平成30年12月
名古屋国税局

1 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成27年及び平成28年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は1,895件(平成28事務年度1,886件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は1,636件(平成28事務年度1,595件)で、非違割合は86.3%(平成28事務年度84.6%)となっています。

2 申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は646億円(平成28事務年度454億円)で、実地調査1件当たりでは3,409万円(平成28事務年度2,409万円)となっています。

3 申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等186億円(平成28事務年度155億円)、有価証券186億円(平成28事務年度58億円)、土地75億円(平成28事務年度56億円)となっています。

4 追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は180億円(平成28事務年度87億円)で、実地調査1件当たりでは950万円(平成28事務年度462万円)となっています。

5 重加算税の賦課件数

重加算税の賦課件数は336件(平成28事務年度235件)、賦課割合は20.5%(平成28事務年度14.7%)となっています。

6 「簡易な接触」による接触件数等

実地調査のほか、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施しています。平成29事務年度における簡易な接触の件数は1,363件(平成28事務年度1,322件)、このうち申告漏れ等の非違及び回答等があった件数は831件(平成28事務年度881件)で、この割合は61.0%(平成28事務年度66.6%)となっています。

相続税の調査事績

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
1,886 1,895 100.5
丸2 申告漏れ等の非違件数
1,595 1,636 102.6
丸3 非違割合
(丸2/丸1)
ポイント
84.6 86.3 1.7
丸4 重加算税賦課件数
235 336 143.0
丸5 重加算税賦課割合
(丸4/丸2)
ポイント
14.7 20.5 5.8
丸6 申告漏れ課税価格(※) 億円 億円
454 646 142.2
丸7 丸6のうち
重加算税賦課対象
億円 億円
103 134 129.9
丸8 追徴税額 本税 億円 億円
74 155 210.7
丸9 加算税 億円 億円
14 25 186.0
丸10 合計 億円 億円
87 180 206.8
丸11 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格(※)
(丸6/丸1)
万円 万円
2,409 3,409 141.5
丸12 追徴税額
(丸10/丸1)
万円 万円
462 950 205.9

(※) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。このため、付表1「申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

(付表1)申告漏れ相続財産の金額の推移

平成25事務年度から平成29事務年度における申告漏れ相続財産の金額の推移グラフ

(付表2)申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

平成25事務年度から平成29事務年度における申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移グラフ

簡易な接触に係る事績

国税局においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
 特に、平成27年1月の相続税基礎控除額の引下げ等により、申告件数が大幅に増加したことも踏まえ、具体的には次のような取組を積極的に行っております。

  • 保有する資料情報等から相続税の無申告が想定される納税者等に対し、書面照会を行うことによる、自発的な期限後申告書の提出を促す取組。
  • 調査すべき問題点が限られている事案に対し、実地に赴かないで、電話や来署依頼による調査を実施し、より効率的に納税者等に接触する取組。
事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
1,322 1,363 103.1
2 申告漏れ等の非違件数
364 361 99.2
3 回答等の件数(※)
517 470 90.9
4 申告漏れ等の非違及び回答等の件数(23
881 831 94.3
5 非違及び回答等の割合
(41
ポイント
66.6 61.0 ▲5.6
6 申告漏れ課税価格 億円 億円
53 47 88.8
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
477 433 90.7
8 加算税 百万円 百万円
23 23 100.5
9 合計 百万円 百万円
500 456 91.1
10 簡易な接触1件当たり 申告漏れ課税価格
61
万円 万円
402 346 86.1
11 追徴税額
91
万円 万円
38 33 88.4

