別紙1-1 事前照会の趣旨

横浜市では、企業立地等の促進を図り、併せて市民雇用の増大及び市内企業の事業機会の拡大を図ることにより、横浜市経済の活性化に寄与することを目的として、横浜市企業立地等促進特定地域における支援措置に関する条例(平成16年条例第2号)(以下「企業立地促進条例」といいます。)を定め、丸1対象地域内に事業所を賃借し本社等を設置すること、丸2本社の従業者数が一定以上の規模となること、丸3経常利益を一定額以上計上していることなどの要件を満たす法人で、横浜市の認定を受けたものに対して助成金(以下「企業立地等助成金」といいます。)を支払うこととしています。
この企業立地等助成金は、企業立地促進条例等で明示的に「道府県民税及び市町村民税の減免」であることを表示していませんが、横浜市における市民税の法人税割額(以下「市民税法人税割額」といいます。)の減免という趣旨で交付するものであることから、その算定においては助成金交付を受けようとする法人の交付申請時を含む事業年度の直前事業年度に係る市民税法人税割額の納付額に相当する金額を用いることとしています。
ところで、法人税基本通達9-5-4《道府県民税等の減免に代えて交付を受けた補助金等》では、「法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しない。」こととされています。
今後、横浜市では、上記要件を満たした法人に対して企業立地等助成金を交付していくこととなりますが、当該法人において企業立地等助成金が法人税基本通達9-5-4の適用があるかどうか疑問が生じることも考えられます。
したがいまして、このような疑問が生じることのないよう、企業立地等助成金が「実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるとき」に該当するものと解して差し支えないかご照会申し上げます。

別紙1-2 事前照会に係る取引等の事実関係

1 企業立地促進条例の趣旨

企業立地促進条例は、企業立地等促進特定地域において固定資産税及び都市計画税の税率の特例並びに助成金の交付の措置を講ずることにより、企業立地等の促進を図り、併せて市民雇用の増大及び市内企業の事業機会の拡大を図ることにより、横浜市経済の活性化に寄与することを目的とした条例です。

2 企業立地促進条例(固定資産賃借型)の概要

(1) 対象地域

対象地域は、横浜市内の次の地域です。

名称 区域
みなとみらい21地域 西区及び中区の区域のうち、市長が告示する区域
横浜駅周辺地域 神奈川区及び西区の区域のうち、市長が告示する区域
関内周辺地域 中区の区域のうち、市長が告示する区域
新横浜都心地域 港北区の区域のうち、市長が告示する区域
港北ニュータウン地域 都筑区の区域のうち、市長が告示する区域

(2) 認定要件

認定要件は、次のとおりであり、以下それぞれの要件について説明します。

要件丸1 事業所を賃借し本社等を設置すること。
要件丸2 本社等の従業者数が一定以上の規模となること。
要件丸3 経常利益の額が一定額以上であること。

【要件丸1 事業所を賃借し本社等を設置すること。】
会社が本社機能等を設置するために事業所を賃借することをいい、具体的な内容は次のとおりです。
1 本社等の設置
本社等とは、次の中枢部門又は附随部門(附随部門に係る従業者数が中枢部門の従業者数を超える場合には、中枢部門と同じ従業者数に係る範囲に限ります。)をいいます。
  • イ 中枢部門 総務・人事、経理・財務、企画・調整、広報、国際関連、営業統括、研究開発、情報システム及びその他の統括を行う部門(神奈川県以外の地域を統括する支店・営業所等を含みます。)
  • ロ 附随部門 中枢部門に附随する神奈川県内の地域を統括する支店・営業所等、データセンター及びコールセンター等
2 事業所の賃借
新たに事業所を賃借することが必要です。
 したがって、自社でビルを建設・取得する場合や、賃貸借契約を締結せずに親会社の事業所に同居する場合については対象とはなりません。
【要件丸2 本社等の従業者数が一定以上の規模となること。】
次のとおり、初本社設置(横浜市内に初めて本社等を設置することをいいます。)又は拡張本社設置(横浜市内にある本社等を拡張することをいいます。)のいずれに該当するかに応じ、それぞれ次の従業者数に係る要件を満たすことが必要です。
1 初本社設置 設置する本社等の従業者数100人以上
2 拡張本社設置 次のいずれに該当するかに応じて、それぞれ次の要件
  • イ 従前の本社等が対象地域に立地されていた場合(後記ハの場合を除きます。)

    A 設置する本社等 100人以上
    B 市域全体の本社等 100人以上増加し、かつ、従前の従業者数の2倍以上

  • ロ 従前の本社等が対象地域外に立地されていた場合(後記ハの場合を除きます。)

    A 設置する本社等 100人以上
    B 市域全体の本社等 100人以上増加

  • ハ 従前の本社等が対象地域及び対象地域外に分散して立地されていた場合

    A 設置する本社等 100人以上
    B 市域全体の本社等 100人以上増加し、かつ、対象地域の従前の従業者数の2倍以上

(注)

  • 1 「従前の本社等」とは、事業所の自社所有・賃借を問わず、本社等を設置している場合が該当します。なお、従前に市内に拠点があっても、工場や営業所など本社等以外の事業所である場合には、初本社設置となります。
  • 2 従業者数は、法人市民税申告における従業者数の考え方に準じますので、正社員のほか、非常勤の者、役員等及び派遣労働者等を含みます。
【要件丸3 経常利益の額が一定額以上であること。】
次のいずれかの基準を満たすことが必要です。
1 申請日の前の事業年度以前の3事業年度の経常利益の額の合計 3億円以上
2 申請日の前の事業年度の経常利益の額 1億円以上

