当社は、親会社との間で従業員に係る出向契約を締結しており、当社の従業員には親会社からの出向者が含まれています。
当社では、平成27年3月期の法人税の申告において、租税特別措置法(※)第42条の12の4《雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除》の適用を検討していますが、当該出向者に係る給与負担金の額を、同条第2項第3号から第5号までの「国内雇用者に対する給与等の支給額」に含めて計算を行う場合、同項第6号及び第7号に規定する「継続雇用者に対する給与等の支給額」にもこれを含めて計算すると解してよろしいでしょうか。
※ 本照会における租税特別措置法及び同施行令の条文については、平成27年度税制改正前のものによっています。
※ 一般被保険者とは、雇用保険の被保険者のうち、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいいます(雇用保険法60の2一)。
(※1) 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます(措法42の12の4四)。
雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(※2)以上であること。
平均給与等支給額((1)ハ)が比較平均給与等支給額((1)ニ)を超えること。
(※2) 租税特別措置法第42条の12の4第1項の規定の適用を受けようとする事業年度(以下「適用年度」といいます。)開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます(措法42の12の4五)。
なお、租税特別措置法関係通達(法人税編)42の12の4−3《出向先法人が支出する給与負担金》において、租税特別措置法第42条の12の4第2項第3号から第5号の規定の適用上、出向先法人が出向元法人へ出向者に係る給与負担金の額を支出する場合において、当該出向先法人の賃金台帳に当該出向者を記載しているときは、当該給与負担金の額は「国内雇用者に対する給与等の支給額」に含まれる旨明らかにされています。
上記(1)ロのとおり、出向先法人が出向元法人へ出向者に係る給与負担金の額を支出する場合において、当該出向先法人の賃金台帳に当該出向者を記載しているときは、当該給与負担金の額は「国内雇用者に対する給与等の支給額」に含めることとされており、本制度においてこのように出向者に係る給与負担金を取り扱っていることからすると、「継続雇用者に対する給与等の支給額」についても、同様に取り扱うことが整合的であると考えられます。したがって、継続して当社に勤務する本件出向者について当社において賃金台帳に記載していることから、本件出向者に係る給与負担金の額を「継続雇用者に対する給与等の支給額」に含めることとなると考えます。
ここで、上記(1)ハの(イ)及びニの(イ)のとおり、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定対象は、継続雇用者に係る給与支給額のうち一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限るとされているところ、本件出向者は当社の一般被保険者ではなく、本件出向元の一般被保険者となっていることから、本件出向者に係る給与負担金は、当社の平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定の基礎に含まれないのではないかとの疑義が生じるところです。
この点、本件出向者については、前事業年度以前から当社に継続して勤務していることからすれば、その給与負担金の額を平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定の基礎に含めるとしても、日雇いや短期契約などの形態の雇用者を排除するといった本制度において平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定対象を一般被保険者に限定していることの趣旨に反するものではないと考えます。
また、本件出向者に係る内容を当社の賃金台帳に記載しており、本件出向元では一般被保険者に該当する本件出向者について、当社の一般被保険者となっていないことをもって、その給与負担金を「雇用保険法第60条の2第1項第1号に規定する一般被保険者に該当する者に対して支給したもの」に該当しないと解するのは相当ではなく、むしろ、当社が自ら負担すべき給与等の支給額として当該給与負担金を支出していることからすれば、これを平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の算定基礎に含めることがその実態にも即しており、かつ、当該給与負担金の額を「国内雇用者に対する給与等の支給額」に含める取扱いとも整合すると考えます。
したがって、本件出向者に係る給与負担金の額は、租税特別措置法第42条の12の4第2項第3号から第5号までの「国内雇用者に対する給与等の支給額」に含めて計算を行う場合には、同項第6号及び第7号に規定する「継続雇用者に対する給与等の支給額」にも含めることとなると考えます。