別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

被相続人甲(以下「甲」といいます。)は、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(以下「平成21年改正法」といいます。)附則第65条《相続税の申告期限等に係る特例》第1項に規定する特例期間(平成20年10月1日から平成21年3月31日までの間)中である平成20年12月21日に死亡(相続開始)しましたが、相続財産の中に租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第70条の7《非上場株式等についての贈与税の納税猶予》第2項第2号に規定する非上場株式等に該当する非上場会社であるA社の株式(以下「本件照会相続財産」といいます。)が含まれ、かつ、甲は、平成16年6月1日にA社の代表取締役(代表権に制限が加えられたものではありません。)に就任していたことから、甲の相続に係る相続税の申告期限について、平成21年改正法附則第65条第1項に規定する相続税の申告期限の延長の特例(以下「申告期限延長特例」といいます。)の適用が認められると解して差し支えないか伺います。
 なお、A社は、平成17年9月5日の株主総会の決議により解散し、相続開始日現在において清算結了していません。また、甲は、A社の解散により代表清算人となり、代表清算人のまま死亡しました。

2 事前照会者の求める見解となることの理由

申告期限延長特例の適用要件は、平成20年10月1日から平成21年3月31日までの間に開始した相続に係る被相続人がその相続の開始の直前に有していた財産の中に非上場株式等が含まれており、かつ、その被相続人がその非上場株式等に係る会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していたこととされています(平成21年改正法附則651)。この場合の非上場株式等とは、その会社の株式のすべてが金融商品取引所に上場されていないことその他上場の申請がされていないこと等の一定の要件を満たす株式等(株式及び出資)をいうこととされています(平成21年改正法附則631、措法70の72二、措規23の96)。
 そうすると、甲の相続に係る相続税については、1A社は清算中の株式会社でありますが、清算手続が結了するまでは会社法上存続するものとみなされ、法人格が消滅していない以上、株式それ自体も消滅するものではありませんから、本件照会相続財産は、株式であると認められること、2本件照会相続財産は、金融商品取引所に上場されていないことその他上場の申請がされていないこと等の一定の要件を満たす非上場株式等に該当すること及び3甲は、A社が解散する時点までは代表取締役であったため、甲は生前にA社の代表権を有しており、かつ、その代表権に制限は加えられていないことから、申告期限延長特例の適用が認められることとなります。