(※) 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。

無申告事案に係る調査事績

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
173 220 127.2
丸2 申告漏れ等の非違件数
140 191 136.4
丸3 非違の割合
丸2/丸1
ポイント
80.9 86.8 5.9
丸4 申告漏れ課税価格 億円 億円
130 164 126.2
丸5 追徴税額 本税 百万円 百万円
676 1,113 164.6
丸6 加算税 百万円 百万円
148 290 195.9
丸7 合計 百万円 百万円
824 1,403 170.3
丸8 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格
(丸4/丸1)
万円 万円
7,519 7,465 99.3
丸9 追徴税額
(丸7/丸1)
万円 万円
476 638 133.9
無申告事案に係る調査事績の推移

贈与税に係る調査事績

国税局では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
 また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

事務年度等 平成28事務年度 平成29事務年度  
項目 対前事務年度比
丸1 実地調査件数
795 720 90.6
丸2 申告漏れ等の非違件数
768 694 90.4
丸3 申告漏れ課税価格 億円 億円
30 33 111.2
丸4 追徴税額 百万円 百万円
731 919 125.8
丸5 実地調査1件当たり 申告漏れ課税価格
(丸3/丸1)
万円 万円
375 461 122.8
丸6 追徴税額
(丸4/丸1)
万円 万円
92 128 138.8

1.調査事績に占める無申告事案の状況(平成29事務年度)

○ 国税局では、あらゆる機会を通じて把握した資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

調査事績に占める無申告事案の状況

2.調査事績に係る財産別非違件数(平成29事務年度)

調査事績に係る財産別非違件数

(注) 各財産の件数は非違件数(延件数)、( )内の数値は構成比。

相続税の申告事績

年分等
項目
(注1)
平成28年分
(注2)
平成29年分
 
対前年比
1
(注3)
被相続人数(死亡者数)
146,822 151,750 103.4
2 相続税の申告書の提出に係る被相続人数
外4,155 外4,202 外101.1
16,155 16,694 103.3
3 課税割合
(21)
ポイント
11.0 11.0 0.0
4 相続税の納税者である相続人数
36,894 38,000 103.0
5
(注4)
課税価格
億円 億円
外2,201 外2,196 外99.7
21,558 22,059 102.3
6 税額 億円 億円
2,452 2,434 99.3
7 被相続人1人当たり
(注4)
課税価格
52
万円 万円
外5,298 外5,226 外98.6
13,344 13,214 99.0
8 税額
62
万円 万円
1,518 1,458 96.1

(注)

  1. 1 平成28年分は、平成29年10月31日までに提出された申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している。
  2. 2 平成29年分は、平成30年10月31日までに提出された申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している。
  3. 3 「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)「人口動態統計」による。
  4. 4 「課税価格」は、相続財産価額に相続時精算課税適用財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額を加えたものである。
  5. 5 各年分とも、本書は相続税額のある申告書に係る計数を示し、外書は相続税額のない申告書に係る計数を示す。

(付表1)被相続人数の推移

被相続人数の推移

(付表2)課税割合の推移

課税割合の推移

(付表3)相続税の課税価格及び税額の推移

相続税の課税価格及び税額の推移

(注)

  1. 1 「課税価格」は、相続財産価額に相続時精算課税適用財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額を加えたものである。
  2. 2 上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している。

(付表4)相続財産の金額の推移

項目
年分
土地 家屋 有価証券 現金・預貯金等 その他 合計
  億円 億円 億円 億円 億円 億円
平成20年 8,406 916 1,986 3,160 1,542 16,010
21 8,182 931 1,985 3,361 1,517 15,977
22 8,326 1,010 1,876 3,468 1,591 16,271
23 8,363 1,034 2,482 3,756 1,776 17,411
24 8,299 931 1,950 3,892 1,697 16,769
25 7,671 952 2,408 3,985 1,720 16,736
26 7,790 980 2,732 4,335 1,955 17,792
27 9,472 1,245 3,219 6,591 2,392 22,919
28 9,521 1,375 3,301 6,647 2,414 23,258
29 9,470 1,336 3,149 6,940 2,537 23,433

(注) 上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している。

(付表5)相続財産の金額の構成比の推移

相続財産の金額の構成比の推移

(注) 上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している。