問い

 戦前の地方税(府県税)の中には、ある電化製品に対して課税しているものがありました。基本的には1台ごとに毎年度課税するものですが、課税額は府県によって違いがあり、一部の県では、銭湯や理髪店には一般とは違う課税額を適用していました。
 現在でもあるこの電化製品は何でしょうか?

答え

 扇風機

 扇風機には、国税として物品税(昭和12年〜平成元年、主に贅沢品、嗜好品などを課税対象としていた間接税)が課されていましたが、府県税でも扇風機税が課されていました。
 昭和13年(1938)に内務省地方局が作成した『地方税総覧』によると、昭和11年度の段階で北海道、青森、東京、京都、大阪、宮崎以外の県で、扇風機税が課されていました。
 これによると、ほとんどの県では扇風機1台につき一律に課税、もしくは扇風機の大きさ(16インチを基準としている県が多い)に応じて課税をしていたようです。しかし、富山県、愛媛県、福岡県では、「湯屋、理髪、営業用」とそれ以外とで税額を変えていました。銭湯や理髪店等の営業用の扇風機は一般家庭用よりも税額を安く設定していたのです。エアコンが無かった時代、一般家庭では扇風機は贅沢品だったといえるでしょう。
 なお、このほかにも現在は見られなくなりましたが、蓄音機に課税をしている県もいくつかありました。