令和4年12月
仙台国税局

T 法人税等の申告(課税)事績

1 令和3年度における法人税等の申告事績の概要

◆ 申告所得金額の総額は過去最高の1兆5千億円

  令和3年度における法人税の申告件数は16万3,371件で、その申告所得金額の総額は過去最高の1兆4,866億円、申告税額の総額は2,902億円となり、前年度に比べ、それぞれ499億円(3.5%)、62億円(2.2%)増加しています。

(注)

  1. 1 令和3年4月1日から令和4年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、令和4年7月31日までに申告があったものを令和4年8月末現在で取りまとめています。
  2. 2 令和3年3月31日までに終了した事業年度に係る申告のうち、災害等による申告の期限延長により、本年度の集計対象期間中(令和3年8月1日から令和4年7月31日まで)に申告があったものも含まれています。

○ 法人税の申告件数等の状況

年度等 令和2 令和3
項目 件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数
163,399 163,371 ▲28 100.0
申告所得金額 億円 億円 億円
14,366 14,866 499 103.5
申告税額 億円 億円 億円
2,840 2,902 62 102.2

 

○ 申告所得金額の推移

(参考計表)令和3年度における法人税等の申告事績

別表1:法人数の状況

区分 令和3年6月30日現在 令和4年6月30日現在
項目 件数 前年対比 件数 前年対比
法人数 法人 法人
168,213 100.4 169,033 100.5

(注)清算中法人については、集計対象から除外しています。

別表2:法人税の申告の状況

年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数 1
163,399 101.0 163,371 100.0
申告割合 2 ポイント ポイント
93.9 ▲0.1 94.1 0.2
黒字申告件数 3
58,255 101.2 58,561 100.5
黒字申告割合 4 ポイント ポイント
35.7 0.1 35.8 0.1
申告所得金額 5 億円 億円
14,366 109.2 14,866 103.5
黒字申告1件当たり所得金額 6 千円 千円
24,661 107.9 25,385 102.9
申告欠損金額 7 億円 億円
6,085 125.0 6,318 103.8
赤字申告1件当たり欠損金額 8 千円 千円
5,787 123.9 6,028 104.2

別表3:法人税の税額の状況

年度等 令和2 令和3
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
2,840 110.5 2,902 102.2

別表4:地方法人税の税額の状況

年度等 令和2 令和3
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
271 225.0 319 117.5

2 令和3事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要

◆ 源泉所得税等の税額は前事務年度に比べ427億円の増加

  令和3事務年度における源泉所得税等の税額は5,496億円で、前事務年度に比べ427億円(8.4%)増加しました。
 主な所得についてみると、給与所得の税額は86億円(2.1%)増加し、配当所得の税額は270億円(47.9%)増加しています。

(注)
  • 1 令和3年7月1日から令和4年6月30日までに提出のあった徴収高計算書の税額及び税務署長が行った納税告知に係る税額を集計しています。
  • 2 平成25年1月1日以後生ずる所得に係る税額から、復興特別所得税が含まれています。

○ 源泉所得税等の税額の状況

  事務年度等 令和2 令和3
項目  税額 税額 増減 前年対比
給与所得 億円 億円 億円
4,112 4,199 86 102.1
退職所得 91 104 13 114.0
利子所得等 53 50 ▲3 93.6
配当所得 564 834 270 147.9
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 90 147 57 163.6
報酬料金等所得 144 150 7 104.7
非居住者等所得 16 13 ▲3 82.6
合計 5,070 5,496 427 108.4

