別紙1 事前照会の趣旨

当法人は、官公庁、関連団体及び当法人の会員の緊密な連携と協力により当法人に関連する分野の技術の向上等に寄与するとともに、会員の健全な発展と公共の福祉の増進を図ることを目的とする一般社団法人です。

当法人は、上記目的を達成するための一つとして、設備メーカーからの依頼に基づいて、その設備が産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等のうち経済産業省関係産業競争力強化法施行規則第5条第1号に該当するいわゆる先端設備(以下「先端設備」といいます。)に該当することの証明書(以下「本件証明書」といいます。)を発行する業務を実施する予定です。

本件証明書の発行は、当法人の会員となっている設備メーカー(以下「会員」といいます。)のみならず会員以外の設備メーカー(以下「非会員」といいます。)からも受け付け、非会員に対して本件証明書の発行をする場合には手数料を負担してもらうことを予定しています。このように非会員に対して本件証明書の発行に係る手数料を負担してもらうのは、当法人に会費を負担している会員と、会費を負担していない非会員との公平性を考慮したことによるものです。

本件照会は、この非会員から本件証明書の発行の対価として受領する手数料収入(以下「本件手数料収入」といいます。)が、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する「請負業」に係る収益に該当するかどうかを照会するものです。

なお、当法人は、公益社団法人には該当せず、法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人に該当することを照会の前提とします。

別紙2 本件証明書の発行に係る業務の概要

本件証明書の発行に係る業務は、設備メーカーから、本件証明書を発行するために必要な事項を記入した書類及びチェックシートの提出を受け、その設備が法令等に定める先端設備の要件を充足するものであることについての確認とそれを証明する本件証明書の発行をするものです。

具体的には、先端設備とは、1その設備が最新モデルであること及びAその設備がその設備の旧モデルと比較して生産性が年平均1%以上向上していることの要件を満たすものをいいますので、当法人においては、設備メーカーがその生産性が年平均1%以上向上しているかどうかの評価をした指標が妥当であるか等を確認することとしており、その判断のために必要に応じて設備メーカーから裏付けとなる資料等を取り寄せることとしています。その上で、その設備が先端設備の要件を充足することを証明する本件証明書の発行をし、これらの対価として1通当たり○○円の手数料収入を得る予定です。

別紙3 2の事実関係に対して、当法人の求める見解となることの理由

(1) 法人税法上の請負業の範囲

法人税法施行令第5条第1項第10号の「請負業」には、「事務処理の委託を受ける業」が含まれますので、民法632条所定の請負を反復継続して業として行うものに限定されず、委任(民法643条)あるいは準委任(同法656条)を反復継続して業として行うものが含まれると考えられます。この点、法人税法上の請負業の範囲は、民法上の請負よりも広い概念であるということができ、建設請負などのほか、他の者の委託に基づいて行う調査、研究、情報の収集・提供、検査及び検定等の事業も、原則として全て請負業として課税の対象となると考えられます。ただし、単に知っている事実を証明するだけの行為は請負業とはならないとされています(法基通15−1−27)。

(注) 準委任契約とは、当事者の一方が法律行為以外の事務をなすことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生ずる契約であり、委託された事務を処理すること自体を内容とし、仕事の完成を内容としない点で民法上の請負契約と異なります。

(2) 本件への当てはめ

本件証明書の発行に係る業務は、設備メーカーから、本件証明書を発行するために必要な事項を記入した書類及びチェックシートの提出を受け、設備が法令等に定める先端設備の要件を充足するものであることについての確認とそれを証明する本件証明書の発行をするものであり、当法人は、本件証明書の発行に当たり、必要に応じて設備メーカーから裏付けとなる資料等を取り寄せ、先端設備に該当するための要件としてその生産性の指標が適当なものかどうかを判定するなどした上で本件証明書を発行し、これらの対価として1通当たり○○円の手数料収入を得る予定です。そうすると、この業務は、単に知っている事実を証明するだけの業務ではなく、本件手数料収入は、非会員からの依頼に基づき所定の事項を確認した上で証明書を発行するといった事務処理を行い、その事務処理に対する反対給付として受領する対価であると認められます。

したがって、当法人が非会員から依頼を受けて行う本件証明書の発行に係る業務は、「事務処理の委託を受ける業」と認められることから、本件手数料収入は、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する「請負業」に係る収益に該当すると考えられます。

なお、当法人は、当法人の事業目的全般を達成するために会員から会費を受領していますが、この会費については、本件証明書の発行を依頼しない会員に対して、本件証明書の発行の手数料に相当する金額を返還することとはしていないこと、また、会費の額は、本件証明書の発行に係る業務を行う前後において変更されておらず、本件証明書の発行の有無及び発行数の多寡にかかわらず当法人に対する基金の拠出額に応じて一律に算定されていることからすれば、会員からの本件証明書の発行に係る手数料を会費名目で受領しているとは認められません。

このため、当法人が受領する会費については、収益事業たる請負業に係る収益には該当しないと考えられます。

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