平成30年11月
沖縄国税事務所

沖縄国税事務所では、的確な調査に活用するため、あらゆる機会を通じて資料情報の収集を行い、その収集した資料情報を様々な角度から分析し、不正に税金の負担を逃れようとする悪質な納税者に対しては、厳正な調査を実施しています。

1 所得税

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

所得税の調査については、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に、深度ある調査(特別調査・一般調査)を優先して実施する一方、特定の事項などに申告漏れ等が見込まれる事案には、短期間で行う実地による着眼調査を実施しています(以下、実地により行う調査を総称して「実地調査」といいます。)。
 このほか、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により、申告漏れ、計算誤り又は所得(税額)控除の適用誤りがある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施しています。
 このように、事案に応じた的確な調査等(「実地調査」及び「簡易な接触」をいいます。以下同じです。)を実施し、適正・公平な課税に努めています。
 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が252件(前事務年度258件)、着眼調査が131件(前事務年度128件)であり、簡易な接触の件数は3,900件(前事務年度3,615件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は4,283件(前事務年度4,001件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は2,681件(前事務年度2,505件)となっています。

(2) 申告漏れ所得(調査等の対象となった全ての年分の合計)金額の状況

実地調査による申告漏れ所得金額は、41億7千6百万円(前事務年度56億3千4百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは35億7千8百万円(前事務年度46億7千6百万円)、着眼調査によるものは5億9千8百万円(前事務年度9億5千7百万円)となっています。
 また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は27億8千2百万円(前事務年度25億5千7百万円)となっており、調査等合計では69億5千8百万円(前事務年度81億9千1百万円)となっています。

(3) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

実地調査による追徴税額は、6億6千3百万円(前事務年度16億9千1百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは6億3千3百万円(前事務年度14億3千9百万円)、着眼調査によるものは3千万円(前事務年度2億5千2百万円)となっています。
 また、簡易な接触による追徴税額は2億5千6百万円(前事務年度2億2千万円)となっており、調査等合計では9億1千9百万円(前事務年度19億1千1百万円)となっています。

(参考)譲渡所得

所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数が、643件(前事務年度579件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数が、383件(前事務年度296件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、30億1千1百万円(前事務年度19億1千4百万円)となっています。

2 消費税(個人事業者)

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

消費税(個人事業者)の調査等については、収集した資料情報や所得税の申告事績、その業種の景況等から見て、所得税を過少に申告して意図的に消費税の申告を免れていると想定される事案、また、課税取引と非課税取引の判定や簡易課税制度のみなし仕入率に誤りが想定される事案などを対象に調査等を実施し、適正な課税に努めています。
 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が176件(前事務年度182件)、着眼調査が67件(前事務年度56件)であり、簡易な接触の件数は1,020件(前事務年度756件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は1,263件(前事務年度994件)で過去10年で最高値となっており、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は846件(前事務年度734件)となっています。

(2) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含みます。)の状況

実地調査による追徴税額は、全体で3億8千1百万円(前事務年度2億9千9百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは3億6千3百万円(前事務年度2億5千2百万円)、着眼調査によるものは1千8百万円(前事務年度4千8百万円)となっています。
 また、簡易な接触による追徴税額は1億7千2百万円(前事務年度1億4千8百万円)となっており、調査等合計では、5億5千3百万円(前事務年度4億4千8百万円)となっています。

(参考1)平成29事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

1 所得税

区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
1 調査等件数 258 128 386 3,615 4,001
252 131 383 3,900 4,283
2 申告漏れ等の非違件数 223 88 311 2,194 2,505
229 78 307 2,374 2,681
3 申告漏れ所得金額 百万 4,676 957 5,634 2,557 8,191
3,578 598 4,176 2,782 6,958
4 追徴税額 本税 百万 1,214 191 1,406 217 1,623
515 26 542 249 791
5 加算税 百万 225 60 285 3 289
118 4 122 7 129
6 百万 1,439 252 1,691 220 1,911
633 30 663 256 919
7 一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,813 748 1,460 71 205
1,420 456 1,090 71 162
8 追徴税額 本税 万円 471 149 364 6 41
205 20 141 6 19
9 加算税 万円 87 47 74 0 7
47 3 32 0 3
10 万円 558 197 438 6 48
251 23 173 7 22

(注)

  1. 1 平成29年7月から平成30年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である(上段・下段どちらも、資産課税部門職員の行った調査等の計数を含む。)。
  3. 3 「簡易な接触」の件数には、添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4. 4 追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  5. 5 実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

