平成29年10月
高松国税局

所得税及び個人事業者の消費税について、平成28事務年度(平成28年7月から平成29年6月までの間)に実施した調査等の状況をまとめましたのでお知らせします。

1 所得税

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

所得税の調査については、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査(特別調査・一般調査)を優先して実施する一方、申告漏れ所得等の把握を実地により短期間で行う着眼調査を実施しています(以下、実地により行う調査を総称して「実地調査」といいます。)。
 このほか、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により、申告漏れ、計算誤り又は所得(税額)控除の適用誤りがある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施しています。
 このように、事案に応じた的確な調査等(「実地調査」及び「簡易な接触」をいいます。以下同じです。)を実施し、適正・公平な課税に努めています。
 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が1,243件(前事務年度1,228件)、着眼調査が929件(前事務年度1,089件)、合計は、2,172件(前事務年度2,317件)であり、簡易な接触の件数については、11,060件(前事務年度11,428件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は13,232件(前事務年度13,745件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は9,643件(前事務年度9,824件)となっています。

(2) 申告漏れ所得金額の状況

実地調査による申告漏れ所得金額(実地調査の対象となった全ての年分の合計)は、全体で148億64百万円(前事務年度147億43百万円)であり、うち特別調査・一般調査によるものは120億24百万円(前事務年度116億16百万円)、着眼調査によるものは28億40百万円(前事務年度31億27百万円)となっています。
 また、簡易な接触によるものは129億88百万円(前事務年度146億41百万円)となっており、調査等合計では278億52百万円(前事務年度293億85百万円)となっています。

(3) 追徴税額の状況

実地調査による追徴税額(実地調査の対象となった全ての年分の合計で加算税を含みます。)は、全体で23億47百万円(前事務年度23億15百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは21億3百万円(前事務年度20億38百万円)、着眼調査によるものは2億44百万円(前事務年度2億77百万円)となっています。
 また、簡易な接触による追徴税額は7億84百万円(前事務年度6億63百万円)となっており、調査等合計では31億31百万円(前事務年度29億79百万円)となっています。

(4) 譲渡所得

所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数は、460件(前事務年度647件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は、363件(前事務年度499件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、26億76百万円(前事務年度31億53百万円)となっています。

2 消費税(個人事業者)

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

消費税(個人事業者)の調査等については、課税事業者又は課税事業者と認められる個人を対象に、原則として所得税の調査等と同時に実施することとしておりますが、消費税のみが無申告である納税者に対しても、適正な課税に努めています。
 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が851件(前事務年度800件)、着眼調査が461件(前事務年度624件)、合計は、1,312件(前事務年度1,424件)であり、簡易な接触の件数は、1,060件(前事務年度863件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は2,372件(前事務年度2,287件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は1,671件(前事務年度1,649件)となっています。

(2) 追徴税額の状況

実地調査による追徴税額(実地調査の対象となった全ての年分の合計で加算税を含みます。)は、全体で10億32百万円(前事務年度8億31百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは9億35百万円(前事務年度7億15百万円)、着眼調査によるものは96百万円(前事務年度1億16百万円)となっています。
 また、簡易な接触によるものは1億17百万円(前事務年度1億7百万円)となっており、調査等合計では、11億49百万円(前事務年度9億38百万円)となっています。

(参考1)平成28事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(局計)

