別紙1 事前照会の趣旨

地元住民及び地元団体等を構成員とする「隅田公園オープンカフェ運営連絡会」(以下「本会」といいます。)は、「隅田公園オープンカフェの運営について、地域と協働しながら良好な水辺空間の保全及び利用区域周辺に恒常的な賑わいを創出し地域の活性化を図ること」を目的として発足した団体であり、法人税法及び消費税法上の人格のない社団等(法法2八、消法2@七)に該当します。
このたび、河川敷地占用許可準則(以下「準則」といいます。)の一部改正により、営業活動を行う事業者等による河川敷地の利用の実施が可能とされたことを受け、平成25年10月から台東区立隅田公園内に民間事業者が経営する「隅田公園オープンカフェ」が設置されることを契機として、上記目的を達成するために、本会は、本会の自主的な事業として、オープンカフェ周辺における環境美化活動等を含む地域活性化等に資する事業(以下「地域活性化事業」といいます。)を実施するとともに、オープンカフェを経営する事業者(以下「出店者」といいます。)から地域還元費を受領することになりました。
この場合、本会が実施する地域活性化事業は、出店者から受領する地域還元費との間に具体的な対価関係がないこと、また、他に当該事業に伴う対価を受領していないことから、法人税法第2条第13号に規定する収益事業には当たらないと解して差し支えありませんか。
また、本会が出店者から受領する地域還元費は、消費税法上、課税の対象とはならないと解して差し支えありませんか。

別紙2 本会が行う事業の概要等

(1) 出店条件
河川法及び準則の規定に基づく河川敷地の占用許可の対象者は、台東区が策定した隅田公園オープンカフェ出店事業者募集要項(以下「出店事業者募集要項」といいます。)に基づき台東区が決定する事業者であることとされていることから、出店者は、その決定を受けた上で河川法及び準則の規定に基づく河川敷地の占用許可を受け、また、都市公園法及び東京都台東区立公園条例に基づく公園施設の設置許可を受けて出店しなければならないこととされています。
台東区は、この出店事業者募集要項を策定するに当たって、隅田公園の近隣住民等の意見を取り入れることとし、学識経験者、地元団体代表、地域住民、行政(東京都、台東区)により構成される「隅田公園オープンカフェ協議会」(以下「協議会」といいます。)の意見を踏まえた上で、出店事業者募集要項を策定し、これを公表しました。
この出店事業者募集要項において、出店者は本会との間で出店協定書を締結すること及び出店者はその売上の1パーセントを下限とする地域還元費の負担について提案すること等を出店条件としています。

(2) 出店協定書の内容
本会と出店者との間で締結された出店協定書には、要旨次の内容が記載されています。

イ 地域還元費(第8条)

(イ) 出店者は、地域環境の還元費用として、本会に対し地域還元費を納入するものとする。

(ロ) 地域還元費の額は、出店者の月の売上額の●パーセントとする。
(なお、このパーセントは出店者の申出により決定されます。)

(ハ) 本会は、地域還元費を管理し、利用区域内の維持管理、公園を含む良好な水辺空間の保全、賑わいの創出、地域活性化に資する事業等に支出するものとする。

(ニ) 本会は、既に納入された地域還元費はいかなる場合においても返還しないこととする。

ロ 本会が行うべき事項(第10条)
本会が実施する事項は、次の各号のとおりとする。

(イ) 協議会及び近隣住民との連絡調整

(ロ) 出店者との連絡調整

(ハ) 地域還元費の徴収、地域活性化事業の実施における経理事務及び入出金管理

(ニ) 上記イ(ハ)に定める地域還元費による事業の実施

ハ 出店者が行うべき事項(第11条)
出店者が負担又は実施する事項は、次の各号のとおりとする。

(イ) 店舗周辺の清掃など、周辺環境への適切な配慮

(ロ) 店内外からの苦情の対応

(ハ) 自転車が周辺に駐輪されないよう、来店者に対する隅田公園自転車駐車場への案内

(ニ) 出店者会(仮称)への加入

(ホ) 本会による出店区域周辺における集客及び活性化につなげるためのイベント、季節ごとの演出などへの協力

(ヘ) 助六夢通りへの協力、地元町会への加入及び町会行事への参加

(ト) 店舗内において周辺観光案内やイベント案内を行い、地域への回遊を促すこと

(チ) 出店企画提案書に出店者が記載した内容

(3) 本会が実施する地域活性化事業の内容
本会は、地域活性化事業として上記(2)ロに掲げる業務や地域環境への還元策を実施することとしており、具体的には、周辺環境美化のための活動(ゴミ箱の設置、回収等)、イベントの実施(水辺のコンサート、ウォークラリー等)、周辺マップの製作などの活動を予定しています。
これらの業務は、出店者から委託を受けて実施するものではなく、本会において地域活性化等に資すると認められるものについて、実施することとしています。
なお、本会の収入は、出店者から受領する地域還元費以外にはありません。

別紙3 2の事実関係に対して、本会の求める見解となることの理由

(1) 法人税法上の取扱い
人格のない社団等については、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる(法法41)とともに、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります(法法7)。法人税法上の収益事業(法法2十三)とは、相当の対価を得て行われるものをいうと解することとされていることから、対価を得ずに行われる事業は、法人税法上の収益事業に該当しません。
本会が出店者から受領する地域還元費は、次のとおり、本会が実施する地域活性化事業の対価とは認められませんので、本会が実施する地域活性化事業は、法人税法第2条第13号に規定する収益事業に該当しないものと考えます。

イ 出店協定書は、地域の活性化を図ることを目的として活動する本会に対して隅田公園でオープンカフェを営む出店者が地域環境への還元費用の拠出をすることを定めているにすぎず、本会が出店者に対して具体的な役務提供を約しているものではありません。

ロ 地域還元費は、利用区域内の維持管理、公園を含む良好な水辺空間の保全、賑わいの創出、地域活性化に資するためといった企業の社会貢献を目的として拠出されるものであり、具体的な役務提供の対価ではありませんので、一旦受け入れた地域還元費はいかなる場合も返還しないこととされています。
また、地域還元費として拠出する金額は、出店者自らが出店の応募に際して売上の何パーセントにするかを提案することとされており、本会が役務提供の対価として徴収するものではありませんので、その金額は、1パーセントの下限といった条件は付されているものの、出店者の任意の金額とされています。

(2) 消費税法上の取扱い
消費税法上、課税の対象となる国内において事業者が行った資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け及び役務の提供をいい、一般的な寄附金、祝金、見舞金等は、企業会計上費用として認識されますが、反対給付の対価として支出されるものではないことから、資産の譲渡等に係る対価に該当しないものとされています(消法21八、消基通5-2-14)。
本会が出店者から受領する地域還元費は、上記(1)の法人税法上の取扱いのとおり、本会が出店者から反対給付の対価として得ているものとは認められません。
したがって、本会が出店者から受領する地域還元費は、消費税法上、資産の譲渡等の対価に該当せず、課税の対象とはならないものと考えます。

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