別紙

平成20年11月10日

東京国税局
課税第一部 審理課長 殿

アリアンツ生命保険株式会社
代表取締役社長 三宅 伊智朗

1.照会の趣旨および事実関係

当社が発売する米ドル建一時払変額年金保険(年金額最低保証・T型)(以下「本保険」といいます。)は、保険料一時払いの個人年金保険で、将来年金を支払う際の基準額(以下「年金算出基準額」といいます。)が、特別勘定の運用成果にかかわらず、契約日以後1年経過後の契約応当日から年金支払開始時まで、年単位の契約応当日ごとに最高9回を限度として、当該一時払保険料相当額(以下、「基本保険金額」といいます。)に対して年3%単利で増加します。年金支払開始日の前日の年金算出基準額(年金支払開始日の前日の積立金額がその時点の年金算出基準額を上回る場合は、その積立金額を年金算出基準額とします。)に、年金支払開始日の被保険者の年齢に応じた所定の年金額算出率を乗じることにより以後の年金額が定められる終身年金タイプの米ドル建の保険です。また、本保険は、年金支払期間中に被保険者が死亡した場合、既払年金合計額が基本保険金額に満たないときには、その差額を死亡一時金として支払うことにより基本保険金額を最低保証しています。
つきましては、本保険において、生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額を計算する際に、所得税法施行令(以下「所令」といいます。)第183条第1項第2号の必要経費に算入する金額を、次の2のとおりに取り扱って差し支えないかお伺いいたします。

2.1の事実関係に対して当社の求める見解となることの理由

生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算については、所令第183条各項各号の規定に準拠して行うこととされています。その計算の際、必要経費に算入する金額を計算する基礎となる所令第183条第1項第2号イに規定する年金の支払総額は、年金支払開始日において支払総額が確定していない年金の場合には、所令第82条の3第2項の規定に準じて計算した支払総額の見込額によるものとされており、当該支払総額の見込額は、その支給の基礎となる規約において定められているその年額に、年金の区分に応じてそれぞれ所定の年数を乗じて算出することとされています。
前述のとおり、本保険においては、年金支払開始日以後、被保険者の死亡時において既払年金合計額が基本保険金額に満たないときには、その差額を死亡一時金として支払うことにより支払総額として基本保険金額を最低保証する商品性を具備しております。当該商品性と類似する商品性を備えた「定額型一時金付終身年金」に関して、年金を受け取った場合の必要経費の算出方法については、平成14年6月7日付課一総第69号の文書回答(以下「本回答」といいます。)「2定額型一時金付終身年金により年金を受取った場合の必要経費の算出方法について」によると、年金支払開始時において、次のA、Bいずれか小さいものを必要経費として取り扱って差し支えないとされています。

A=その年に支払を受ける年金の額×支払保険料の総額÷年金受取開始時の年金原資の額
B=その年に支払を受ける年金の額×支払保険料の総額÷所令第82条の3第2項の規定に準じて計算した支払総額の見込額

これによると、Aの算式中の「年金受取開始時の年金原資の額」は、年金支払開始日以後、被保険者の死亡時に支払総額として最低保証されている額であるため、本保険においては「年金支払開始日の前日の基本保険金額」に相当します。
 一方で、Bの算式中の「所令第82条の3第2項の規定に準じて計算した支払総額の見込額」は、所令第183条第1項第2号イ(2)に規定する年金支払開始日において支払総額が確定していない年金とした場合の支払総額の見込額であるものの、その年に支払を受ける年金の額が変動しない「定額型年金方式」を前提としております。したがいまして、本保険のように年金支払開始日以後も積立金を特別勘定で運用し、支払を受ける年金の額が毎年変動する可能性のある「変動型年金方式」を採用する場合には、所令第82条の3第2項をそのまま準用することができません。
 しかしながら、本回答には、変動型年金方式に係る雑所得の金額の計算における必要経費を計算する基礎となる年金支払見込総額の算出について、「1変額個人年金保険における年金の必要経費の算出方法について(2)変動型保証期間付終身年金の場合」において、「年金支払開始時に支払を受ける年金の額×年金の支払開始時の余命年数又は年金支払の保証期間のうち、いずれか長い方の年数」として取り扱って差し支えないとされています。
 以上のことから本保険においては、本回答の2の取扱方法を基本としつつ、1(2)の取扱方法も併せて準用し、年金支払開始時において、次のA'、B'いずれか小さいものを雑所得の金額の計算における必要経費として取り扱って差し支えないでしょうか。

A'=年金支払開始時に支払を受ける年金の額*1×(支払保険料の総額÷年金支払開始日の前日の基本保険金額)*3
B'=年金支払開始時に支払を受ける年金の額*1×(支払保険料の総額÷年金支払開始時に支払を受ける年金の額*1×年金の支払開始時の被保険者の余命年数*2)*3
  • *1 年金支払開始日において、当社所定の金融機関が公示する対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算した額とします。
  • *2 被保険者の余命年数は、所令第82条の3別表に定める余命年数表によるものとします。
  • *3 所令第183条第1項第4号により、小数点以下二位まで計算し、三位以下を切り上げた割合とします。