1 所得税

区分 実地調査 丸4 簡易な接触   丸5 調査等合計
(丸3+丸4)
  丸6 譲渡所得調査等  
項目 丸1 特別・一般 対前年比 丸2 着眼 対前年比 丸3 計 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 1,228   1,089   2,317 2年連続減 11,428   13,745 3年連続減 647 10年連続減
1,243 101.2% 929 85.3% 2,172 93.7% 11,060 96.8% 13,232 96.3% 460 71.1%
2 申告漏れ等の非違件数 1,113   821   1,934 2年連続減 7,890   9,824 3年連続減 499 2年連続減
1,124 101.0% 698 85.0% 1,822 94.2% 7,821 99.1% 9,643 98.2% 363 72.7%
3 申告漏れ所得金額 百万円 11,616   3,127   14,743 2年ぶり増 14,641   29,385 4年ぶり減 3,153 3年ぶり減
12,024 103.5% 2,840 90.8% 14,864 100.8% 12,988 88.7% 27,852 94.8% 2,676 84.9%
4 追徴税額 本税 百万円 1,739   247   1,987   653   2,640   - -
1,787 102.8% 218 88.3% 2,005 100.9% 752 115.2% 2,757 104.4% - -
5 加算税 百万円 299   30   329   10   339   - -
316 105.7% 25 83.3% 341 103.6% 32 320.0% 374 110.3% - -
6 百万円 2,038   277   2,315 2年ぶり増 663   2,979 4年連続増 - -
2,103 103.2% 244 88.1% 2,347 101.4% 784 118.3% 3,131 105.1% - -
7 一件当たり 申告漏れ所得金額 千円 9,459   2,872   6,363 3年連続増 1,281   2,138 3年ぶり減 4,874 5年連続増
9,674 102.3% 3,057 106.4% 6,843 107.5% 1,174 91.6% 2,105 98.5% 5,817 119.3%
8 追徴税額 本税 千円 1,416   227   857   57   192   - -
1,437 101.5% 235 103.5% 923 107.7% 68 119.3% 208 108.3% - -
9 加算税 千円 243   27   142   1   25   - -
254 104.5% 27 100.0% 157 110.6% 3 300.0% 28 112.0% - -
10 千円 1,660   255   999 3年連続増 58   217 3年連続増 - -
1,692 101.9% 263 103.1% 1,080 108.1% 71 122.4% 237 109.2% - -

(注)

  • 1 平成28年7月から平成29年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  • 2 上段は、前事務年度の計数である(上段・下段どちらも、資産課税部門職員の行った調査等の計数を含む。)。
  • 3 「簡易な接触」の件数には、添付書類の未提出者に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  • 4 追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  • 5 単位未満を四捨五入しているため、合計に符合しない箇所がある。
  • 【参考1】 特別調査・一般調査とは、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査を行うものであり、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる者等を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものである。
  • 【参考2】 着眼調査とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる者を対象に実地に臨場して短期間で行う調査である。
  • 【参考3】 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものである。

2 消費税(個人事業者)

区分 実地調査 丸10 簡易な接触   丸11 調査等合計
(丸9+丸10)
 
項目 丸7 特別・一般 対前年比 丸8 着眼 対前年比 丸9 計 対前年比 対前年比 対前年比
11 調査等件数 800   624   1,424 2年連続減 863   2,287 2年ぶり増
851 106.4% 461 73.9% 1,312 92.1% 1,060 122.8% 2,372 103.7%
12 申告漏れ等の非違件数 701   447   1,148 2年連続減 501   1,649 2年ぶり増
714 101.9% 331 74.0% 1,045 91.0% 626 125.0% 1,671 101.3%
13 追徴税額 本税 百万円 609   103   712   102   814  
781 128.2% 85 82.5% 866 121.6% 107 104.9% 973 119.5%
14 加算税 百万円 106   13   120   5   124  
155 146.2% 11 84.6% 166 138.3% 10 200.0% 176 141.9%
15 百万円 715   116   831 4年連続増 107   938 4年連続増
935 130.8% 96 82.8% 1,032 124.2% 117 109.3% 1,149 122.5%
16 一件当たり 追徴税額 本税 千円 761   165   500   118   356  
918 120.6% 184 111.5% 660 132.0% 101 85.6% 410 115.2%
17 加算税 千円 133   22   84   6   54  
182 136.8% 25 113.6% 127 151.2% 9 150.0% 74 137.0%
18 千円 894   186   584 3年連続増 124   410 3年連続増
1,099 122.9% 209 112.4% 786 134.6% 110 88.7% 484 118.0%

(注)

  • 1 平成28年7月から平成29年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  • 2 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。
  • 3 上段は、前事務年度の計数である。
  • 4 単位未満を四捨五入しているため、合計に符号しない箇所がある。