(3) 事業計画

申請に係る事業計画は、次のいずれにも適合するものであることが必要です。

  • イ 企業立地等が横浜市経済の発展に資すると認められること。
  • ロ 企業立地等に係る資金計画が申請した法人の経営の状況に照らして適切であること。

(4) 申請手続等

  • イ 申請期間は、平成21年4月1日から平成24年3月31日までです。
  • ロ 認定を受けようとする法人は、事業所の賃貸借契約の締結日の6か月前から前日までに横浜市に事業計画の認定申請を行います。
  • ハ 認定を受けた法人は、事業を開始した後に開始した事業年度の法人市民税が確定した場合、市長が指定する期日までに助成金申請を行います。
  • ニ 上記ハの申請を受け、横浜市は、助成金を交付します。

(5) 助成金額

  • イ 各年の助成金額
    各年の助成金額は助成金算定基準額(後記ロにより計算します。)に応じ、次の表のとおりです。
    助成金算定基準額 助成金額
    4,000,000円以下 0円
    4,000,001円以上5,000,000円以下 2,000,000円
    5,000,001円以上6,300,000円以下 2,500,000円
    6,300,001円以上7,900,000円以下 3,150,000円
    7,900,001円以上9,900,000円以下 3,950,000円
    9,900,001円以上12,400,000円以下 4,950,000円
    12,400,001円以上15,500,000円以下 6,200,000円
    15,500,001円以上19,400,000円以下 7,750,000円
    19,400,001円以上24,300,000円以下 9,700,000円
    24,300,001円以上30,400,000円以下 12,150,000円
    30,400,001円以上38,000,000円以下 15,200,000円
    38,000,001円以上47,500,000円以下 19,000,000円
    47,500,001円以上59,400,000円以下 23,750,000円
    59,400,001円以上74,300,000円以下 29,700,000円
    74,300,001円以上92,900,000円以下 37,150,000円
    92,900,001円以上116,200,000円以下 46,450,000円
    116,200,001円以上145,300,000円以下 58,100,000円
    145,300,001円以上181,700,000円以下 72,650,000円
    181,700,001円以上200,000,000円以下 90,850,000円
    200,000,001円以上 100,000,000円
  • ロ 助成金算定基準額
    助成金算定基準額は、次の算式により求めます。
    (算式)
    横浜市内に新たに設置した本社等の従業者数/横浜市内の事業所従業者数

(注)

  • 1 本社等を横浜市内に設置した後の法人市民税の確定申告における税額(確定申告の後に税額を減額する更正を受けた場合には、更正後の税額)です。
  • 2 横浜市の事業所の従業者数の合計です。
  • 3 次のうちいずれか少ない数です。
    • (1) 申請後の新本社の従業者数
    • (2) 市内従業者の増加数(申請後の市内本社の従業者数の合計数から申請前の市内本社の従業者数の合計数を控除した数)
  • 4 算式は、事業年度を1年とする事業者についてのものであり、事業年度の期間が1年未満又は1年を超える場合には、別途、算式を設けています。

(6) 交付決定の取消し及び助成金の返還等

横浜市長は、助成金の交付を受けた法人が次のいずれかに該当する場合は、交付の決定の全部又は一部を取り消すことができます。交付の決定が取り消された法人は、横浜市長から期限を定めて既に受領した助成金の返還を求められます。

  • イ 事業計画に従って企業立地等を行っていないと認めるとき、相当期間内に企業立地等に係る事業を開始していない又は事業計画が上記(3)イ若しくはロのいずれかに適合しなくなったと認めることにより認定を取り消されたとき。
  • ロ 市長から付された交付の決定に係る条件に違反したとき。
  • ハ 市民税法人税割額を減額する更正を受けたとき。
  • ニ 虚偽その他の不正の行為により助成金の交付を受けたことが明らかになったとき。
  • ホ 企業立地促進条例等又は企業立地促進条例等に基づく横浜市長の処分に違反したとき。
  • (注) 上記ハについて、横浜市においては、その事実を把握したときに、遅滞なく助成金の全部又は一部の交付の決定を取り消し、その減額された市民税法人税割額により再計算された助成金に応じて返還を求めることとしています。

3 未納の場合の取扱い

上記2(4)ハの申請に係る市民税法人税割額が納付されていない場合には、交付の決定はされません。

別紙1-3 事前照会者の求める見解となることの理由

法人税基本通達9-5-4においては、補助金、奨励金等が「実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるとき」は、その補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しないとされています。
これは、その補助金、奨励金等が「実質的に」道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかになっていることを求めているものであり、条例等により明示的に「道府県民税及び市町村民税の減免」であることを表示することまで求めていないものと考えられます。
企業立地等助成金も市民税法人税割額の減免に代えて交付されたものであることが企業立地促進条例、交付決定書及び条例手引等において明示されているものではありませんが、次のとおり、

  • 丸1 企業立地等助成金の額の算定根拠が市民税法人税割額であること(別紙1-2の事実関係2(5)「助成金額」参照)。
  • 丸2 納付した市民税法人税割額を超えて企業立地等助成金が交付されるものではないこと(別紙1-2事実関係2(5)「助成金額」参照)。
  • 丸3 市民税法人税割額が減額された場合には、助成金の全部又は一部の交付の決定を取り消し、その減額された市民税法人税割額により再計算された助成金に応じて返還を求めること(別紙1-2の事実関係2(6)「交付決定の取消し及び助成金の返還等」参照)。
  • 丸4 市民税法人税割額が未納の場合には、企業立地等助成金の交付決定がされないこと(別紙1-2の事実関係3「未納の場合の取扱い」参照)。

を踏まえれば、企業立地等助成金は、「実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されることが明らか」になっていると認められることから、これを受けた法人においては、その助成金を法人税基本通達9-5-4の取扱いにより益金の額に算入しないことができると考えられます。

 

 

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