淡白な料理には合わせにくいようです。)
  • [情報提供:日本酒造組合中央会]

3 お正月に飲む日本酒
 お正月には、「香りの高いタイプ」又は「軽快でなめらかなタイプ」のものを1、2点と、「熟成タイプ」又は「コクのあるタイプ」の酒のもの1、2点を用意しておくとよいかと思います。

  • (1) おせち料理にあわせる日本酒
     おせち料理は、比較的あっさり目の味付けの料理が多く、常温、低温で飲むならば「香りの高いタイプ」か、「軽快でなめらかなタイプ」の酒で合わせるとよいでしょう。
     一方、お燗で飲むならば、「コクのあるタイプ」の酒がよいでしょう
料理名 材料 料理名 材料 料理名 材料
田作り ゴマメ だてまき タマゴ、はんぺん こぶ巻 コンブ
数の子 カズノコ 野菜の
煮物
ゴボウ なます ダイコン
きんとん サツマイモ レンコン 菊花かぶ カブ
煮豆 クロマメ サトイモ    
きんかんの甘煮 キンカン えび エビ    
  • (2) おせち料理に飽きてきたら・・・
     おせち料理に飽きると、風味の強い料理、脂っこい料理が食べたくなりますが、その場合には、「熟成タイプ」、「コクのあるタイプ」の日本酒を合わせるとよいでしょう。

4 お酒を選ぶにあたって
 実際にお酒を選ぶに当たって、ラベルを見ただけではどのタイプのものかわからない場合もあろうかと思います。各蔵元や酒販店のホームページで調べるか、酒販店で店員さんに相談しながら選ぶとよいでしょう。