【黄酒】(ほわんちゅう)
中国では、米などの穀物から作られる醸造酒を「黄酒」とよんでいます。黄酒は、米や麦などの穀類の麹を用いて造る醸造酒で、わが国の酒税法上は、「その他の醸造酒」に分類されます。黄酒を長期熟成させたものを老酒(ラオチュウ)とよんでいます。黄酒では、浙江省北部の風光明媚な水郷の町、紹興で造られる「紹興酒」が有名です。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【紹興酒】(しょうこうしゅ)
紹興酒は「良質のもち米、小麦と紹興特定地域の鑑湖水(紹興にある鑑湖という湖の水)を原料とし、独特の発酵工程によって製造した品質のよい黄酒」と定義されています。輸出用の紹興酒には、さらに3年以上の貯蔵熟成を経て製品化されたものという要件が加わります。
 紹興酒は、清酒(純米酒)に比べて酸度が2、3倍高いので酸味が強く、色が濃く、甘く焦げた香りが広がるのが特徴です。

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【粉末酒】(ふんまつしゅ)
酒税法における酒類の定義は、「アルコール分1度以上の飲料」ですが、そこに括弧書きで「溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの」となっています。これが粉末酒です。
 粉末酒が発明されたのは昭和41年のことです。昭和44年には特許庁長官奨励賞を受賞しています。昭和56年の酒税法改正で新たに酒類に加えられました。
 粉末酒は、現在業務用の大きなロットでのみ販売しており、一般への小売りはされていません。
 現在、粉末酒は粉末スープや唐揚粉、菓子など今まで液体では添加が難しかった食品に使われています。

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【合成清酒】(ごうせいせいしゅ)
合成清酒は、アルコールや焼酎、清酒にブドウ糖などを加えて製造し、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似しているものをいいます。
 合成清酒は、大正7年の米騒動以降米価が高騰したため、米を使わないで清酒と同じような酒を造れないかということで開発が進められました。ビタミンB1を発見した鈴木梅太郎博士が糖液にアミノ酸を加えて酵母で発酵させると清酒に似た芳香のお酒ができることを発見したのが合成清酒の始まりといわれています。

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【リキュール】(りきゅーる)
リキュールという言葉は、日本の酒税法による分類です。酒税法第3条21号に定められており、「酒類と糖類その他の物品を原料とした酒類で、エキス分が2度以上のもの(清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、発泡酒、その他の醸造酒、粉末酒を除く。)」と規定されています。
 つまり、酒類に糖類や香味成分などを混ぜ合わせたもので、混成酒と言うことができます。現在市販されている商品で言えば、カンパリやキュラソーなどの西洋のリキュール、梅酒や杏酒、薬味酒などの日本のリキュール、チューハイなどのソフトアルコール飲料、ビール類似製品の新ジャンルの一部がこれにあてはまります。

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【屠蘇】(とそ)
日本におけるリキュールの歴史は、屠蘇から始まるとされています。屠蘇は、お正月のお祝いの酒としておなじみです。
  屠蘇は、清酒やみりんに防風、桔梗、白朮(びゃくじゅつ)、山椒、桂皮などの生薬を含む屠蘇散を漬け込んだものです。胃腸の働きを整え、のどや気管支を保護し風邪を予防する効果があります。屠蘇は、中国の漢の時代に、華佗(かだ)と言う医者が発明したもので、日本に伝わったのは平安時代初期の嵯峨天皇の時代と言われています。

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【ウォッカ】(うぉっか)
ウォッカは、主に穀物を原料として糖化、発酵させ、連続式蒸留機で蒸留した後、シラカバの活性炭でろ過したものをいいます。このろ過工程が、ウォッカの味を決めるのに最も重要であり、活性炭との接触時間が長い方が高品質のウォッカとなりますが、ろ過塔に入れる活性炭の性質や層の厚さ、通過速度などを調整する高い技術が必要となります。
 ウォッカは無味、無臭でクセのない酒質であることから、日本国内においてもカクテルや缶チューハイの原料として多く使われています。また、ウォッカの中には草根木皮やフルーツなどの香りや色を加えたフレーバード・ウォッカと呼ばれるものがあり、ロシアやポーランドで多く造られています。

