令和元年11月6日
名古屋国税局

令和元年度名古屋国税局酒類鑑評会については、吟醸酒112点(66製造場)、純米酒71点(71製造場)、本醸造酒54点(54製造場)の合計237点の出品があり、下記のとおり、慎重かつ厳正な品質評価の結果、特に成績の良かった吟醸酒29点(20製造場)、純米酒28点(28製造場)及び本醸造酒21点(21製造場)を優等賞に選出しました。

1 酒類鑑評会の目的

管内清酒の品質評価を通じて、酒造技術の進歩・発展を促し、管内酒類の品質向上を図ることをもって酒類業の健全な発達に資することを目的としています。

2 部門

吟醸酒、純米酒及び本醸造酒の3部門で実施しました。

3 評価対象酒及び評価方法

(1) 吟醸酒の部

平成30酒造年度に自己の製造場で製造した吟醸酒及び純米吟醸酒の原酒を評価対象とし、近年、使用する酵母が多様化していることを踏まえ、伝統型酵母()を使用した吟醸酒の区分を設けて、約18℃で品質評価を行いました。

(2) 純米酒の部

自己の製造場で製造し、市販酒と同等のアルコール度数とした純米酒又は特別純米酒を評価対象とし、精米歩合(60%以下と60%超)で区分した上で、45℃の温度帯(日本酒独特の飲用形態であるお燗酒)で品質評価を行いました。

(3) 本醸造酒の部

自己の製造場で製造し、市販酒と同等のアルコール度数とした本醸造酒又は特別本醸造酒を評価対象とし、純米酒の部と同様、精米歩合で区分の上、45℃の温度帯で品質評価を行いました。

4 品質評価

(1) 品質評価日程

令和元年 9月30日(月):吟醸酒の部(予審)
10月2日(水):純米酒及び本醸造酒の部
10月3日(木):吟醸酒の部(決審)

(2) 品質評価員

清酒のきき酒に精通した、当局管内4県の酒造技術指導機関職員、独立行政法人酒類総合研究所職員、学識経験者、酒造・卸酒販・小売酒販の各組合から推薦を受けた者及び鑑定官室職員から選出しました。

 なお、品質評価員の人数は、延べ45名でした。

(3) 評価の概要

現在主流となっている酵母で醸造された吟醸酒については、総じて香りがとても華やか、味は甘味を基調としながらすっきりとしている、品格の高さを感じさせる清酒となっていました。また、伝統型酵母で醸造された吟醸酒については、総じて上品な香りがふくらみを感じる味わいとあいまって、食中酒としてバランスのよい素晴らしい清酒となっていました。

純米酒については、各蔵の個性が出ており、バラエティに富んでいましたが、総じて米の旨味や酸味を基調とした味わいが引き出された、濃醇な清酒となっていました。

本醸造酒については、総じてアルコールによってキレが引き出されている、淡麗な清酒となっていました。純米酒、本醸造酒いずれも燗にして美味しく飲用できる清酒でした。

平成30年は米の登熟期である夏が記録的な猛暑のため、米が固くなり、取り扱いが難しい傾向でした。併せて、酒造期である冬も例年より気温が高かったため、低温でじっくり発酵させる吟醸酒の温度管理等、様々な製造工程に細心の注意を払う必要がありました。また今年は、長い梅雨が一転してからの夏の猛暑となり、冬に製造した清酒が劣化しないようにする貯蔵管理にも相当の苦労があったと考えられましたが、製造者が持てる技術を遺憾なく発揮したことで、そのような逆境を乗り越え、今回出品された清酒は良質なものが多く見られました。

5 各県出品状況及び入賞状況

「各県出品状況及び入賞状況」のとおり

6 優等賞受賞者

「令和元年度名古屋国税局酒類鑑評会優等賞受賞者名簿」のとおり

(注)  伝統型酵母
 現在ではバイオテクノロジーの進歩により吟醸香を高生産する酵母が開発され、鑑評会で使用される酵母の主流となっていますが、それらの酵母が開発される以前から吟醸酒に使用されていた清酒醸造用優良酵母を表します。
 現在主流の吟醸酒が、華やかなリンゴ様の香りを主体とした上品な味であるのに対し、伝統型酵母を用いた吟醸酒は、落ち着いたバナナ様の香りであり、後味の残らないまろやかな味になり、特徴が大きく違うことから区分を分けて品質評価しています。