○ 源泉所得税等の税額の推移

(参考計表)令和3事務年度における源泉所得税等の課税事績

別表1:源泉徴収義務者数の状況

区分 令和3年6月30日現在 令和4年6月30日現在
項目 義務者数 前年対比 義務者数 前年対比
給与所得 本店法人 1
136,625 100.3 136,952 100.2
支店法人 2 2,081 98.1 2,050 98.5
官公庁 3 1,272 93.0 1,272 100.0
個人 4 69,536 98.5 67,814 97.5
その他 5 10,426 99.6 10,382 99.6
6 219,940 99.6 218,470 99.3
利子所得等 7 2,303 92.9 2,230 96.8
配当所得 8 9,725 99.7 9,873 101.5
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 9 974 99.1 962 98.8
報酬料金等所得 10 158,739 99.4 158,533 99.9
非居住者等所得 11 466 86.1 463 99.4

別表2:源泉所得税等の税額の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 税額 前年対比 税額 前年対比
給与所得 1 億円 億円
4,112 98.9 4,199 102.1
退職所得 2 91 112.6 104 114.0
利子所得等 3 53 111.1 50 93.6
配当所得 4 564 90.6 834 147.9
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 5 90 183.2 147 163.6
報酬料金等所得 6 144 97.0 150 104.7
非居住者等所得 7 16 105.3 13 82.6
合計 8 5,070 99.0 5,496 108.4

U 法人税等の調査事績

1 法人税・法人消費税等の調査事績の概要

(1) 法人税の調査事績の概要

令和3事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人2,643件(前年対比293.7%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は1,901件(同255.9%)、その申告漏れ所得金額は258億25百万円(同194.8%)、追徴税額は45億96百万円(同166.0%)となっています。

(注)

  1. 1 令和3事務年度の調査事績は、令和3年2月1日から令和4年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和3年7月から令和4年6月までの間に実施した調査に係るものを集計しています。
  2. 2 追徴税額には、地方法人税及び加算税を含みます。

○ 法人税の実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
900 23.8 2,643 293.7
非違があった件数 2
743 26.7 1,901 255.9
    うち不正計算があった件数 3
237 30.9 490 206.8
申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
13,255 48.1 25,825 194.8
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
5,554 48.9 6,779 122.1
調査による追徴税額 6 百万円 百万円
2,768 46.5 4,596 166.0
    うち加算税額 7 百万円 百万円
414 39.1 729 176.0
不正発見割合(3/1) 8 ポイント ポイント
26.3 6.0 18.5 ▲7.8
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 千円
14,727 202.2 9,771 66.3
不正1件当たりの不正所得金額(5/3) 10 千円 千円
23,433 158.3 13,835 59.0
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 千円 千円
3,075 195.4 1,739 56.5

(注)調査による追徴税額には地方法人税が含まれています。

(2) 法人消費税の調査事績の概要

令和3事務年度においては、法人消費税について、2,592件(前年対比290.6%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は1,505件(同238.5%)、その追徴税額は29億88百万円(同257.7%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況 

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
892 24.4 2,592 290.6
非違があった件数 2
631 29.0 1,505 238.5
    うち不正計算があった件数 3
199 31.5 420 211.1
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
1,159 52.8 2,988 257.7
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
306 30.9 804 262.8
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
1,300 216.7 1,153 88.7
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
1,538 98.2 1,915 124.5

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2 源泉所得税等の調査事績の概要

  令和3事務年度においては、3,575件(前年対比288.8%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施しました。
 このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は1,029件(同283.5%)で、その追徴税額は8億58百万円(同116.8%)となっています。

○ 源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
源泉徴収義務者数(給与所得) 1
219,940 99.6 218,470 99.3
実地調査件数 2
1,238 23.6 3,575 288.8
非違があった件数 3
363 24.5 1,029 283.5
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
734 54.1 858 116.8
調査1件当たりの追徴税額(4/2) 5 千円 千円
593 229.8 240 40.5

(注)調査による追徴税額には加算税及び復興特別所得税が含まれています。

3 参考資料

(1)不正発見割合の高い10業種(法人税)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 前年順位
1 自動車修理業 32.2% 2,805
2 林業 30.4% 30,257
3 自動車・同部品 30.0% 3,285
4 再生資源 28.6% 26,579
5 土木工事 27.8% 15,873 9
6 その他の設備工事 27.8% 9,028
7 燃料 26.1% 8,048
8 その他の道路貨物運送 25.0% 16,537
9 電気・通信工事 22.9% 9,415
10 その他のサービス 22.6% 17,718

