平成24年11月
仙台国税局

T 平成23事務年度 法人税等の申告(課税)事績について

平成23事務年度の法人税、源泉所得税の申告(課税)事績がまとまりましたので、その概要を報告します。

平成23事務年度における法人税の申告事績の概要

申告所得金額、申告税額は、いずれも5年ぶりに増加

法人税の申告件数は159千件で、その申告所得金額の総額は9,028億円、申告税額の総額は2,442億円となりました。
 前年度と比べると、それぞれ3,057億円(51.2%)、861億円(54.4%)増加し、5年ぶりの増加となりました。

(注) 平成23年4月1日から平成24年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、平成24年7月末までに申告があったものを集計したものです。
 なお、平成23事務年度には、東日本大震災の発生(平成23年3月11日)により、青森県、岩手県、宮城県及び福島県の全域について申告期限延長措置がとられ、平成22事務年度から平成23事務年度に申告・納付期限が延長されたものが含まれていることに留意する必要があります。

法人税の申告及び税額の状況
年度等 22 23
項目 件数等 件数等 増減額 前年対比
申告件数 千件 147 159 12 108.1
申告所得金額 億円 5,971 9,028 3,057 151.2
申告税額 億円 1,581 2,442 861 154.4

平成4年度から平成23年度の申告所得金額の推移のグラフ。

(注) 平成19事務年度以前は、その年の7月1日から翌年6月30日までに申告期限が到来し、申告のあったものを集計したものです。

黒字申告割合は28.0%と5年ぶりに上昇

黒字申告割合は28.0%となり、過去最低であった前年度に比べ1.4ポイント増加し5年ぶりに上昇となりました。

黒字申告割合の状況
年度等 22 23
項目 件数等 件数等 前年対比
申告件数 千件 147 159 108.1
黒字申告割合 26.6 28 +1.4

平成4年度から平成23年度の黒字申告割合の推移のグラフ。

【東日本大震災に伴う申告等の期限延長】

東日本大震災の発生に伴い、岩手県、宮城県及び福島県の3県については、平成23年7月末(法人税申告事績の集計期日)時点において、平成23年3月11日以降に到来する申告等の期限(法人税の申告期限)が平成23年7月以降に延長されていました。

(注)

  • 1 東日本大震災の発生に伴い申告等の期限が延長されていた、青森県、岩手県、宮城県及び福島県の4県のうち、青森県については、申告等の期限が平成23年7月29日とされ、岩手県、宮城県及び福島県の3県の一部の地域については、申告等の期限が平成23年9月30日、同年12月15日、平成24年4月2日とされました。
  • 2 岩手県、宮城県及び福島県の3県については、前年度の集計時点(平成23年7月末)において申告期限が延長されており、その時点で申告のない法人が本年度の集計時点(平成24年7月末)までに申告があった場合は、本年度の数値に加えて集計しています。

(参考計表)平成23事務年度における法人税の申告事績

別表1
法人数の状況
区分 平成23年6月30日現在 平成24年6月30日現在
項目 件数 前年対比 件数 前年対比
法人数 法人 161,584 98.8 162,062 100.3

(注) 清算中法人を除く

別表2
申告の状況
年度等 22 23
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数 1 147,454 93.9 159,397 108.1
申告割合 2 93.3 +1.3 92.6 マイナス0.7
黒字申告割合 3 26.6 マイナス0.3 28.0 +1.4
申告所得金額 4 億円 5,971 90.3 9,028 151.2
黒字申告1件当たり所得金額 5 千円 15,227 97.4 20,223 132.8
申告欠損金額 6 億円 6,451 85.8 8,194 127.0
赤字申告1件当たり欠損金額 7 千円 5,959 91.0 7,141 119.8

(注) その年の4月1日から翌年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、翌年7月31日までに申告があったものを集計したものです。

別表3
税額の状況
年度等 22 23
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 1,581 91.1 2,442 154.4

平成23事務年度における源泉所得税の課税事績の概要

源泉所得税額は、7年ぶりに増加

源泉所得税の合計税額は3,928億円で、前年度に比べて150億円(4.0%)増加しました。

これを主な所得について見ると、給与所得の税額は211億円(6.7%)、退職所得の税額は12億円(18.2%)、配当所得の税額は38億円(18.2%)それぞれ増加した一方、利子所得等の税額は21億円(17.0%)、報酬料金等所得の税額は91億円(39.5%)それぞれ減少しました。

