答え

 1 蓄音機税

解説

 蓄音機税は、奢侈(しゃし)品を課税物件とする税の一種でした。蓄音機の所有者は申告が必要で、課税標準は台数、税額は1台につき年2円でした。
 蓄音機は、耐用年数が長く、恒久的な税源になると評価されていました。また、地方において、蓄音機やその所有者が移動することは少なく、年々の台数の増減も激しくありません。そのため、新規購入者に申告してもらい、それを記録しておけば、毎年、安定的かつ簡便な徴税が期待できます。しかも、蓄音機の所有者の多くは裕福な者であったので、年2円程度の税金を負担する担税力は充分に備えていました。このような理由で、岡山県は蓄音機税を導入することにしました。
 2のラジオ税ですが、その導入については、政府や業界による反対圧力が強く働くとともに、全国的に強い反対の声が上げられました。これらは、当時、ラジオの受信に年間12円の受信料が必要であり、ラジオ税を導入することは、更なる負担を所有者に求めることを意味していたためです。こうした中、茨城県で県議会にラジオ税の議案が提出されましたが、反対意見が強く廃案となりました。以上のような情勢や茨城県での前例を踏まえて、岡山県ではラジオ税の導入は見送られました。
 3の楽器税は、教育と芸術の発展を阻害するという観点から導入を見送られました。ただし、蓄音機も楽器ではないかという意見もあったようです。これについては、蓄音機が楽器であるという説が妥当だとしても、バイオリンやピアノなどの楽器とは別種の楽器であろうということに落ち着きました。

(研究調査員 舟橋明宏)