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  • 別紙1−1

    事前照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び事前照会者の求める見解の内容)

     大阪府は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第78条《都道府県の地域生活支援事業》及び平成18年8月1日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「地域生活支援事業実施要綱」の規定に基づき、在宅の重症心身障がい児(者)、知的障がい児(者)、身体障がい児(以下「本件障がい児等」といいます。)の福祉の向上を図ることを目的として、大阪府障がい児等療育支援事業(以下「本件支援事業」といいます。)を行い、その実施を社会福祉法人又は特定非営利活動法人等(以下「社会福祉法人等」といいます。)に委託することとしています。
     添付資料1「大阪府障がい児等療育支援事業実施に関する委託契約書(PDFファイル/129KB)」(以下「本業務委託契約書」といいます。)は、大阪府と社会福祉法人等との間で本件支援事業の委託契約(以下「本契約」といいます。)に際して作成される契約書です。
     本業務委託契約書では、委託する支援事業の内容、支援回数による支払い(概算払い分については返還基準を設けています。)及び必要な報告又は資料の提出を行う旨の規定を設けていますが、当該委託行為は、民法第632条に規定する「請負」ではなく、同法第643条に規定する「委任」又は第656条に規定する「準委任」に該当するものと考えられます。
     したがって、本業務委託契約書は、印紙税法別表第一に掲げる第2号文書《請負に関する契約書》には当たらず、また、その他いずれの課税文書にも該当しないものであり、不課税文書に該当すると解して差し支えないか、ご照会いたします。

  • 別紙1−2

    事前照会に係る取引等の事実関係(取引等関係者の名称、取引等における権利・義務関係等)

     本契約により委託される支援事業の内容については、添付資料2「大阪府障がい児等療育支援事業実施要綱(PDFファイル/122KB)」第5条《事業の内容》及び添付資料3「大阪府障がい児等療育支援事業取扱要領(PDFファイル/121KB)」第2《支援事業の内容》において定められており(本業務委託契約書第1条)、次の6事業に区分されます。


    • イ 在宅重症心身障がい児(者)訪問支援事業
       在宅の重症心身障がい児(者)及びその家族を対象とした、訪問の方法による療育指導及び相談支援等
    • ロ 在宅障がい児訪問支援事業
       在宅の障がい児(者)及びその家族を対象とした、訪問の方法による療育指導及び相談支援等
    • ハ 障がい児外来相談支援事業
       在宅の障がい児(者)及びその家族を対象とした、外来の方法による療育指導、相談支援、生活支援、余暇支援等
    • ニ 施設支援指導事業
       児童デイサービス事業者、障がい児通園(デイサービス)事業実施施設、保育所、幼稚園、学校等の職員に対し、在宅障がい児(者)の療育に関する技術の指導
    • ホ 専門集団療育事業
       市町村、保育所、幼稚園、学校、医療機関等から紹介を受けた専門的な療育が必要な障がい児を対象に小グループ(5人以上)を形成し、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、支援員・指導員、保育士、心理等を担当する職員を複数配置して行う専門的な療育指導、生活訓練等
    • ヘ ピアカウンセラー派遣事業
       実施機関、市町村及び入所施設等からピアカウンセラーの派遣依頼を受け、心理サポートを含めた自立生活支援が必要な事例等ピアカウンセリングの実施が必要と認めた案件に対し行う訪問カウンセリング

    社会福祉法人等は、本件障がい児等及びその家族等に対して、上記イ〜ヘの事業の全部又は一部につき、委託された範囲において各種の相談・指導及び支援等(以下「療育支援等」といいます。)を行うものとされており、委託された本件支援事業の実施状況については、毎月、受託者である社会福祉法人等が大阪府に報告し、その検査を受けるとともに、必要がある場合には、報告又は資料を提出することとされています(本業務委託契約書第6条)。
     また、委託料については、添付資料4「仕様書(PDFファイル/289KB)」において、実績に応じた毎月払い又は4月から9月の6ヶ月分、10月から翌年3月の6ヶ月分の年度間2回の概算払いと定められています。概算払いの支援事業については、支援回数に基準を設けており、仕様書に定める基準を下回った場合には、委託金額の返還基準を定めています。

  • 別紙1−3

    別紙1-2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由(具体的な根拠となる事例、裁判例、学説及び既に公表されている弁護士、税理士、公認会計士等の見解を含む。)

     印紙税法上の「請負」とは、民法第632条に規定する請負をいい、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」契約であり、完成すべき結果の有形、無形を問わないものとされています(印紙税法基本通達、別表第一第2号文書1)。また、請負は、完成された仕事の結果を目的とする点に特質があり、その仕事を完成させなければ、原則として債務不履行責任を負うこととなるものと考えられます。
     他方、「委任」は、「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」契約であり(民法第643条)、法律行為でない事務の委託である準委任は、委任に関する規定を準用するものとされています(民法第656条)。
     委任は、一定の目的に従って事務を処理すること自体を目的とし、必ずしも仕事の完成を目的としないものです。また、受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負いますが(民法第644条)、受任者にはある程度の自由裁量が認められており、事務処理をする過程が重視されているものと考えられます。
     本契約においては、支援回数による料金設定があることから、無形の完成すべき結果に対してその報酬が支払われるものではないかとの疑義が生じますが、本件支援事業の委託は、本件障がい児等の地域における生活を支え、福祉の向上を図ることを目的に、社会福祉法人等の特殊な経験、知識、才能等を信頼して、前記別紙1-2のイ〜ヘの事業に係る療育支援等の事務の処理を委託するものであり、これらの療育支援等の事務を適切に処理することにより、これらに係る報酬が支払われるものであることからすると、この事務処理の過程が重視されているものであって、その内容について、民法第632条における、結果の達成・未達成という仕事の完成が存するものではないと考えています。
     また、提出が求められる報告書等についても、事務処理の過程等の報告であり、報告そのものに対して報酬が支払われるものとは認められないことから、請負に係る成果物には該当しないものと解しています。
     このように、本契約は、療育支援等による事務処理を目的とするものであり、民法第632条における、完成すべき結果は存在しないことから、請負契約ではなく委任契約に該当するものと考えます。
     したがって、本業務委託契約書は、印紙税法別表第一に掲げる第2号文書《請負に関する契約書》に当たらず、また、その他いずれの課税文書にも該当しないものであり、不課税文書に該当すると解するのが適当であるものと考えています。