1 事前照会の趣旨

「2016年アンタルヤ国際園芸博覧会」(以下「国際園芸博覧会」といいます。)は、平成28年4月23日(土)から10月30日(日)までの191日間、トルコ共和国アンタルヤ県において、2016年アンタルヤ博覧会機構が主催して開催するもので、国際園芸博覧会には100か国及び30機関程度の参加と、約800万人の入場者数が見込まれています。
 日本国政府としては、平成27年4月21日(火)に、国際園芸博覧会への公式参加に関する閣議了解(担当省庁:農林水産省、外務省、経済産業省、国土交通省)がなされたところ、国際園芸博覧会の参加を通じて、1博覧会における情報発信を行い、トルコ及び中東地域をはじめ世界に向けた花きの輸出拡大、造園緑化技術の海外展開等を図ること、2トルコ共和国と我が国の長い友好の歴史を踏まえた経済・文化交流促進の機運の向上等両国の良好な関係を一層強固にすることが期待されています。
 国際園芸博覧会への出展については、屋外出展を担当する国土交通省の方針として、日本庭園を出展することになっており、当該日本庭園については、国際園芸博覧会会場の国際庭園ゾーン内の約1,200平方メートルの区画において、日本文化の象徴となる伝統的な造園技術を活用した庭園(室町時代の書院造庭園をイメージしたもの)を整備し、管理運営することを予定しております。
 本出展を実施する「2016年アンタルヤ国際園芸博覧会日本庭園出展実行委員会」(以下「実行委員会」といいます。)では、本出展の成功に向け、企業・団体等に対し、幅広く協賛を募ることとしています。この協賛の方法は、広告宣伝を目的とした金銭による協賛及び物品・サービスによる協賛並びに寄附協賛の3種類があり、寄附協賛以外の協賛については、その協賛に相応する広告宣伝の特典(以下「広告宣伝特典」といいます。)を付与する予定です。
 つきましては、事業者である企業・団体等(以下「協賛企業」といいます。)が国際園芸博覧会に協賛するために支出する費用について、税務上、下記3のように取り扱って差し支えないか照会いたします。
 なお、実行委員会の事務所の所在地は日本国内にあり、また、本店所在地が日本国内にある協賛企業が協賛をした場合であることを照会の前提とします。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) 広告協賛
 広告協賛を行う協賛企業は、次のイ又はロのいずれかの方法若しくはその組み合わせにより国際園芸博覧会に協賛します。

  • イ 金銭による協賛
     金銭による協賛企業は、本出展の実施運営等に要する費用に充てるための金銭を実行委員会に提供します。
  • ロ 物品・サービスによる協賛
     物品・サービスによる協賛企業は、本出展の実施運営等に必要な物品又はサービスを実行委員会に無償で提供します。なお、実行委員会に提供される物品は、「屋外用木製ベンチ・スツール」若しくは「こいのぼり」又は「協賛ボード」であり、実行委員会に提供されるサービスは、「出展日本庭園のガイドボランティア」となります。

(2) 広告協賛に対する特典
 上記(1)の協賛企業に対しては、協賛金額に応じて、次表に掲げる広告宣伝特典を付与します。この場合の協賛金額とは、上記(1)イの場合は金銭の額、上記(1)ロの場合は物品の提供又はサービスの提供に要する費用相当額とし、上記(1)イ及びロの組み合わせによる協賛の場合はその合計額とします。

特典番号 広告宣伝内容 広告宣伝期間
1 実行委員会及び国際園芸博覧会専用ホームページでの協賛企業名の表示、協賛企業のホームページへのリンク 協賛の日(注1)から平成28年12月31日まで
2 国際園芸博覧会会場内の日本庭園における協賛企業名の表示 会期中(注2)

※ 2の特典については、協賛金額に応じ、協賛企業名の表示の大きさに差異をつけます。

注1 協賛の日とは、協賛企業から実行委員会に資金の提供がなされた日、又は物品・サービスの提供がなされた日となります。

2 会期は、平成28年4月23日から平成28年10月30日までとなります。

(3) 寄附協賛
 寄附協賛を行う協賛企業は、本出展の実施運営等に要する費用に充てるための金銭を実行委員会に寄附します。なお、寄附協賛による協賛企業に対しては、広告宣伝特典の付与はありません。

