別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

  1. (1) 被相続人甲は、平成29年4月、X有料老人ホーム(老人福祉法第29条≪届出等≫第1項に規定する有料老人ホームに該当します。)に入居しました。
  2. (2) 被相続人甲は、平成29年6月、X有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していた家屋(以下「本件家屋」といいます。)及びその敷地の用に供されていた宅地等(以下「本件宅地等」といいます。)を、Y有料老人ホームに入居(平成28年7月)していた配偶者乙から相続により取得しました。
  3. (3) 被相続人甲は、平成30年2月、本件家屋に戻ることなく死亡しました。なお、本件家屋は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居した後は、空家となっていました。
  4. (4) 被相続人甲は、死亡する前に介護保険法第19条≪市町村の認定≫第1項に規定する要介護認定を受けています。
  5. (5) このような事実関係を前提として、本件家屋及び本件宅地等を長男丙が相続により取得した場合において、丙は本件宅地等について租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとして、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4)(以下「本件特例」といいます。)の適用を受けることができると解してよいか、照会します。
     なお、丙は、本件特例に係る他の要件を満たしています。
     参考として、相続関係図及び時系列は以下のとおりとなります。

【相続関係図】
相続関係図

【時系列】
時系列

2 照会者の求める見解となることの理由

  1. (1) 本件において、被相続人甲はX有料老人ホームへの入居前に、本件宅地等を居住の用に供していましたが、X有料老人ホームに入居中に本件家屋及び本件宅地等を相続により取得し、その後本件家屋に戻ることなく死亡しました。
     被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定のものについては、本件特例の対象となるところ、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、租税特別措置法施行令第40条の2≪小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例≫第2項に定める事由(要介護認定又は要支援認定等を受けていた被相続人が同項の住居又は施設(以下「有料老人ホーム等」といいます。)に入居又は入所(以下「入居等」といいます。)していたこと)により居住の用に供されなくなる直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(被相続人が有料老人ホーム等に入居等した後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供されている場合を除きます。)については、本件特例の対象となる宅地等に該当するとされています(措法69の41)。
     被相続人が有料老人ホーム等に入居等する直前において宅地等の所有者であればその宅地等が本件特例の対象となる宅地等に当たることは明らかですが、本件における被相続人甲は、X有料老人ホーム入居の直前においては本件宅地等を居住の用に供していたものの本件宅地等の所有者ではなく、本件宅地等を取得した後はこれを居住の用に供していない場合であっても、本件宅地等が本件特例の対象となると解してよいか疑義が生じるところです。
  2. (2) 上記事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等が、本件特例の対象となる居住の用に供されていた宅地等に該当するか否かについては、被相続人が有料老人ホーム等に入居等して居住の用に供されなくなった直前の利用状況で判定することとされていますが、その時において被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていません。
  3. (3) したがって、本件宅地等は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居し居住の用に供されなくなった直前において、被相続人甲の居住の用に供されていたものであることから、その時において被相続人甲が本件宅地等を所有していなかったとしても本件特例の対象となる宅地等に該当すると解され、丙は本件特例の適用を受けることができるものと考えます。

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