(注) 平成23年7月1日から平成24年6月30日までに納付があったものを集計したものです。
 なお、平成23事務年度には、東日本大震災の発生(平成23年3月11日)により、青森県、岩手県、宮城県及び福島県の全域について申告期限延長措置がとられ、平成22事務年度から平成23事務年度に申告・納付期限が延長された源泉所得税額が含まれていることに留意する必要があります。

源泉所得税の課税の状況
事務年度等 22 23
項目 税額 税額 増減額 前年対比
給与所得 億円 3,133 3,344 211 106.7
退職所得 億円 66 78 12 118.2
利子所得等 億円 123 102 マイナス21 83.0
配当所得 億円 207 245 38 118.2
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 億円 9 6 マイナス3 65.0
報酬料金等所得 億円 231 140 マイナス91 60.5
非居住者等所得 億円 9 14 5 156.1
合計 億円 3,778 3,928 150 104.0

平成4事務年度から平成23事務年度の源泉所得税額の推移のグラフ。

(参考計表)平成23事務年度における源泉所得税の課税事績

別表1
源泉徴収義務者数の状況
区分 平成23年6月30日現在 平成24年6月30日現在
項目 義務者数 前年対比 義務者数 前年対比
給与所得 本店法人 131,739 99.6 129,796 98.5
支店法人 2,393 100.5 2,372 99.1
官公庁 1,481 97.2 1,468 99.1
個人 75,356 97.8 71,697 95.1
その他 10,178 101.1 10,191 100.1
221,147 99.1 215,524 97.5
利子所得等 3,119 96.5 3,056 98.0
配当所得 7,320 104.9 7,504 102.5
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 1,031 186.8 1,035 100.4
報酬料金等所得 160,707 98.1 157,770 98.2
非居住者等所得 417 88.3 383 91.8
別表2
源泉所得税の課税の状況
事務年度等 22 23
項目 税額 前年対比 税額 前年対比
給与所得 億円 3,133 99.6 3,344 106.7
退職所得 億円 66 92.7 78 118.2
利子所得等 億円 123 81.3 102 83.0
配当所得 億円 207 96.5 245 118.2
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 億円 9 99.9 6 65.0
報酬料金等所得 億円 231 95.9 140 60.5
非居住者等所得 億円 9 114.2 14 156.1
合計 億円 3,778 98.4 3,928 104.0

U 平成23事務年度 法人税等の調査事績について

仙台国税局・税務署では、適正かつ公平な課税を実現するため、税金の申告・納付に関して的確な指導を行うとともに、不正に税金の負担を逃れようとする納税者に対しては、様々な角度から厳正な調査を実施することとしています。
 平成23事務年度においては、東日本大震災により被災された方の税の減免手続等の事務を最優先に取り組みつつ、大口・悪質な不正計算が想定される法人に加え、無申告法人、消費税不正還付法人等の波及効果の高い事案に取り組んできました。
 今般、平成23事務年度の法人税、源泉所得税等の調査事績がまとまりましたので、その概要を報告します。

平成23事務年度における法人税等の調査事績の概要

法人税の申告漏れ所得金額の総額は430億円

平成23事務年度においては、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人約1千5百件について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税について非違があった法人は約1千2百件、その申告漏れ所得金額は430億円、追徴税額は58億円となっています。

法人税の実地調査の状況
事務年度等 22 23  
項目 前年対比
実地調査件数 5,092 1,483 29.1
非違があった件数 3,612 1,150 31.8
申告漏れ所得金額 億円 383 430 112.3
  うち不正所得金額 億円 109 32 29.5
調査による追徴税額 億円 60 58 96.9

平成10事務年度から平成23事務年度の申告漏れ所得金額等の推移のグラフ

法人消費税の追徴税額は9億円

法人消費税については、法人税との同時調査等として約1千4百件の実地調査を実施しました。

このうち、非違があった法人は約9百件、追徴税額は9億円となっています。

法人消費税の実地調査の状況
事務年度等 22 23  
項目 前年対比
実地調査件数 4,759 1,358 28.5
非違があった件数 2,684 858 32
調査による追徴税額 億円 13 9 64.8