(参考2)事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

(平成29年6月末現在)
順位 業種目 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税) 前年順位
      万円 万円  
1解体工事 建設工事現場において、機械装置をすえ付け、解体工事を行うもの1,879472-
2型枠工事 主として型枠大工工事を行うもの1,212117-
3スタンドバー カウンター及びテーブル等の設備を設け、酒類及びコーヒー等を提供し簡単に調理した料理等を飲食させるもの1,061162-
4酒場 主として酒類及び料理をその場所で飲食させるもの1,039144-
5建設、設備工事労務者 主として下請けとして工事現場において建築物又は土木施設などの工事目的物の一部を構成する建設工事を行うもの99146-
6水道衛生工事 一般管工事業に属さない、主として建築物、工場など各種施設の給水設備(井戸ポンプを含む)、排水設備、給湯設備、消火設備、水洗便所、ちゅう房設備、汚水汚物処理装置、汚物浄化槽、じんかい処理装置などの設備工事を施工するもの956112-
7海面養殖業 海面において行う養殖業で、築堤、小割、いかだ式垂下、はえ縄、網びきなどにより水産動植物を養殖するもの931111-
8とび工事 主として建方、足場組立、金属製仮設工事、支柱工事、ひき屋工事を行うもの9141036
9内科医 内科を専門とするもの913391-
10一般海面漁業 主として海面において底引き網漁業、巻き網漁業、敷網漁業、刺網漁業、釣、はえ縄漁業、定置網漁業及び地びき、船びき漁業を行うもの873163-

(参考3)事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得が高額な業種

  19事務年度 20事務年度 21事務年度 22事務年度 23事務年度
業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得
    万円   万円   万円   万円   万円
1 くず金卸 1,951 廃棄物処理 2,209 一般海面漁業 1,983 柔道整復師 1,676 水産養殖業 3,004
2 野菜栽培農業 1,750 くず金卸 1,796 水産養殖業 1,568 水産養殖業 1,644 一般海面漁業 1,571
3 建設、設備工事労務者 1,235 果樹栽培農業 1,493 税理士 1,370 機械部品受託加工 1,316 塗装工事 1,008
4 果樹栽培農業 1,171 税理士 1,459 酒場 1,244 一般海面漁業 1,056 一般自動車整備 978
5 生命保険外交員 1,063 水産養殖業 1,322 弁護士 1,102 野菜栽培農業 964 野菜栽培農業 965
  24事務年度 25事務年度 26事務年度 27事務年度 28事務年度
業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得
    万円   万円   万円   万円   万円
1 野菜栽培農業 1,153 果樹栽培農業 1,195 一般海面漁業 1,050 土木工事 1,096 解体工事 1,879
2 果樹栽培農業 1,013 米作農業 1,049 鉄骨、鉄筋工事 970 鉄骨、鉄筋工事 879 型枠工事 1,212
3 米作農業 783 野菜栽培農業 861 電気配線工事 953 水産養殖業 808 スタンドバー 1,061
4 スタンドバー 764 大工工事 804 バー 744 板金工事 796 酒場 1,039
5 税理士 739 塗装工事 750 学習塾経営 662 司法書士、行政書士 779 建設、設備工事労務者 991

(注)1件当たりの申告漏れ所得は、調査全年分に係るものである。

(参考4)平成28事務年度 譲渡所得の調査等の状況(局計)

事務年度 平成27務年度 平成28事務年度 対前事務年度
項目
 
丸1調査等件数 647 460 71.1
  土地建物等 495 332 67.1
  株式等 152 128 84.2
 
丸2申告漏れ等の非違件数 499 363 72.7
  土地建物等 370 253 68.4
  株式等 129 110 85.3
  ポイント
丸3申告漏れ割合(丸2丸1 77.1 78.9 1.8
  土地建物等 74.7 76.2 1.5
  株式等 84.9 85.9 1.0
  百万円 百万円
丸4申告漏れ所得金額 3,153 2,676 84.9
  土地建物等 2,156 1,748 81.1
  株式等 998 928 93.0
  千円 千円
丸51件当たり申告 漏れ所得金額 (丸4丸1 4,874 5,817 119.3
  土地建物等 4,355 5,264 120.9
  株式等 6,563 7,249 110.5

(注)

  • 1 土地建物等は、土地建物(分離譲渡所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
  • 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。