【答え】

2の物品貸付業です。

【解説】

映画会社の主な業務は、映画の制作(撮影所)、映画の興行(映画館・巡業)、映画の貸付(配給)などに分かれています。映画会社は、そのすべてを行う大会社もあれば、興行や配給だけを行うところもありました。営業(収益)税は、制作と興行には課されず、配給のみ物品貸付業として課税の対象とされていました。

その一方で、映画の制作や興行には、演劇興行税という地方税が課税されていました。演劇興行税などの地方税は、江戸時代以来の小物成(※)の系譜を引く税目で、明治11年(1878)の「地方税則」で創設されました。
 その大半は、明治29年(1896)の営業税(国税)創設時に廃止されますが、演劇興行税など一部の税目は、これ以降も地方税として課税され続けました。

営業税は、大正15年(1926)に営業収益税となります。そして、昭和15年(1940)の税制改正で営業税の名称に戻りますが、このときに地方税の演劇興行税は廃止され、演劇興行にも国税の営業税が課税されることとなりました。

ちなみに、営業税(国税)が創設された明治29年(1896)は、日本で初めて映画が上映された年に当たります。11月25日から29日に神戸倶楽部で公開されました。スクリーン上に映写するのではなく、トーマス・エジソンが1891年に発明した「キネトスコープ」で、一人ずつ箱を覗き込む形でした。

※ 小物成は年貢以外の雑税のことで、山野河海の用益や諸営業に賦課されました。

(研究調査員 舟橋明宏)