別紙

1 事前照会の趣旨

私(日本の居住者)は、生前日本の非居住者であった被相続人から相続により国外に所在する賃貸用不動産を取得したため、この賃貸用不動産から発生する不動産所得を申告することとなりました。この場合、不動産所得の金額の計算において必要経費となる、相続した国外所在の賃貸用不動産に係る減価償却費の計算に関して、私が被相続人から引き継ぐ減価償却費の累積額は「0円」とし、その未償却残高は被相続人における取得価額として差し支えないかお尋ねします。

2 事前照会に係る事実関係

 私は、米国籍を持ち、日本の所得税法上では非永住者以外の居住者です。
私は、相続により取得した米国に所在する賃貸用不動産(以下「本件賃貸用不動産」といいます。)を所有しており、この不動産から発生する不動産所得を含めて平成24年分の所得税の確定申告をいたします。
被相続人は、生前米国籍の米国居住者であり、日本に居住していた期間はありません。
また、被相続人が本件賃貸用不動産を所有していた期間のうちには、私(相続人)が日本の所得税法上非居住者又は非永住者であった期間が含まれます。
本照会に係る相続は、所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》第1項第1号に掲げる相続であり、限定承認に係るものではありません。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

本件賃貸用不動産に係る未償却残高は、以下の理由により、被相続人のその資産の取得価額を付すこととして差し支えないものと考えます。

(1) 日本の居住者が相続により取得した減価償却資産の取得価額は、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における減価償却資産の取得価額に相当する金額と規定されています(所法601、所令1262)ので、私の平成24年分の本件賃貸用不動産の減価償却の取得価額は、被相続人の取得価額を引き継ぎます。

(2) 被相続人は日本では非居住者であり、非居住者が必要経費に算入できる減価償却費は、国内に所在する減価償却資産に係る減価償却費に限定されております(所令2921五)ので、被相続人が必要経費に算入した減価償却費はありません。したがって、私が本件賃貸用不動産について相続により引き継ぐ減価償却費の累積額は「0円」です。

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