2 消費税(個人事業者)

区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
1 調査等件数 182 56 238 756 994
176 67 243 1,020 1,263
2 申告漏れ等の非違件数 165 50 215 519 734
166 66 232 614 846
3 追徴税額 本税 百万 209 38 246 144 390
297 15 312 166 478
4 加算税 百万 43 10 53 4 58
66 3 69 5 74
5 百万 252 48 299 148 448
363 18 381 172 553
6 一件当たり 追徴税額 本税 万円 115 67 103 19 39
169 22 128 16 38
7 加算税 万円 24 18 22 1 6
37 5 29 1 6
8 万円 138 85 126 20 45
206 27 157 17 44

(注)

  1. 1 平成29年7月から平成30年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。
  3. 3 上段は、前事務年度の計数である。
  • 【参考1】特別調査・一般調査とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うものであり、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人等を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものである。
  • 【参考2】着眼調査とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査である。
  • 【参考3】簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものである。

(参考2)事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位5業種

順位 業種目 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税) 直近の年分に係る申告漏れ割合 前年の順位
  万円 万円
1 土木工事 2,329 415 85.7 -
2 酒場 2,319 338 88.5 3
3 とび工事 1,875 555 69.2 -
4 解体工事 1,797 284 35.6 -
5 建築工事 1,613 350 49.5 7

(注)

  1. 1 上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果である。
  2. 2 「直近の年分に係る申告漏れ割合」は、

     申告漏れ所得÷(調査前所得+申告漏れ所得)で算出している。
  3. 3 「前年の順位」は、事業所得を有する個人の前年の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10位に該当するものについて、その順位を記載している。

(付表)事業所得を有する者の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種

  20事務年度 21事務年度 22事務年度 23事務年度 24事務年度
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
    万円   万円   万円   万円   万円
1 酒場 3,923 司法書士、行政書士 9,001 採卵業 5,779 くず金卸売業 4,150 一般貨物自動車運送 4,239
2 民宿 3,369 施設園芸農業(果樹) 4,267 食堂 3,475 酒場 2,814 一般自動車整備 3,673
3 食堂 2,084 風俗業 1,612 果樹栽培農業 3,079 理髪業 2,756 仕出し製造小売業 1,980
4 建築工事 1,425 青物(小売) 1,437 建築士 2,627 食堂 2,012 一般土木建築工事 1,011
5 大工工事 1,348 内装工事 1,290 内装工事 1,665 塗装工事 2,000 型枠工事 834
 
  25事務年度 26事務年度 27事務年度 28事務年度 29事務年度
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
    万円   万円   万円   万円   万円
1 とび工事 4,923 コーヒー喫茶店等
(ゲーム喫茶を含む)
7,787 土木工事 2,925 理髪業 2,079 土木工事 2,329
2 一般貨物自動車運送 2,284 製造小売業・そう菜 4,449 施設園芸農業 2,033 水道衛生工事 1,978 酒場 2,319
3 建築工事 1,232 不動産代理仲介 3,029 西洋料理 1,802 酒場 1,630 とび工事 1,875
4 冷暖房設備工事 1,134 一般自動車整備 1,896 水産養殖業 1,535 一般土木建築工事 1,584 解体工事 1,797
5 衣料洋品小売業 1,104 建築工事 1,813 一般土木建築工事 1,525 型枠工事 1,403 建築工事 1,613

(注) 1件当たりの申告漏れ所得は、調査全年分に係るものである。

(参考3)平成29事務年度 譲渡所得の調査等の状況

事務年度等 28事務年度 29事務年度 対前年比
項目
1
調査等件数 579 643 111.1
  土地建物等 551 633 114.9
株式等 28 10 35.7
2
申告漏れ等の非違件数 296 383 129.4
  土地建物等 276 374 135.5
株式等 20 9 45.0
3 ポイント
非違割合
21
51.1 59.6 8.4
  土地建物等 50.1 59.1 9.0
株式等 71.4 90.0 18.6
4 百万円 百万円
申告漏れ所得金額 1,914 3,011 157.3
  土地建物等 1,784 2,981 167.1
株式等 130 30 22.9
5 万円 万円
1件当たり申告漏れ所得金額
41
331 468 141.7
  土地建物等 324 471 145.5
株式等 464 297 64.0

(注)

  1. 1 土地建物等は、土地建物(分離譲渡所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
  2. 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。