【活性清酒・濁り酒】(かっせいせいしゅ・にごりざけ)
もろみを目の荒い布等でこした酒で、生のものを「活性清酒」、火入れしたものを「にごり酒」と呼んでいます。固形分を含むので、味が濃く、独特の風味があります。また、活性清酒は、常温では発酵して炭酸ガスが発生することがあるので、冷蔵庫に保管する等の注意が必要です。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【燗と冷や】(かんとひや)
日本酒は、燗をつけたり、冷やしたり、また、常温のままで、と人それぞれ好みの飲み方があります。
 燗や冷やの表現には、日本人らしい繊細な気配りが感じられる、次のような固有の表現があります。この表現を参考にして、お店で注文してみては・・・。
燗の表現と温度の表
燗の表現 温度
日向燗(ひなたかん) 30℃近辺
人肌燗(ひとはだかん) 35℃近辺
ぬる燗(ぬるかん) 40℃近辺
上燗(じょうかん) 45℃近辺
あつ燗(あつかん) 50℃近辺
飛びきり燗(とびきりかん) 55℃以上
冷やの表現と温度
冷やの表現 温度
雪冷え(ゆきひえ) 5℃
花冷え(はなひえ) 10℃
涼冷え(すずひえ) 15℃

[資料提供:日本酒造組合中央会]

【生一本】(きいっぽん)
ひとつの製造場だけで醸造した純米酒をいいます。自社の別の製造場でつくられた純米酒や他社でつくられた純米酒を混和したものは、生一本の表示はできません。
【貴醸酒】(きじょうしゅ)
貴醸酒は、仕込水の全部あるいは一部に清酒を使用して発酵させることを特徴とした清酒です。この製法は現在の「独立行政法人酒類総合研究所」の前身である「国税庁醸造試験所」が開発したもので、一般酒に比べて味が濃く甘口であることから、食前酒として好まれています。
【吟醸酒】(ぎんじょうしゅ)
精米歩合60%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
 「大吟醸酒」については【特定名称酒】の項をご覧ください。
【吟醸造り】(ぎんじょうづくり)
吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。
 吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理からびん詰・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。
【蔵元見学】(くらもとけんがく)
蔵元見学を実施しているかどうかを日本の酒情報館「SAKE PLAZA」にて調べることができます。また、日本酒造組合中央会のホームページで蔵見学の実施の有無を調べることもできます。
 日本の酒情報館の所在地や問合せ先は、次のとおりです。
 所在地:東京都港区西新橋1丁目6番15号 日本酒造虎ノ門ビル1階
 電話:03(3519)2091

[資料提供:日本酒造組合中央会]

【原酒】(げんしゅ)
上槽(製成)後、水を加えてアルコール分などを調整しない清酒をいいます。なお、仕込みごとに若干異なるアルコール分を調整するため、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することは、差し支えないことになっています。
【酒造好適米】(しゅぞうこうてきまい)
清酒醸造に適する品種の米をいいます。一般的に清酒用原料米としては、比較的大粒で中心部に心白を持っている軟質米が良いとされています。
【純米吟醸酒】(じゅんまいぎんじょうしゅ)
精米歩合60%以下の白米、米麹及び水を原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
 「純米大吟醸酒」「特別純米酒」については【特定名称酒】の項をご覧ください。
【純米酒】(じゅんまいしゅ)
白米、米麹及び水を原料として造った清酒で、香味及び色沢が良好なものです。文字どおり、お米だけで造られた清酒です。
「純米大吟醸酒」「特別純米酒」については【特定名称酒】の項をご覧ください。
【醸造アルコール】(じょうぞうあるこーる)
清酒の原料として使用されるアルコールをいいます。清酒の原料用のアルコールはでんぷん質物又は含糖質物を発酵させ蒸留してつくられるアルコールのみで、合成アルコールなどはいっさい使われていないことから、「清酒の製法品質基準」では「醸造アルコール」の表現をとり、明確に区分しています。
 もろみにアルコールを適量添加すると、香りが高く、「スッキリした味」となります。さらに、アルコールの添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。
 吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。
【清酒の製法品質表示基準】(せいしゅのせいほうひんしつひょうじきじゅん)
清酒については、吟醸酒、純米酒、本醸造酒など様々な種類のものが販売されていますが、それらの表示には法的なルールがなかったため、消費者の方からどのような品質のものかよく分からないという声が高まっていました。
 そこで、国税庁において平成元年11月に「清酒の製法品質表示基準」(国税庁告示第8号)が定められ、平成2年4月から適用されています。
この表示基準では、A 吟醸酒、純米酒、本醸造酒といった特定名称を表示する場合の基準を定めるとともに、すべての清酒について、B 清酒の容器等に表示しなければならない事項の基準、C 清酒の容器等に任意に表示できる事項の基準、D 清酒の容器等に表示してはならない事項の基準、が定められ、消費者の方の商品選択の大きなよりどころとなっています。
 詳細については、別紙「清酒の製法品質表示基準(PDF/106KB)」をご覧ください。