(2)不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)

順位 業種目 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 不正発見割合 前年順位
1 林業 30,257 30.4%
2 その他の対個人サービス 25,189 22.2%
3 その他のサービス 17,718 22.6%
4 土木工事 15,873 27.8% 8
5 貨物自動車 13,456 22.5% 4
6 一般土木建築工事 11,058 21.0% 1
7 職別土木建築工事 10,610 22.4% 7
8 電気・通信工事 9,415 22.9% 2
9 その他の設備工事 8,819 12.0%
10 燃料 8,048 26.1%

V 主要な取組

1 消費税還付申告法人に対する取組
 〜 不正に還付申告を行っていた法人から1億85百万円を追徴 〜

  •  虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられます。こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施しています。
  •  令和3事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、224件(前年対比311.1%)に対し実地調査を実施し、消費税10億67百万円(同486.6%)を追徴課税しました。また、そのうち47件(同276.5%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、1億85百万円(同359.3%)を追徴課税しました。

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
72 25.9 224 311.1
非違があった件数 2
51 34.7 161 315.7
    うち不正計算があった件数 3
17 58.6 47 276.5
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
219 78.9 1,067 486.6
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
52 45.1 185 359.3
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
3,045 304.5 4,762 156.4
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
3,037 76.9 3,947 130.0

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 〜 海外取引等に係る申告漏れ所得3億28百万円を把握 〜

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  令和3事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を173件(前年対比184.0%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったものを56件(同215.4%)、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を3億28百万円(同18.0%)把握しました。

○ 海外取引法人等に対する実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
94 27.6 173 184.0
海外取引等に係る非違があった件数 2
26 25.2 56 215.4
    うち不正計算があった件数 3
5 45.5 3 60.0
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
1,823 42.3 328 18.0
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
51 7.3 11 21.6

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)
 〜 海外取引等に係る源泉徴収漏れ88百万円を追徴課税 〜

  •  経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  令和3事務年度においては、非居住者や外国法人に対する科学技術等に関する人的役務提供事業の対価や工業所有権等の使用料等などの支払について源泉所得税等の課税漏れを17件(前年対比154.5%)把握し、88百万円(同642.1%)を追徴課税しました。

○ 海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
非違があった件数 1
11 57.9 17 154.5
調査による追徴本税額 2 百万円 百万円
14 6.0 88 642.1

3 無申告法人に対する取組
 〜 無申告法人に対し10億50百万円を追徴課税 〜

  •  事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、登記情報等から法人を把握した上、無申告法人を的確に管理するとともに、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいます。
  •  令和3事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施し、法人税2億82百万円(前年対比335.3%)、消費税7億68百万円(同261.8%)、合わせて10億50百万円(同278.5%)を追徴課税しました。
  •  このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税99百万円(同251.2%)、消費税66百万円(同174.7%)を追徴課税しました。

○ 無申告法人に対する実地調査の状況

事務年度等 令和2 令和3
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
法人税 実地調査件数 1
80 72.7 100 125.0
    うち不正計算があった件数 2
5 35.7 10 200.0
調査による追徴税額 3 百万円 百万円
84 37.7 282 335.3
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 4 百万円 百万円
39 25.7 99 251.2
消費税 実地調査件数 5
77 95.1 83 107.8
    うち不正計算があった件数 6
5 55.6 9 180.0
調査による追徴税額 7 百万円 百万円
293 134.6 768 261.8
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 8 百万円 百万円
38 80.5 66 174.7
調査による追徴税額合計 9 百万円 百万円
377 85.5 1,050 278.5
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 10 百万円 百万円
77 38.7 165 214.3

(注) 調査による追徴税額には加算税、地方法人税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。