別紙

1 事実関係
当社は、住宅の建築請負契約又は売買契約を締結した個人が、金融機関等からの融資が実行される前に死亡等した場合に、保険金をもって報酬支払債務又は代金支払債務の残額に充てることを目的として、団体信用生命保険の付保範囲を拡大することとしました。その内容はおおむね次のとおりです。
  1. (1) 契約者及び保険金受取人
    住宅建築会社、住宅販売会社又は報酬支払債務若しくは代金支払債務に係る保証の委託を受けた保証会社。
  2. (2) 被保険者
    同一の住宅建築会社若しくは住宅販売会社に対して報酬支払債務若しくは代金支払債務を負う債務者又は同一の保証会社に対して債務保証を委託した債務者のうち、金融機関等からの融資を受けることとしている者の全部又は一部の集団で、契約者と保険会社との協議をもって定めるもの(顧客)。
  3. (3) 保険金
    被保険者の保険事故発生時における報酬支払債務又は代金支払債務の残額相当額。ただし、保険金額は金融機関等の融資額の範囲内とする。
  4. (4) 保険事故
    被保険者の死亡及び一定程度以上の高度障害。
  5. (5) 被保険期間
    建築請負契約に係る工事着工日(着工日以前に金融機関等の融資が決定していた場合はその決定日を着工日とみなすことができる。)から建築請負契約終了日(金融機関等の最終融資が報酬支払債務の残額に充当されることにより債務が消滅する日をいう。)まで又は売買契約締結日から売買契約終了日(金融機関等の最終融資が代金支払債務の残額に充当されることにより債務が消滅する日をいう。)まで。ただし、保険期間は1年未満とする。
  6. (6) 保険料
    保険料は、保険金額(報酬支払債務又は代金支払債務の残額相当額)に応じて年1回改算し、月払いとする。なお、料率は被保険者の年齢に応じて逓増する。
  7. (7) 返戻金
    保険契約の解除、解約、被保険者の脱退等による返戻金はない。
  8. (8) 配当金
    年1回契約応答日において有効な契約に対し、配当金を現金又は保険料相殺により支払う。
  9. (9) 債務免除特約
    以上に基づき、保険金受取人たる住宅建築会社、住宅販売会社又は保証会社は、被保険者たる顧客との間に、保険金の受領を停止条件として、報酬支払債務又は代金支払債務を免除する旨の特約を結ぶ。
  10. (参考)

    住宅の工事代金又は売買代金を融資する金融機関等は、通常、融資に係る債権額に相当する金額を保険金額とする団体信用生命保険を付保し、注文者又は買主が融資期間中に死亡等した場合は遺族等が債務負担を免れるようにしています。
    しかしながら、稀に、建築請負契約又は売買契約を締結した後、金融機関等の融資が実行されるまでの間に注文者又は買主の死亡等が発生し、融資が実行されないことがあり、この場合には、遺族等において残金の支払が困難となり、あるいは違約金を支払って契約の解除を行うことになります。
    そこで、このようなデメリットの発生を防止するため、上記のとおり付保範囲を拡大するものです。

 
2 照会の趣旨
上記の団体信用生命保険に係る課税上の取扱いは下記のとおりでよろしいか、ご照会申し上げます。
  1. (1) 保険料
    契約者たる住宅建築会社、住宅販売会社又は保証会社が保険会社に払い込む保険料は、いわゆる販売費用の性格を有するものと認められ、かつ、返戻金のない掛捨てであることから、単純な期間費用として損金算入が認められる。
    また、契約上被保険者たる顧客が負担することとしている保険料を住宅建築会社又は住宅販売会社が負担することとしている場合においても、実質的には請負金額又は売買金額に変形して回収しているということもできるので、寄附金又は交際費に該当せず、同様に損金算入が認められる。
  2. (2) 保険金等
    住宅建築会社又は住宅販売会社が保険会社から受け取る保険金又は保証会社から受け取る保証金は、建築請負契約又は売買契約に係る収入金額となる。また、保証会社が保険会社から受け取る保険金及び住宅建築会社又は住宅販売会社に支払う保証金は、保証契約に係る収入金額及び支出金額となる。したがって、顧客に対する債務免除について、寄附金等の問題は生じない。
  3. (3) 債務免除益等
    保険事故が死亡であった場合の報酬支払債務又は代金支払債務の免除に関しては、相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客及びその相続人について所得税の課税関係は生じない。
    また、保険事故が高度障害であった場合の報酬支払債務又は代金支払債務の免除に関しては、その利益が身体の傷害に起因して受けるものであるので、所得税の課税関係は生じない。
    なお、消費税に関しては、当該団体信用生命保険の付保の有無にかかわらず、住宅建築会社又は住宅販売会社は、建物の引渡し又は所有権移転登記の申請日等において住宅の建築又は販売に係る課税売上げを計上することとなり、顧客に対する債務免除については売上げの対価の返還等又は売掛債権の貸倒れ控除のいずれにも該当しない。

 

 

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