3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 法人税法上の取扱い

  • イ 金銭による協賛及び物品による協賛の費用
     上記2(2)の表に掲げるとおり、広告宣伝期間は広告宣伝内容によって異なっており、協賛企業は、それらの期間中、2種類の広告宣伝特典を受けることになります。
     他方、協賛企業は、一括して金銭や物品の提供を行い、また、個々の広告宣伝の対価の額も定められていないことから、個々の広告宣伝特典における対価の見積りを協賛企業において行うことは実務上できないものです。
     したがって、協賛企業が支出する金銭の額及び物品の提供に要する費用については、広告宣伝期間が最も長い期間である上記2(2)の広告宣伝期間(協賛の日から平成28年12月31日まで)を基礎として期間配分し、それぞれの期間の属する事業年度の損金の額に算入することとして差し支えないと考えます。
  • ロ サービスによる協賛の費用
    • (イ) 自社の従業員を派遣した場合
       協賛企業が役務の提供をするために支出する費用について、協賛企業が自社の従業員を国際園芸博覧会会場に派遣する場合には、当該費用は、協賛企業の従業員である派遣者に対する給与であることから、通常の給与と同様にその支出の都度損金の額に算入するものと考えます。
    • (ロ) 派遣会社等を通じて雇用した者を派遣した場合
       協賛企業が派遣会社等を通じて実行委員会へ役務の提供をするために支出する費用については、上記イと同様、広告宣伝期間が最も長い期間である上記2(2)の広告宣伝期間(協賛の日から平成28年12月31日まで)を基礎として期間配分し、それぞれの期間の属する事業年度の損金の額に算入することとして差し支えないと考えます。
  • ハ 寄附協賛の費用
     寄附協賛については、広告宣伝を目的とするものではなく、協賛による広告宣伝特典もないことから、反対給付のない一方的行為による金銭の贈与になりますので、法人税法上の一般の寄附金になるものと考えます。

(2) 消費税法上の取扱い

  • イ 金銭による協賛の費用
     協賛企業は、実行委員会に金銭を支出することにより、2種類の広告宣伝特典を受けることになることから、当該金銭の支出は、広告宣伝という役務の提供の対価であると取り扱って差し支えないものと考えます。
     ところで、消費税法では、国内において事業者が行った役務の提供を含む資産の譲渡等について課することとされ、役務の提供が国内で行われたかどうかの判定(以下「内外判定」といいます。)は、電気通信利用役務の提供の場合は、役務の提供を受ける者の本店所在地等により行うこととしています(消法43三)。それ以外の役務の提供の場合の内外判定は、役務の提供が行われた場所が国内にあるかどうかにより行うことを原則とし、役務の提供場所が国内及び国外にわたる場合は、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地により行うことなどとされていますが(消法43二、消令62)、現実的な役務の提供場所が国内と国外とに区分することができ、かつ、これらの役務の提供に係る対価の額が国内の役務の提供に対応するものと、国外の役務の提供に対応するものとに合理的に区分されるものは、その区分により内外判定を行うものと解されます。
     今回の広告宣伝特典のうち、ホームページでの協賛企業名の表示、協賛企業のホームページへのリンクは、電気通信利用役務の提供に該当し(消法21八の三)、その内外判定は、当該電気通信利用役務の提供を受ける協賛企業の本店所在地が日本国内であることから、国内取引となります。国際園芸博覧会会場内の日本庭園における協賛企業名の表示の内外判定は、協賛企業名の表示が日本国外で行われることから国外取引となります。
     また、協賛企業は、2種類の広告宣伝特典を受けますが、金銭は協賛金として一括して支払うものであり、個々の広告宣伝の対価の額も定められていないことから、協賛企業が、ホームページでの協賛企業名の表示等(国内取引分)と博覧会会場での協賛企業名の表示(国外取引)の対価を合理的に見積って区分することは、実務上できないものです。
     こうしたことから、今回の役務の提供の内外判定については、役務の提供を行う実行委員会の事務所の所在地が国内であることから、その所在地により行っても差し支えなく、国内取引に該当すると考えます。
     したがって、協賛企業が支出する協賛金は、国内で行われる役務の提供の対価であり、協賛企業の課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると考えます。
  • ロ 物品・サービスによる協賛の費用
     物品・サービスによる協賛に係る支出については、給与等を対価とする役務の提供に該当するもの又は消費税が非課税若しくは免税となる資産の譲渡等に係るものを除き、協賛企業の課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると考えます。
  • ハ 寄附協賛の費用
     寄附協賛に係る支出については、反対給付のない一方的行為による金銭の贈与に該当することから、協賛企業の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないものと考えます。

○ 国税庁文書回答税目別検索