(注) 調査による追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。

無申告法人に対する取組

意図的な無申告法人は徹底した調査

事業を行っているにも関わらず申告をしていない法人は、法人としての最低限の義務さえも履行しておらず、国民の公平感を著しく損なうものです。
 このため、無申告となっている法人については確実に実態確認を行い、期限後申告の提出の指導を行うほか、あらゆる機会を通じて情報を収集・分析し、意図的な無申告法人を把握した場合には徹底した調査を行うなど、重点的に取り組んでいます。
 平成23事務年度においては、事業を行っているにも関わらず申告をしていない法人約3百件に対して調査を実施し、法人税について約1億3千万円、消費税について約2億7千万円の追徴課税を行いました。
 そのうち、5件は意図的に無申告であった事案であり、法人税について約3千万円、消費税について約2千万円の追徴課税を行いました。

平成21事務年度から平成23事務年度の稼働無申告法人に対する実地調査の状況の推移のグラフ。

稼働無申告法人に対する法人税等の実地調査の状況
事務年度等 21 22 23  
項目 前年対比
実地調査件数 341 349 256 73.4
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 14 16 5 31.3
法人追徴税額 百万円 143 169 129 76.4
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 42 51 32 62.2
消費追徴税額 百万円 361 317 266 83.8
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 42 21 23 108.7

大口・悪質事案に対する取組

仙台国税局・税務署では、申告内容や各種資料情報などを検討し、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度が高い法人を的確に選定の上、厳正な調査を実施しています。
 なお、全国的にも例えば次のような取組を行い、適正・公平な課税の実現に取り組んでいます。

海外取引法人等に対する取組
 経済の国際化の進展により、企業等の国境を超えた事業、投資活動が活発化しています。
 海外取引等を有する法人(海外取引法人等)の中には、海外取引先との経費を水増しするなどの不正計算を行うものが見受けられます。
 このような悪質な海外取引法人等に対しては、海外への資金移動に着目した資料情報の収集活用や租税条約に基づく情報交換制度の積極的な活用などにより、深度ある調査に取り組んでいます。

無所得申告法人に対する取組
 本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人は、国民の公平感を著しく損なうものです。無所得法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、重点的な調査に取り組んでいます。

消費税還付法人に対する取組
 消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、一層の適正な税務執行が求められています。
 特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした不正還付を行う悪質な納税者に対して厳正な調査を実施しています。

(参考計表)平成23事務年度における法人税等の調査事績

別表1
法人税の実地調査の状況
事務年度等 22 23
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1 5,092 68.8 1,483 29.1
更正・決定等の件数 2 3,612 67.9 1,150 31.8
同上のうち不正計算のあった件数 3 935 67.4 231 24.7
申告漏れ所得金額 4 億円 383 88.2 430 112.3
同上のうち不正脱漏所得金額 5 億円 109 55.0 32 29.5
調査による追徴税額 6 億円 60 78.5 58 96.9
同上のうち加算税額 7 億円 10 75.2 8 84.9
分析 不正発見割合(3/1) 8 18.4 マイナス0.4 15.6 マイナス2.8
調査1法人当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 7,515 128.1 28,984 385.7
不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額(5/3) 10 千円 11,636 81.6 13,874 119.2
別表2
消費税(法人)の実地調査の状況
事務年度等 22 23
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1 4,759 68.4 1,358 28.5
非違件数 2 2,684 68.1 858 32.0
調査による追徴税額 3 億円 13 66.3 9 64.8
同上のうち加算税額 4 億円 3 76.3 1 55.1
調査1件当たりの追徴税額(3/1) 5 千円 281 96.9 637 226.7

(注) 調査による追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。

平成23事務年度における源泉所得税の調査事績の概要

源泉所得税の追徴税額は2億円

平成23事務年度においては、約2千1百件の源泉徴収義務者について源泉所得税に関する調査及び指導を実施しました。

このうち、源泉所得税の非違があった源泉徴収義務者は約5百件で、追徴税額は2億円となっており、前事務年度に比べて7億円(71.4%)減少しました。

源泉所得税の調査の状況
事務年度等 22 23  
項目 前年対比
調査件数 7,499 2,135 28.5
非違件数 1,744 474 27.2
追徴税額 億円 9 2 28.6

(注) 追徴税額には、加算税を含む。

平成4事務年度から平成23事務年度の源泉所得税額kの追徴税額の推移のグラフ。