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【ジン】(じん)
ジンは、穀物を原料として糖化、発酵、蒸留したものに、草根木皮の香味成分を加えてさらに蒸留したものです。1660年頃、流行していた熱病に対する利尿剤、解熱剤として考案されました。
 一般的に、蒸留酒にジュニパー・ベリー(西洋杜松の実)を加えて、再蒸留することにより製造されますが、ジュニパー・ベリーに加えてどのような草根木皮を用いるかについては、各メーカーによってレシピが異なります。
 近年では、伝統的なジンには用いられなかったスパイスやハーブ、柑橘果皮などのボタニカルを使用したジンも製造されており、いわゆるクラフトジンとして国内でも広まりを見せつつあります。

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【ラム】(らむ)
ラムは、サトウキビを発酵させた蒸留酒です。一般的には、サトウキビの搾り汁を煮詰めて結晶化させ、精製糖を採取した後に残った糖蜜を原料としますが、サトウキビの搾り汁をそのまま原料とするものもあります。
 その他のスピリッツのほとんどがデンプン質である穀物を原料とするため、アルコール発酵の前に、糖化工程が必要となりますが、ラムはもともと糖質を原料とするため、糖化工程が不要であり、比較的簡易に製造することができます。
 ラムは、カクテルのベースとして使用される他、その甘い芳醇な香りやアルコールの殺菌効果を期待されることから、製菓用にも幅広く使われております。

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【テキーラ】(てきーら)
テキーラは、竜舌蘭というヒガンバナ科の多肉植物を原料として糖化、発酵、蒸留して造られるメキシコのスピリッツです。一般的に、メキシコで竜舌蘭から造られたスピリッツをメスカルと呼びますが、その中でも、ハリスコ州テキーラ町周辺原産のテキラーナ・ウエーバー・アズールという竜舌蘭を原料として、特定の地域において造られるメスカルを「テキーラ」と呼びます。
 テキーラは、ストレートで飲まれる以外にも、ジュースや紅茶などで割ることも多く、1949年のカクテルコンテストで入賞した「マルガリータ」や1968年のメキシコオリンピックの開催などにより、世界中に広まっていきました。

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【本みりん】(ほんみりん)
みりんは、もち米、米麹、焼酎(アルコール)を主原料とするお酒です。清酒や焼酎などのように酵母によるアルコール発酵の工程がなく、米麹のもつ酵素が、もち米のデンプンを糖分にしたり、タンパク質をアミノ酸に分解する工程があるだけです。  みりんの発生起源については諸説あり、未だにはっきりしていないのが現状です。その代表的な説として、中国伝来説と日本発生説があります。
 中国伝来説は、中国清明の時代の『湖雅巻八造醸(こがかんはちぞうじょう)』という書に「密淋(みいりん)」と呼ばれる甘い酒があったという記述があります。「淋」という字は「水がしたたる」「濡れる」という意味があるので、蜜がしたたるような甘い酒と解釈できます。この密淋が、戦国時代に中国から渡来したという説です。慶安2(1649)年の『貞徳文集』に、みりんが異国より渡来した物であるとの記述もあります。
 日本発生説は、文正元(1466)年の『陰凉軒日録(いんりょうけんにちろく)』に「練貫酒(ねりぬきざけ)」という甘い酒が博多にあったという記述があります。この酒は、腐敗しやすかったため、腐敗防止策として焼酎が加えられていました。これが改良されてみりんになったという説です。ただし、現在販売されている博多練酒(はかたねりざけ)にはアルコールは使用されていません。
 みりんには、使用するアルコールの違いで2種類の区分ができます。連続式蒸留焼酎を用いた新式みりんと単式蒸留焼酎(主に清酒粕を蒸留して造った粕取焼酎)を用いた旧式みりんです。単式蒸留焼酎は香りに特長があり、出来上がったみりんにも独特の芳香が付きます。連続式蒸留焼酎は無味無臭のため、米からの風味がおだやかに広がります。

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