平成30年12月
仙台国税局

申告漏れ等の非違件数、申告漏れ課税価格及び追徴税額が5年間で最多

1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成27年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は657件(平成28事務年度652件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は533件(平成28事務年度522件)で、非違割合は81.1%(平成28事務年度80.1%)となっています。

2 申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は154億円(平成28事務年度143億円)で、実地調査1件当たりでは2,341万円(平成28事務年度2,197万円)となっています。

3 申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等45億円(平成28事務年度52億円)が最も多く、続いて土地・家屋22億円(平成28事務年度24億円)、有価証券11億円(平成28事務年度4億円)の順となっています。

4 追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は26.3億円(平成28事務年度24.7億円)で、実地調査1件当たりでは400万円(平成28事務年度379万円)となっています。

5 重加算税の賦課件数

重加算税の賦課件数は39件(平成28事務年度62件)で、賦課割合は7.3%(平成28事務年度11.9%)となっています。

6 「簡易な接触」による接触件数等

実地調査のほか、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施しています。平成29事務年度における簡易な接触の件数は634件(平成28事務年度338件)、このうち申告漏れ等の非違及び回答があった件数は357件(平成28事務年度211件)で、この割合は56.3%(平成28事務年度62.4%)となっています。

(別表)相続税の調査事績

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
652 657 100.8
2 申告漏れ等の非違件数
522 533 102.1
3 非違割合
21
ポイント
80.1 81.1 1.1
4 重加算税賦課件数
62 39 62.9
5 重加算税賦課割合
42
ポイント
11.9 7.3 ▲4.6
6 申告漏れ課税価格(※) 億円 億円
143 154 107.4
7 6のうち
重加算税賦課対象
億円 億円
22 12 53.1
8 追徴税額 本税 億円 億円
21.3 23.0 107.8
9 加算税 億円 億円
3.4 3.3 96.9
10 合計 億円 億円
24.7 26.3 106.3
11 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
2,197 2,341 106.6
12 追徴税額
101
万円 万円
379 400 105.5

(※) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。このため、付表1「申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。  

(付表1)申告漏れ相続財産の金額の推移

平成25事務年度から平成29事務年度分の申告漏れ相続財産の金額の推移のグラフ

(付表2)申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

平成25事務年度から平成29事務年度分の申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移のグラフ

(付表3)簡易な接触に係る事績

国税局においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
 特に、平成27年1月の相続税基礎控除額の引下げ等により、申告件数が大幅に増加したことも踏まえ、具体的には次のような取組を積極的に行っております。

・ 保有する資料情報等から相続税の無申告が想定される納税者に対し、書面照会を行うことによる、自発的な期限後申告書の提出を促す取組。  

・ 調査すべき問題点が限られている事案に対し、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を実施し、より効率的に納税者等に接触する取組。 

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
338 634 187.6
2 申告漏れ等の非違件数
121 115 95.0
3 回答等の件数(※)
90 242 268.9
4 申告漏れ等の非違及び
回答等の件数(2+3
211 357 169.2
5 非違及び回答等の割合
41
ポイント
62.4 56.3 ▲6.1
6 申告漏れ課税価格 百万円 百万円
2,546 3,646 143.2
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
141 216 153.3
8 加算税 百万円 百万円
6 10 156.5
9 合計 百万円 百万円
147 226 153.5
10 簡易な接触
1件当たり
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
753 575 76.3
11 追徴税額
91
万円 万円
44 36 81.8

(※) 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。

(付表4)無申告事案に係る調査事績

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
44 66 150.0
2 申告漏れ等の非違件数
32 57 178.1
3 非違の割合
21
ポイント
72.7 86.4 13.7
4 申告漏れ課税価格 億円 億円
34 57 168.0
5 追徴税額 本税 億円 億円
1.4 3.3 238.4
6 加算税 億円 億円
0.2 0.6 346.2
7 合計 億円 億円
1.5 3.9 250.3
8 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
41
万円 万円
7,674 8,594 112.0
9 追徴税額
71
万円 万円
352 587 166.9

(付表5)贈与税に係る調査事績

仙台国税局では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査時等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、平成29事務年度も積極的に贈与税の調査を実施しました。
 また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
152 155 102.0
2 申告漏れ等の非違件数
138 146 105.8
3 申告漏れ課税価格 億円 億円
6 8 130.6
4 追徴税額 億円 億円
1.3 2.0 158.0
5 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
31
万円 万円
402 515 128.1
6 追徴税額
41
万円 万円
84 130 154.9

1.調査事績に占める無申告事案の状況(平成29事務年度)

仙台国税局では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

<「申告漏れ等の非違件数」の状況>
調査事績に占める申告漏れ等の非違件数の状況のグラフ(平成29事務年度)。無申告79.5%。申告有20.5%。
<「申告漏れ課税価格」の状況>
申告漏れ課税価格の状況のグラフ(平成29事務年度)。無申告80.2%。申告有19.8%。

2.調査事績に係る財産非違件数(平成29事務年度)

調査事績に係る財産非違件数のグラフ(平成29事務年度)。土地・家屋約23件、有価証券約5件、現金・預貯金106件。その他28件

(注) ( )内の数値は構成比。

各県別(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)の相続税の調査事績