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【清酒の歴史】(せいしゅのれきし)
紀元前4世紀ころの縄文時代末期から弥生時代初期に稲作が日本に伝わりましたが、それに伴い米を原料とする酒造りが始まったのではないかといわれています。その後、技術改良が行われ、奈良、平安時代には、宮廷に造酒司(さけのつかさ)という組織が置かれ、宮廷の各種行事に麹を使用した米の酒が供されていたようです。鎌倉から室町時代にかけて、寺院や酒造業者による醸造が盛んになり、室町幕府は課税源として清酒を重視しました。16世紀後半の戦国時代には、諸白(もろはく)造りという、現在と同じ精米した米による清酒造りが始まり、火入れ(加熱殺菌)も行われるようになりました。江戸時代には、寒造り、柱焼酎(アルコール添加)等、現在の酒造技術の基礎が築かれ、江戸、大坂の大都市へ出荷する大規模な酒造業が出現しました。明治以後、酒造機械の導入、優良微生物の使用、高度精米技術の開発により酒質は飛躍的に向上し、現在に至っています。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【精米歩合】(せいまいぶあい)
精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。
 米の胚芽や表層部には、たんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は、清酒の製造に必要な成分ですが、多過ぎると清酒の香りや味を悪くしますので、米を清酒の原料として使うときは、精米によってこれらの成分を少なくした白米を使います。ちなみに、一般家庭で食べている米は、精米歩合92%程度の白米(玄米の表層部を8%程度削り取る。)ですが、清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。特に、特定名称の清酒に使用する白米は、農産物検査法によって、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものに限られています。
【地理的表示 日本酒】(ちりてきひょうじ にほんしゅ)
地理的表示制度は、酒類や農産品において、その確立した品質、社会的評価又はその他の特性が、当該商品の地理的な産地に主として帰せられる場合において、その産地名を独占的に表示することができる制度です。海外の地理的表示としては、「ボルドーワイン」や「スコッチウイスキー」などがあります。
 地理的表示「日本酒」は、国レベルの地理的表示として、平成27年12月25日に指定を受けました。
 原料である米、米こうじに日本国内産米のみを使用し、日本国内で製造された清酒に「日本酒」と表示することができます。海外産の米を使用した清酒や、日本以外で製造された清酒が国内に輸入されたとしても、「日本酒」と表示することはできません。
 地理的表示「日本酒」の詳細については、「酒類の地理的表示一覧」をご覧ください。
【特定名称酒】(とくていめいしょうしゅ)
特定名称酒には下記のように8種類有ります。
分類 特徴
吟醸酒 精米歩合60%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
大吟醸酒 精米歩合50%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものです。
純米酒 白米、米麹及び水を原料として造った清酒で、香味及び色沢が良好なものです。文字どおり、お米だけで造られたお酒です。
純米吟醸酒 精米歩合60%以下の白米、米麹及び水を原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
純米大吟醸酒 精米歩合50%以下の白米、米麹及び水を原料として吟味して造った清酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものです。
特別純米酒 純米酒のうち、香味及び色沢が特に良好なもので、精米歩合60%以下又は特に良好であることを製造方法等により説明表示してあるお酒です。
本醸造酒 精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール及び水を原料として造った清酒で、香味及び色沢が良好なものです。
特別本醸造酒 本醸造酒のうち、香味及び色沢が特に良好なもので、精米歩合60%以下又は特に良好であることを製造方法等により説明表示してあるお酒です。

[「清酒の製法品質表示基準」より作成]

【生酒・生貯蔵酒・生詰】(なましゅ・なまちょぞうしゅ・なまつめ)
「生酒」とは、製成後、一切加熱処理をしない清酒をいいます。
 「生貯蔵酒」とは、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した清酒をいいます。
 また、「生詰」とは、製成後、加熱処理をして貯蔵し、加熱処理しないで瓶詰めした清酒をいいます。
【日本酒の日】(にほんしゅのひ)
中国古代の天文学、暦学から生まれた十二支は、本来、月のしるしで、日本では十二種の動物で表されています。十二支の10番目の酉は、「トリ」と読まれていますが、もともと、酉の字は壺の形を表わす象形文字で、酒を意味しています。古代では一年の始まりを冬至に置いており、10番目の酉の月は今の9月末から10月の頃にあたります。すなわち10月は古くから酒の月ということです。
 また、10月は新殻が実る月であり、収穫した新殻で酒造りの始まる月でもあります。明治年間酒税法創設以来、10月から9月をもって酒造年度とされてきました。こうした歴史を受けて、酒造家の中では10月1日を「酒造元旦」として祝う風習が残っているところもあります。
 豊かな自然の恵みと日本人の知恵の結晶が日本酒であるともいえます。10月は全国各地に海の幸、山の幸があふれ、日本酒が本当に旨くなる月で、この月の1日を、「日本酒の日」と定めました。

[資料提供:日本酒造組合中央会]

【本醸造酒】(ほんじょうぞうしゅ)
精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール及び水を原料として造った清酒で、香味及び色沢が良好なものです。
「特別本醸造酒」については【特定名称酒】の項をご覧ください。
【ラベルの表示】(らべるのひょうじ)
清酒のラベルには、銘柄のほかに、原材料、製造年月、アルコール分などが記されています。また吟醸酒、純米酒、本醸造酒、生酒、生貯蔵酒などの表示、さらに広く愛飲されているものについては、各メーカー独自のランク付けとして、例えば、特撰、上撰、佳撰などの表示をしているものもあります。これらを参考にすれば、そのお酒がどんなお酒であるかがわかります。ですから、日本酒を選ぶときには、まずラベルをじっくり見ることから始めるのが良いでしょう。また、ラベルに、日本酒度、酸度を表示しているものも少なくありません。

[資料提供:日本酒造組合中央会]