平成22年3月に死亡した被相続人甲の告別式は、甲の死亡時の住所地であるA市と甲の出身地であるB市の2か所で行いました。
A市での告別式は甲の職場や近所の方、B市での告別式はB市に在住する甲の親族、幼なじみや甲が生前お世話になった方にそれぞれ参列していただきました。
A市及びB市での告別式は、いずれも仏式により行いましたが、甲の遺体はA市での告別式の後、火葬されたため、B市での告別式では、遺骨を祭りました。また、納骨はB市での告別式の約1月後に行いました。
この場合、A市及びB市での告別式に要した費用のいずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると解して差し支えないでしょうか。
甲は住所地であるA市で死亡しましたが、A市での告別式のほかに、甲がB市で生まれてから就職後しばらくの間までB市で過ごしていることから、B市に在住する甲の親族、幼なじみ及び甲が生前お世話になった方にも見送ってもらうとともに、B市での告別式の参列者への生前の感謝の意と便宜を図りたいという遺族の意思によりB市においても告別式を行うこととしました。
なお、日程は次のとおりです。
告別式の場所 | 金額 |
---|---|
A市 | 2,000,000円 |
B市 | 300,000円 |
合計 | 2,300,000円 |
上記の金額に香典返戻費用は含まれていません。
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限ります。以下同じです。)により財産を取得した者が相続税のいわゆる無制限納税義務者(相続税法第1条の3第1号又は第2号の規定に該当する者)である場合、当該相続又は遺贈に係るその者の相続税の課税価格に算入すべき価額は、その者が相続又は遺贈により取得した財産の価額から当該被相続人に係る葬式費用のうちその者が負担の属する金額を控除した金額となります(相法13)。
これは、被相続人に係る葬式費用は相続開始時に現存する被相続人の債務ではありませんが、相続開始(被相続人の死亡)に伴う必然的出費であり、社会通念上も、いわば相続財産そのものが担っている負担ともいえることを考慮し、相続税の無制限納税義務者については、相続財産の課税価格の計算上相続又は遺贈によって取得した財産の価額から、葬式費用を控除することとしたものであるとされています。
A市及びB市の告別式に要した費用は、次のことから、いずれも相続税法第13条第1項第2号に規定する葬式費用に該当すると考えます。
イ A市での告別式は、上記2の(2)イのとおり、遺影及び遺体を祭り、僧侶による読経とともに、甲の職場や近所の方が焼香等を行う仏式により行われたものであり、死者を葬るために行われた儀式です。
したがって、A市の告別式に要した費用は、相続税法基本通達13−4に掲げられた費用(葬式に際し要した費用)に該当すること。
ロ B市での告別式は、上記2の(2)ロのとおり、A市のみで告別式を行うとB市の知人等が告別式に参列することが困難となることから、参列者の便宜等を考慮し、遺族の意思によりA市での告別式の後、別途執り行ったものですが、納骨前に行ったものであり、その内容も遺影及び遺骨を祭り、僧侶による読経とともに、参列者が焼香等を行う仏式により行われたものでA市での告別式と同様であることから、死者の追善供養のため営まれる法会(法事)ではなく、死者を葬るために行われた儀式であると考えられます。
したがって、B市の告別式に要した費用も、相続税法基本通達13−4に掲げられた費用(葬式に際し要した費用)に該当すると考えられること。