別紙
JCA-19-発第004号
JSA 19−149号
平成20年2月20日
東京国税局
 課税第一部 審理課長 殿
日本チェーンストア協会
会長 林 紀男
日本スーパーマーケット協会
会長 清水 信次

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、日本チェーンストア協会及び日本スーパーマーケット協会(以下併せて「協会」といいます。)では、消費財流通の業務・システムの全体最適化を目指して製(メーカー)・配(卸)・販(小売)三層間(以下「三層間」といいます。)の情報連携の効率化を目的として経済産業省が中心となって取り組む「流通システム標準化事業」を推進しており、協会が合同で組織したワーキンググループ(WG)において、小売業におけるEDI取引の方式の新たな整備・標準化に向けて取り組んできたところです。

この取組みの成果としてWGは、平成19年4月、三層間のすべての企業間取引で共通して利用できるように、「メッセージ種」、「データ項目」、「データ属性」等を標準化したシステム(以下「本件システム」といいます。)を策定・公開しております。

今後、本件システムが普及すれば、三層間での取引情報の電子データの交換が効率的に実現することが可能となり、ペーパーレス化・事務の効率化、更には消費者サービスの一層の向上も図られることになります。

そこで、本件システムを利用してEDI(Electronic Data Interchange)取引(異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを通信回線を介してコンピュータ間で電子データで交換する取引等をいう。以下同じ。)を行った場合、消費税法第30条第7項の適用について、別添のとおり取り扱われるものと解して差し支えないかをお伺いいたします。

別添

1
本件システムの概要等
(1)
本件システムの概要
 
本件システムは、総合スーパー・食品スーパー業界等の流通業界の受発注等の取引業務について、インターネットの標準形式であるXML言語を用いてビジネスメッセージ標準を策定しており、多くの企業によって使用される発注・出荷・受領・返品・請求・支払等の業務に係るEDI取引を標準化しているものである。
 
今後、様々な業界の業務・システムの最適化の“基本形”として使用されることが想定される。

《これまでの流れ》

これまでの流れ

《本件システムによる流れ》

本件システムによる流れ
これまで請求書等に記載されていた取引年月日、内容、金額及び当事者名等の取引情報については、通信回線を介して電子データで交換され、各々が当該電子データを保存することとなる。
(2)
本件システム導入の目的
 
本件システムは、これまで三層間で区々となっていたEDI取引を標準化することにより、三層間での発注・出荷・受領・返品・請求・支払等の業務に係る取引情報の電子データ交換を実現可能とするものであり、ペーパーレス化・事務の効率化、更には消費者サービスの一層の向上も図られることとなる。
2
照会の趣旨及び求める見解等
(1)
消費税法第30条第7項は、課税事業者が課税仕入れ等の税額の控除を受けるためには、原則として課税仕入れ等の事実の帳簿への記録、保存及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等を保存しなければならない旨を規定しており、この場合の請求書等とは、事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で、1書類の作成者の氏名又は名称、2課税資産の譲渡等を行った年月日、3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、4課税資産の譲渡等の対価の額及び5書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称(以下「法定事項」という。)が記載されているもの(消法309一)とされているが、本件システムを利用してEDI取引を行った場合、請求書等に記載されるべき法定事項が通信回線を介してコンピュータ間で電子データで交換されるため、請求書等そのものが作成・交付されないこととなり、当該電子データ以外の保存が行えない状況にある。
(2)
課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満である場合には、請求書等の保存は要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみで足りることとされている(消令491一)。一方、当該合計額が3万円以上であっても、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合には、帳簿に消費税法第30条第8項の記載事項に加えて当該やむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができる旨が規定されている(消令491二)。

また、その具体的なやむを得ない理由の範囲について、消費税法基本通達11−6−3において明らかにされている。

(3)
1のとおり、三層間におけるペーパーレス化・事務の効率化、更には消費者サービスの一層の向上も図ることを目的として本件システムを利用した場合、請求書等に記載する事項をすべて通信回線によりコンピュータ間で電子データとして交換することとなることから、請求書等の交付を受けなかったことにつき消費税法基本通達11−6−3(5)の「その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合」に該当するものと考えられる。

したがって、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上である場合において、帳簿に記載すべき消費税法第30条第8項に掲げる事項に加えて、EDI取引による課税仕入れであること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存する場合には、仕入税額控除の適用を受けることができるものと解される。

全国の文書回答事例を検索したい方はこちらをご覧ください。

○ 国税庁文書回答税目別検索